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少女として
作:T・H





<第1章>


「ゆっかー!一緒にかえろー!」
「あ、沙希、うん、かえろー」
突然あたしに話しかけてきたのは沙希だった。
あたしはいつも通り沙希と一緒に下校する。
沙希が私に話しかけてくる。
「ねえ、ゆっかー、ゆっかーてさー、誰か好きな男子っているかなー?」
「え?突然どうして?」
「いや、別にね、特に意味はないんだけどね、なんとなく」
「なんとなくって・・・沙希、知ってるくせにどうしてわざわざ聞いてくるわけ?」
「別にいいじゃん」
「・・・・・」
あたしは、沙希があたしは恋愛の対象としては男の子に
興味は特に示さないということを知っていた。
なのに、沙希はおもしろがってあたしに聞いてきたのであった。
「そういう沙希はどうなのよー?」
今度はあたしが聞き返してみた。
「あたしだってすぐに彼氏ができたら苦労しないわよー・・・ゆっかーは男子から持てていいわよねー、ゆっかーって本当は・・・」
「沙希、それはあんまり言わないでよ・・・」
沙希は、あたしの重大なある秘密を知っていた。
「何で正式に女の子であるあたしがあんまりもてないで、ゆっかーが周りの男子から好かれるんだろう・・・?」
「あたしだって、もう完全に女の子みたいなものだからかなー?」
「うん、ゆっかーは周りから見ればちゃんと女の子してるよね、でもゆっかー、もし男の子と付き合うことになったらどうする?」
「・・・沙希、怖いようなこと言わないでよ・・・」
あたしからとって、そのセリフはかなり怖く聞こえた。
何故なら、あたしは・・・・・。

あたし、佐藤 有香。どこにでもいるような中学3年生です。
みんなからは『ゆっかー』ってあだ名で呼ばれてるの。
そして、今一緒に帰っているのは学校での友達であり、
同じクラスであり、そして・・・あたしの重大な秘密を
唯一知る人、相沢 沙希ちゃん。
沙希ちゃんとは、いつもほとんど一緒に下校しているの。
そして、今日もいつも通り一緒に帰っている。
あたしの秘密を知っているせいか、どうもいつもあたしを
からかうくせがあるようだ。内容は、必ず男子の彼氏に
ついてなどのことであった。
普通の女の子からしてみれば、男子は異性の人。
だが、あたしからは異性の人という感じはしなかった。
周りから見れば、確かにあたしは女の子ではあるが・・・。
「あ、じゃああたしはいつも通りこっちの道だからさ!じゃーねー!」
「うん、沙希、また明日」
「うん、ゆっかーもまた明日ね」
沙希は自分の家目指してあたしとは別の道に姿を消した。
あたしは、無言のまま家を目指す。1分もしないうちに着いた。
あたしと沙希の家は、隣同士という訳ではないが、歩いて3分も
かからないという位置間隔にあった。
なので、あたしは1分もしないうちに着いたのだった。
「ただいまー」
いつも通りあたしが発した言葉に対して、
「あれ、おかえりなさい、有香帰ったのね?」
「うん、今日も疲れたよ」
いつもとお決まりのような母との会話ののち、
あたしは2階へ上がり自分の部屋へと入っていく。
(ふぅ、今日も疲れたわ、特に沙希はいつもいつも彼氏彼氏っていってくる・・・あたしの秘密はわかっているのに・・・)
あたしは下校の時の沙希とのやり取りを思い返して、かなり疲れてしまった。
実際の疲れではなく、精神的に疲れていた。
その日は、特にいつもとは何も変わりもなく、
あっという間に1日が過ぎ去っていくのであった。

次の日。今日は水曜日。
目覚まし時計はセットしていたのだが、
あたしは目覚ましが鳴る5分前に目が覚めた。
まずは起き上がってから、女子の制服を身につけ、
身支度をして下へ降りて行く。
そしてリビングに入ると、いつも通り朝食が用意されていた。
あたしは、どんどん朝食を済ませ、再び自分の部屋へ行く。
家を出れる準備が完了したので、家をあとにする。
「行ってきまーす」

学校へ登校していると、いつも通りの場所で沙希と遭遇する。
「ゆっかー、おはよー」
「沙希、おはよう」
いつも通り、まずはあいさつをお互いに交わす。
その後の会話の内容は、
「はぁ・・・あたしが男子に好かれるのはいつになるやら・・・ゆっかーはいいよねー・・・あんなに男子に好かれてて」
「沙希・・・あたしは好きで好かれてるんじゃないし・・・男子に興味ないのはわかってるでしょ?そんなうらやましそうな言い方しないでよ・・・」
「でも、ゆっかーは本当にうらやましいわよ、周りから見れば女の子でも、正式って訳じゃないのにあんなに男子に好かれてさー・・・」
「沙希・・・こんな会話してても空しいからもうやめようよ・・・」
「・・・うん、そうだね」
会話をやめた頃には、あたしたちはもう学校の手前近くまできていた。

