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イマジン  by Reika Marie


(プロローグ)

「純、気をつけて行ってきてね。絶対に生きて帰ってきてよね?」
「ああ、今回の出撃が終わったらきっと戦争も終結するだろう。
 もう美穂に心配をかけるのもこれが最後だよ。
 帰ってきたらいっしょに結婚式の衣装あわせに行こうね。」
二人は飛行場の照明灯から外れた暗闇の中で熱い口づけを交わした。
「美穂とのキッスってケーキより甘いんだね・・・。」
「純の舌もとろけそうよ・・・。」

美穂は別れ際にバッグから金色に光る鎖を取り出して純の首に巻き付けた。
それは二つに割れたハートの形をしたペンダントだった。
「純、このペンダントはペアになってるの。二つのペンダントが合わさって一つになるの。
 あたしはこの片方をつけておくよ。二人はいつでも一つである証なの。」
「ありがとう、美穂。何かあったらこのペンダントがお守りとして僕を助けてくれるような気がするよ。」

純は双発エンジンを積んだ大型戦闘機「SU-27」に乗り込み、
護衛の対空攻撃機「F-14」の2機と共に西の空に向かって出撃した。
高い機動力を誇り上空の激しい格闘戦や夜間の地上攻撃までこなす万能戦闘機「SU-27」を
乗りこなせるのは防衛隊でも何人もいない。
「今回のミサイル基地攻撃でこの争いを終結させてみせる。
 僕は航空防衛隊のエースパイロットだ!」
純は上空の黒い雲の中を進みながら今までの出来事を振り返っていた。

(CHAPTER-1)

西暦2003年。友好関係を保ってきた「隣の国」とささいなことがきっかけで
日本は二度としないはずの戦争に巻き込まれていた。
自衛隊から名前を変えた防衛隊は憲法で他国への侵略は禁止されている。
しかし、都知事から総理大臣になった牛腹は日本を愛するあまり「隣の国」に
宣戦布告した。すでに日本海側のいくつかの地方都市は大陸弾道ミサイルを撃ち込まれ
多くの死者を出している。これ以上の被害は出せない。
アメリカも中東の戦争に全力を注いでいるため日本を守る余裕はない。
防衛隊は「隣の国」に向けて何度か爆撃を仕掛けていた。
状況は日本が有利になっており今回の出撃で基地を爆撃すれば戦争も終結する予定だ。

純は23歳。航空防衛隊のエースパイロットだ。
小柄でひ弱な純は気が弱く子供のころからいじめにあっていた。
そんな純を父はスパルタ教育し心身を鍛えさせた。。
二言目には「男は強くなくてはならない」と何度も言い聞かされてきた。
争いごとを好まない純を父は高校卒業後、むりやり自衛隊に入れさせた。
父も航空自衛隊のパイロットだったので自分の意志を継がせたのだ。
戦争に出ることはあり得ないと思っていた純は父の命令に従いずっと耐えてきた。
その父も亡くなり、純は自分を縛り付けてきた重荷が取れてきたような気がする。

純の母親の智恵子は花屋を経営している。
店の従業員である美穂と恋に陥ったのは一年前だった。
美穂は純より一つ年下だ。実家に帰ってきた時に美穂を母から紹介された純は
明るい性格で笑顔が素敵な美穂に一目惚れしてしまった。
美穂は事故で家族全員を失ってしまった母の友人の娘だった。
身よりのなくなってしまった彼女は半年前から純の母を頼ってこの地にやってきた。
純の家の近所にアパートを借り母の片腕として花屋の仕事を手伝ってくれていたのだ。
おっとりとしてどちらかといえば気が弱い純を美穂は引っ張っていってくれる。
母も美穂のことを自分の娘のように気に入っていたので二人はすぐに親密な関係になった。
今年の6月には結婚しゴールインすることになっていたのだ。
純も綺麗な花が大好きだ。いつか防衛隊をやめたのちは母と美穂といっしょに
花屋の仕事を手伝ってもいいとさえ思っていた。

