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とれいど・がーる

ヒロイン 17th

作:kagerou6





「おはよう!」そう言いながら、男性があたしに走りながら近付いてくる。
「あ、おはようございます」あたしも看板を準備しながら、笑顔でそう答える。
「今日は晴れそうだね」足踏みをしながら、空を見てそんな事を言ってくる。
「ええ、でも暑くなりそうですね」あたしも同じように言うと、笑顔を見せて走り去っていく。
「今日のモーニング・・・スクランブルだから」あたしが追いかけるように言うと、手を振って答えてくれた。
「さぁ、時間がないわ」看板にコンセントを繋いであたしは店のシャッターを開けた。
それは夏休みに入ったある日のことだった。

「「「おねえちゃん・・・おはよう」」」店の前を掃除していると、数人の小学生が元気良くあたしに挨拶をしてきた。
「おはよ・・・どこかに行くの?」手を停めてそう聞くと
「今日試合なんだ」一人がそう言ってバックを指差した。
「あ、そうなんだ・・・あれ、朝ご飯は?」お店が開いた時間なんで、そう聞くと
「食べてない」一人がそう言って笑っている。
「え、どうして?」あたしがそう聞くと
「お母さん、寝坊しちゃって」そう言って苦笑いしていた。
「あらら・・・仕方ないなぁ」あたしは子供達に待っているように言って、ハムサンドを作って手渡す。
「おねえちゃん・・・良いの?」受け取った子が驚いているのかあたしを見つめ返してくる。
「そのかわり・・・勝ってきなさいよ」おでこをちょんと突付きそう言うと、笑顔を見せて頷いた。
「君達にはこれね」お店のジュースをいくつか手渡し
「頑張ってね」と言って頭をなでてやる。
「「「うん・・・頑張る!」」」そう言って元気良く走っていく。

「へぇ、まさみちゃんて子供好きなんだ〜」いつのまにか隣に立っていた千晴ちゃんがあたしの事をそんな風に言って笑っている。
「い、いいじゃないそんな事は」あたしが照れてそう言い返すと
「ポイント高いよ、今の事」と言ってあたしの事を見つめ
「好きな人の前でするとね」そう言ってウインクをした(笑)
「そ、それよりあんたがなんでここにいるのさ?」
「あ・・・まさみちゃんに用事があったんだ」そう言って彼女はあたしの手を取ると、お店のドアを開けた。

「こんなに早くになに?」あたしは彼女の前に準備したばかりのコップを置いてそう聞くと
「実はさ・・・まさみちゃんとこってバイトとか雇う予定ない?」彼女はコップを持ちながら、そう聞いてきた。
「え・・・それじゃあ、まさか・・・」あたしがそう言うと彼女は頷いて
「今月のお小遣い50%カットされてもーた・・・」彼女は俯き気味にそう答える。
「ありゃ〜、それは痛いわね」あたしもそう言って同情するほかなかった。

それは、夏休み”前”最後の日、手渡された一枚の紙(笑)に起因しているのだ。
「あたし、ウチに帰りたくない(泣)」問題の紙を貰って、いきなり隣の千晴ちゃんがそう言い出し、泣きそうな顔をしていた。
「千晴ちゃん・・・どうかしたの?」あたしが話しかけると
「まさみちゃん・・・長い間、ありがとう・・・」そう言って赤い目であたしの事を見つめていた。
「な・・・なによ?ありがとうって・・・」
「こんなあたしの友達になってくれて」
「千晴ちゃん何いってんの?」
「あたしの事、忘れないでね」
「えぇ?・・・それっていったい・・・」
「もう、あたし達お別れなの!」そう言って机に伏してしまった。
「千晴ちゃん・・・ど、どういう事なの?」驚いてあたしが彼女に近付くと
「だって・・・ウチの成績表(爆)・・・」そう言ってさっき貰った紙・・・成績表・・・を指差していた(笑)

