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イマジン  by Reika Marie


(CHAPTER-13)

智恵子の頼みで美穂はその晩から泊まり込みで純子の女性教育を手伝うことになった。
店が終わるといっしょにお料理を作り、いっしょに食器洗いをしてお風呂に入るときも
いっしょだった。子供っぽい服を着せられていた純子は精神状態も幼児化していたので
少しも抵抗することはなかったのだ。
風呂を出ると純子にフリルのたくさんついた花柄のパジャマに着替えさせた美穂は
自分の少女時代の思い出話を聞かせてくれた。
「いいなぁ、美穂ちゃんは。あたしも女の子として産まれてきたかったな・・・。
 着せ替え人形やおままごとをしてみたかったわ。」
「じゃあ、おままごとえおやってみようか?あたしがお父さん役をやってみるから
 純子ちゃんはお母さん役だよ・・。」

美穂は純子の心の中に隠れていた少女のような清らかな可愛いらしさを開発してあげた。
美穂は純子にいろんなヘアアレンジを教えてあげた。
三つ編みの作り方を覚えた純子は応用していろんな編み込みヘアーを練習した。
おしゃれな髪飾りをつけたりリボンを結んだりして過ごすことはとても楽しい。
純子にとってこれまでの過ごしてきた23年間は今では「空白の時間」となった。
女として暮らしてきたような体験を少しでもしてみたいのだ。

今夜はありさが泊まり込みで遊びにやってきた。
事前に美穂から純子が女の子になる努力をしていることを聞いて大きな紙袋を
持参していた。それは十朱女医のアドバイスがあって持ってきたものだ。
「純子ちゃん、今日は素敵なお洋服を持ってきてあげたよ!」
それはありさが高校時代に着ていたセーラー服だった。
現役の女子高校生である妹の分も借りてきたありさは3人ともセーラー服に着替え
純子に女子高校生気分を味あわせてあげようとしたのだ。

純白のブラウスを身につけながら純子は自分が女の子として高校に通っている姿を
想像していた。渡されたスカートは今風に丈がミニの長さにカットしてあった。
純子はしゃがんでスカートをたくし上げた。腰の上でホックを止めると
黒のプリーツスカートの裾は膝より20cmくらい上で止まった。
女子高校生特有のアイテムであるルーズ・ソックスをはいた純子は次第に胸が
ときめいていた。ありさにブラウスの胸元にリボンを結んでもらった時は
自分が女に生まれてきたような錯覚さえ覚えてしまった。
「ねえ、今のあたしにはどんな髪型が似合うのかしら?」
「そうね、ポニーテールなんかいいんじゃない?」

美穂とありさは純子の髪型をいろいろアレンジしてみたが結局、いつものふたつの
おさげが一番似合っていることがわかった。前髪を七三風に分けて両サイドをピンで
止めたおさげは今では純子のトレードマークのようなものになっていた。

部屋の中には3人の女子高校生が座っている。
その中心にはコーラやポテトチップが並べられて男性アイドルや恋愛体験について
楽しいおしゃべりを交わしている。女すわりしている純子のスカートは床に綺麗に
広がっていた。そのプリーツは女の子らしさを引き立ててくれる。
ずっとこうしていたい、このまま女子高校生になってしまいたいと思った。
その夜はパジャマに着替え夜遅くまで女の子としての会話に夢中になった。
それは純子の心に新しい記憶として刻まれていた。

次の日からも純子の女性教育は続いていた。
美穂が配達で出かけている時は智恵子がお化粧を指導した。
肌の色に合わせたファンデーションの選び方からマニキュアを上手に塗るコツなど
女として生きていく喜びを純子に教え込んでいった。
女の子のファッションについても教えるのは美穂が担当した。
いろんなスカートの種類やブラウス、ワンピースを実際に着せて着こなしの
テクニックやコーディネーションを体験させた。
やがて純子は年頃の娘のレベルまで女性としての知識を覚えることが出来た。
陰で見守っていた智恵子は二人が仲良しの姉と妹のように見えて微笑ましいと思った。