「隣の国」の上空にさしかかった。純と護衛機はいままで順調に飛行を続けていた。
レーダーで基地を察知し攻撃の準備に差し掛かったころ、突然目の前に2機の相手国の
攻撃機が現れた。機体に最新型の特殊なコーティングをされた対空攻撃機は、純たちの
レーダーには感知できなかったのだ。
不意をつかれた味方の対空攻撃機「F-14」は防戦するのがやっとだった。
後方から攻撃を受け機体にダメージを負ってしまったようだ。
「敵機の注意を引きつけてくれ。僕がそのあとに前方に回り込んで相手を攻撃する!」

純は味方機の真後ろに機体をつけて相手をひるませた後に一気に加速し、
相手機の正面に躍り出て機銃を撃ち込んだ。
相手の機体を打ち落とさない程度に急所を外した攻撃は見事成功し、
相手国の攻撃機は黒い煙を上げながら去っていった。
「あとは僕一人で敵地に向かう。2機とも日本に引き返してくれ。」
「悪いな、純。あとは頼んだぜ、グッドラック!」
味方機と別れた純は単独で敵地に向かって飛行していた。

純は仲間の前では強がりを言っていたが、実は始めての経験である戦闘を終えて
心臓が張り裂けそうなくらい緊張していたのだ。
「落ち着け、落ち着くんだ・・・。」
純はコックピットにくくりつけたラジカセのスイッチを押した。
やがて自分のお気に入りのロックミュージックが機内に流れ出し、
純はなんとか気を落ち着かせ一人で敵のミサイル基地に向かった。

真夜中の敵国にレーダーが反応した。あれがミサイル基地だ。
純の乗った「SU-27」は機体をマイナス10度という地上にぶつかるぎりぎりの
角度で進入し目標物を捉えていた。
「ようし、ロックオン!」
純は基地に向かってミサイルを発射した。レーダーで誘導されるミサイルはみごとに
基地に命中しあたりは黒煙に包まれた。作戦は成功のようだ。

それは純は機体を引き返し低空飛行から上空へ移る矢先だった。
基地のそばにあった村の逃げまどう姿が目に入った。
幼い子供を抱えて泣きながら走る母親、寝間着姿で怯えている娘・・・。
純の作戦成功で浮かれていた気分が一気に現実の世界に引き戻された。
「ああ、僕はなんてことをしているんだ・・・。
 日本がこれまで爆撃を繰り返したことで住む場所を失われた人は多いはずだ。
 それに何人も死者を出していることだろう。
 あの基地の中には何人も兵士がいたはずだ。
 その家族や恋人はこれから先、どうなるんだ?
 僕たちがやっている行為は正義の名を借りた殺人ではないのだろうか?」

感傷的になっていた純はレーダーに追尾ミサイルが接近していることを知らせる
サインが出ていたのを見落としていた。気がついて咄嗟に回避行動をとったが
すでに機体に接近していたミサイルから逃げることは出来なかった。
突然、機体に衝撃が走った。ミサイルは純の機体の下部に命中したのだ。
「あああ・・。」
純の下半身に激痛が走った。見るとボディがめくれて機体の一部が股間に刺さっていた。
フライトスーツは内側からだんだん赤く染まってきた。出血はかなりひどいようだ。
金属片の一部は純の顔にも刺さり額からも赤い血がしたたり落ちてきた。

純は生まれて始めて死への恐怖を感じた。
「美穂、僕を守ってくれ!」
純は美穂にかけてもらったペンダントを握りしめ気弱になりそうな自分と闘っていた。
なんとか痛みに耐えながら純は冷静に機体を確認した。
運良くエンジンはやられていない。しかし、レーダーは壊れてしまったようだ。
雲の中に逃げ込んだ純は方向がまったくつかめなくなってしまった。
どうしよう?このままでは僕は死ぬのを待つだけなのか・・・。

パニック状態に陥った純は前方の雲の中にかすかに光る物を見つけた。
やがてその光は人の形となった。その姿は今は亡き純の父に似ていた。
「こんな幻影を見るなんて僕はもうダメかも知れない・・。」
すると純の心の中に父の声が浮かび上がってきた。

(CHAPTER-2)

