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これは夢オチ

第1話 「TS夢担当のユイム」

作:Zyuka



 ……最近、おかしな夢を見る。


 僕は画家だ。
 そして、夢の中でも画家だ。
 でもなぜか……夢の中の僕は女性なんだ。
 夢の中で、僕は絵を描く。……それは僕の描くものではない。
 僕の描くものはだいたい似顔絵だ。でも、夢の中の僕は風景画を描いている。
 夢の中の僕は時々、鏡を見る。
 その顔は、知らない女性の顔だ。そして、ドキッとするほど美しい。
 ニコッと笑うその笑顔が心に残る。
 目が覚めてもその笑顔だけは覚えている。
 いつしか、僕はその顔をキャンバスに描き始めた……



 パシコ――――――――ンッ!!!! 「何やっとるかっ!! ユイムっ!!」

「ふきゃ……っ!!」

 コロン……

 小動物のように、ユイムはころころ転がった。

「……いったーいっ。…………だれぇ?」
「……私だ。」
「え!? あ……ああっ、トロイ様!!」

 そこに立っていたのは、ナイトメアキング・トロイだった。
 ナイトメア。……「夢の馬」、または「夢魔」と呼ばれるものたちだ。
 とはいっても、物語に出てくるような恐ろしい化け物ではない。
 人の心の粒子……思い、希望、願い、欲望、切望、悲しみ、憎しみ、怒り……そういった小さな粒子を集め、パズルのように組み合わせ夢という現象を作り出す、幻想界の生物達。
 それがナイトメア。
 人の目には見えぬが、彼らは確かに存在する。
 赤ん坊の見る母親の愛情の夢から、老人の見る懐かしき昔の夢、乙女の見る少女漫画系の夢から独裁者の見る絶対支配の夢まで、すべて彼らが造っている。
 ちなみにこのナイトメアキング・トロイは、夢という「概念」が生まれたときに生を受けたという、ナイトメア達の統率者だ。

「ナレーター君、説明ご苦労。」

 あ、どうも。

「まあ、我々ナイトメアとは夢を作るという、責任ある仕事をする存在だ。……で、君は何をやっとるんだユイム?」
「え……え、エート、あの画家さんの夢を作って……いました」
「うそをつけっ!!」

 パシコ――――――――ンッ!!!!

「…………うう、何千年も生きてるのに、ハリセンなんかでたたかないでよ……」
「で、もう一度きく……なにをやっている?」
「画家さんの夢――」
「めんどくさいから、他人用に使った夢を……使いまわしていたな?」
「う、うう…………」
「見たらわかる。画家が絵を描く夢を見るのはいい。……でもな、他人の夢を見せてどうするんだ? ……おまけに男に女用の夢見せてどうするつもりだ?」
「あ〜ん、ごめんなさいっ!!」

 ユイムは、もう一発ハリセンが飛んでくるものと覚悟した。……でも、それはなかった。

「もういい。お前は画家の夢の担当から外す。」
「え…………?」
「お前にはもっとふさわしい担当夢がありそうだ……」
「え?」
「ユイム、お前はこれからTS夢の担当だ。」
「……なにそれ?」
「女になりたい男が見るような夢だ。……もしくはその逆。」
「ええっ、そんなあ〜っ!?」
「お前が今回やっていた夢とそう変わらないだろう。……しかし、また夢の使い回しをしたら許さんぞ!!」



 最近、あのおかしな夢は見なくなった。
 ……でも、彼女の笑顔は忘れない。
 僕は作品を描き上げた。それを展覧会に持っていった。

「あ……その絵…………」

 そこで、小さな奇跡に出会った……

END





あとがき

 ……って、わけのわからない作品だなぁ…………
 これ、本当はイメージイラストもあったんだけど……スキャナがちと壊れてて……


 サービスだ!! 2話目、「メイドインユイム」!!











これは夢オチ

第2話 「メイドインユイム」

作:Zyuka



「ふふふ……メイド服、これで52着目……」


 男はメイドマニアだった。容姿については何も言わない。
 頭の中も心の底もメイドに支配されている……そんな男だった。もしここに華○ちゃんがいれば、速攻でメイドにされてしまうだろう。
 まあ、そんな男でも本能的な欲求はある。
 腹がすけば食事をするし、眠たければ寝る。
 そして眠れば夢を見る。



「……メイド……」

 ユイムは、その男から出てくる心の粒子を集めていた。

「……また、メイド……」

 どうやら、彼には「メイド」以外の粒子はないようだ……

「あ〜ん、こんなんじゃメイドの夢しか作れないよぉ〜っ!!」

 ユイムの担当は「TS夢」。
 男が女になるような夢を作るのが、彼女の仕事だ。

「あーう……どうしてもこの男をメイドにしなきゃならないのね……」

 彼女は、あきらめたように頭を振った。「こうなったら……っ!!」



「ほらそこ、汚れてるざますわよ!!」
「ふひいいいいっ!」
「もたもたするんじゃないざます!!」
「わうわうわぁっ!!」

 つりあがった眼鏡をかけた女性が、ひとりのメイドをいびっていた。
 ここは夢の中。ユイムが作った夢の中だ。もちろん、あのメイドマニアの夢である。

「またトロイ様に怒られるかな? でも、他人の夢をそのまま使ったんじゃないから、いいよね……」

 彼女は、若い娘をいびるのが何よりの生きがいという老婦人の夢を、メイドマニアの夢と合成したのだ。
 その老婦人は、現実にメイドを雇っているわけではない。
 現実では若い嫁をいびっている。でも夢の中では――大きな屋敷の『大奥様』となる。
 ユイムはその夢を借りてきたのだ。

「ふんにゃ〜っ!」
「まだまだダメざます!!」

 あこがれのメイドになれたメイドマニア……でもメイドの仕事は楽ではなかった。

「いいのかなぁ、こんなオチで……」

 ……いいわけないじゃん!!



「はっ!!」

 ものすごい汗をかいて、男は目を覚ました。

「…………」

 まあ、あんな夢を見たのだから仕方がない。

「…………あのメイド服……」

 は……?

「……いいっ、僕のコレクションにはないものだっ!!」

 まあ、夢の産物だからね……

「……よーし、53着目のコレクションはあの服だっ!!」

 …………こりてない……

END





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