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俺が好きな人(第3章)

作:T・H


〜今までのあらすじ〜


ある日、突然部活の時に主人公(?)原田 徹と河村 あかねは中身だけが入れ替わってしまった。
実は、これは天使が仕組んだことであり、その目的は入れ替えることによってお互いを認識させてくっつけるということである。
天使はこの世界での使命のために天界からやってきて原田 徹を幸せにする人に選んだ。
そして、原田 徹とあかねちゃんはあることをきっかけに両思いとなった。だが、あかねちゃんには意外な過去があり、中学校の頃までは河村 徹という男の子であった。
天使が与えてくれたアイテム(あかねちゃんが買ったことになってるが)のリボンは、原田 徹とあかねちゃんがボロが出ないようにするために、感覚や仕草や言葉遣いを今の身体にあわせてくれる働きがある。
だが、このリボンをつけていたために原田 徹は気付いていなかった。

実は、原田 徹の本来の心は、あかねちゃんの身体に慣れ過ぎてしまったために、完全にあかねちゃん化してきていたのである。
そこで同じテニス部の宮沢 由香が2人の心を読み取ってそのことを知ったが、ある日の昼休み突然原田 徹は宮沢 由香の前で倒れてしまう。
そして、原田 徹があかねちゃんの身体で目を覚ました時、原田 徹は心のそこまで本当のあかねちゃんとなってしまっていて、原田 徹だった頃の記憶は全てなくなってしまった。
そして、あかねちゃんも河村 あかねだった頃の記憶を失い、今はもう演じるというレベルではなく、本来の心そのものまでもお互い完全に入れ替わった人になってしまったのである。
入れ替わったということを由香は知っているが、お互い本心からその人になってしまい、今までの記憶は消えてあかねちゃんに入っている原田 徹は始めから河村 あかねであり、原田 徹に入っている河村 あかねは初めから原田 徹として生きていた、2人の記憶の中では、そのようなことになってしまっている。
2人共完全に心が今の身体に合ってしまったため、天使の力でも身体を元に戻せなくなっている。
果たして、2人はそれぞれ元の身体に戻れるのだろうか!?




<第21話>

私は家に着いた。
いつも通り私は自分の部屋へ向かう。

部屋に着いた私はボーッとしだす。
私はなんだか今まで自分の中に絶対あったはずの大事な記憶を何だか忘れているような感じであった。
だが、その大事な記憶が何なのかはよくわからない。
私が河村 徹だった時の記憶ではない。
私は無言でいつもつけていたリボンを手にとった。
このリボンは、原田君が初デートの記念にプレゼントしてくれたリボンである。
だが、今日は何故かこのリボンをつけていかなかった。
何か理由があったような気もするが、よくわからない。
原田 徹は、本来の徹の記憶を完全に失っていた。
しかし、原田 徹はそれにまったく気付かない。
何故なら、心の底まで完全にあかねちゃんと化してしまったのだから。