学校に着いたあたしたち。いつも通り沙希と教室を目指す。
教室に入ったら、
「あ!ゆっかーに沙希、おはよー!」
1人の女生徒が元気よくあたしたちにあいさつしてきた。
あいさつしてきたのは、あたしと沙希とは結構仲良しの
藤沢 光ちゃんだった。
「光、おはよー、今日は何だか機嫌がよさそうだね」
あたしが光ちゃんに対して言葉を発する。
「うん、実はね、今朝の占いで今日は運勢がいいらしいの!特に恋愛運がいいらしくって!」
「・・・でも今朝にやってる占いってあまり当たらないような気が・・・」
「それは人によってじゃないの?私は占いを信じるよ!沙希は占いって信じる?」
突然、光は話題を沙希にも振った。
「あたしはどうだろ?結構信じちゃう方かなー?」
沙希は少し迷ったように答えた。実は沙希は、
占いで恋愛運がいいと言われても実際にまだ彼氏が
いないから、信じるかどうかは微妙であったらしい。
「あ!そういえばさ、今日はゆっかーの分の占いも見てきたよ!」
「え、そうなの?私の運勢どうだった?」
あたしははっきり言って占いなどはあんまり信じない派であるが、
そこまで話題に入りいってしまうと、運勢が気になってしまう。
あたしは光が言葉を発するのを待つ。
「ゆっかーはね、今日は恋愛運が最高みたいだよ!おもわぬ出会いがあるかも?だって」
「え?・・・思わぬ出会いって・・・あたしが・・・?」
「きっとステキな男子がゆっかーの前に現れるんでしょ!」
「・・・本当かなー?」
あたしは、頭の中で本当にそのようなことが起こったら、を
シミュレートしていた。そしたら、あたしは少し怖くなってしまった。
本当に素敵な男子が目の前に現れたらどうしよう。
あたしは男子からの恋愛感情なんて受け止められないのだから・・・。

あたしはその後は、いつも通りに授業を受けた。
そして昼休みにて。
あたしはその時、給食の時間くらいからずっと我慢していた。
え?何を我慢していたのかだって?それはね・・・。
そして、今そこに行けば、その我慢の甲斐があるというものだ。
なので、あたしは必至に『トイレ』を目指して走っていた。
本当に必至に走っていた。そのため、周りの注意は気にしなかった。
そのために、このあとあんなことが起こってしまったのだろう。
あたしがトイレを目指して廊下を曲がろうとした時、
あたしはある男子とおもいっきりぶつかってしまったのだった。
『ドンッ!』ある男子とぶつかってしまったあたしは、
そのままその場に倒れて猛烈な勢いの痛みに耐える。
あたしとぶつかったある男子もかなり痛がっていた。

2分くらい経っただろうか?お互い起き上がる。
今まであたしと、あたしとぶつかったある男子は
ずーっと頭を抑えていた。
「いてててて・・・」
ようやくあたしとぶつかった男子が言葉を発した。
あたしもまだかなり痛いままであったが、
ぶつかってしまったのであたしは頭を抑えながらも
「いたたたたた・・・ご、ごめん・・・大丈夫だった?」
「う・・・うん、な・・・なんとか・・・いててててて・・・」
あたしは痛がっている目の前のある男子の顔を見た。
そして、あたしはこの時点でぶつかった相手が誰なのか気付いた。
そのあたしがぶつかった相手は、勉強はできて、
運動神経は抜群、そして性格もかなりよいという、
かなり女子からの人気が高い男子であった。
ちなみに、その人の名前は藤井 智樹くん。
そして、藤井君もぶつかった相手があたしであったことに
気付いたようだ。何故か突然藤井君は顔を俯けた。
「藤井君・・・突然あたしが飛び出しちゃったせいで・・・ごめんね」
「う・・・うん・・・でも、これには俺の不注意もあったよ・・・」
藤井君は少し俯きぎみに言った。
「本当に大丈夫?保健室行く?」
「あ、いや、そこまでしなくても大丈夫だよ・・・気遣ってくれてるんだね・・・有香ちゃんは優しいね・・・」
「え・・・そんな、あたしは別にそんなつもりじゃ・・・」
「いや、俺には有香ちゃんは優しいってことがわかるよ・・・ありがとう」
「・・・・・」
何故かあたしまでもが少し俯きだしてしまった。
「あ、俺ちょっと行かなきゃならないから、有香ちゃん、ちょっと無責任だけど・・・ごめん」
そう言い残して、藤井君は少し焦ったような感じでこの場から去って行った。
「ゆっか〜!これって、占いがあたったんじゃないの〜?」
突然どこからともなく沙希が現れた。
「え・・・沙希・・・もしかして・・・さっきからずっと見てた?」
「うん!そうだよ〜、話も全部聞いちゃった〜!」
「あたしもちゃんと話を聞かせてもらったよ〜!」
どこからともなく、次は光が現れた。
「もしかして・・・2人して聞いてたの?」
「うん、そうだよ〜!」
「・・・・・・・・・・」
「ゆっか〜、気遣ってくれてるとか、優しいとかって言われてたね?」
「え、う・・・うん、言われたけどー、それが?」
「そして最後の藤井君のありがとうの一言、そして焦ったような立ち去り方・・・これはまさしく」
沙希がこの続きを言うかと思ったら、続いて光が
「要するに、藤井君はゆっか〜に恋をしちゃったのね?」
「ピンポ〜ン!大当たり〜!」
沙希と光は2人で盛り上がっていたが、あたしは一瞬時が止まったようだった。
そして、今までの出来事をゆっくりと整理し始める。
・・・・・・・・・・ようやくあたしは頭の中での整理が終わった。
それと同時に、現在の状況を把握した。
「え・・・ええ〜っ!!うっそ〜!?」
あたしは思わず大声で叫んでしまっていた。
「ゆっか〜、落ち着いて!嘘なんかじゃないよ!」
沙希があたしに言ってきた。
続いて、あたしの秘密を何も知らない光は、楽しそうに
「ゆっか〜、藤井君よ?あの女子からは人気の高い藤井君がゆっか〜に恋したのよ?もっと喜びなさいよ〜!」
そして、続いてあたしの秘密を知っている沙希までもが、
「ゆっか〜、うらやましいな〜藤井君に恋されて」
「ちょ・・・ちょっと・・・沙希まで・・・」
あたしはかなり困り口調で言った。
あたしはどうすればいいんだろう!?今までは周りの男子から
好かれるくらいだったから適当に対処できたけど、
相手が藤井君となれば対処の仕様がないかもしれない・・・。
あたしは・・・あたしはどうすればいいんだろう・・・。
このまま素直に藤井君の恋を受け止められる訳でもないし・・・。
もしあたしが藤井君の恋を受け止めてしまったら・・・藤井君は・・・。
あたしは何故か体中が小刻みに震えてきていた。
それに沙希と光が気付き、
「あれ?ゆっか〜、どうしたの?何だか震えてるみたいだけどー?」
「ゆっか〜、どうしたの?そんなに震えて?」
「え・・・別に・・・」
「あれ?そういえばさ、ゆっか〜ってさっきトイレ行くって言って教室を出たんだよねー?」
「あ!!!そういえばトイレに行こうとしてたんだった!」
あたしはトイレのことを思い出し、急いでトイレへ駆け込んだ。
体中が震えたのは・・・もう我慢の限界がきそうだからというだけなのであった。