純子がこの日本で女性として暮らし始め一週間が経った。
智恵子は純子を普通の娘として人前に出しても良い頃と思っていた。
近いうちに近所に挨拶回りに行こうと考えていたのだ。

その日、高倉が防衛隊を代表して純子の家にやってきた。
今日の純子はグレーのTシャツに茶色のジャンパースカートというカジュアルな服装だ。
智恵子と美穂に化粧の基礎から教わり、今日のナチュラルメイクも自分で施したものだ。
美穂と共に姿を現した純子の姿を見て高倉は一週間で人並みの大人の女に成長したことに
満足していた。純子の何気ない仕草の中に女性らしさを感じることが出来たのだ。

高倉は純子の戸籍を女性に変える法的手続き中であることを伝えた。
そして智恵子から相談されたもう一つの件も準備が出来たと言っている。
純子は「もう一つの件」の意味が分からなくて母に聞いてみた。
智恵子は横にいた美穂に向かって微笑んだ。
「美穂ちゃん、あなたは浅香家の嫁になるはずだったわね?
 あたしは義理の娘が出来ることがとても楽しみだったわ。
 それが今回の事故で純子が女になってしまったことから不可能になってしまった。
 そこで高倉さんに相談したの。美穂ちゃんをあたしの養女にしてあたしの家族の
 一員に迎えてあげたいのよ。家族がいない貴女にとっても将来安心でしょう?
 いつかはあたしの娘としてお嫁さんに出してあげたいの。
 子供が出来たら面倒を見てあげるわ。純子にも女の兄弟がいたほうがありがたいわ。
 どうかしら?うちの娘になってくれない?」

美穂は突然の申し出に驚いていたがやがて目元を潤ませて喜んでくれた。
「おばさま、・・・、ありがとうございます。
 あたしには今は誰も家族がいない。アパートに帰って真っ暗な部屋に電気を
 つけるとき、たまらなく家族が恋しくなることがあるんです。
 家族って素晴らしい。うれしいときはいっしょに喜んでくれるし悲しいときは
 元気づけてくれる。あたしはこちらにお世話になって久しぶりに家族のぬくもりを
 感じていたの。あたしはおばさが好きです。それに純子ちゃんはあたしにとって
 かけがえのない人です。できればいつまでもずっといっしょにいたいと思ってた。
 これからいっしょに暮らせるなんて夢のようです・・。
 純子ちゃん、あたしたちは姉と妹になれるのね?生意気な妹だけどいいかな?」
「美穂ちゃん、きっとあのハートのペンダントのおかげだね。
 あたしたちはずっといっしょよ・・・。」
純子は涙ぐんで美穂と抱き合い母に向かって言った。
「お母さん、ありがとう。あたし一人っ子だったからずっと姉や妹が欲しかったの。
 こんな素敵な妹が出来るなんて夢みたいだわ。」

さっそく引っ越し専門業者を頼み、美穂は2日後に住んでいたアパートを引き払い
浅香家にやってきた。新しく作った表札には「浅香 智恵子、純子、美穂」と
3人の女性の名前が書かれていた。純子は浅香家の長女、美穂は次女となったのだ。

(CHAPTER-14)

翌日、女に生まれ変わった純子を紹介するため近所に挨拶回りをすることになった。
純子は母に生まれて美容院に連れていってもらった。
始めて入った女だけのサロンに純子は不安と興奮を隠せなかった。
待っている時間に女性週刊誌を読みながら今後は何度もこんな世界を経験することになると思い
あらためて自分が女の仲間入りしたことに胸をときめかせていた。

純子の髪は美容師の慣れた手つきで女らしいセミロングのスタイルにカットされ
その後、明るい茶色に染められた。純子は鏡の中の自分が大人の女に変わっていく姿を
見ながらうっとりしていた。男でいたらこんな世界は味わえないのだ。
新しい髪の感触に見とれていると若い美容師から中年の女性に変わった。
この女性は母の友人でこの店の店長らしい。
店長は和風のクシを手にして純子の髪をセットしはじめた。