「でも、50%カットってきついよね」あたしは言うと、彼女は俯いたまま頷いて
「このままじゃあ・・・夏休みの計画が全部パァ〜なのよ〜」そう言ってテーブルで泣き始めた。
「聞いてみるけど、当てにしないでよ?」あたしはそう言って、バイトの事をお母さんに聞きに行った。
「だめだって・・・ウチはそんな余裕ないって、言われて」椅子に座ってそう言うと、彼女はがっくりと頭を落としていた。
「ゴメンね・・・ウチも流行っていたら雇えると思うのだけど」
「見ての通り、近所の人がメインなんだ」あたしがそう言うと、彼女はお客さんの方に目を向けていた。
「そうね・・・どう見てもオバちゃんがメインか・・・」彼女はそう言いながら店内を見廻している。
「小さい店だし、駅から少しあるから・・・近所の人くらいしか来ないのよ」あたしがそう言うと、彼女は動かしていた首を止めた。
「どうかしたの?」
「え!・・あ、あの絵が気になって・・・」そう言って、壁際に座っている男性の上にある絵を指差した。
「あ、あれ・・・前の持ち主の人の絵なの」
「そう?・・・なんだかキレイな絵だと思うけど?」そう言いながらじっと見つめ続けている。
「ただの模写だって言っていたわ・・・だから置いたままなんだって」あたしの言葉に納得したのか頷いて答えた。
「近付いて見ていいかな?」彼女はそう言うと立ちあがり、他のお客に関係なく絵に近付いていく(爆)
「だめよ、他の人の迷惑になる!」あたしが慌てて止めても、彼女はそんな事お構いなしに見ようとしている。
「だめ!」あたしが思いきり引っ張ると、流石に諦めたのかテーブルに戻ってきた。
「なかなか良い絵だったわ♪」
「気になるからって、他の人に迷惑は困るわ」あたしが怒りながら言うと、素直にゴメンと謝っていた。

「でもゴメンね、役に立てなくて」あたしは彼女をドアまで送りながらそう言うと
「仕方ないって、まさみちゃんの事もあるんだもん」
「せっかく来てもらって、これじゃあね」
「でも、収穫あったから」
「え?・・・何が?」
「あ、気にしないで(笑)」彼女はそう言うと、さっきまでの元気のない様子はどこにもなかった。
「じゃあ、また来るからねぇ〜」彼女はそう言って帰っていった。


翌日、彼女はまたお店にやってきた。
驚いているあたしに彼女は
「バイトの事じゃないの・・・ちょっと別な事なの」そう言ってお店の奥のテーブルにバックを置くと、じっとあたしの事を見つめている。
「別なこと?・・・なんなの、それって?」あたしがそう聞くと
「オレンジジュース」彼女はそう言い、あたしにメニューを差し出した。
とりあえず、ジュースを入れ持っていくと何やらバックから色々取りだしている。
不思議そうに見ているあたしに気付いたのか
「あぁ、気にしないで♪」そう言うとジュースを受け取り、飲みながらメモ帳を取りだし何やら記入し始めた。
あたしはそんな彼女を不思議に思ったけど、お店の事で直ぐに忘れていた。

「モーニング3番ね」父がそう言ってカウンターにモーニングセットを置く。
「はい・・・2番ナポリとアメリカンです」別なオーダーを代わりに置きながら、トレイにセットを載せる。
「お母さん・・・お客さん3人!」あたしはドアを見てそう言うと、新しいコースターを持って母がテーブルを片付けに行く。
「随分忙しそうだね」トレイに色々載せ、テーブルの間を行き来しているあたしに千晴ちゃんはそう言って話掛けてきた。
「ゴメン・・・もう少し後で・・・」あたしはそう言って、オーダー通りにテーブルに置いていく。
「ご注文は以上で・・・では、ごゆっくりどうぞ」そう言ってまた別なテーブルに移る。

カシャ

・・・なに?今の音?・・・
廻りに目を向けて、お客さんを確認したけどおかしい所はない。
・・・聞き間違いなのかなぁ?・・・空のコップを載せ、テーブルを拭いてカウンターに戻す。

カシャ・カシャ

・・・あれ〜また・・・振りかえり廻りに目を向けると、千晴ちゃんがこっちを見て笑っている。
・・・千晴ちゃんなの?・・・じっと見ると、おかしい所はなかった。
・・・なんなのかな・・・あたしは千晴ちゃんの視線を感じながら、カウンターとテーブルを行き来していた。

「一段落かな・・・」あたしは千晴ちゃんのテーブルに戻って彼女の顔を見ながらそう呟くと
「あ、アイスコーヒーね♪」彼女はそう言って笑った。
「アクマ♪」あたしはそう言って立ちあがり、アイスコーヒーを2つ持って戻ってくる。
「これは100円にしとくね♪」置きながらそう言うと
「えぇ、まだお金取る気なの〜♪」笑いながらそう言う彼女。
「そう?・・・じゃあ定価の・・・」あたしがそう言いかけると、すばやく目の前に100玉を置いた。
「いつもこんななの?」彼女はアイスコーヒーを飲みながらそう言って、あたしを見る。
「今日はそうでもないよ・・・この間の暑い日はもっとだったもん」同じようにアイスコーヒーを飲みながら答えるあたし。
「でも、せっかくの休みなんだしさぁ・・・遊びに行こうとか思わないわけ?」
「う〜ん・・・あたしこうやっているの嫌いじゃないし・・・」あたしがそう答えると、彼女はなんとなくがっくりしていた。
「どうかしたの?」
「いえ、なんでもないよ」そう言いながら、空になったコップをずっとすすっていた(爆)