私はもう時計が1時をさしていることに気付いたので、寝ることにした。そして、今日も夢の世界に入り込む。
「う〜ん、あれ?私寝たはずなのに・・・!?」
徹は、記憶があかねちゃんのものに書き換えられてしまったので、今まで夢の世界に行ったことも記憶にない。
要するに、初めて夢の世界にきたのと同じ状態である。
私は自分の身体の変化に気付いた。
「私が原田君になってる!?」
私の身体は、原田 徹の身体になっていた。
本来は原田 徹の身体で正しいのだが、記憶があかねちゃんのものに書き換えられてしまったために、今の徹からとっては、突然男性になってしまったという状態である。
そして、誰かがこちらに近づいているような気がした。
「だ・・・だれ!?」
私は思わずか弱い声を出してしまう。
そして、現れたのは・・・私だった。
要するに河村 あかねである。
「原田君、ついに完全にあかねと化してしまったようね・・・」
目の前の私が言った。
が、私には全然意味がわからなかった。
「あかねと化す?・・・それって、何のことなの?っていうより、なんで私が原田君になってて、私自身が目の前にいるのよ!?」
「う〜ん、完全に記憶が書き換えられているようねー・・・」
ちなみに、ここで説明を加えておくが、ここは夢の世界なので、当然今ここにいるあかねちゃんは夢の中のあかねちゃんである。
気持ちが現実のあかねちゃんと同じなので、夢の中のあかねちゃんも心が原田 徹化していたが、夢の中のあかねちゃんはちゃんと夢の世界でのあかねとしての心も持っている。
それだから、あかねちゃんは記憶はそのままなのである。
そこへ、突然由香がやってきた。
「夢の中のあかねちゃん!こんばんわ〜!」
そして、あかねちゃんが、
「あ、由香!またきてくれたんだね!」
「うん、どうやら本来の徹君が大変みたいだから、私も現実世界から手伝いにきたんだよ〜」
「現実世界!?本来の徹君!?」
私は相変わらず意味がわからなかった。
そこで、あかねちゃんと由香は必死になって私に今までのこと、入れ替わってしまったこと、記憶が書き換えられてしまったこと、全てを話した。
私は驚いたように、
「え・・・そんな・・・信じられない・・・」
「それが本当なのよ!あなたは原田 徹だったのよ!今は記憶が本当のあかねちゃんと同じになってるみたいだけど」
あかねちゃんが言う。
そして続いて由香が、
「徹君、今日の昼休み中庭で気絶してしまったことは覚えてる?」
「うん、覚えてるわ。何だか頭の中で大量に記憶が吹っ飛んだような感じがしたんだけどー・・・あ、でも由香は徹君って言ったけど、私はあかねよ!?」
「なるほどねー、多分、気絶した時に吹っ飛んでしまったのが今までの徹君の記憶のようねー」
「あかねちゃん、徹君に記憶を思い出させる方法はないの?」
「う〜ん、どうだろう・・・」
「あ!あのリボン!あのリボンで記憶が戻るんじゃ!?」
「え?リボン?なんで?」
「だってさー、あのリボンは男の子は女の子の感覚になって、女の子は男の子の感覚になるのよ!それだから、完全に心のそこからあかね、つまり女の子と化してしまった原田君がリボンをつけたら・・・」
あかねちゃんの発言の答えは由香が、
「男の子の感覚になるってことね!?」
と答える。
「そう!完全に女の子になってしまった原田君にリボンによって男の子の感覚を与えればもしかしたらわずかでも記憶が戻るかもしれないよ?」
「そうね!じゃあ徹君、早速リボンつけてみて!」
私は少し戸惑ってしまった。さっきいきなり信じられないような話をされて、今の私からとっては訳のわからない会話のやり取りが繰り広げられていたのかと思うと、今度はいきなり男の子の感覚だとか、リボンで思い出すだなど言われて、急にリボンをつけてみてと言われたのだから。
何故由香が持っていたのかは知らないが、由香がポケットから私が原田君からもらったリボンを取り出した。
「はい!徹君、早速つけてみて!」
「うん・・・でも、私はあかねだってばー」
「いいのいいの!そのうち思い出すから、ね?」
「・・・???」
