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えんじぇる・ふぁいる?

ヒロイン14th

作:kagerou6




パコーン!

「それ・・・行ったぞ!」

パコーン!

「それ・・・お返し」

白いボールがコートを駆け巡っている。
「よし、これでどうだ!」
「あぁ・・・もう、早過ぎるわ・・・」
ボールはあたしのラケットを潜り抜けて、コートから飛び出していった。
「もう・・・克也様ったら・・・」
「ごめん、まさみがあんまり上手だったから・・・」
「もう・・・あたしは初めてです・・・」

「そら・・・もう一度」
「ハイ!」
また、二人の間をボールが走っていく。
あたしの心を乗せて克也様の元に・・・

「あ!」
あたしは打ち込まれたボールを追いかけて転んでしまった。
「痛たた・・・」
足をひねってしまって動けないで蹲ってしまった。
「大丈夫か?」
優しい声で克也様が聞いてくれて、そのままあたしのことを抱きかかえた。
「やだ・・・恥ずかしい・・・」つい、そう言ってしまうあたし。
「まさみは俺の大事な恋人だから恥ずかしくなんてないさ」
「そんな・・・恋人だなんて・・・」
「違うのかい?」白い歯を見せながら克也様は聞いてくる。
「・・・ばか・・・」あたしは俯いたまま一言だけ言って、優しい彼に身体を預けていた。
「まさみ・・・いったん休憩しよう・・・」
「はい・・・克也様が・・・」
「こら・・・様は止めろと言っただろう」
「でも・・・あたしは・・・」
「まさみ・・・止めなさい」
優しい声で呟く彼にあたしはただ
「・・・克也・・・」
と呟いた。

「まさみ・・・大丈夫かい?」
「はい・・平気です克也さ・・・」そう言いかけ、彼に指先で口を塞がれてしまった。
「もう・・・他人行儀だろう・・・」
「でも・・・あたしは・・・」
「この口がいけないんだな」そう言って笑うと顔を近づけてくる。
驚いて何も出来ないあたしに、優しく腕を廻す彼。
「まさみ」
「克也」
あたしはそう言って目を閉じ

ピピピピピピ・・・・

「なんなの?、今の音?」
あたしは廻りを見廻したけど、テニスラケットとボールしかなかった。
・・・空耳かしら・・・
彼の温もりを感じて、また目を閉じる。

ピピピピピピ・・・・

「なんなのよ、もう!」あたしは振り返り

ズデーン!

と、大きな音とともに、ベッドから落ちた(笑)

・・・なんだ、夢なの・・・
窓から差し込む朝日に、まぶしさを感じながら
・・・あと、1分あったら・・・などと考えてしまうまさみだった。

「今日は良い事有りそうね」
眩い朝日にそんな事を考えているあたしは、新しい下着に着替え制服を着て鏡の前に座った。
・・・可笑しいとこないよね?・・・鏡でチェックして自分に言いかけるあたし。
・・・今日こそは克也様とお話が出来ますように・・・鏡に向かって微笑むと、脇に置いてあるテニスラケットが目に入った。
・・・克也様、演劇部だけどテニス好きなのかな
・・・そだ、あたしはテニス部に入って夢みたいに克也様と
・・・いっそ、悩殺なんかしちゃって・・・
ついつい、妄想が膨らんでいるまさみだった(笑)
・・・今日テニスラケット持って学校にいこうっと・・・
あたしは夢のことが現実になるような気がして、置いてあったラケットを持つと階段に向かった。

「おはよー・・ご飯は?・・・」あたしが下に降りて母に声をかけると
「もう、遅いわよ!」
いきなり怒鳴られてしまった!
「え?・・まだ6時15分だよ?・・・いったいどこが遅いって?」あたしが時計に目を向け、時間を見て言い返すと・・・
「昨日言ったじゃないか・・・今日から喫茶店やるって」脇でベスト(笑)を着ている父がそう言って割り込んでくる。
「そんな事言っても・・・お店いったいどうするのよ?」あたしは父に反論していた。
やる気があったってお店がなきゃ喫茶店なんて出来るわけが無い。
昨日の今日でお店とか見つかるわけが無いとあたしは思っていたからだ。

