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コンテスト
ヒロイン・II
作:kagerou6


「まったく、もうこんな事いつまで続くんだ?」僕はつい声に出してしまう。
「恵!,そんな言い方だめだって言ったでしょ・・・」直美が廻りを気にしながら注意してくる。
「しかし・・・」直美に向直り、いい訳しようとすると
「自分の事をもっと認識しなさい!・・・・いい?め・ぐ・み・は女の子なの!」今度は大声でびくを叱り付ける。



クリスマス公演での校長のお節介で、男に戻る機会が遠のいてしまッた僕は新年をスカートで迎えるハメになってしまった(スカート寒いよー)
何とか男に戻りたいが有名になりすぎて(校長のバカ野郎ー)なかなか出来そうに無い。
実家に帰る事も出来ず、女のまま伯父の家で新年を迎えた(なぜか伯母はニコニコしていたが?・・・)
僕の新年はため息で始まった・・・・・



「今度の公演まで日がないからね・・・今日からは舞台セットを使っての練習を始めるよ・・・」部長が開口一番声をかける。
「・・・・でもサ、ホント男に見えないよなー」斉藤克也が稽古中の僕を見て、後ろから話かけてくる。
「頼むから、お前らだけでも”男”で接してくれよ・・・」僕は振り返り克也に向いついホンネが出てしまった。
「・・・判ってるって、恵一が苦労してるのは・・・」克也は僕の肩をポンと叩き、言う。
「・・・今度はシーン4・・・」部長が脚本になにやら書きこみながら声をかける。
僕は舞台の魔方陣の中に入り何人かが廻りを取り囲む。
「いい?このシーンは女の子と引き換えに魔物を退治する神様を呼び出すシーンなの。・・・恵,十字架持って跪(ひざまず)いて,廻りは両手を上げて・・・・」部長の指示が飛ぶ。
・・・こうしてるとホント女にしか見えないな、髪も長いし・・・跪き十字架を待った恵を見て克也は思った。
そしてつい「・・・恵が女ならなー・・・・」と,直美の呪文に合わせ小声で口走った。
その時舞台に煙が立ち,音が響いた。

「ちょっと効果,なにやってんの・・・まだ,煙は使わないはずよ?」」袖に向い部長は大声で確認する。
「違うって、煙出してないよ・・・・」袖から効果係が大声で返答する。
「じゃ,誰なの・・・もう、やりなおし!恵は元の・・・」舞台に目を向けた部長は息を飲んだ。僕が魔方陣の中で倒れていたからだ。
「恵?めぐみ!」直美が大声を出しながら駆け寄り、僕抱え揺さぶる。


「・・・まったく,いきなり煙が・・・え?」直美が気が付いた僕にいきなり抱きついてきた。
「恵・・・心配した・・・え?」直美がおかしな感触に僕を離し、手を伸ばしてきた。
ムニュ!
「・・・なに、これ?・・・」直美は手を離さず僕を見た。
「・・・・あなた,ホントに恵?・・・」見つめていた直美が変なことを聞きだした。
「・・・・直美、なんで?・・・」僕は”なにいってるんだ”と直美を見つめる。
「・・・・やっぱり恵?なのね・・・」いきなり直美は僕の手を取りムネへと導いた
ムニュ!
「・・・・・・」下を見た僕は自分の胸にムネがあるのに気付いた。
「恵・・・・」「直美・・・・」硬直する二人を部長が引き起こし、舞台の片隅に連れこんだ。
「・・・・恵、上脱いで・・・・」部長の言葉に脱ぎ出したが”・・・やっぱり引っかかる・・・”僕は途中で手を止めた。
「・・・ウソ?私より大きい・・・」止まった手を押し上げ直美がムネを見て言った。
「もしかしてあの煙は・・・・」部長は考え込んでいたが、結論が出たらしい。