私は訳がわからないままリボンをつけた。
そして・・・感覚が何だか急に男の子の感覚に変わったような感じがした。
徹は記憶があかねちゃんに書き換えられたことにより、リボンの本当の効果も忘れてしまっていたので、リボンをつけて急に感覚が変わったことに驚いた。
「徹君、今徹君はどんな感じ?」
「原田君は今、男の子?女の子?」
私は今はあかねちゃんの身体で女の子だが、何だか感覚が男の子のような感じがしたので、
「え・・・おとこ・・・のこ・・・?」
と答えてしまった。
「あれ・・・おかしい・・・俺・・・女の子なのに、なんで・・・え・・・お・・・俺!?」
「徹君、どうやら感覚は男の子になったようね」
「ということは、原田君はやっぱり完全にあかね化していたのね。完全でなければ女の子の感覚のままのはずだし」
「徹君、何か思い出した?」
・・・なんだか頭の中で何かの記憶が通り抜けている。
私が河村 徹だった記憶ではないような気がするのに、なんだか男の子としての記憶が流れているような気がする。
が、その記憶の1つ1つがはっきり何なのかまではわからなかった。
「原田君、思い出した?」
「なんだか不思議な感じがする。これは確かに河村 徹だった頃の記憶じゃないような気がするのに、男の子としての記憶のような気がする・・・だけど、記憶がはっきりとわからない・・・」
あかねちゃんと由香は顔を見合わせた。
「どうやら今原田君の頭の中では原田 徹だった頃の記憶が少しずつ流れてきているようね?」
「そのようね?それなら、毎日徹君がちゃんとリボンをつけて男の子の感覚として学校にいけば、記憶がそのうち戻るんじゃないかしら?」
私は何故か突然この時点でリボンを外した。
私は何だか訳がわからなかったが、
「え・・・これから毎日このリボンつけて学校に行くの・・・?」
思わずか弱い声で聞き返してしまう。
「そうよ!それで記憶が戻ると思うわ!」
「でも、今徹君はあかねちゃんの身体だけど、それなのに男の感覚で学校に行かせて大丈夫かしら?」
「う〜ん、そういえばそうねー・・・」
「でも、原田君の記憶を戻すため!しょうがないわね!」
「え・・・記憶って一体何のことなの?」
私は訳がわからず、またまたか弱い声で聞き返す。
「だ〜か〜ら!さっきも言ったでしょ?あなたが原田 徹だった頃の記憶よ!」
あかねちゃんが答える。
「あかねちゃん、徹君は今記憶があかねちゃんと化しているから言っても無駄だと思うんだけどー・・・」
「う〜ん、それもそうね・・・」
「でも!とにかく原田君には学校にリボンをつけてってもらえればそれでいいのよね?」
「うん、それできっと徹君の記憶は戻っていくわ」
「私は・・・本当に原田君・・・?そういえば身に覚えがあるようなー・・・?」
さっきリボンをつけた影響か、わたしは自分が原田 徹であったということを少し信じ始めた。
「原田君の記憶が元に戻れば原田 徹と化してしまったあかねちゃんの方も記憶が戻るかもしれないわね?」
「うん、そうね。そのためにも、徹君には早く記憶を取り戻してもらわなきゃね!」
私は自分が原田 徹だったのかもしれないと少し思い始めてきたが、その後もあかねちゃんと由香による
私からとっての訳わかんない会話が続いたために、私の頭はパンクしてしまった。
そしてその場に倒れる。
「徹君!?どうしたの?」
心配そうに由香が言う。
だが、あかねちゃんが、
「由香、大丈夫よ。多分原田君は訳わかんなくなって頭がパンクしたんだろうけど、原田君は夢の中の存在と現実の中の存在が別だから、夢の中で気絶してもちゃんと元の世界に戻るから平気よ!」
「え・・・そうなの!?」
「うん、だから心配する必要ないよ!」
「そうなんだー、あ!そろそろ私も帰ろうかな?」
「うん、由香、じゃあまたねー!またこの世界にもきてねー!」
「うん、わかったわ!」
そう言って由香は帰っていった。
いつの間にか河村 あかねと化した徹の身体は、あかねちゃんの近くから消えていた。
(原田君、どうやら現実に戻ったようね記憶を戻すかは原田君自身によるもの・・・原田君・・・がんばってね!!)


