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T・M・T・T・S

Zyuka

 

「ついに、ついにできたぞ!!」

 マッドサイエンティストの高校生、金滝 銀次郎は大声で叫んだ。

「……なにができたんだ?」

「おお、我が友三王子君!! 見たまえ!! 我が発明品を!!」

 折しも、彼の研究室に入ってきた金滝のクラスメイト、三王子 昴…

「……? 性転換マシン? それとも、マイインドチェンジマシン? もしくは幽体離脱マシンか?」

 そこにある機械は、人間が中に入れるようにできているようだ。

「……どれも考えられるけど……ああ、マインドチェンジマシンではないな、どう見ても一人用だしな」

「……三王子君、どうしてそんな発想がでてくるんだ?」

「だってこれ、少年少女文庫に送る作品だろ? で、マッドサイエンティストっていったら前述の3っつしか思い浮かばないじゃないか」

「……嘆かわしい…僕がそんな低俗な発明しかできないと思っているのかね?」

「……だったら何なんだ?」

「ふっふっふ……これは、その名も高き『タイムマシン』だ!!」

「あっそ」

「おい、三王子君……」

「俺は忘れ物を探しにきただけだ。この部屋に来ただけだ。ここには無いようなので失礼する。またこないだみたいに爆発させるなよ」

 そういって三王子は部屋を出ていった。

「ウグググググ……所詮凡人である三王子君にはこの発明のすばらしさがわからないか……」

 金滝は自らそのタイムマシンにはいる……

「さあ、スイッチ、オン……」

 金滝は手に持つリモコンでスイッチを入れる……

「目標は……未来でもいいけど、過去にしよう……。……同じ人間が同一時空上に二人いると不具合が起きるというからな……よし、僕が生まれる前にしよう」

 うううううううううううううん……

 タイムマシンが振動する……

「……やれやれ、この程度の技術で時空移動ができるとでも思っているのかなぁ……」

 いつの間にか、三王子が研究室に戻ってきていた。

「……クラスメイトのよしみだ、発明を成功させてやろう!」

 そういって、三王子は金滝の入ったタイムマシンの上に手をかざした。

 ううううん……

 タイムマシンの振動が消え、ゆっくり輝き出す。

 カッ!!

 鋭い輝きを残し、タイムマシンは消え失せる……

「ゆっくりと時間旅行を楽しんでこい」

 三王子はそういって研究室から出ていった……

 

「銅太郎――」

「鉄子――」

 若い二人が、デートしている。

 そして、物陰からそれを見ている高校生が一人……

「鉄子、今夜は寝かさないぜ」

「もう、銅太郎ったら……」

 二人は、とても幸せそうだ……

「鉄子っていうのは母さんの名前だよな……ということは、あの男が、父……」

 そう、物陰から見ていたのは金滝 銀次郎だった。

「父は、生まれてきたのが男の僕だったから、『ほんとは娘がほしかったんだー』といって、僕と母さんを捨ててでていったという……」

 それを思い出した金滝の心のなかに徐々に怒りがわいてきた……

「これでも食らえ!!」

 びゅん!!

 ぽこ!!

「あいて!」

 金滝の投げた石は、あっさりと父銅太郎の頭に当たった……

 

 ………

「あ、あれ……」

 少女は、ゆっくりとあたりを見渡した。

「ここは、僕の研究室? え、でも僕は僕の発明したタイムマシンで過去に行っていたはずじゃ……」

 部屋の隅に、デジタルの時計が置いてあった。

「2002年……? 現在に戻っている……? どうなっているんだ」

「なにやってんだ? こんなところで?」

 後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてくる……

「あ、三王子君……」

「おい、鋼谷……」

「ええ、鋼谷?僕は金滝だよ!?」

「はぁ、おまえは鋼谷 銀子だろ?」

「なんだって!!?」

 少女は、驚いて体中を点検する……

「どうなっているんだ!? 三王子君、説明してくれ!!」

「いいぜ、まずこれを見てくれ」

 三王子が少女に手渡したのは、一枚の新聞……

「1985年…僕がタイムマシンで行った年だ……」

 新聞には、金滝 銅太郎という人物の死亡記事が載っていた。

「……これって……?」

「まさかお前、過去に戻って自分の父親を殺すなんて、思っていなかったぞ。そのために、歴史の改竄が起こってしまったんだ」

「れ、歴史の改竄?」

「そ、金滝 銅太郎と亜留実荷有無 鉄子が結婚することで、金滝 銀次郎って男が生まれたんだ。でも、過去に戻ったお前が金滝 銅太郎を殺したことにより、亜留実荷有無 鉄子は鋼谷 本惚という男と結婚し、結果、鋼谷 銀子という娘が生まれたのさ」

「な、なにーーーーーー」

 少女、鋼谷 銀子はショックのあまり口をぱくぱくさせている。

「って、何でお前はそんなことを知っているんだよ!!」

「さあ? でもよかったじゃないか。お前は他のTSキャラと違って、戸籍操作とかいうやっかいなことをしなくていいんだからさ」

 三王子 昴はそういうとすたすたと研究室から出ていった。

「……こうなったら、もう一度タイムマシンを作って過去に戻るしかない!!」

 鋼谷 銀子は、天に向かって悲壮な決意を固めた。

 

タイム・マシン・トラブル・トランス・セクシャル・おしまい

 

 

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