「皆,集まって・・・今ちょっとしたハプニングがあったけど、・・・誰か恵が女になればいいなんて考えなかった?」
”そりゃあ・・・なァ・・・””あんなの見れば・・・”何人かの声が聞こえる。
話を聞いて部長は考え「・・・どうやら,君達の願いを魔方陣がかなえたらしいの・・・・」そう部員に話した。
”ウソ・・・””マジ?・・””やったー・・”・・・・おいおい僕は切れちゃうぞ?
「・・・この魔方陣書いたのダレ?・・・」部長は皆を見渡しながら確認していた。
「書いたの俺ですが本は直美が・・・・」セットを作った男子がそう返事した。
「直美?本調べて、皆舞台に上って・・・・」手招きしながら部長は階段を駆け上がる。
「直美,判った?・・・」全員が舞台に上がったのを確認した部長が袖にいる直美に向い声をかける。
「・・・これで好いと思うけど・・・呪いの解術の魔法・・・」直美は本を部長に差し出す。
「どれどれ・・・かかった魔術を消し去る魔法か・・・」部長はうなずき本を返す。
「いい?・・・これから恵の魔法を解きます・・・皆、”元に戻れ”と願って・・・・」人を配置した部長は「始めて!・・・」直美に合図を送る。
直美のたどたどしい呪文が舞台に響いた。


「・・・戻らない!・・・」僕は戻れない自分にショックを受け倒れかけた。
「恵!・・・」直美があわてて僕を抱える。
「あんた達・・・まさか・・・」直美が廻りの男をにらみつける。
”・・・・・・・・”誰もが返事しない・・・
「あんた達は恵にこのままで居ろっていうの?・・・」僕を抱えたまま直美が吼える。
「恵一・・・・すまん」一人が声を出した。克也だった。
「判ってたんだけど・・・・お前を見てたら・・・・」克也は振り向き他の男子に同意を求める。
”俺もな・・・””実は僕も・・”つられる様に声が続き「恵一,ゴメン!」男子が合唱した。


「明日,明後日の練習は中止にします。このままじゃ・・・それと男子、恵の気持ち考えなさい!」にらみつけたまま部長は怒鳴る。
「恵,帰ろ・・・」直美の誘いに僕はただ頷いた。
「これからどうする?・・・」駅までの道で直美が話かけて来た。
「どうって・・・今までと・・・・」僕はそこまでいったとき、直美にさえぎられた。
「・・・・違うの・・・違うのよ・・・」直美はいつもと違う口調で話し出した。
「これからは・・・・その、アレも付けなきゃ・・・・」言葉に勢いが無くなってきた。
「アレって?・・・」直美がなにを言いたいのか判らず聞き返した。
「ブラ・・・」直美はいって顔を赤くした。
「・・・・・」僕はなにもいえず俯いてしまった。


家に着いた僕は部屋に戻らず「伯母さん,お願いがあるんだけど・・・・いいかな?」と、伯母を部屋に呼んだ。
「恵(ケイ)ちゃん,何なの・・・」伯母はあの時と同じ顔を見せ、優しく聞き返してきた。
その顔につられ「・・・実は・・・」学校での事を隠さず話した。
「・・まァ・・・・ホント」伯母は驚きの声を上げたが(喜んでいるとしか思えん)「・・・で、お願いって・・・」と、聞いてくれた。
「皆から服は貰ったからいいけど・・・あの・・・」言いよどむ僕に伯母は微笑んだ。
「恵(めぐみ)ちゃん、・・・」いきなり呼び方が変わり僕は伯母を見つめた。
「・・・・恵(めぐみ)ちゃん・・・もう恵ちゃんでいいよね?明日街まで買い物に行きましょう・・・」伯母はニコニコ微笑んでいた


翌日、朝から車で出かけ開店と同時にデパートへ入っていった。
「まずはと・・・ランジェリーショップね、恵ちゃん早く・・・」伯母は昨日からウキウキみたいだ。
禁断?のエリヤに近づき僕は引き返したくなって来た。(ここだけは来たくなかった・・・・)
そんな気持ちを察してか,伯母はぐいぐい引っ張り店員に「この娘のサイズ測って下さる?・・・」と僕を店員に押し付けた。
店員に「こちらへ・・・」と僕は奥に案内されていたが”あの娘,高校生なの・・・””それでしたら・・・・・”なにやら伯母は物色し始めているみたいだ。
僕が測定を終わった時もう何枚かの下着が待っていた。
「じゃあ,これ着けてみて・・・」伯母は微笑みながら差し出してきた。