「純、以前にお前に教えてやったことを忘れたのか?
 レーダーは上空の敵にしか反応しない。機体を下げて海面すれすれに飛ぶんだ。
 そうすれば相手から見つかることはない。弱気になるな。
 弱気になったらお前の負けだ!」
純は言葉に従いなんとか痛みをこらえて雲の中を抜けて海面すれすれまで
機体を落とし波を叩くような高さで飛行を続けた。
そうか、この低さなら相手のレーダーからも察知されることはないんだ。

「純、自動操縦に切り替えろ!コマンドはわかるか?日本に帰るには・・・」
大量の出血で意識が薄れていく中、純は父に言われたとおりに自動操縦装置に
コマンドをインプットすることが出来た。ありがとう、お父さん・・・。

運が良ければこのまま美穂の待つ日本に帰れるかもしれない。
機内のラジカセからは純の最も好きな曲であるジョン・レノンの「イマジン」が
流れ出した。「想像してごらん?世界が一つになれば戦争はなくなる・・。」
意識を失う寸前に父が去っていく姿が見えた。
「お父さん、もし僕が生きて帰れたらもう争いごとはしたくない。
 全く別な新しい人生をやり直してみたいんだ。
 そして平和な世界がくることを願って生きていきたい。いいよね?」
父は微笑みながらうなずいて雲の中に消えていった。

純を乗せた「SU-27」は失神したまま無事に日本の基地に戻ってきた。
防衛隊の基地で待っていた美穂は機体の下部の著しい損傷を見て不安がよぎった。
「純、生きて帰って来たのでしょう?いやだよ、死んじゃいやだよ!」
救急隊といっしょに機体に駆けつけた美穂は純の股間に機体が食い込み、
機体から出てこられない状態であることを目の当たりにした。
救急隊の隊長は泣き叫ぶ美穂に向かって冷たく言った。
「お嬢さん、彼の命は大丈夫です。しかし、機体から切り離す時に彼の股間も
 いっしょに切断することになります。どんな意味であるかおわかりですね?」
「・・はい。生きていられればどんな姿になってもいいわ。」

美穂は純が手の中に引きちぎられたペンダントを握っていることに気がついた。
救出作業中になくなってしまうかも知れない。
美穂は失神している純の手のひらからペンダントを取り除いた。
「それではお願いします。早く純を助けてあげてください!」
美穂は巨大なカッターが機体を切り刻む音に耳をふさいでじっと耐えていた。
「純、どんなことがあってもあたしたちは一つだからね・・。」

純が目を覚ましたのは病院の救急医療室だった。
厳しい表情をした医療チームが純の周りを取りかこんでいた。
「浅香 純さん。あなたはとても悪い状況です。
 応急処置は済ませましたので命に別状はありませんが、あなたに必要な治療は
 ここでは出来ません。これから埼玉県になる専門の病院に移動してもらいます。
 あなたの婚約者である美穂さんはすでにそちらでお待ちです。」
早く美穂に会いたい。彼女の天使のような笑顔が早く見たい。
純は生きて帰れたことが帰れたことがうれしかった。

救急車に乗り込む時、純は自分の股間が大げさに包帯で覆われていることが気になった。
麻酔がかけられているのか、下半身には何も感じない。
不安になった純は付き添いの看護婦に聞いてみた。
「僕はどれくらい悪いのですか?」
「生きていられるのが不思議なくらいひどい怪我をしているの。
 病院ではカウンセリングをしてから治療方法を決めるって言っていたわ。」
再び打たれた麻酔の注射で純は眠りについた。

目が覚めた時はすでにベッドの上にいた。
すでに純が寝ているうちに診察は終了し、これからカウンセリングをするらしい。
純は早く美穂に会いたかったがまだ会わせてもらえないようだ。
やがて純の入院している個室に医師がやってきた。
医師は純の子供の頃の話や趣味、嗜好などを細かく聞いてきた。
純はなぜこんな会話が治療に役立つのか不思議な気分だった。

