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LET'S ぺったんこ座り

作:T・H








ぺったんこ座り…普通一般的には女の子にしか可能とされていない座り方。
時は2×××年、現在世の中の法律では女子は座る時、必ずぺったんこ座りを
しなくてはならないと言う法律がある。ちなみに男子の場合は、法律では
どんな座り方でも許されるらしいが、決して男子がぺったんこ座りをしては
いけない訳ではないが、現在の世界では男子でぺったんこ座りをできるものは
誰1人いないはずであるのだが…。



今日も俺は練習に励んでいた。いつも通り俺は家で練習をしていたのだ。
俺がやっていた練習、それは…女の子しか可能とされていないぺったんこ座り。
実にくだらない事と思うかもしれないが、俺にはある目標があった。
それは、俺が女の子しかできないぺったんこ座りをマスターして、
世界で男の人始めてのぺったんこ座りのできる人として、ギネスブックに
俺の名前を収めたかったのだ。ちなみに、俺の名前は高見澤 優希。
…足を吊ってしまった。何で女の子は簡単にぺったんこ座りができるのだろうか?
不思議でたまらなかった。俺がやろうとすると、どうも足を吊ってしまうようだ。
だが、ここで負けるわけにはいかない。そんなことじゃギネスブックに
名前を収めるなんてことは無理だ。俺は、何度も足を吊りながらも必死に練習した。
そして1週間後。…できた。できた!遂に俺はぺったんこ座りに成功した。
これでギネスブックに名前が残せるかもしれない。俺は嬉しくてたまらなかった。



次の日。学校で俺はぺったんこ座りができたことを親友に話したのだが…
「へっ?ぺったんこ座り?そんなもん男ができるわけねーだろ?」
などと言われてしまった。でも、俺は言い返した。
「信じらんねーと言うのなら、ちゃんと証拠を見せてやるよ!」
「証拠っつったって男にできるはずがないだろ」
「んじゃ、今日はバレー部も練習が入っていないから、放課後体育館でやってやるよ」
とりあえず俺は、放課後に体育館で証拠を見せてやることにした。



今日はバレー部の練習もないため、静かになっている我が高校の体育館。
あっという間に放課後になり、これから俺は親友にやっとマスターした
ぺったんこ座りを見せようとしているところだ。
そして、俺は親友の前で堂々とぺったんこ座りをしてみせた。
「…マ、マジかよ!?何でぺったんこ座りができるんだ!?お前本当に男か?」
親友が俺のぺったんこ座りを見て言った。そしてその直後、
「案外高見澤君って男じゃなかったりするんじゃな〜い?」
突然体育館のどこかから女子の声が聞えてきた。すると、体育館内にある
女子バレー部の部室から突然同じクラスの西野 遥が現れた。
西野さんは最近転校してきた子である。
今日は部活はないのに、何故西野さんがここにいるんだろう?
「現在どこ探したってぺったんこ座りができるのは女の子だけなはずだよ!それなのに男の高見澤君ができたってことは、高見澤君って本当は女の子なんじゃないの〜?」
「おいおい、いくら何でも優希が女の子なわけないだろ?なあ、優希?」
「そ、そうだぜ。確かに俺は男だぜ!人間やれば何でもできるって言うじゃないか?」
「でもぺったんこ座りだけは絶対女の子にしかできないはず!ということは高見澤君が女の子だったとしか考えようがないよ」
俺たち3人の議論だか言い合いだかよくわからないのは、しばらく続いた。
そしてしばらくして、西野さんから俺のこれからの人生を変えるきっかけともなる言葉が発せられた。
「もしかして高見澤君って、女性仮性半陰陽だったりしない?普通本人は気付かないらしいけどさ?」
「ん!んなわけねーよ!俺は絶対男だ!」
「だから普通本人も気付かないって言ってるでしょ?一応それ関係専門の医者に行って見てもらえば?」
それきり会話は途切れた。



俺は家に帰ってからも、ぺったんこ座りを何度もやったが…
どうも西野さんの言ったことが気になる。確かに俺は今、世界でただ1人の
男でぺったんこ座りができる人かもしれないが、逆に言えば、俺は今
女の子しかできないことを可能としている男とも言える。
女性仮性半陰陽か…まさか。まさかな。そんなはずないよな…。
しかしどうもそのことばかりが気になってしまい、数日後、
俺は半陰陽とかに詳しい医者を尋ねていた。
自分がちゃんと男であると言う証拠がないと段々不安になってきたのだ。
なのでちゃんと証拠を得るために医者に来たのだが…
「どうやら君は本当に女性仮性半陰陽のようだね」
医者が衝撃的な一言を俺にぶつけてきた。
ガーン…俺は今まで自分が本当に男だと信じて生きてきたのに…。
どうりでぺったんこ座りができると思ったら、本当は俺、女だったのか…。
…本当に西野さんの言っていた通りだ…この世にぺったんこ座りのできる
男の人なんて存在しないんだ…。俺はこれからは、事実が判明した以上、
女の子として生きて行くことになるのかな…???