結局一日中買い物で上から下まで,頭からつま先までいろいろなものを買い込んでいた
「・・・・伯母さん?一休みしようよ・・・・・」ハードな買い物に遂に僕はネを上げ伯母に提案する。
「・・・・そーね、じゃあ喫茶店で一休みしましょ・・・・」伯母はそう言ったが急に立ち止まり後ろを振り向いた。
「・・・・ねェ、恵ちゃん、”春の新色”ですって・・・」
「ま,待って。今日は別の買い物で・・・・」僕は伯母を引きとめようと頑張ったが
「いいじゃない?こんな事めったに無いから・・・・・」逆に伯母に引きずられコスメルームに入った。
「・・・あの、この娘化粧始めてで・・・・」伯母は僕に構わず店員と話し出し、店員は得たりとばかりに化粧を始める。
「・・・・良くお似合いですよ・・・・」化粧の終わった店員が鏡を渡しながら話しかけてきた。

「・・・・そーだ,写真も取っちゃおー・・・・」伯母はいきなりでデパートの外へ僕を連れ出した。
「伯母さんここ写真屋じゃ・・・・」看板を見て、僕が伯母を尋ねたが「ここでいいのよ・・・」と伯母は僕を押し込んだ。・・・・貸衣装・・・なんで?・・・
「・・・お嬢さんこちらを向いて・・・」カメラマンに指示に従い向きを変える。
「・・・帯苦しい・・・」着物を着た僕は小声で呟く
「ハイ,終わりましたよ」
「後でご連絡しますので・・・・」店長はスタジオに入ってきて名刺を伯母に渡す。
”きれいなお嬢サマで・・・””自慢の娘ですの・・・・”そんな会話を聞きながら”・・・・伯母さんてこんなだったっけ?・・・”僕は頭を抱えた。
「写真はこちらで・・・・」「お願いします・・・」・・・なにをお願いしてんだか・・・僕はただ聞いていた。
「さて,帰りましょ。」話のついた?伯母は振り返り僕の手を取った。
「何なのいったい?・・・」さっきの会話が気になり伯母に尋ねる。
「・・・後のお楽しみよ,恵ちゃん・・・」ただニコニコ笑っていた。

「こんなに買い物していいの?」紙袋を車に入れながら僕は伯母に話す。
「もちろん・・・あ,いけない」伯母は立ち止まり
「お部屋,模様替えしなきゃ♪」僕は身体の力が抜けるのを感じていた。


「恵?どうしたの,なんか元気無いみたいだけど・・・・」机で塞込んでいる僕を見つけ直美が心配そうな顔で話しかけて来た。
「・・・・昨日さ、買い物に行って・・・・」僕は直美に伯母の事を話した。
「・・・直美の母さんも?・・・・」僕は机に伏せたままで顔だけ向けて聞いた。
「そんな事無いよ・・・だいたい買い物なんて一緒にしないもの・・・・」
”やっぱり・・・・”僕は深いため息をはいた。
その日僕は”体調わるくて・・・・”と部活をサボった。


・・・・帰りたく無いなー・・・つい、僕は街中をブラブラと歩いていた。
おねえちゃん・・・」なにやら声がしたので振り返ったが人がいない。
「おねえちゃん、・・・・おねえちゃんてば」今度はスカートが引っ張られた。
振り返った僕の目には、ピンクのワンピースを着た小さな女の娘が映った。
「・・・・めぐみちゃん?・・・」僕はしゃがんで目を合わせて「どうしたの・・・めぐみちゃん?」女の子に聞いた。
「あの、めぐみネ・・・ママと・・・」女の子はもじもじして話出す。
「又,迷子になったんだ・・・」僕は”やれやれ”と思いながら,明るく話しかけた。
「めぐみ、迷子じゃないもん・・・・おねえちゃんと一緒だもん・・・」すねてそう言い返す。
「・・・じゃママ,待ってようね・・・」
二人して近くの椅子に腰掛けた。

「めぐみ・・・・・あ、恵さん・・・・」母親が僕達を見つけ近づいてきた。
「めぐみちゃん、良かったね・・・でも知らない人についてっちゃダメよ、怖いんだから・・・」しゃがみこんで僕は頭を撫でながら言って聞かせた。
「おねえちゃん,知らない人じゃないもん・・・」そういう答えに母親と二人して笑った。


・・・・へー・こんな子もいるんだ・・・カメラマンはそう思った。
「・・・先生早く・・・時間過ぎてますよ・・・」連れが声をかけカメラマンは去っていった。
”あんな娘が撮りたい”そんな思いを心に秘めて