<第22話>

朝。現在の時間は6時。
私はあかねちゃんになってしまっても、まだ原田 徹としての意識があった時にはもっと遅い時間に起きていたのだが、私は完全にあかねちゃんになっているので、本来のあかねちゃんがいつも起きている時間である6時に自然に目を覚ました。
私はまず、起き上がって顔を洗って、歯を磨いて、制服に着替えて、朝ご飯を食べた。
そして、その後は学校が始まるまでしばらく時間がある私は部屋で時間になるまでボーッとしていた。
そして、私はリボンをつけてみる。
本当は感覚が変わるはずなのだが・・・感覚は変わらなかった。
実は、夢の世界では現実じゃないために感覚が変わったのだが、実際の世界では徹は完全にあかねちゃんになっているので、リボンの力が反応していないようなのだった。
だが、夢の世界に行った影響なのか、私はあることを考えていた。
(私が・・・原田君・・・?)

学校に向かう途中、私は原田君(本当はあかねちゃん)に出会う。
「あ・・・原田君・・・」
私は夢の件があったため、何故か原田君を見て俯いてしまう。
その時の仕草は本当のあかねちゃんの仕草とまったく同じであった。
原田君が私に、
「ん、どうしたんだ?何だか元気がないような気がするんだが・・・?何か悩み事でもあるんじゃないのか・・・?」
私はしばらく俯いていたが、ようやく顔をあげると、
「ううん、別に何でもないの!心配してくれてありがと」
「・・・何か悩み事でもあるんだったらいつでも俺に言えよ」
「え・・・うん、ありがとう・・・」
私は夢の世界のできごとで聞かされた本来は私が原田 徹であり、本来のあかねちゃんは今原田 徹になっていると聞かされた時のことを思い出していた。
(私は確かにあかねだよね・・・?そして、私の横にいるのは確かに・・・原田君よね?本当にこれがあかねちゃんなの・・・?でも・・・なんだか入れ替わったって話に覚えがあるようなないようなー・・・う〜ん、やっぱりよくわかんないや)
私の記憶はあいまいであった。

教室に着く。
教室に入ったら、いきなり由香が話しかけてくる。
「あかねちゃん、男の子の感覚になった?」
由香が私のリボンを確認して言ってくる。
「え・・・男の感覚って!?」
私は記憶が書き換えられてしまったため、リボンの効果も忘れてしまっていたし、あの出来事も本当に夢のことだったと思ってしまっていた。
だが、私は確かに夢で男の感覚になったことを思い出し、
「え・・・なんで由香がこのリボンの力を知ってるの・・・?」
と聞き返す。
私は、原田 徹だった頃の記憶は戻っていないが、突然リボンが感覚を変えるという記憶だけが戻った。
「だって、あかねちゃん自身が私に心で伝えたじゃん!きみがまだ徹君だった時にね・・・それに、私が昨日徹君の夢の世界にお邪魔したことは覚えてる?」
「え!何で私の夢に由香が出てきたってこと知ってるの?」
「だって〜、あれは今ここにいる現実の私だもん!」
私は夢の世界の記憶もほとんど失っていたので、由香は現実の存在で夢の世界にこれるということも忘れていた。
だが、何だか頭の中であいまいな記憶がたくさんあるような気がする。
(このあいまいの記憶は一体何なんだろう・・・?)

昼休み、私と原田君(あかねちゃん)と由香は、3人で中庭にいた。
由香が、2人に中庭に来て欲しいと呼び出したのである。
今日も中庭には、私たち以外に人気はなかった。
由香は何かを話す決心を決めているようだ。
私は由香からそのような様子を伺えた。
由香が私たち2人に話し出す。
「・・・もしかして記憶がもう書き換えられちゃったから訳わかんなくて信じてもらえないかもしれないけど・・・一応私の知ってる真実をこれから2人に話します・・・」
私と原田君は由香からの言葉を待つ。
「2人とも、真剣に聞いてね・・・」
由香が真剣気味な表情で言った。
「徹君、返事してくれる?」
「お?おう」
原田君が返事をした。
「次にあかねちゃん、返事してくれる?」
「え?はい」
私は返事をした。
「・・・やっぱり2人とも自分がそれぞれ入れ替わっちゃった立場の人であると思い込んじゃってるようね・・・」
「あ、あのさー、由香が前から言ってる入れ替わりって何なの?」
「うん・・・実はそのことをちゃんと順を追って話そうと思ってね・・・」
「徹君とあかねちゃん、8月11日は部活があったわね?」
「うん、あったわ」
「おう、あったな」
「その時、私もちゃんと部活にいたわよね?」
「うん、いたわね」
「おう、いたよな」
「私もその事件が起こった日、部活にいたから2人の心を読み取っちゃったんだけど、教室の廊下でタオルをとりに行った2人は、徹君が勢いよく飛び出してきたせいで、中身だけが入れ替わってしまったのよ!今、徹君と言って返事をした方が本当はあかねちゃんで、あかねちゃんと言って返事をした方が本当は徹君なのよ!」
「・・・・・」
「・・・・・」
私とあかねちゃんは、沈黙してしまった。
「確か、私たちは確かにタオルはとりにいったわ!」
「だけどー・・・途中で原田君と衝突なんてしてないわよ?」
「う〜ん、そうだなー!確かに普通にタオルをとってきただけだよなー?」
「・・・う〜ん、やっぱり私からの言葉じゃ信じてもらえないかー。やっぱり、あの人に手伝ってもらおっかなー?」
「あ、由香、あの人って・・・?」
「ちょっと待ってて!もう少しで2人とも会えるわよ!」
由香は待っててと言って、どこかへ行ってしまった。
私と原田君は、その場に取り残されたまま呆然としていた。
今は原田君と2人きりで中庭のベンチに座っている。
・・・何だか気持ちいい。何だか、不思議なほどにいい気持ちだ。
何て言うのか、原田君と2人きりのせいなのか、なんだか心が安らぐ。何故なら・・・私は原田君が好きだから・・・?
私の心は完全にあかねちゃんで支配されていた。
私は今、本来の自分を好き状態となっている。
私は心がしばらく落ち着いていた。会話はないものの、なんだかいい気持ちである。太陽の光が気持ちいい。
何だかとても気持ちいい。そう、とても・・・。
何だか・・・眠いくらい気持ちいい・・・。
そう・・・眠いくらい・・・。ダメだ。もう眠い・・・。
私はそのままベンチに寝てしまった。
私は気付かなかったが、原田君も寝てしまっていた。
(うん、やっと眠ってくれたわね!)
遠くでこっそりと2人を監視していた由香がいた。
(徹君は自然に夢の世界に行くからいいけど・・・あかねちゃんは心を私が一緒に連れていけばいいかな?)
由香が手伝いを求めていた人。
それは、夢の世界のあかねちゃんであった。
直接現実のあかねちゃんと夢の世界のあかねちゃんを引き合わせて、夢の世界のあかねちゃんにことの事情を説明してもらおうとのことである。
それで、徹君にはそれを聞いていてもらって、記憶を少しでも戻そうという作戦である。
それに、夢の中のあかねちゃんは、私がまだ知らないあるすごい能力を持っているのだから・・・。
由香は、夢の中のあかねちゃんの心を読み取ったので、そのすごい力を知っていた。