一時間後、女性医師といっしょに美穂がやってきた。
美穂は純の顔を見るなり泣き出してしまった。
「美穂、せっかくの再会なのにもっとうれしそうな顔をしてくれよ?」
「純・・・。」
美穂は泣きながら下を向いたままだった。
医師は会話がとぎれていることを見計らって純の元に座った。
「純さん、今まで医療チームがあなたの治療方法について会議をしていました。
 精神科医のアドバイスもありその結果、
 あなたには性別を変える外科手術が必要であると決まりました。」
「性別を変える手術ですって?こんな時に冗談を言わないでくださいよ?」
「不幸にもあなたの性器は組織の損害がひどく、以前のレベルに回復させるのは
 不可能な状態なのです。精神科医もあなたの深層心理を探った結果、
 女性に移行しやすい心を持っていることを確信してくれました。
 すでに美穂さんとも相談済みです。後は二人でよく話し合ってください。」
女医が出ていったあと、美穂は重い口をやっと開いた。

「純、約束どおり生きて帰ってきてくれてありがとう・・・。
 あたしは純が元気になってくれれば何もいらないわ。
 お医者さまの話では外科手術であなたのペニスを修復することは出来ないほど
 ひどい損傷を受けているらしいのよ。今の医学ではもうどうすることもできないの。
 模造の性器をつけて惨めな思いをしながら男として生きていくなら、
 思い切って異性に変身した方が今後の人生にとってうまく行くって勧められたの。
 お医者さまはあなたを完璧に女性の姿に作り替えてくれることを約束してくれた。
 あたしは承知したわ。それがあなたのためになるなら・・・。
 あなたは性器を女性のものに作り替えてあたしと同じ女性になるのよ。」
「そんな・・・。僕たちはこれから男と女として結婚するはずだったじゃないか?
 美穂はそれでもいいのか・・・?」
「どんなことがあってもあたしはずっと純のことを愛しているわ。
 たとえ夫と妻になれなくてもいいの。姉と妹のような関係でもいいのよ?
 何があってもあたしが一生守ってあげる。
 あたしたちはいつまでもいっしょよ。ねえ、お願い。
 意地を張らないで女になることを考えてよ・・・。」

自分の将来について真剣に考えた結果であることがわかった純は、
泣きじゃくる美穂の手を握りしめた。
「僕のことを心配してくれてありがとう。君の言う通りにするよ・・。」
二人はその晩、ずっと泣いていた。

(CHAPTER-3)

次の日の夕方に純の性転換手術が行われることが決まった。
純は突然の運命の変更に戸惑っていた。
僕の将来はいったいどうなるのだろう?
母と僕との関係は?僕は母の娘になるのだろうか?
美穂とは?女と女ならレスビアンの恋人同士になるのだろうか?
女になってしまうと僕たちの結婚は成立しないのかな?

午後になり婦人科の女医である十朱先生がやってきた。
「あなたは性転換手術が終われば普通の女性として生きてくことができるわ。
 もし受け入れられなかった場合は男性としての機能を失った状態のまま、
 惨めで中途半端な生活を送っていくことになったでしょうね。
 私はこれまでにあなたのように事故で男性器を失った人を何人か知っているの。
 年齢も若くないし、外見も女性として生きていくには不向きな人ばかりだったので
 その後の人生を模造の男性器をつけて暮らしているの。
 ほとんどの人は生きる望みを失ってしまうらしく寂しいものよ。
 でもあなたはまだ若い。お顔も女性的な顔立ちをしているし、
 背格好も充分女性として通用するでしょう。
 生き方がまったく変わることで不安かも知れないけどきっと大丈夫。
 この世の半分は女性なんだもの、あなたはその一員になるだけよ。」

その後も十朱女医は純に女性になることの不安感を取り除けるように
いろいろなアドバイスをしてくれた。
「先生、性転換手術ってどんなことをするのですか?」
「あなたのつぶれてしまった睾丸を摘出しペニスの残骸から腟を作りだすの。
 傷ついてしまったお顔もちょっといじってあげる。
 少しでも女らしいほうがいいでしょう?
 電気脱毛が済めばあなたの肌はすべすべになるでしょう。
 その後のホルモン療法を続けていくうちには年頃の娘のように
 胸が膨らんできてやがて乳房になり、ヒップも大きくなるわ。」