「遅くなりました・・・」カメラマンは部屋に入るなり謝る。
「・・・・やっと来たか、では始めよう・・・」
「・・・・この中から選ばにゃいかんのか・・・・」
「・・・どの娘でも大丈夫だと思いますが・・・」
「あの遅れてなんですが,このコンテストたしか”ふるさと、優しい町”のテーマに相応しい娘を選ぶものですよね?・・・」カメラマンが中央の人に声をかける。
「・・・・なにかありますか・・・・」振り向き質問する・
「迷子の世話をしていたんです。この娘。」一枚の写真を取り上げ、デジタルカメラの映像を写し出す。
「その娘の名前は・・・」
「いえ、その娘は女の子が母親が迎えに来るまで一緒にいて”よかったね”女の子の頭を撫でていってしまったから・・・」
「そんな娘がコンテストに応募するかー?」他の人が言い返す。
「・・・・自分で応募するとは・・・・」カメラマンは言い出す。
「まァいい。ホントならその娘が相応しいな・・・・」


・・・こんな会話が行われている事を恵は知らない・・・


結局,男の戻れないまま公演を向えた。
・・・高校の演劇ねー・・・カメラマンはつまらなそうな声を出し会場に入った。
・・・結構,来てるんだな・・・廻りを見渡しシャッターを切る。
「?」舞台にレンズを向けたが中央の主役で手が止まる。
「今の高校は・・・」あたり構わず聞き始め「うちですけど・・・」返事した学生を捕まえる。
「あの舞台の娘,どんな子かわかる・・・」「えェ,恵さんでしょ、・・・・」
カメラマンは聞きたいことを聞き出し「ありがとう」呟き去っていく。


・・・こんな会話が行われた事を恵は知らない・・・


「今回は賞ナシか・・・・」部長は残念そうに肩を落とし呟いていた。
「仕方ないよ,他だって頑張ってるし」僕は話しかけ部長を慰める。
「良いじゃない,次回に頑張れば・・・・」直美が話を継ぎ元気付けようとしている。
「よし、次は話題満載の舞台にするぞー」部長は胸を張り声を出した。

数日後,学校に行くと皆の僕を見る眼がいつもと違うのに気付いた。
「恵、やったね!」直美は僕を見つけいきなり話し掛けてきた(テンションたけー)
「なによ?朝から・・・」迫力に負けながらも直美に聞き返す。
「やだなー,こんな事隠していたなんて・・・」直美はちょっとすねた顔をして砕けた口調で聞いてきた。
「・・・だから何なの・・・・」僕にはさっぱり直美の真意が判らない。
「・・・・恵,ホントに知らないの・・・新聞見てない?の・・・」表情を変え直美が新聞を出した。
「今朝,寝坊して・・・・」僕は新聞を受け取り開いた。
「これよ・・・」直美は地方欄の一つを指し示す。
「なにこれ・・・・」僕は記事を読んで血が下がる思いがした。


「伯母さん!」帰るなり僕は怒鳴った。
「恵ちゃん,どうしたの」済ました顔で僕を見返してきた。
「なんてことしてくれたんだ」僕は直美に貰った新聞を伯母に差し出す。
「・・・あら,良かったじゃない・・・・」記事を見て伯母はさらりと流す。
「何で,このままじゃ男の戻れないじゃないか・・・・」
「・・・このままで良いじゃない・・・」伯母はまた、さらりと流す。
ぼこはその場にへたり込んでしまった。


街中から店にきて”あの娘よ””・・・あの娘がねー”毎日じろじろ見られる。
新聞の威力は凄く恵ツアー?を倍化させ近隣の高校生まで参加?している。
伯父は営業時間を延長しようか考えているらしい。


そして,店の入り口に張り紙が張られた。


ふるさと,優しい街に娘が選ばれました・・・おいおい宝くじじゃないぞ・・・


神様・・・僕男だよね?いつ戻れるのー




今回勢いでいっちゃいました。
さァ,恵さん?の運命はいかに・・・(^^;   そんな良いもんじゃないって
もちろん,その通りです。これからもどんどんいっちゃいます
さて、恵ちゃんには何になってもらおうかなっと

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