あたしはトイレを済ませて、まだ昼休み中の教室へ戻る。
教室には、沙希と光が先に戻っていた。
あたしが教室に戻ってきたことに気付いたらしく、
沙希と光は早速あたしのところに駆け寄ってきた。
「で、ゆっかーは藤井君のこと、どうするの?」
光がいきなり聞いてきた。
続いて沙希もおもしろがって
「ゆっかー、これは運命なのよ?ゆっかーはうらやましいよ〜」
・・・沙希は秘密を知っているせいなのか、本当に
あたしをからかうのが好きなようだ・・・。
秘密を知らない光はともかくとして、沙希にまで
一緒に言われると少しあたしは困ってしまう。
いや、むしろ少しではなく、かなりかもしれない。
あたしは困ったままの口調で
「べ・・・別にあたしは・・・藤井君には悪いけど、気持ちを受け止める気はないよー・・・」
あたしは正直な気持ちを2人に伝えた。
いや、2人と言っても、沙希はどうせからかっているだけだろうから、
むしろ光に対して言ったという方が正しいのかもしれない。
「そ・・・それに・・・本当に藤井君があたしに恋してるのかまだはっきりしてないし・・・」
「え?さっきの藤井君のゆっか〜に発した言葉や焦ったような立ち去り方を考えてみてよ!絶対あれはゆっか〜に恋してるよー!」
「そ・・・そんな・・・」
何も知らない光は、まるで無邪気な子供みたいに言ってくる。
「なんなら、藤井君に直接ゆっか〜のこと確認してみようか?」
「え・・・ええ〜っ!?そ・・・それはちょっと・・・」
あたしは正直言えば藤井君のことは決して嫌いではない。
だが、あたしはどうしても男の子の気持ちを受け止めることができない。
もし、あたしが正式な女の子だったなら、藤井君の気持ちを
素直に受け止めていたかもしれない・・・。
え?さっきから言ってる秘密とか正式なとかって何かだって?
う〜ん、それはねー・・・そのうち話すかなー?
「ゆっか〜、藤井君と付き合っちゃえばー!」
「さ・・・沙希までそんなこと言わないでよー・・・あたしの秘密知ってるくせに・・・」
あたしは、沙希があまりにもわざとらしく何度も言ってくるので、
つい腹がたってしまい、最後に小声で秘密と言う言葉を発してしまった。
沙希は知っているからいいのだが・・・まずいことにそれが光にも聞こえてしまっていた。
「え?ゆっか〜、ねえ、秘密って何なの〜?」
「え・・・光・・・秘密って何のこと・・・?」
「光、別にゆっか〜には何も秘密なんかないよー・・・」
沙希は自分のせいで腹をたたせてしまったせいなのか、
少しやりすぎたと感じているせいなのか、今はそんなことは
どうでもよかったが、さっきまであたしをからかっていた
沙希が今度はあたしと一緒になって秘密の話を反らそうとしてくれている。
だが、話が反れる気配ですら一向になかった。
「ねえねえ、ゆっか〜?秘密って何なの〜?沙希も知ってるの?」
「だからね、光、ゆっか〜に秘密なんて何もないって・・・」
「え〜っ、絶対怪しいよー!何か秘密があるでしょ?」
あたしはあまりにもしつこい光に負けてしまい、ついに秘密を話すことにした。
「・・・わかったわ・・・秘密・・・話すわよ・・・」
「いいの?ゆっか〜?秘密話しちゃっても?」
沙希が少し不安げに聞いてくる。
「うん、沙希にも話したんだしね・・・」
そう言って、あたしは自分の秘密を話し出した。

