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フォール・エンジェル シルフェ
序章


作:TS男爵



 それは、何の変哲もない平凡な一日のはずだった。僕があの女の子と出会うまでは……
 僕、「浅倉 雅之(あさくら まさゆき)」は18歳の普通の高校3年生だ。その日、学校帰りに友人と別れた後、いつもどうりの道を歩いていると、突然前方のゴミ捨て場から「ボッス」という、物音とともに、ゴミ袋が破け中身が飛び散った。
 そして、僕は見事に飛び散った中身の、生ゴミを頭から被ってしまっていた。
 僕は、しばらくの間、突然の出来事に呆然としていたが、異臭と頭の上に乗っかっている生ゴミの違和感にハっとなると、頭からゴミを叩き落とし、ゴミが飛んできたゴミ捨て場へと顔を向けた。
 普通、自然にゴミ袋が破けて、中身が飛び散るというようなことはあり得ない。
 何があったのかとゴミ捨て場に近づき、恐る恐るゴミが飛んできたゴミ袋のあたりを見て、僕は驚愕した。何とそこには、ピンク色の長い髪の、自分と同い年ぐらいの少女が、それもとびっきりの美少女が、ゴミの中に頭を突っ込んでいたのである。
 少女は、どうやら気を失っているらしい。
 この状況から少女は、ゴミに頭から「突っ込んで」いるのではなく、ゴミに「突っ込んだ」ようだ。
 ここで、普通なら少女を介抱するのが良心というものなのだろうが、こういう場合関わり合いになると、何らかのトラブルに巻き込まれるというのは定番なので、僕は見なかったことにして、少女を放置し、立ち去ることにした。
「今回は、悪いが運がなかったと思ってあきらめてくれ」
 僕は少女に向かってそういうと、視線をそらし家へ帰ろうと、歩を進めようとし時、突然後ろから抱きつかれた。
 そのとき、僕は後ろを確認したわけでもないのに、抱きついてきたのは、ゴミに突っ込んでいる少女だとすぐに解った。なぜなら、生ゴミの異臭というのもあったが、頬を撫でるピンク色の長い髪、そして決めては、何より背中に感じる柔らかな胸の感触であった。
「み、見捨てないでください。お願いします!」
 少女は、僕の首に腕を回し、抱きつきながら懇願してきた。
「抱きつくな、離れろ!」
 僕は、少女を引き剥がそうとしたが、少女の力は意外に強く、離れなかった。こんなところを、クラスメートに見つかりでもしたら、根ほり葉ほりあることないこと噂されて大変だ。
「離れろ! 一体おまえは何なんだ?」
 僕に抱きついたままの少女に僕は、そのような疑問を投げかけると、彼女は突然離れ、一つ咳払いをすると、
「申し遅れました。私は、天上界惑星支部、地球部人命課の第2級天使『シルフェ・シュール・バルンー』です。」
 といい、僕に名刺を渡してきた。彼女、シルフェ・シュール・バルンーは、自分が天使だと言うが、名刺には何故か地球の文字で、しかも日本語で丁寧に漢字まで使って書かれている。
「え〜と……、シルフェ・シュ……」
「『シルフェ』でっ結構です。」
「え〜と、それじゃあシルフェさん。」
「はい。何ですか?」
 シルフェはニッコリ微笑んできた。もともととっびきりの美少女の彼女の笑顔はその美しさをさらに引き立たせ、僕は正直に、可愛いと思ったが、その思いを打ち払い。
「その天使のシルフェさんは、なんでゴミ捨て場で、ゴミの中に頭を突っ込んでいたんですか?」
 僕は、一番疑問に思っていた事を質問した。すると彼女は、
「はい。実は、私ちょっと私用で、地上まで降りてきたんですけど、飛行が苦手で、バランスを失って落下してしまったんですよ。そして、たまたま私の落ちてきた場所が、そのゴミ捨て場だったんです。」
 僕は直感した。この娘は危ない。自分が天使で、飛行してたらバランス崩して落っこちてきたなどと言うことを、さらりと真顔で答えたのだ。逝っちゃってるよ。第一、飛行していて、ニアミス起こして、落ちてくる天使が何処にいるんだ。
「事情を分かっていただけましたか?」
 シルフェは、トラブルメーカー的な、雰囲気を増幅させるような台詞を言いながら、また僕に笑顔を向けてきた。ちなみに、もうこの時、僕は既にトラブルに巻き込まれていたのだが……
「で、さっき何で僕に抱きついてきたの?」
「それなんですけど、私落ちたときのショックで、翼を片方を折ってしまって、このままだと天上界に帰れないんです。」
 彼女は、そういうと立ち上がた。そして次の瞬間、僕は自分の目を疑った、なんと少女の背中から、白鳥のような純白の羽に覆われた翼が生えていたのだ。そして、少女の言うとおり、右側の翼が、途中から、折れ曲がり血がにじみ出し、純白の羽を紅に染めていた。
 よく見てみれば、少女は布を幾重にも重ねて着ている教会の壁画に描かれているような天使のよう格好をしている。
(も、もしかして本物の天使?)
 僕の脳裏をそんな言葉がよぎった。
 僕は、とりあえず。少女をこのままにしておく訳にもいかないし、翼や滲み出ている血も、作り物には見えなかったので、手当をするために家につれて帰ることにした。
 そして、僕はこの時の行為を、後々悔いることになるのだ。


「さて、今回はどうでしたでしょうか? 少なくとも趣旨は解っていただけたと思います。」
「ちょっとまったああああああーーーーーーーーーー! このメチャクチャな設定は何だよ?」
「メチャクチャな設定とは人聞きの悪い。『なしくずし的設定』と、いってください。」
「どっちも同じじゃないか……(ボソ)」
シルフェ「ところで、私は天上界に帰れるの?」
「……」
シルフェ「まさか帰れないんじゃ……」
「い、いや〜、詳しいことはその都度ね。」
「考えてないだけじゃないのか?」
「ギック!(図星)」
「やっぱり……」
シルフェ「次回は私の出番あるの? それと、天上界に帰れるの?」
「じゃ、じゃあ次回予告です。」


次回予告

ゴミ捨て場から、自称天使と名乗る本当に天使らしい少女シルフェを連れてきてしまった雅之、シルフェが背中から生やしている折れた翼を直すために、雅之はあることをすることになる。

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