「ふふーん」父は鼻で笑うと、一枚の封筒を取り出して中から紙を引き出した。
「これは?・・・なにそれ?」差し出された紙に、あたしが目を向けると
”喫茶「ほっとたいむ」・・・本日開店!
「え?・・これって裏の?・・・」あたしは見覚えのあるお店の名前に父にそう聞くと、満足そうな顔で頷いた。
「どうして?・・・あそこは、ちゃんと・・・あれ・・・・」
「これ、なんで”ひらがな”なの?・・・あそこはたしか”かたかな”で書いてあったはず・・・」少しだけ違う事に気付いてそう聞くと、さっきより大きく頷く父!
「実はあそこのマスター・・・ウチに鍵預けて、どっか行っちゃったの・・・」
「なに?・・まさか・・・夜逃げとか・・・」あたしは母の話に、危ない気がしてそう聞き返すと
「違うわ・・・何でもお告げがあったっていっていたから」そう言って笑う母。
「え!・・・お告げ?」そう聞くあたしに母は話を続け
「それがね、昨日の昼頃眠くなって天使の夢を、見たんだって・・・」そう言って笑い、話を続ける。
「その天使が・・・”これ当たってますぅ〜・・・遊んで暮らせますぅ〜”って言っていたらしいの」そう言うと母は大笑いしている。
「それで”裏の伊藤さんにお店譲りなさい”・・・って、いう事らしいの。・・・もう渡りに船って感じでさ・・」
母の言葉にあたしはすっごく思い当たる事があった。
というか、その原因はあたしなのだから・・・
「ほらほら、もう開店よ・・・エプロンちゃんと着けてね」母はそう言ってあたしにエプロンを投げてよこした。
「あたし、学校あるんだよ・・・手伝いなんかそうは・・・」
「なに言ってんの・・・貴女がお店開けないでどうするの?」
「え、それって?」
「エプロンを着けた娘が・・・看板出しながらお客さんに挨拶するのが決まりでしょ?」
・・・それ、ドラマの見過ぎだって・・・あたしはそう言おうとして、母に店から追い出されてしまった!・・・当然、看板を持って・・・

・・・もう、なんでこんなことあたしがしなきゃいけないの・・・
ぶつぶつ言いながら、看板のコンセントを差し込んでいると
「おはよう・・・もう、いいかな?」男の人がそうあたしに声をかけてきた。
「はい・・・もう大丈夫ですから」あたしはドアを開け、店の中に案内した。
「こちらがメニューになります」あたしはさっき出来たばかりのメニューを水と一緒に差し出した。
・・・あれ、あたしなんでこんな事出来るのかな?・・・
不思議に思いながらも、オーダーを待つ。
「モーニングセット・・・ドリンクはホットで」
オーダーを書きこみながら
「1モーニング・・・ホットワン!」そう言って、さっとメニューを下げる。
・・なんでぇ〜?・・・カウンターに戻りながら、自然に出来ている仕事にあたしはなんだか怖いものを感じていた。

さすがに朝は忙しい!
ほとんどがモーニングだけど、朝から満席!になっていたからなの。
・・・この辺って、お店ないものなぁ・・・おかわりのコーヒーを注ぎながら、あたしは別のテーブルに目を向けた。
・・・空いているカップないわね・・・
サーバーをカウンターに戻し、ふと時計を見るともう7時を廻っていた。
「あ・・学校行かなきゃ・・・」あたしはエプロンを慌ててはずし、鞄とラケットを持って家を飛び出した。