あれはまだあたしが生まれて間もない時のこと。
あたしの母さんと父さんは、どうやらあたしが生まれる前は、
どういういきさつなのかは知らないが、女の子が
生まれてきてほしがっていたようだ。
しかし、生まれたのは男の子だった。
だが、母さんと父さんはよっぽど女の子が
生まれてきてほしかったためなのか、名前でさえも
女の子の名前しか考えていなかった。
そして、あたしは有香と言う名前を授けられた。
あたしにはちゃんと男の象徴があり、体内には
精巣がある。だが、あまりにも小さすぎたあたしは
まだ考える力もなかったために、有香と言う名前の
まま育てられた。そして、あたしがまだ小さかった時に、
母さんと父さんはあたしに女性ホルモンの注射を
毎日受けさせていたのだった。あたしがその事実を
知ったのは、小学校5年生くらいになってからのことであった。
あたしは小さい頃に女性ホルモンを毎日注入されていたため、
男の子だったのにも構わず、体つきも声までも、そして
胸の膨らみまでもが女の子らしく育ってきた。
今思えば、それに気付かずにそのまま育てられてきたから
あたしは、もうすっかり仕草や言葉遣いまでもが
女の子のものとして身についてしまったのだろう。
もしあたしは男の子のまま育てられていたら、
今頃はどんな人生が待っていたのだろう・・・?
このことを思い出すたびに、ついいつも考えてしまう。
あたしは元々男の子なのである。今は、言ってみれば
女の子の振りをしているだけというのだろうか?
確かに見た目や言葉遣い、仕草などは女の子のもの
として身についているが、あたしは確かに男の子だ。
それだから・・・藤井君の恋を受け止めることはできない。
何故なら、それはもちろん、あたしは男の子なのだから。
今はすっかり女の子してるけど、あたし自身としては
親から1人だちして、もう1人で暮らせるようになったら
男の子に戻るつもりなのだ。今は母さんや父さんのために
女の子になってるようなものなのだから。
でも、いざ急に今まで女の子として生活してきた人間が
急に男の子に戻れるのだろうか?そこまではあたしにも
わからない。でも、あたしは最終的には男の子に戻るつもりである。
それだから藤井君の恋も受け止められない。
付き合い始めてからあたしが男の子だったなんて知ったら、
藤井君は一体どんな反応をするのだろうか?
・・・考えるだけでも、なんだか怖いような気がする。
あたしは正式とは言えないかもしれないけど、確かに
男の子として生まれてきた。女の子の振りをしている
だけなのだから、今は女の子として見られても構わない。
だけど、男の子と付き合うことだけは・・・どうしてもできない。
と言っても、今のあたしは本当は男の子だが、女の子と
付き合うという気にもなれない。どっちかと言うと、
すっかり女の子として育てられてきたせいなのか、
女の子の存在はただ、ごく普通の友達にしかすぎない
ような感じがする。もしあたしが男の子としてこの場に
いれば、多分沙希や光のことは気になる異性として
とらえていたのかもしれない。だが、今のあたしは
沙希も光も友達としてとらえている。そして、藤井くんや
男子は、異性でもなく、恋愛の対象でもないと考えている。

あたしはそのことを全て光に話した。
あたしに関する真実を知った光からしてみれば、
少なくとも10秒くらいは時が止まっていたであろう。
だが、光はやっと我に返り
「ゆっかー・・・今の話・・・ほんとなの?」
あたしに確認してくる。あたしが言おうとしたのだが、
「光はいきなり聞いたから驚いちゃっても当然だよね?あたしも初めて聞かされた時は驚いちゃったよー」
あたしの代わりに沙希が告げた。
「ゆっかー・・・男の子・・・!?」
「うん・・・あたしは確かに男の子だよ・・・」
「じゃあゆっかー、それって変態!?」
「光、ゆっかーだって、親とかの事情の上でそのように育てられたんだからしょうがないわよ」
「でも・・・それって変態なんじゃ・・・?」
「光、ゆっかーは女の子として育てられたんだから・・・変態なんていっちゃ失礼よ・・・ねえ、ゆっかー?」
「で、でもー・・・確かにあたしは男の子だしー・・・光の言う通り・・・変態かも・・・?」
「ゆっかー、もっと今の自分に自信を持ちなさいよ!ゆっかーは確かに男の子でも、今は立派な女の子そのものじゃない?ね?だから自信を持って!」
「う、うん・・・ありがとう・・・沙希」
「そういうことだから、光も変態なんて言っちゃだめよ?真実を知っても今まで通り接してあげなきゃ!まあ戸惑うのはわかんなくもないけどー・・・」
「う・・・うん、わかったわ、ゆっかー、ごめん、変態だなんて言っちゃって・・・」
「いや、別にいいよ、ね?気にしないで・・・」
「ゆっかーは本当は男の子でも、今は立派な女の子だもんね?」
「う、うん・・・ま、まあねー・・・」
あたしは、光にも真実を告げてしまった。
その後、光はあたしの本当のことはみんなにはバラさないことを
約束してくれた。そして、あたしに対する接し方もちゃんと今まで通りだった。
光はあたしの事情をちゃんと理解してくれたみたいだ。
それなのに・・・なのに・・・。

時間はあっという間に過ぎ、下校の時間。
「ゆっかー!一緒にかえろー!」
「あ、沙希、うん、かえろー」
突然あたしに話しかけてきたのは沙希だった。
あたしはいつも通り沙希と一緒に下校する。
「2人共まってよ〜ぅ・・・」
後ろから光がはぁはぁしながらあたしたちに追いついた。
「先に帰っちゃうなんてひどいよー・・・」
「光、ごめ〜ん、だってさー、光職員室から戻ってくるの遅いんだも〜ん」
「職員室ばかりはしょうがないじゃーん・・・」
あたしたちが帰る直前、光は何の事なのかまではわからないけど、
光は職員室に呼ばれていたのだった。
「光、さっき何で職員室に呼ばれてたの?」
「え・・・それはね・・・」
「あ!わかった!どうせまた英語のワークを提出してなかったんでしょ?」
「・・・実は・・・そうなんだよ」
光は、何故か英語だけはかなり苦手で、ワークを出さない
(周りから見ればそうだが、実際は問題がわからなくてできないだけみたい)
ということがしょっちゅうであったのだった。
「あ!そういえばさ、ゆっかーは藤井君とは結局どうするの?」
光が楽しそうにあたしに聞いてきた。
「ええ〜っ!?何で!?もうあたしの秘密話したから、あたしが藤井君の恋を受け止められないことは知ってるんでしょ?何でまた聞いてくるのさー・・・」
あたしは反論しようとしたが、特にその反論は通らなかったので、沙希に助けを求める。
「沙希〜、光になんとか言ってあげてよ〜う・・・」
「・・・・・・・・・・」
だが、沙希は無言である。
「・・・・・・・・・・」
「沙希、どうしたの!?」
「・・・・・・・・・・」
「沙希ってば!?どうしたの!?」
「・・・・・・・・・・やっぱり・・・」
「え?沙希、何!?」
「・・・やっぱり!ゆっかーは藤井君と付き合った方がいいよ〜!!!」
さっきまで無言だった沙希が、今度は元気よく言ってきた。
どうやらさっきの無言は、色々と考えていたためだったらしい。
「ええ〜っ!?何で沙希まで一緒に言ってくるのさ〜・・・」
「だって、もう光にも秘密言っちゃったんだもんね〜!だからこれなら光を味方につけられる!」
「やっぱ沙希もゆっかーは藤井君と付き合った方がいいと思うのね?わーい!早速計画を考えましょ!」
「ええ〜っ!?ちょ・・・ちょっと・・・」
あたしが止めようとしたのも無意味のまま、2人はあたしを取り残して
完全に2人だけの世界の会話となってしまっていた。
あたしはしょうがないので、2人の会話をしばらく聞いているしかなかった。
「まずは〜・・・藤井君ね、藤井君はいきなり立ち去ってしまったことから考えて、どうせゆっかーの前であがってしまったのね?」
「うん、多分そうだろうね!」
「でも、藤井君はゆっかーのことが好きだから!話をさせる機会を増やせばいいんじゃないかな?」
「じゃあまずはお互いの接点を作んなきゃね!」
「そうだね!でも・・・どうやって接点を作るか、が問題よねー・・・」
「そうねー・・・なら、ゆっかーから藤井君に色々話し掛けさせてみる?」
「う〜ん、でも、それじゃあ当のゆっかーはやってくれなさそうだしー・・・」
「そっかー、それもそうねー・・・なら、藤井君の方をサポートするしかないのかな?」
「う〜ん、それもちょっとー・・・あ!いい方法があった!」
「え!いい方法って何?」
「えーっとね、それはね・・・・・・・・・・」
2人はいつの間にか内緒話と言う状態に入っていた。
・・・気になる。一体2人は何を話しているのかしら・・・?
「ねえ、2人とも何話してるの?」
あたしが聞いてみたのだが・・・ダメだこりゃ。
完全に2人だけの世界の会話になっていた2人には、
あたしの声など少しも届きはしなかった。
そして、その後は一緒に3人で下校と言っても、あたしは何だかいても
意味のないような感じで、そして2人は相変わらず2人の世界だけでの
会話をしているまま、それぞれ家に帰った。