「ところで・・・今日は待ち合わせ?」あたしは一人きりでずっといる彼女にそう話しかけた。
「え!・・・あ、それは・・・」そう言って
「それは・・・ないしょなの♪」彼女はそう言って笑った。
「なんなの?・・・お店にきて何もしないで・・・あたしに何かあったんじゃないの?」
「だって・・・まさみちゃんと離れたくないんだもん(ハート)」彼女はそう言ってあたしの手を握っていた(爆)
「あたしはその気ないんだけどなぁ」そう言って手を離し、じっと彼女を見つめた。
「あたしの事なんて気にしないで・・・ほら、お客さん♪」そう言ってドアを指差す。
「はいはい・・・じゃあ静かにしてなさいよ」あたしはそう言って新しいお客さんのところに行く。
千晴ちゃんは結局1日中お店にいて、最後にシャッターを閉めてもらった。

翌日、あたしは部活の練習が終わって帰ってくると千晴ちゃんがお店で待っていた。
「今日は何?」掛けてあるエプロンを取り、彼女に話掛けると彼女はただ笑っている。
「?」何も言わない彼女を不思議に思いながら、エプロンの紐を後に結ぶと

カシャ

とまた、変な音が聞こえた
・・・あれ、また?・・・エプロンを押さえて振りかえると、千晴ちゃんがジュースを飲んでいるだけで誰もいない。
・・・あれれ?・・・不思議な音の原因が判らないまま、あたしは首を傾げ店の中を見廻していると千晴ちゃんが笑っている。
・・・なにがおかしいのかな?・・・あたしはそんな彼女の事も判らず、お店の手伝いを始めた。
結局その日も終りまで彼女はお店にいた。

「2日間もなにやってたのかなぁ」片づけをしながらそんな事を言っていると
「今日来たのは午後からよ」母はそう言いながらテーブルを拭いていた。
「午後?・・・それってあたしが帰ってくるちょっと前かな?」
「そうね、貴女が帰ってくる少し前だわ」
「なんなんだろう?」あたしは彼女の事が変に思えて、明日来たら聞いてみようと思っていた。

翌日、彼女は来なかった。

・・・千晴ちゃんなんで来ていたのかなぁ・・・部活の途中でも、あたしはそんな事を考えたままだった。
「まさみちゃん・・・何かあったの?」先輩が汗を拭きながら、あたしに話掛けてきた。
「え、どうしてですか?」あたしは話掛けてきた先輩にそう答えると
「セリフが合ってないわ・・・それに」そう言ってあたしの足元を指差して
「左右・・・靴が違うわ♪」そう言って笑っていた。
「たいした事じゃないんですけど・・・」靴を脱ぎながらあたしは答えて
「・・・友達の事がわかんなくて・・・」
「そんな事気にしていたの・・・まさみちゃんは」と笑いながら言い
「来ていないだけでしょ?・・・なにか用事でもあるのよ」そう言ってあたしの汗を拭ってくれた。
「こんな可愛い娘、避けたりはしないんだから♪」そう言うと、なぜか両手があたしの胸に載っている(爆)
「せ、先輩!」
「あら、困った手だね♪」そう言って手を離すと、着替えの出ていってしまった。
・・・そうなのかなぁ?・・・あたしは先輩の後姿を見つめたまま、そんな事を考えていた。

「暑いなぁ」着替え終わって外の出ると、日差しがキツイ時間で目がクラクラしてくる。
「早く帰って、冷たいものを♪」そう思って校門に向かっていくと、部室の集まっている建物の脇に多くの人が集まっているのが目に入った。
・・・こんなに暑いのに、何かあるのかな?・・・大勢集まっている人を見て、不意に好奇心が起きたあたし。
・・・せっかくだし、ちょっと見ていこう♪・・・軽い気持ちで、あたしはその場所に歩き出していた。

