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これは夢オチ

第7話:「伝説の少女」

Zyuka





『お兄ちゃん、何か悩みはありませんか?』
 その少女は、サラリーマン風の青年に小さな紙切れを手渡した。そして……
『お兄ちゃんの悩みは、こうすれば解決するよっ』
『ああ、あああ……!?』
 彼女の言葉に、青年は突如もだえ始め…………その姿は桜色のスカートとベストを着たOLへと変化していった。



「シーム! 次はこれとこれ!!」
「ユイム……っ」
「どうしたの? ほら急いで!! まだこの夢には続きがあるのよ!!」
 ユイムの手には、二つの制服――ガクランとセーラー服がぶら下がっている。
「男子高校生で登場して、ちゃんと女子高生になってね!」
「……いい加減にしろっ。何で僕がそんなことしなくちゃならないんだ!?」
「だって私が男役やるわけにはいかないでしょっ! さっさと着るっ!」
 セーラー服を着せ、その上からガクランを羽織らせる。
 すると、シームの姿はガクラン姿の男子高校生に変わった。そしてそこへ……

『お兄ちゃん、悩みごとはありませんか?』

 とてとてと走ってきた少女が、小さな紙切れをシームに手渡した。
『……お兄ちゃんの悩みは、これで解決するよっ♪』
『はぁ……』
 シームは少女の手振りに合わせて、ぱっとガクランを消す。それと同時に姿を女子高生に変えた。
『うん、これでOK! ……それじゃあね〜っ!』



「……じゃあ、次はこれねっ」
 女子高生の姿になったシームに、ユイムが次の衣装を手渡した……



 ピピピピピピピ……

「うう〜んっ」
 少女は、大きく背伸びをして起き上がった。
「……楽しい夢だったな」
 少女の側にはノートパソコンがあり、たくさんのフロッピーが置いてある。
 フロッピーのラベルには「華代ちゃん1−10」「華代ちゃん11−20」などと記さされている。
 そう、彼女は――



「……こういうのも、TS夢っていうのかな?」
 ユイムは、少女の心の粒子から作り出した夢を見直しながらそういった。
「まあ、いいんじゃありませんか? ちゃんと性転換は起こっているんですし……」
 ユイムの横に立つメグムが、そう答えた。
「……だって彼女は一日の四分の三以上をパソコンの華代ちゃん読破に使っていて、ほとんど寝ていなかったのですから。特に最近はいつ何時新たな物語が掲載されてもいいようにと、ずっとパソコンの前にいましたし……でもあなたがあの夢を見させてあげることによって、きちんと眠るようになった……トロイ様もきっと、認めてくださいますよ」
「そうかなぁ……」
「いいや……怒られると思うぞ」
「おやシームさん、ご機嫌斜めですね?」
 シームは二人の同僚をにらみつけた。
「当たり前だ。あの子に伝説の少女の夢を見せ始めてから、オレが何回女性の姿になっていると思う!?」
「だって、伝説の少女の能力って、男の子を女の子に変えることでしょ?」
「作品をよく読んでみろ! 女から男へのTSもあるぞ!!」
「……それがこの夢を見ている少女の心のパーツに、含まれているかどうかですかですね」
 メグムが、心の粒子を拾い上げる。
「ないね」
 ユイムもそれを見て言う。
「……というわけでシーム君、これからも伝説の少女 “華代ちゃん” のお客さん役、お願いね」
「お前らだって、男の姿になるくらい出来るんだろ!? ナイトメアは夢の中では変幻自在なんだからな……」
「え、でも……どう思いますユイムさん?」
「私、男の姿になれても、女になった男の演技はできませーん」
「私も、すぐばれると思いまーす」
「お前らなぁ……」
「というわけで、次はこの衣装でお願いね!!」
 そういって、ユイムがシームに差し出したものは……



「今日もまた、私が伝説の少女になる夢が見られますように……」
 彼女はそうつぶやいて、ベットに入る。
 そして見る。ユイムの作った伝説の少女の夢を――



『お兄ちゃん、悩みはありませんか?』
『ああ、あるよ』
 タキシード姿のシームは、少女を半眼で見つめた。『……とんでもない同僚の女二人組が、僕をおもちゃにするんだ』
『大丈夫、お兄ちゃんの悩みはこうすれば解決するよっ』
 少女はシームの話も聞かず、手をかざす。
 仕方なく、シームはタキシードを消す……



 少女が走り去った後、ウエディングドレスで涙を流す、花嫁姿のシームが残された。

 






 あとがき

 実はこれ、短すぎるので一度没になりました。
 そんなわけでおまけとして、書き直す前の「伝説の少女」をお送りします。
 これには、シーム君が出てきませんね。





おまけ:「伝説の少女」初期投稿バージョン




「お兄ちゃん、悩みはありませんか?」
 少女は、青年に小さな紙切れを手渡し、
「お兄ちゃんの悩みは、こうすれば解決します」
 少女がそういうと、青年は女性に変化する。
 そして少女は別のほうへ行き、また別の男性を女性に変える。
 その繰り返し……



 ピピピピピピピ…………

「うーーーーーーーーん」
 少女は、大きく背伸びをして起き上がった。
「楽しい夢だったな……」
 少女の側にはノートパソコンがあり、たくさんのフロッピーが置いてある。
 そしてそのフロッピーのラベルには「華代ちゃん1−10」「華代ちゃん11−20」などと記さされている……そう彼女は……



「……これって、TS夢っていうのかな?」
 ユイムは、少女の心の粒子から作り出した夢を見直しながらそういった。
「まあ、いいんじゃありませんか? ちゃんと性転換は起こっているんですし……」
 ユイムに相談を受けていたメグムがそう言う。
「だって彼女は一日の四分の三以上をパソコンの華代ちゃん読破に使っていて、ほとんど寝ていなかったのですから、特に最近はいつ何時新たな物語が掲載されてもいいようにと、ずっとパソコンの前にいたから……あなたがあの夢を見させてあげることとによって、きちんと眠るようになった……トロイ様もきっと、認めてくださいますよ」
「そうかなぁ……」



「今日もまた、私が伝説の少女になる夢が見られますように」
 彼女はそういってベットに入る。
 そして見る、ユイムの作った伝説の少女の夢を……

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