家についたあたしは、まず自分の部屋に入った。
ベットにうつ伏せになりながら、考え事をしていた。
(藤井君は本当にあたしのことを好きなのかなー?・・・もしあたしが本当の女の子だったらどうしていただろう?)
そういえば沙希なんかは何かを思いついていたらしいが、やはり気になる。
そこで、私は沙希に電話をかけてみることにした。
自分の枕もとに置いてある携帯電話を手にとり、番号を押していく。
『プルルルルルルル・・・プルルルルルルル・・・プルルルル、ガチャン。もしもし〜』
電話が繋がったようだ。
「もしもし、沙希?あたしだけど」
「んっ?あ!ゆっかーじゃない!どうしたの?」
「うん、実はね、そのあたしと藤井君をくっつけるための計画っていうのが気になって・・・」
「なるほどね〜!それならまかせといてよ!心配しなくてもちゃんとくっつけてあげるからさ!」
「え・・・違う!そうじゃないって!あたしはただ方法が気になっただけで・・・」
「じゃ、あとはまかせてね!そういうことで〜」
「ちょっと、沙希・・・」
『・・・ツーッ、ツーッ』
電話は沙希によって切られてしまった。その間の通話時間たったの15秒・・・。
毎回このくらいの通話時間なら電話代も安くなっていいだろう・・・。
・・・確かにそうではあるが、今はそんなこと言ってる場合じゃなかった。
でも、沙希はわざとあたしをからかうためにそう言っているのかな?
それとも・・・意外とマジだったりして・・・?
あたしはその夜、なかなか寝付けなかった。

そして次の日。あたしはいつも通り沙希と学校を目指していた。
行く途中、藤井君関係のことばかりを一方的に話された・・・。
学校について教室に入ると、光が既にきていた。
「光!おはよー!何かいい方法思いついた?」
沙希が元気のいい声で光に言った。だが、光の反応は・・・
「沙希、ごめん・・・私はその計画についてはやっぱり辞退するよ・・・だってさ、ゆ・・・ゆっかーがかわいそうじゃん」
光は辞退・・・かー。何で突然そんなこといってきたかあたしにはわからなかったが、ともかく助かったー。
あとは・・・沙希を何とかするだけかー。
「光!ちょっとー、辞退って何よー?光も協力してくれるんじゃなかったのー?」
「うん、始めはそうするつもりだったけど・・・ゆっかーが本当は男の子だと知った以上、なんだかそんなことしたらかわいそうなような気がしてきてさー・・・」
・・・何でか知らないけど、光はあたしの心境もわかってくれてるみたいだ。やっぱり持つべきものは友達かな?
「ゆっかーかわいそうだからさ、ね?・・・だからさ、沙希もゆっかーを藤井君とくっつけるのやめようよ・・・」
「光!今更そんなこと言ったってもうこっちはとっくに計画を考えてるのよ!それをやめろって言われてもねー」
沙希はマジでくっつける気みたいだ・・・。そう思った時、
「お願い!!やめてあげて!!」
突然光が強い口調で、大声をあげて言った。
まだ教室にはあたしと沙希と光しかいないけど、他に誰か生徒がいたら
きっと驚いていたことだろう。
「・・・ひ、光?・・・今日の光なんだかいつもとおかしくない?」
あたしもちょうど沙希と同じ事を考えていた。確かに、光のいつもの性格を考えると、急に沙希との計画をやめたり、急にあたしの心境をわかってくれたり、沙希にそこまで大声でお願いしたり・・・今までの光の性格ではそんなことはないと思う。
あきらかに今日の光は何だかいつもと違う感じがした。
そして、沙希の言葉に対する光の反応は
「えっ・・・私、そんなにおかしいかな・・・?」
「えっ・・・べ、別に!おかしくなんかないわよ・・・」
「そう、・・・沙希、お願いだからやめてあげて・・・ね?」
「・・・わ、わかったよ、計画は諦めるよ・・・」
光は、小さくため息をついたあと、ほっとしていた。
でも、光はあきらかにいつもと違う。その理由が何なのか?あたしは気になっていた。