<第23話>

(う〜ん、ここは・・・?)
私は気が付いた。
「あ、徹君きてくれたのね?」
「え・・・?」
私は顔を上げてみる。
そこには由香と原田君がいた。
「そろそろあかねちゃんも来る頃ね」
由香がそう言った直後、
「由香〜!おまたせ〜!」
あかねちゃんがやってきた。
「な・・・どうなってるんだ!?」
原田君が言ったあとに続き、私が、
「え・・・何で私が目の前にいるの・・・?これってまさか・・・前の夢の続き・・・?」
「う〜ん、まあ夢の世界だから続きってことになるのかしらねー・・・?」
あかねちゃんが言う。
私は、まさか!と思い、自分の身体を見てみる。
・・・河村 あかねの身体であった。
前の時は、何故か私が原田君になっていたのである。
だが、ちゃんと原田君は由香の横にいた。
「じゃあ・・・目の前の私は・・・だ・・・誰!?」
「何度も私とはあってるじゃな〜い!・・・って言っても、記憶が変わってるから無駄よね・・・あ!でも、記憶が変わってからも1回私と会ったじゃない!」
「え・・・?え?ええ?」
「だ〜か〜ら!私は夢の中のあかねよ!あ、今原田君になっているあかねちゃんは私と会うのは初めてよね?」
「え?俺があかねちゃん!?俺は原田 徹だぞ!」
「・・・やっぱり現実のあかねちゃんの方も完全に原田君化しているようねー・・・」
「あかねちゃん、やっぱりあれ使った方がいいんじゃ・・・?」
由香が夢の世界のあかねちゃんに言う。
「う〜ん・・・そうね」
夢の世界のあかねちゃんが何かを決めたようだ{徹の時に引き続き、ここからは紛らわしいので夢の世界のあかねちゃんを「茜」という漢字で表します}
私は由香と茜ちゃんの会話の意味がよくわからなかった。
原田君も何だかわからなそうな様子だった。
茜ちゃんが、
「原田君、あかねちゃん、ちょっと目をつぶって心を落ち着かせてくれる?」
「え?うん・・・」
「お?おう・・・」
私と原田君は、素直に茜ちゃんの指示に従った。
それを由香が見届ける。
茜ちゃんが何かを呟いている。
そして、茜ちゃんが呟き終わった時、私たちの脳裏に何かが走った。
それは、まぎれもなく8月11日、今河村 あかねである私は原田 徹として、今原田 徹である原田君は河村 あかねとして、入れ替わった時の出来事が頭の中ではっきりと再生されていく。