・・・まさか、あたしがお願いした事がここまで影響しているの?・・・駅に向かいながらあたしはそんな事を考えていた。
・・・”先輩”みたいになりたいって言っただけなんだけど、どこでこうなるんだろう?・・・
「あぁ〜あ、こんなんだったら、”克也様”の恋人にしてっていえば良かったかな」ついあたしはそんな事を言ってしまった。
”・・・まだぁ変更できないんですぅ〜”
いきなりあの、とぼけた声がしてあたしは廻りを見渡した。
”今は天界から見ているんですぅ〜”
「どうして、”先輩みたいになりたい”ってお願いが、喫茶店と関係あるのよ」あたしは廻りに変に思われないように普通に歩きながらそういった。
”だからぁ〜、”先輩”の人生をコピーしてぇ〜”そういうと、なぜか、ページをめくる音が聞こえる(笑)
「そなの?」つい立ち止まりくちにしたあたし。
”えぇ〜とぉ〜、喫茶店・おんなのこ・演劇部がきーわーどでぇ・・・”
「なに・・・それだけなの?」あたしはまた歩き出しながら
・・・人生ってそれだけしか決まってないのかな?もっと細かいところまで決まっているって思っていたけど・・
そんな事を思ってしまうと、なんだか口元を緩んできてしまう♪
・・・きっと、”人”が変えていけるのね・・・そんな事を思っていると
”そんなことぉ、ないんですぅ・・・”いきなり否定されてしまった。
「だったら・・・どうして?」
”あ・・そのですねぇ、ワタシに・・その・・・”なんだか子供がいたずらを見つかった時のように、口調が変わっている。
「”ワタシに”・・・それがどうかしたの?」腕時計を見て時間を確かめると、まだ7時20分。
・・・慌てて出てきたけど、電車には間に合いそうね・・・
「まだ、時間あるから・・・詳しく教えてね♪・・・」空に向かってそう呟くと、天使の慌てている音がなぜか聞こえた(爆)

・・・先輩にとって、演劇部って大きい存在なんだなぁ・・・天使からの答えを待ちながらそんな事を考えていたけど、なにも返事がない(爆)
「おーい・・・どうしたの?・・・」そう空に向かって呟いていると
「君こそどうしたの?」脇からそう言われた。
「え?」振り向くと同じ制服が目に入り、あたしのことをじっと見ているようだった。
・・・今のとこ見られちゃったかな・・・そう思うとなんだか顔が火照ってきてしまう。
「ふむふむ・・・感心ね!」一人はそう行ってあたしに近づいてくると

「朝から自主トレやってるなんて♪」

そう言って、あたしの手を握った。
・・・自主トレ?それって何のこと?・・・あたしはそう言った相手が気になってよく顔を見ると、昨日の演劇部にいた先輩だった(笑)
驚いて相手を見つめ返すあたしに、にやりと笑うと

「さ・・・練習に遅れるわ!」
そう言ってあたしを引っ張り始めた。
「ま・・まってください、あたしはテニスをして・・・」あたしは持っていたラケットを何とか見せながら、離れようと頑張ってみた。
「あら・・・それじゃあさっきのはなぁに?」
「え・・・そ、それは・・・」
「練習以外の何物でもないわよねぇ」そう言ってあたしを見つめながら
「それに・・・昨日言ったじゃない・・・”ラケット”ある人は持参してって」
「え・・・聞いてませんよ、そんな事は・・・」
「もう・・・昨日衣装着てもらったときにさぁ・・・」そう言ってあたしは改札口まで押している先輩。
「着てないです・・・あれは無理やり・・・」
「そんな細かいこと言わないの♪」そう楽しそうにしている先輩(笑)
「天使が救う女の子はテニスしている娘の設定でしょう」
「えぇ!」驚いて力が抜けたあたしをそのまま電車に押し込む!
「だから・・・”女の子と天使!”って題じゃない・・・」そう言っていると、いつのまにか電車のドアが閉まった。
動き出す電車の窓から、ぽっかり浮かぶ雲を見ながら


・・・天使様ぁ〜、あたしのお願いどうなっているのぉ〜???・・・

つい、そう叫びそうになっているまさみだった(涙)







(kage)ふぅ終わった、しかし4話目でやっと2日目か・・・おかしいなぁ
(まさみ)なに・・・前回いなかったくせに、コーヒーなんて飲んでいるなんて
(kage)げぇ、まさみの店かここは?
(まさみ)そう、あたしんちよ
(まさみ)でも、どうしてお店なんかさせるのよ
(kage)だってそれがヒロインの決まりだからなぁ
(まさみ)決まり・・・誰がそんな事と決めたの?
(kage)私だ!・・・ワッハッハ
(まさみ)・・・おいおい・・・
(kage)そろそろ、克也との事考えているのだが
(まさみ)え、ほんとに?
(kage)まあな、じゃないと話が進まないだろう?
(kage)次あたり克也に・・・おっと、時間だ
(まさみ)なによ、ちゃんと教えなさいよ
(kage)すぐ判るさ、夢の話だから
(まさみ)・・・あたし、まっているから(はーと)・・・
(kage)・・・じゃあな・・・


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