「大変な手術なんですね、その後の治療も辛そうですね・・・。」
「手術よりもその後、あなたの内面を変えることがもっと大変なのよ。
 あなたは23年間男性として生きてきた。そのすべてを棄てなくてはならないの。
 外見だけ女性になるのだけではなく、仕草や身の振る舞い、考え方や生き方まで
 すべてを変わらないといけないのよ。
 女性に移行するまではかなり精神的なダメージがあるでしょう。
 でもあなたにはお母さんや美穂さんがついているからきっとうまく行けと思うの。
 あたしも出来る限り協力させていただくわ。」
「ありがとう、先生。少しは気分が楽になりました。」

手術の前に田舎から母親の智恵子が駆けつけてきた。
純の股間に巻かれた痛々しい包帯を見た母は予想通り嘆き悲しんだ。
しかしいっしょにいた十朱女医と美穂に励まされやがて気持ちも落ち着いてきた。
「純・・。お父さんの影響で防衛隊に勤務しなければこんなことにはならなかったのね。
 ごめんなさいね、あなたを無理に男らしくしつけることがなければ・・。」
「僕なら大丈夫だよ。それに普通なら死んでいた所だったのに、
 生きて帰って来られたのは天国にいるお父さんが僕を助けてくれたんだよ?
 お父さんは僕を守ってくれたんだ。僕は今でも尊敬しているよ。
 お母さん、僕はどんな姿になってもずっと美穂といっしょにいたい。
 僕には美穂が必要なんだ。出来ることなら形だけでも結婚式を上げてみたいよ。」
「いいわよ、純。さっそく式場にウエディング・ドレスを2着予約しましょうか?」
「僕がウエディング・ドレスを着て花嫁さんになるの?
 ははは、それはいいや・・・。」

手術室に消えていく純を見送りながら、母は純が無理に強がりを言っていることが
とても痛々しく思えた。しかし、これは受け止めなければならない現実なのだ。
耐えてね、純。どんな辛いことがあってもお母さんと美穂ちゃんがついてるわ・・。

純は手術台の上にあがり、股を大きく開かされ、その後足を固定された。
外科医師は純の股間にマジックで手術する位置の印を付けて純に言った。
「純さん、これからあなたを女性に変える手術を行います。
 もう2度と男の世界には戻れません。覚悟はいいですね?」
純は深くうなずいた。
「これから僕はまったく別な世界へ生まれ変わるんですね。
 今まで経験したことのない未知なる女の世界へ・・。」
看護婦が純の腕に麻酔注射を打つと純は夢の世界へ旅立った。

純は夢の中で自分の子供時代のことを思い出していた。
外出する前に母が鏡台の前で化粧しているシーンだった。
「お母さん、女の人ってなんでお化粧するの?」
「お化粧は女のたしなみなの。女は少しでも綺麗にみられたいのよ。
 純もお母さんが綺麗に見られたほうがいいでしょう?」
「うん。お化粧って気持ちよさそうだね、僕にもしてみてよ?」
「お父さんに見つかると怒られるからないしょにしてね。」
それから母は純の唇に口紅をさしてくれた。
「なんかヘンだね・・・。」
純は母の前では強がりを言ってみせたが内心はドキドキしていた。

お母さん、僕もこれからお母さんみたいになるのかな?
僕も人から綺麗に見られたいって思うのかな?
そうなったらあの時のようにまたお化粧をしてよね・・。
僕はもうすぐお母さんと同じ女になるんだよ・・。

外科医は純のボディをみるみるうちに女性に変えていった。
切り裂かれた時に残っていたペニスは裏返されて新しい腟となった。
膀胱は女性のような位置に置き直された。
以前、睾丸を包んでいた部分は美しい襞をもった花びらに生まれ変わった。
また短期間で女性の乳房を作り上げることは無理なので医師の判断で
少量の生理用食塩水を胸に注入し小振りであるが形のいい胸を作り上げてくれた。
その胸は思春期を迎えた娘のように見えた。
手術後は大量の女性ホルモンが投与され、若干の副作用も伴ったが
母と美穂が交代で付き添ってくれ励ましてくれた。
同時に顔や足の電気脱毛が行われ純の肌は女性のように変わっていった。
そして損傷を受けた顔面にも多少の整形手術が同時に行われたのだ。

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