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封印は、開かれ、世界は混沌となっていく


第2宮家

第八章 再生

作:starbow


いま、4500年間なんとか保たれていたこの世の平安が破られようとしている。
太古から何度も繰り返し訪れている世界の終焉が始まるまでにあまり時間がないからである。
最後のラッパが吹かれたら、後は誰もこの世の終りを止める事はできないのである。
ただし、“この世の封印”は、“次の世への鍵”でもある。
つまり、この世が終焉し、次の世が始まった時にこの世の全てが復元されるための鍵なのである。

***

ミカエルがT氏(P)を誘拐?してからどのくらいたったであろうか。
目を覚ましたT氏(P)には、目が回る思いだった。
なぜ自分が急にここに連れてこられたのか皆目見当がつかなかった。
しかし、わるい冗談にしては手がこみすぎている。
T氏(P)は疑問符を一杯浮かべながらまわりを見渡した。
周りは薄暗いのだが、どことではなく間接的に光が出ていた。
そして、あたり一面ハニワだらけであった。
「お!これはいまだに発掘されていない種類のものだぞ。」
「ここにもある。」
「しかし一体全体ここはどこなんだ?」
そう呟いたとき、人影が現れ、呟いた。
「ここは、元伊勢の地下です。そしてこここそが、この世の全てを司るもの。」
「なにを言っているのかぜんぜんわからない!オカルトマニアでもそれはちょっとないぞ。」
「人間の諺ではなにごとも、真実は小説よりも奇なりというではありませんか。」
「その言い方は変だぞ。なぜ人間のなんていい方をする。」
「それは、わたしがこういうものだからです。」
そういうと、人影は、光の当たるところに姿を現した。
髪の毛は銀色に輝き、体型は人の形をしていた。しかし、大きく人と違うところがあった。
それは、頭上にリングがあり、背中には一対の羽をはやしていたからである。
つまり、俗に言う天使の姿にそっくりであった。
「え?天使?」
「はい。人間の世の中では、そのように呼ばれていますね。」
「しかし、そうホイホイとでてくるものなのか?」
「いいえ。限られた方にしか見ることはできませんよ。」
「それではなぜオレには見えるんだ。」
「それはキミが特別な存在だからなんだよ。」
「それはどういうことだ。」
「それは後のお楽しみです。」
そう言うとミカエルは、T氏(P)についてくるように指示した。
どれくらい歩いたのだろうか。通路の装飾がだんだんと手間のかかるものに変ってきた。
そして、まわりの明かりがだんだんと強くなってきているように感じられるようになった。
「どこまで連れて行くんだ。」
「もうすこしですよ。あそこです。」
ミカエルが指差したところは、周りよりも1段高くなっていた。そして、一人の女性が立っていた。
まだ後ろ姿であったため、T氏(P)にはわからなかった。そのとき、ミカエルが傍に立ちいった。
「アマテラスさま、津田氏を連れてきました。」
「ご苦労様。下がってもいいですよ。」
「はは。」
そう言うと、ミカエルは下がり、姿が見えなくなった。
「津田さま、こちらにいらしてくださいませんか。」
女性がT氏(P)に声をかけた。その声がT氏(P)には、玉司宮の声とそっくりに聞こえた。
こんなところに宮様がお見えになるわけはないかといぶかしみながら、T氏(P)は、女性が立っているところへ向かった。
しかし、近くに近づくにつれ、姿形がわかってきて、ますます驚きに包まれていった。
「それにあそこにいるのは玉司宮のようだ。しかし、一体こんなところでなにをしておられるのだろう。」

***

「またお会いしましたね。」
「ええ。これも縁というものでしょう。」
「元伊勢の地下にこんな遺跡が眠っていたなんて大発見ですよ。」
「申し訳ありませんがここのことはヒ・ミ・ツです。だって、ここは普通の人では判らないように結界をかけてありますので。」
「だったらなぜオレがここにいるんだい。」
「それは。。。」
玉司宮は、言葉に詰まると、俯いてしまった。
「。。。あなたが、わたしと対になる指輪をしているからです。」
「え!これのことかい?」
「そうです。それは、対になる徴の指輪。また、“この世の封印”を解くのに必要なもの、。。」
「なぜオレがこれをもってるのかぜんぜん判らない。ボスの資料を作るのに徹夜したときにあまり記憶がないんだが、気がついたらはめてたんだ。」
「わたしがそっと、はめておいたんです。」
「なんだって?」
「それは、今日の日のためにです。わたしとあ・な・たのために。」
「?」
「この世、第八世界の終焉のときにこの世の全てを司るのに必要なアイテム。そして、あなたがわたしの分身であり、ペアである証。」
「???」
「言い換えれば、わたしがあなた自身であり、あなたはわたしのバックアップです。」
言い終わると、玉司宮は、手をT氏(P)に差し出した。
すると、T氏(P)の手が勝手に動き、手を宮の手と合わせた。
すると、指輪が光りだした。最初は仄かな光であったが、光は段々と強くなり、あたりが光に包まれ始めた。
光は、どんどん強くなっていく。
そうこうするうちに、二人の指輪がデータリンクを形成し、アマテラスの記憶を封印しているメモリアクセス阻害プロテクトの解除を始めた。

すると、二人の姿がだんだん分解され始めた。
手の境目が消え、体がだんだんと薄れはじめた。

。。。。。

細胞が分子に、

。。。。

分子が原子に、

。。。

原子が素粒子に、

。。

素粒子がクォークに、



クォークが時空胞に、

*+@QWERTYUIO

全ての境界が解除され裸の情報だけが漂って、流れている。

しばらくして、裸の情報は、次第に自己組織化し始め、全てが再構築され始めた。
そして、情報が選別されていった。

QWERTYUIO

。。
。。。
。。。。
。。。。。

そうこうしてるなか、最後のラッパが吹かれた。
この世、第八世界の全てを保持しているメモリ空間へのメモリアクセス阻害プロテクトがいま全て解除されたのである。
アマテラスの記憶が全て復活した瞬間でもあった。

全てが終ったとき、其処には一人がいるだけであった。
そしてポツリと一言言った。
「わかりました。あなたの望みを次の世でかなえるようにしましょう。」

そして、この世は、7日後に終焉を迎えた。

***

カオスのなかで
ここは、ビッグバンが起こる前の世界。
全ての世界が混沌としているカオスの世界である。
そして全ての始まりであり終わりであるものでもある。
其処には超空間からカオスを見つめているものがただ一人いるだけであった。


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