昼休み。あたしは1人で廊下を歩いていた時、
「ね・・・ねえ、佐藤・・・くん」
あたしは突然誰かに声をかけられた。声の方を目線でたどって見る。
すると、そこには光がいた。
「光?どうしたの?・・・佐藤君だなんて改まっちゃって?」
「えっ?え、えっ?わ、私佐藤君なんて言ったかな?」
「確かに言ったよ。でも、他のみんなには内緒のことだから学校内で君をつけられるのはちょっと・・・」
「えっ?あ・・・そうだね・・・ごめんね・・・ゆ、ゆっかー・・・」
何故か光の顔はかなり赤くなっている。やっぱりいつもの光とは違う気がした。
「で、光?あたしに何か用?」
「えっ・・・あ!そ、そう!ちょっと話があってね・・・」
「うん、で、その話って何?」
「あ・・・ちょっとここじゃ言いにくいから・・・中庭に移動してもいいかな・・・?」
「中庭?うん、別にあたしは構わないけどー」

中庭はちょうど天気が良かったので、とても気持ちいい場所となっていた。
何だか日向ぼっこがしたくなりそうな感じだなー。
「で、光、話って?」
「う・・・うん、実はね・・・」
光はまた顔が赤くなった。そういえばさっきも中庭にくる途中、
光はあたしの顔を見るたびに赤くなっていたような気が・・・?
「ゆ・・・ゆっかー・・・あ、あのね、実はね・・・」
「・・・光、もしかして言いずらいことなの?」
「う、うん・・・ち、ちょっとね・・・」
「いいよ、ちゃんと聞いてあげるから、落ち着いて話してみて?」
「う、うん・・・ゆ、ゆっかー・・・実は・・・」
光の顔を見ると、光の顔は更に赤くなっていた。
「光、まず1回深呼吸してみて?それから話してみて?」
「う、うん・・・スーッ・・・ハーッ」
光は大きく深呼吸を1回した。
「うん、じゃあ、落ち着いて話してみて?」
「うん・・・ゆっかーってさ・・・お、男の子なんだよね?」
「え?ま、まあ・・・そうだけど」
「実はね・・・私・・・ゆっかーのことがね・・・」
あたしは何だか嫌な予感がした。何だかあたしと光の周辺だけ
空気がとても重く感じるのである・・・。でも、あたしにはその原因がわからなかった。
「わ・・・私・・・ゆっかーのことが・・・す・・・好き」
「ゆっか〜!こんなところにいたのね〜!」
光が言葉を言いかけた時、沙希がどこからともなく突然現れて大声であたしを呼んだ。
ちょうどその沙希の声は、光の声をかき消すような感じになっていた。
「沙希?・・・あ、ごめん、今取り込み中だからさ、またあとでいいかな?」
「え?今ゆっかー取り込み中なの?光と何か話していたの?」
「うん、何だか大事な話らしくてー・・・」
「そうだったの?う〜ん、じゃああとでいいや!ゆっかー、それ終わったら教室きてね!」
「うん、わかったよ」
沙希はそのまま何処かへ行ってしまった。
「光、ごめんごめん、ちょっと沙希のせいで言葉がよく聞こえなかったんだけどさー」
あたしの目の前にいる光は固まっていた。
「・・・光?どうしたの?」
光があまりにも動かないからあたしが光の目の前で手を動かしてみたが、反応はない。
「光?ひかり〜・・・ひかりさ〜ん・・・」
「えっ?なに!?」
「あ、光やっと動いた!どうしたの?そんなに固まっちゃって?」
「えっ・・・そ、それは・・・」
光の顔はどんどん赤くなってきていた。
「光どうしたの?顔なんだか赤いよー?」
「えっ・・・そ、そうかなー?」
「うん、夏の暑さのせい?」
今まで言っていなかったけど、今は7月の中旬である。
「そ・・・そうなんじゃないかなー?」
「大丈夫?保健室行く?」
「えっ・・・べ、別に、大丈夫だって・・・」
光の顔はますます赤くなっていく。
「光、本当に大丈夫?」
あたしは光の顔を覗き込むかのような感じで言葉をかけた。
そしたら、光は顔を赤くしたまま倒れてしまった。
「光!?光!?どうしたの!?」
あたしは近くの廊下に行き、通りかかった先生を呼んだ。
光は先生によって保健室に運ばれていった。
あたしも付き添いで保健室について行った。
あたしは、光が突然倒れた原因をよく理解していなかった。
それと、あたしは光があたしに向って『好き』と言ってきたことを、
沙希の声のせいで聞き落としていた・・・。