前髪をおろしたあとに残った髪を後ろに集めゆるめに編み始めた。
次に編んだ毛束を後ろで交差させてピンで止めていきテール部分をトップの方に巻き上げて
頭の上に大きなまげを作りピンで止めた。純子の髪は優雅な日本女性のようになった。
しかし、この髪は洋装には向いていないように思えた。
髪のセットが終わると続いて化粧に入った。
ふだんより白身の強いファンデーションが純子の顔に塗られ、眉も上向きのきりっと
した形に描かれた。ピンク系のシャドウをまぶたにぼかしたあとにくっきりと
アイラインが描かれていった。口紅は真っ赤な物が彩られていった。
戸惑っている純子の爪にはピンク色のマニキュアが施された。
やがて智恵子が純子の元にやってきた。
「さあ、奥の部屋で着替えましょう。」

奥の控え室には艶やかな振り袖が飾られてあった。
「この振り袖はお母さんが成人式の時に作ってもらったものなのよ。
 いつか女の子が生まれたら着せてあげたいと思って大事に取っておいたの。
 お母さんは女の子が欲しかったのよ?
 あなたが生まれてくる時に女だったらどんなによかったかと思っていたの。
 今日はあたしの夢だった自分の子供に振り袖を着せてあげることが出来て
 とってもうれしいわ。」

店長は純子の着ていた服をすべて脱がせ裸の姿にさせた。
純子は薄いピンク色の肌襦袢に袖を通していた。
足袋をはかされた後に店長は後ろからピンク色の布地に花柄が入った振り袖を着せてくれた。
襟を合わせ着付けられていくうちに純子の心の中に陶酔感が広がってきた。
帯を締めてもらうころには膨らんだ乳房に熱い火照りを感じていた。

母はしみじみと振り袖姿に変身した純子の姿にうっとりと見とれていた。
「とっても綺麗よ・・・。あたしの娘時代にそっくりだわ。
 さあ、鏡を見てごらんなさい。素敵なレディになったわよ。」
「ステキ・・・。女って髪と衣装で変わるものなのね・・。」
純子は恥ずかしそうに口元を両手で隠していた。
ピンクの袖口から出た白い指先には振り袖と同じピンク色に塗られた爪があった。
純子は女になれてよかったと何度も鏡の中の自分に見とれていた。

家に戻った純子と母は上品なワンピース姿に着替えていた美穂といっしょに近所に
菓子折を持って挨拶に回った。
子供の頃の純子を知っているものは、目を丸くして驚いていた。
負けん気の強い息子は防衛隊のパイロットをしていたはずなのに、
今は振り袖姿の可愛らしい娘になってしまったのだ。
純子は女に生まれ変わった自分がすぐには受け入れてもらえないことを肌で感じていた。
でも仕方がない。あせらないで少しづつ自分の女らしさを認めていってもらおう。
いつかは自分も女として扱ってもらえるに違いない。

次の日から純子は花屋の仕事を手伝い始めた。エプロンをつけて花を綺麗にラッピングし、
美穂といっしょにお得意さんに配達に出かける純子の姿はとてもイキイキとしている。
いつのまにか「花屋の美人姉妹」と噂されるようになり、二人を目当てで花を注文してくれる
お客も増えてきた。いつでも笑顔を絶やさない純子の姿は誰からも好感を持たれていた。
女として一生懸命働く姿を見て最初は戸惑っていた近所の人々もやがて純子の新しい姿を
受け入れてくれるようになっていった。

純子は今では完全に女の世界に順応していた。
街を歩く姿を見ても誰もが爽やかな若い女性として純子を見ていたのだ。
休日になると看護婦のありさと美穂との3人でショッピングに出かけたり、
時には商店街の若い男性達と合同でお酒を飲むこともあった。
誰もが純子に優しくしてくれる。男性であった時には誰も声をかけてもらうことは
なかったのに今ではナンパまでされるようになった。
純子は女としての生活を堪能し楽しんでいた。