俺の手術は3日後に行われる事になった。
本当は女性だと判明した以上、身体を本当の女性のものに変える手術だ。
俺は女性だったと判明したが…手術をする前は俺はまだ男だ。
ちゃんと戸籍だって男になっているんだし。手術が3日後と言う事は
タイムリミットは3日間。手術をする前に男の俺がぺったんこ座りを
している証拠写真を残してギネスブック発行会社に送れば、まだ
ギネスブックに名前を残せるかもしれない。どうしても俺は名前を残したい。
いくら女の子なら普通はできるとは言え、俺は今まで男だと信じて
生きてきたからこそできた時の喜びも大きかったんだ。
とりあえず証拠写真を3日以内に撮らなくては!あ…そいえば今は
カメラが壊れてたんだった…。しょうがない、コンビニで購入するか。
俺は自分の貯金箱をひっくり返した。出てきた金額の合計は、
ズバリ153円ナリ。…全然足りない。カメラは安いやつでも700円
くらいはするし…。でも、もう少しすればお小遣いデーがやってくるが…
間に合わない。お小遣いデーは4日後だった。どうしよう…。
昨日ゲーセン行かなければ今頃余裕であったのに…。



「なあ、頼むよ!そこを何とか!親友だろ?」
次の日の昼休み。俺は親友に学校でお願いをしていた。
「でもなー、俺だって今は週末で金欠だしさ」
「そこを何とか!」
「って言われてもなー、別に今すぐじゃなくてもいいんじゃない?」
実はまだ俺が本当は女性だったことは親友には言っていないのである。
いずれにしろ、手術によって3日後くらいにはみんなに知られる事になるけど…
今はまだ言いたくないのである。
「いや、すぐじゃないと間に合わないんだよ!だから何とか…」
「俺は今全財産たったの51円だぞ?それで何とかしろって方が無理だろ…」
…こいつ、俺より持っている金が少ない。でも、それが本当だったら
いくら頼んだって…無駄だよな。



帰り道。俺が一人空しくとぼとぼと歩いていると、
「カメラ必要なんでしょ?」
突然後ろから誰かに話し掛けられた。後ろには西野さんが居た。
「ああ、西野さん…えっ?何でカメラが今必要だってわかったの!?」
「様子を見れば大体わかるよ。どうせ3日後に手術でもするんでしょ?」
「えっ…手術…なんでそこまで知ってるの!?」
「まあまあ、今はそんなことどうでもいいからさ!残り日数が少ないんでしょ?カメラ買いに行こ!」
「あ、でも…俺、今金欠で…」
「だから俺が何とかするよ!だからカメラ買いに行こ!」
「う、うん…西野さん?今、『俺』って言った?」
「へっ?そ、そんなこと言ったかな?きっと気のせいじゃないかな?」
「う〜ん、気のせいかなー?」
「あ、それよりさ、コンビニに売っているカメラで大丈夫かな?」
「あ、うん、大丈夫」



その後、コンビニでカメラを買ってもらって、俺は西野さんを連れて自分ちへ帰った。
撮影は部屋で行うことにしたのだ。
「じゃあ高見澤君、準備はいいかなー?じゃあぺったんこ座り行ってみよ〜う!」
俺は準備した。要するにぺったんこ座りをした。
『パシャ』『パシャ』『パシャ』カメラで3枚ほどの写真を撮った。
その後は適当にカメラのフィルムを使いきり、現像に出してその日の夜、
写真を取りに行き、俺はギネスブックの出版社へ写真を送った。



それから数日後。もう手術も終えて、私も今はすっかり女の子になってしまった。
始めは周りや自分自身でも色々と対応に困ったが、ある程度は慣れてきた。
女の子になった私の今の体では、足に力を入れなくても楽々と
ぺったんこ座りができるようになった。そいえばしばらく気になっていたことがあった。
何故西野さんはあの時、1発で私の女性仮性半陰陽を1発で見破ったのだろうか?



昼休み、私は西野さんを人がいないところに呼び出して聞いてみた。
すると、西野さんから予測もつかなかった答えが返ってきた。
「何故1発で見破れたかと言うとね、それはねー…俺も女性仮性半陰陽だったからさ!」
西野さんは今からちょうど1ヶ月前くらいに判明したそうだ。
ちなみに、男だった時の名前は教えてもらえなかった。私の場合、
現在は優希という名前の優に子をつけて優子と言う名前に変わったのだが。
西野さんは今まで男だった自分が女性として学校に行くのがどうしても
嫌だったらしく、仕方なく家族で引越しをしたようだ。
それで現在は私の通う高校に、普通の女の子として入ってきたのである。
「まあ俺も半陰陽だったからさ、大体様子見て何だか俺の時と様子が似てるなー。もしかして高見澤君も半陰陽じゃ?と思ってね」
「で、でも半陰陽って世界中の人間の中でもごくわずかなんだよね?」
「そうみたい。でも、偶然半陰陽同士が近くにいることもあるよ」
今は自分が半陰陽だったことより、西野さんが半陰陽だったことに驚いていた。



そして更に数日後。すっかり女の子になってしまった私は、
同じくすっかり女の子になってしまっている西野さんと一緒に
ギネスブックを求めに本屋へ行った。
ちょうど今日が最新版の発売日なのだ。
早速ギネスブックを購入する。そして近くの公園のベンチに座りながら、
西野さんと一緒になってページをめくる。あった!
ちゃんと男の時の私のぺったんこ座りはギネスとして認められていた。でも…
「なんだか写真見た限りだとかなり無理やりっぽいねー」
俺が思っていたことを、先に西野さんが言った。
そう。女の子になった今となっては楽にできるぺったんこ座りも、
実は男だった時は少し無理して完成させていたのだ。
でも…ギネスブックに名前が載ったからいいけど。でも、ここに出ている
名前の主は、もうこの世にはいないけどね。
今、私の名前は高見澤 優希ではなく、高見澤 優子なのだから。





☆あとがき☆


何故だか突然ぺったんこ座りが頭から離れなくなってしまい、書いてみた話です。
実は最近学校の体育の時間に見てしまいました。女子が本物の
ぺったんこ座りをしているところを。それで思わず書いてしまいました。
何だか書く前に始めに自分でイメージしていた話とはだいぶ違ってしまいましたが、
いかがでした?最近続きがいっぱいたまっているので、また続きにすると
キリがないので、今回はショートストーリーにして見ました。
そのうち新作を投稿する予定ですので、以後の作品もよろしくお願いします!


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