「えっ?光が倒れたの!?」
教室に戻ったあたしは、早速沙希に光の事を話した。
「うん・・・それに、何だか光朝から少し様子がおかしかったみたいだし・・・」
「確かにね・・・いつもの光とは違う感じだったね」
「それに・・・何故か光はあたしの顔を見るごとに顔を赤くしていたのよ・・・」
「えっ・・・ゆっかー・・・もしかして・・・それって」
「えっ?何かわかったの?」
「ゆっかーが光に男の子だと話したのは昨日だよね?」
「う、うん、そうだったね」
「で、光の様子がおかしくなったのが今日」
「う、うん・・・」
「多分光は、ゆっかーが男の子だとわかってゆっかーのことを好きになっちゃったんじゃないの?」
「うん、そうかなー?・・・ええっ!?光があたしのことを!?」
あたしはかなり驚いてしまった。もしこれが本当だとしたら・・・
でも、あたしは親に女の子として育てられたけど、確かに男の子ではある。
なので、普通なら女の子に好きになられるのはおかしくはないが・・・
あたしの場合、女の子は普通の友達みたいなとらえ方しかしていなかった。
なので、急に今まで友達だった光が、あたしを男の子だと知った途端好きになられても、
あたしからしてみれば戸惑ってしまう。
だからと言って、前にも言ったけど別にあたしは男の子のことを好きになりたいという訳でもない。
でも・・・今のあたしからとっては女の子に好きになられると言うのも戸惑ってしまう。
しかし、普通に考えれば男の子にも女の子にも愛されるのを嫌がる人などいないと思う。
ただ・・・あたしの場合色々な事情の上で男の子から愛されるのも、女の子から愛されるのも、
戸惑ってしまう、というより、気持ちをうけとめられないと思う・・・。
「・・・沙希!光があたしのこと好きになっちゃったって本当!?」
「う〜ん、はっきりはわからないけど、女の子って言うのは好きな人の顔を見ると赤くなるものだよ」
「・・・好きな人って言っても、あたしは男の子だけど、女の子の振りをしている男の子なのよ・・・それで好きな人って言われても・・・」
「光はまだ保健室だったよね?」
「え・・・う、うん、そうだけど」
「じゃあ光が保健室から戻ってきたら私が光に確認しとくよ」
「う、うん・・・じゃあ、お願い」
「う〜ん、でも、1つ引っかかるのは本当に光がゆっかーを好きになっちゃったなら、どうして昨日男の子ってわかった瞬間にすぐ計画をやめてと言わずに、今日になって言ってきたのかしら?」
「さ、さぁ〜、何でなんだろう・・・?」
『キーンコーンカーンコーン』
あたしたちの耳元にはチャイム音が入ってきた。
「チャイムなっちゃったね、じゃあゆっかー、またあとで」
「う・・・うん」
沙希はあたしより一足先に自分の席へと戻って行った。
(う〜ん・・・光があたしのことを・・・好きに・・・)

そして授業は終わって放課後となった。光は結局、午後の授業には
顔を全然出さなかった。なので、あたしと沙希は保健室に行って
光の様子を伺うことにした。
保健室につくと、光は小さい寝息をたててベットに寝ていた。
あたしたちがきた時には、保健の先生の姿は見えなかった。
とりあえずあたしとゆっかーは、光が眠っていると言うことを確認して、保健室をあとにしようとした時、
「・・・ゆっかー・・・好き・・・」
「えっ?・・・ええ〜っ!?」
突然光は寝言を言ったのだ。あたしはつい大声を上げて反応してしまった。
「うわっ・・・ゆっかー、そんな大声あげたら光起きちゃうよ・・・で、でも、今の聞いた・・・よね?」
「う・・・うん」
あたしと沙希は、そのまま保健室をあとにして保健室を出た。
ドアをそーっと閉める。あたしと沙希は既にドアの反対側にいたために、あたしたちが保健室を出たのとちょうど同時くらいに光の目が覚めたことを知らなかった。
「・・・ゆっかー・・・きてくれていたのね・・・ありがとう・・・」
光の顔は・・・また赤くなってきていた。と言っても、赤くと言うより火照ってきているという感じだった。

「光・・・大丈夫なのかなー?」
一方廊下を歩いていたあたしは、沙希に聞いてみた。
「う〜ん・・・ただ寝ているだけだったみたいだから・・・平気なんじゃないかなー?」
「う〜ん・・・そうだといいけどー・・・」
「でも、確かに光はゆっかーのことを好きって言ってたね?」
「うん・・・昨日男の子だって教えたばっかの時には特に何もなかったのにね・・・」
「と言うことは、昨日の一晩の間に、何かによって光の気持ちが変化したってことになるのかな?」
「う〜ん・・・そうかなー?」
沙希も少しわからなそうにあたしの質問に答えた。
沙希はいつもあたしをからかってばかりだけど・・・こういう状況になると話とかも真剣にきいてくれる。
なので・・・ここは沙希に協力を頼むことを試みるしかないかな?
「ねえ・・・沙希、何か光を今まで通りにする方法はないかなー?」
「それって、要するに男の子だって知らなかった時の接し方に戻したいってこと?」
「う〜ん、まあ言ってみればそんなようなとこかなー?」
「う〜ん・・・乙女心は傷つき易いからねー・・・私もゆっかーにちゃんとそれなりの理由があるから女の子からの気持ちも受け止めたくないのはわかるけど・・・」
「でも、そうしたら光が傷ついちゃう、と?」
「うん、ちょっとこれは難しい問題だねー・・・もっと一緒に考えてくれる人がいればねー・・・」
「でも、唯一相談できるのはあたしの本当のことを知っている沙希しかいないよー・・・」
「ま、まあ、それもそうだね・・・光も秘密知っているけど・・・光には相談なんてできないしね・・・」
あたしは、何だか藤井君の時のことより大変になっていているような気がした・・・でも、よく考えてみれば、あたしが女の子の格好をしているにもかかわらず光があたしを好きになったとしたら・・・光ってレズ!?
・・・まさかね。さすがにそれだけはないよね?・・・光はあたしが男の子だって知ってからこうなったんだし・・・。