純子はその日、病院の診察を終えて家に帰ってきた所だった。
キャミソールにカーディガンのトップにフリフリのロングスカートをはいていた。
自分の年齢から見ればかなり子供っぽいファッションだ。
しかし童顔に見えることと女の子になった喜びを隠せないため
ピンクハウス系の服が大好きになっていたのだ。
「純子、帰って来たばかりで悪いけど配達に行ってくれない?」
智恵子から近所のオフィイスに花カゴの配達を頼まれた純子はにっこり笑って
歩いて配達に出かけた。ふだんの配達は活発なジーンズスタイルなので
こんなフェミニンな格好で出ることは珍しい。

配達が終わって公園の横に差し掛かった。
純子は少年野球の練習を見て昔を思い出していた。
純子は高校生時代、野球部に入部していたのだ。
なつかしさにひかれて車を降りネット越しに見つめていると、
こぼれたボールが目の前に飛んできた。やがてコーチらしい若者がやってきた。
ボールを手渡そうとして純子は驚いて相手を見つめてしまった。
「木村先輩・・・。」
「お嬢さん、僕と前に会ったことがあるの?」
「あたし・・・、高校時代にいっしょに野球をした浅香 純です。」
木村は純子が野球部時代に世話になった先輩だったのだ。

ロングスカートの下にハンカチを敷いた純子は木村といっしょにベンチに座った。
今まで起きた出来事を純子の口から聞いた木村はあまりにドラマチックな人生に
しばらく言葉を失っていた。やがて重い口をやっと開いた。
「こんな素敵な女性があの純だったなんて信じられないよ・・。」
「あたしもこんな形で先輩に再会するなんて思わなかったわ。」
それから二人は想い出話に花が咲いた。

(CHAPTER-15)

「純、よかったら久しぶりにバットを振ってみないか?僕が投げてあげるよ?」
「そうね、面白そうだからあたしやってみようかしら?」
野球少年たちが見守る中で純子は、ピンク色のマニキュアを塗られた白い指で
バットを握りしめ、力のないスイングを何回か試してからバッターボックスに立った。
「いいわよ、先輩。あたしがホームランを打ってみせるわ。」
ロングスカートをはいた足を広めにして構えた純子に木村は意識して
緩めの球を投げた。純子は精一杯バットを振ったが男の子時代とは違い
大きな胸が邪魔をしてスイングの途中で力が抜けてしまい結局空振りとなった。
「先輩、女になったあたしにはやっぱりダメですね・・。」

子供たちに自由練習をさせてベンチに戻った二人は再び会話に花が咲いた。
純子は不思議な気分だった。木村先輩は昔から自分に優しかった。
純子にとって頼りになる兄のような存在だった。
それが今は違う感情が芽生え始めている・・。
木村先輩は先日までは同性だったはずなのに今は男性として意識している。
彼のたくましい胸の中に抱きしめられてみたい。
いつかは自分も女性として男性を好きになる日が来るかもしれないと思っていた。
それは恐れのような気もしていた。でも実際にはとても心地よい甘い気分なのだ。

色白に塗られた肌に真っ赤な口紅の純子が顔にかかった髪をかき上げる仕草は
誰が見ても美しい女性そのものであった。
木村は、はにかみながら笑顔で話す純子が昔は男であったことを忘れてしまいそうだ。
「純・・・今、好きな人はいるのか?」
「ええ?好きな人って・・・男性、それとも女性のどっちのお話ですか?」
「男性に決まっているだろう?こんないい女になって何を言ってるの?」
「あたしには、まだそんな人いませんよ?それに・・後ろめたさがあるから
 もし好きになってもこっちからは声をかけられないでしょう?」
「純、俺とつきあえ!俺がお前のボーイフレンドになってやる。
 電話番号を教えてくれ。あとでゆっくりデートしよう!」
「だって先輩、あたしは・・・昔のことを知ってるのにあたしでいいの?」
「言いづらいけど・・・お前に一目惚れしちゃったよ。」
照れながら興奮気味に話す木村を見て純子は素直にうれしいと思った。
そして可愛いスカートをはいてきてよかったと思った。