・・・なにしてんのかな?・・・近付いても廻りで見ている人が大きくて、何をしているのか全然判らない。
「ここって、何の集まりなんです?」全然わかんないあたしは、思いきって隣で前を見ていた人・・・どっかで見た男の人?・・・にそう聞いてみた。
「これは、この間の・・・」そう言いながら振りかえった彼は、あたしの顔を見て口を開けたまま固まった!
「?」おかしい彼をじっと見ていると、どこかで見た記憶がある。
「えーと、山本君?」あたしがそうクラスメイトに話掛けると、彼はいきなりいなくなってしまった。
「あ、ちょっと!」追いかけ様としても、そんな事は全然無理!
・・・いきなり何なの?・・・あたしはまた隣の人に話掛けると・・・その人もなんとクラスメイト!・・・同じように消えてなくなる(爆)
「いったいなんなのよ〜!」あたしがそう叫ぶと、廻りの目があたしに集中しそして皆が消え去った!
そして、あたしと千晴ちゃんが残っていた。


「????」何がなんだかわからなくて、千晴ちゃんを見つめると何かを隠そうとしていた。
「????????」あたしはそれが気になって、脇に落ちていたそれを手に取り見つめて固まっていた(爆)
どれくらい経ったのか判らないが(笑)、もう一度見てまた固まった(笑)
・・・これって(怒)・・・あたしは口をパクパクさせながら、あたしの写真!を抱えている千晴ちゃんをキッと睨みつけた!!

「クラスメイト相手に、君はいったい何をしているの(怒)」
「ま・・・まさみちゃん・・・なんでここに・・・」声を震わせて、散らばっている写真をかき集めている。
「こんなに暑いのに人がいるから来てみたら・・・・」そう言いながら、あたしは彼女の手を無理やり広げて大量の写真に目を落とした。
「あ、あたしの写真いつのまに!」
「あ、あははははは・・・」彼女は笑いながら荷物を纏めていた。
「まさか、これを売って・・・」あたしがそう言うと彼女が逃げ出した!
「あ、まて!」
「ゴメン、待たない!」彼女はそう言いながら、どんどん逃げていく。
「この写真なんなのよ〜?」
「あたしの・・・お小遣いなの〜♪」彼女は走りながら答えている。
「な、なんて事を!・・・」あたしはそれを聞いて追いかける気力が無くなっていた。
「ちゃんとまさみちゃんの事も考えているから」追いかけてこない事に安心したのか彼女は歩いていた。
「何の事よ〜?」
「写真にはお店の住所 を地図付きで書いてあるの♪」彼女はそう言って笑っているようだ。
「それがなによ?」

「お店に行くって事よ!」

そう言い、彼女は校門から出ていった。


翌日、お店はクラスメイトで満席の状態になっていた。
「まさか、ホントに来るとは」一杯になっているテーブルを見ながら、そんなため息をついていると
「何かあったの?」と、母に聞かれてしまった。
理由を聞いた両親は千晴ちゃんを呼び、バイトとして雇い入れていた。
「これからもよろしくね」そう言う母に、千晴ちゃんは耳打ちをしている。
「もちろんOKよ♪」そう言って母が笑うと、一緒になって千晴ちゃんも笑っている。
「なにが”OK”なのよ?」
「まさみちゃんの写真独占販売権(笑)」そう言って、胸ポケットから写真を取り出すと

「特選黒ビキニ!・・・1000円!」

と、いきなりセリを始めてしまった(爆)
「きみねぇ」呆れているあたしとは裏腹に
「1500円」
「1800円」
「いや・・・2200円」
店中がだみ声で満たされてしまった。
その日、店が閉まるまでセリの声が止む事はなかった(合掌)







(まさみ)なんなのよ、あのセリは?
(kage)ああ、ファンクラブだろう?
(まさみ)あ、kage・・・あたしをなんだと思っているのさ?
(まさみ)それにファンクラブっていったい?
(kage)この間の騒ぎで出来たんだな、君のファンクラブ
(まさみ)公認なんてしてないわよ
(kage)いいのだ、わたし公認だから♪
(まさみ)そんな、あたしは克也様だけで良いのに
(kage)ああ、克也君ね・・・009番だったかな?
(まさみ)え、それってもしかして
(kage)そうだけど?・・・ファンクラブどうする?
(まさみ)公認します(はーと)
(kage)そか、そか・・・みんなも喜ぶな
(まさみ)克也様001番に出来ないの?
(kage)ああ、出席は名前順だから無理だね
(まさみ)え・・・ファンクラブの会員Noじゃないの?
(kage)え、、、そんなものあるわけ無いだろうが
(まさみ)そんなぁ〜〜〜〜




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