光「あ〜あ、第1章終わっちゃったね・・・」

有香「えっ?あれ!?光保健室で寝てたんじゃないの?」

光「何言ってるの〜?もうとっくにモード変わってますよ?」

有香「えっ・・・ちょっと、モードって何よ?」

沙希「もうとっくに第1章は終わって予告モードに入っているってことよ!」

有香「えっ・・・?そうなの?知らなかった・・・」

光「第2章では私がゆっかーのことを好きになっちゃって・・・」

有香「光、本当にあたしのこと好きだったんだ・・・もう顔は赤くならないの?」

光「うん、予告編は本編とキャラの設定や性格が若干変わることもあるからさ!」

沙希「光は作者に予告編ではゆっかーを見ても顔が赤くならないって設定にしてもらったのよ!」

有香「・・・何だか都合いいんだか悪いんだかわからない話だなー・・・」

光「ま!別にいいじゃん!次回は、私とゆっかーとで繰り広げられる愛の物語・・・」

有香「光・・・かなり性格の設定変えられていません?」

沙希「ゆっか〜、予告編なんだから気にしな〜い気にしな〜い!」

有香「でも・・・キャラが予告するってのも結構ありがちですなー・・・」

沙希「ところでさー、ゆっかーって将来は本当の男の子になるんだっけ?」

有香「うん、まあそのつもりだけどね」

光「それなら将来じゃなくってもう戻っちゃいなよ!そうすれば私とゆっかーの距離もますます・・・」

有香「てゆ〜か作者!勝手に光の性格変えまくんないでくれません!?」

作者「まあまあ、ゆっかーちゃん気にしないでくださいね!」

光「作者もああ言ってることだし、次回にでも作者に頼んでゆっかーを普通の男の子に戻してもらおうかな?」

沙希「それとも逆にゆっかーが本当の女の子になっちゃったりして?」

有香「えっ・・・そんなことはさすがにないと思うんだけど・・・あたしはただ女の子の振りをしているだけだし・・・」

沙希「でもわからないよ?作者のことだから次回は一体何を考えていることやら?」

光「ええ〜っ!そりゃ困るよ〜!ゆっかーが本当の女の子になっちゃったら私はレズになっちゃうよー・・・」

有香「あのー・・・今もレズみたいなものだと思うのですが・・・?」

光「あん?何か言ったか!?」

有香「ひゃあ・・・光性格変えられ過ぎ・・・てゆーか怖い・・・」

沙希「光さー、別にゆっかーが本当の女の子になっちゃったとしてもいいじゃん!レズでもいいじゃん!」

光「う〜ん・・・確かにレズでしかできないこともあるしね・・・あ〜んなことやこ〜んなことも・・・」

有香「あ、あのー・・・光さ〜ん・・・一体何を考えているのですかー・・・?」

沙希「ゆっかーは気にしなくてもOKよ〜ん!」

有香「すっごーく気になるんですけどー・・・」

光「大丈夫!時期がきたらまかせといて!」

有香「時期!?時期って一体・・・あ!そういえばこれは予告編だったね!雑談コーナーじゃないし・・・」

沙希「別に雑談でもいいじゃん!」

光「そうだよ〜!予告なんてどうでもいいですよ〜だ!」

有香「光・・・作者に性格設定戻してもらえ・・・ということで、第2章では・・・」

沙希「ゆっかーが本当の女の子になっちゃうんでしょ?」

有香「そうですね・・・って、ちっが〜う!」

光「でも作者のことだからそれもありえるかもよー?」

有香「もうメチャクチャ・・・一体これのどこが予告なんでしょうかねー?ヤレヤレ」

光「ということで、次回はゆっかーが本当の女の子になってしまいまーす!」

藤井「あ!有香ちゃん!いたいた!そいえば廊下でぶつかった時ドタンバだったからねー・・・」

沙希「あれ?藤井君?どうしたの?藤井君の予告編の出演予定なんてあったかな?」

藤井「えっ?予告編!?俺は有香ちゃんにさっきのことを謝りにきただけなんだけど・・・」

有香「え?そうなの?でも、別にもういいよ〜」

藤井「やっぱり有香ちゃんは優しいね!じゃ、俺は邪魔みたいだから、この辺で〜・・・」

光「藤井君行っちゃったね」

沙希「そいえば次回では藤井君って出てくるの?」

有香「さあ?どうなんだろう?」

光「おい!作者!教えろよ〜!」

作者「藤井君ですか?・・・う〜んと、わかりませんね!」

光「なんでじゃ〜!!!」

沙希「まあまあ光、落ち着いて」

光「藤井君が私からゆっかーを奪う気なのね?」

有香「・・・光、壊れてきていません?」

沙希「あ、もうそろそろページが少ないよ!」

有香「え?ページって・・・PCはバイト数だから関係ないんじゃ?」

光「そんなこと気にしな〜い!最後のしめに入りましょ〜!」

有香「う〜ん、何かメチャクチャ過ぎ・・・」

沙希「ほら、いいからさ!しめ入って!」

有香「うん、ということで、第2章ではあたしが本当の女の子になっちゃったり・・・えっ!?違うよ〜!作者〜!勝手なこと喋らせるな!」

光「こりゃ作者マジでゆっかーを本当の女の子にしちゃう気だな?」

沙希「ゆっかーよかったね〜!」

有香「本当は将来男の子に戻るはずなのに・・・ちっともよくな〜い!!!しかも全然予告になってな〜い!」

光&沙希「まあいいじゃん!ということで、次回またあいましょ〜う!」

有香「こんな予告編はもうこりごりだぁ〜っ!!!」





☆あとがき☆

何だかむちゃくちゃな予告編でした(笑)
予告編で沙希ちゃんなんかが噂していたけど、
第2章ではゆっかーちゃんは本当の女の子になるんでしょうか?
本当の女の子になっちゃうってことは、もしかして藤井君と本当に・・・?

光「ダメ〜っ!ゆっかーは私とラブラブになるの!」

はいはい、わかったってば・・・もう予告編は終わってるから、
光ちゃんの出番はまた次回ね・・・。
ということで、藤井君はおいといて、やっぱり本当に次回は
光ちゃんとゆっかーちゃんのラブストーリーかな?

有香「作者〜・・・それだけはやめて〜・・・」

・・・なんかゆっかーちゃんまで出てきちゃったですね・・・。ゆっかーちゃんも!もう今回の出番は終わりだから!
ということで、本当は第2章一体どうなるんでしょう?何だか作者まで混乱してきました(笑)
ということで、どんな作品に仕上がるかわからないけど、第2章もよかったらみてくださいね!



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