家に向かいながら純子は始めて男性から交際を求められたことに幸福感を感じていた。
今まで男性を異性とはあまり意識していなかったのに今ではすごくドキドキしてる。
木村先輩は同性の時にはあか抜けない純朴なタイプだと感じていた。
それが今は誠実で素敵な異性に思えてしまうのだ。心の中が甘い世界に包まれている。
木村先輩の笑顔を思うだけで胸がときめく。
純子は恋する女の子がこんな気持ちであったことを知った。

その日の夜、美穂に男性から交際を申し込まれたことを話した。
「あたし、もっと綺麗になりたいなぁ・・。」
鏡台の前に座り、髪をアップ気味に持ちあげて色っぽいヘアスタイルを
試している純子を見て美穂は可愛いと思った。
「お姉ちゃんもやっと女心が芽生えてきたのね?これで一安心だわ。」
「美穂、ごめんね。本当ならあたしがあなたとこんな関係になれたのにね?」
「もう昔の話は忘れましょう?あたしはあなたの妹になれただけで幸せよ。
 お姉ちゃんはこれから男性とおつき合いしていくのに女の子としてどんな風に
 行動したらいいかわからないでしょう?あたしは女の先輩よ?
 意気地なしの姉のために妹のあたしが応援してあげる。」

それから二人の会話はいつまでも男の子の話題で盛り上がった。
「ねえ、美穂?あたし、子供が産めないからきっと結婚はできないよね?
 好きになった人とどんなに仲がよくなっても相手の親はあたしが元男性とわかれば
 結婚には反対するよね?」
「お姉ちゃん、好きになってしまえば子供なんて関係ないよ。
 子供ができなくても幸せに暮らしている夫婦も多いでしょう?
 もっと女らしさをアップして相手の男性をとりこにしちゃいなさい。
 どうしても子供が欲しくなったらあたしが替わりに産んであげるよ。」
「ありがとう、美穂・・・。」
純子は美穂の優しさがうれしかった。

純子は女の子として初デートをする日が来た。
朝早くから起きて母に手伝ってもらい彼に食べてもらうお弁当を作った。
今日のファッションは美穂に勧められたキャミソールに薄いカーディガン。
スカートはロングのプリーツスカートだ。
出かける時に母から紫外線で日に焼けることを心配された純子は顔のファンデを
入念に塗り手足や首に日焼け止めをつけて帽子までかぶらされた。
「もう女の子なんだから日焼けには注意しないとダメよ」
「お母さん、あたしはもう子供じゃないのよ?心配性なんだから・・。」

純子は迎えに来た木村の車に乗り込み郊外の公園についた。
公園には、優しい気分にしてくれるものがいっぱいあった。
まぶしい日差しに木々の緑や花壇の花々、池の水面がゆらゆら輝いて見える。
柔らかく感じる自然の息吹。無邪気に遊ぶ子供達。
純子の感性はいまでは若い女性のものになっていたのだ。

池の回りを木村先輩といっしょに散歩しているとふいに手を握られてきた。
純子もそっと握り返し、二人は手をつないで歩いた。
なんて素敵な気分なの?手をつないで歩くことって暖かい気持ちになれる。
女の子って素晴らしいわ・・。

お昼近くになり池の畔にシートを敷いて二人は食事を始めた。
「純子、このサンドイッチはとても美味しいよ。それにこの唐揚げは
 スパイスが利いて絶妙な味付けだね。こんな美味しい料理が作れるなら
 純子はきっといいお嫁さんになれるよ。」
「まあ、木村先輩ってお上手ね・・。」
「純子、そろそろ木村先輩なんて他人行儀な呼び方はやめてくれよ。
 秀明という名前で呼んでくれないかな?」
純子は照れて髪をかきあげながらそっと言ってみた。
「秀明さん・・。」

今では華奢な撫で肩に生まれ変わった純子にはキャミソール姿がよく似合っていた。
池の畔で好きな男性といっしょに過ごすことは純子を恋する乙女に変えていた。
純子は思った。あたしはずっとこんな世界にあこがれていたんだわ。
平和な時間、優しい時間をこれからも過ごしていきたい。
女としての幸せな時間を永遠に過ごして行きたいと思った。

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