「ドンッ!」
「あの、すみませんでした。」
(お、俺が・・・?目の前に俺がいる!!)
「私がもう1人いるわ」
「俺が女になってる!?」
「あかねちゃん?」
「はい?」
「どうやら俺たち、今おもいっきしぶつかったせいで」
「中身が入れ替わってしまったようだ」
「私が原田君になってる!?」
「俺たちこれからどうなるの〜??」
「何故こうなってしまったの〜?」
「まさかこんなことが本当に実在するとは・・・」
「とりあえず、今は部活の最中だしー、多分休憩時間ももう」
「終わってるだろうし、今はとりあえず部活に戻ろう」
「そ、そうだね・・・」

入れ替わってしまった光景が、セリフつきで私の脳裏で再生された。
数分後。茜ちゃんが、
「どう?入れ替わったこと、はっきしと思い出せた?」
と聞いてきた。
「・・・どうやら俺たち、入れ替わったのは本当みたいだな」
「う・・・うん・・・本当みたいね・・・」
「でも、確かに俺は原田 徹なのでは?」
「私は河村 あかねのはずよ・・・?」
「う〜ん、じゃ、早送り!」
茜ちゃんが、どこからもってきたのか、何かのリモコンの早送りボタンを押した。
なんか、頭の中で何かが猛烈な勢いで流れていってる気がする。
「う〜ん?大体この辺かしら?」
茜ちゃんが、リモコンの再生ボタンを押す。
そして、その後私の脳裏に走った記憶とは・・・私が由香と中庭で女性化のことを話している時に突然倒れるシーンの手前であった。

「ねえ由香、私が女性化してきていることは知ってるわよね?」
「うん、知ってるわよー」
「でもね・・・これは決して女性化ではなくてね・・・私は今、女性化ではなくてね・・・河村 あかねと化している・・・」
「え?それってどういうこと!?」
「言葉の意味そのまんま・・・何だか原田 徹だった頃の記憶が薄れてきて、河村 あかねとしてのデータに書き換えられてるような気がするんだ・・・そして、私は元は原田 徹だから知ってるはずもないあかねちゃんの河村 徹だった頃の記憶がまるで自分の昔のことのように思い出されていくんだ・・・」
「え・・・じゃあ徹君は、元からあかねちゃんだったっていうことになってるの?」
「・・・そういうことになるのかしら?私自身もはっきしとわからないんだけどさー・・・多分、原田 徹になってしまったあかねちゃん自身の記憶も・・・元から原田 徹であったって記憶に書き換えられてきているのかも・・・しれない・・・もう演じきるってレベルではなく・・・記憶までもが本来の自分とは異なってきている・・・」
「それって、どうにかする方法とかはあるの?」
「・・・わからない・・・どうにかできるのかどうなのかですら・・・」
「じゃあ今までの本当の徹君やあかねちゃんは消えちゃうってこと?」
「・・・それもわからない・・・これからどうなるんだろう・・・?」
「だったら天使に相談してみれば・・・と言っても、今日はリボンつけてないんだよねー・・・」
「うん・・・そうなんだー・・・まさか女性化ではなく、河村 あかねそのものと化してきているなんて思いもしなかった」
「徹君、本当にあかねちゃんになってしまうのかしら・・・?」
「さあ・・・どうなんだろう・・・?」
「徹君は元の身体には戻りたいと思っているの?」
「うん・・・もちろん・・・そう思っているつもりなんだけど・・・なんだかあんまり戻りたいって感じがしない・・・」
「徹君!しっかりして!きっと徹君はもうあかねちゃんと化してきているんだろうけど、徹君だった時の意思をしっかりもって!そうすれば今までの意志もちゃんと戻ってくるわよ!少なくともあかねちゃん化は防げると思うの」
クラ〜ッ・・・バタン。
「徹君!?どうしたの!?」

(う〜ん、私は一体・・・?)
「あ!徹君、気がついたのね?」
「え・・・あ、由香・・・」
「徹君、急に中庭で倒れちゃうから驚いちゃったよー」
「え・・・徹君・・・?」
「え、徹君なに言ってるの?あなたは徹君でしょ?」
「・・・確かに私、昔は河村 徹だったわね・・・でも、今は河村 あかねよ?私は徹君じゃないわよ?」
「え・・・徹君?どうしちゃったの!?」
「私は・・・河村 あかねだってば・・・」
「徹君!しっかりして!あなたは原田 徹君でしょ?」
「・・・私は・・・河村 あかねだよ・・・」
「もしかして徹君・・・完全にあかねちゃんと化してしまったの・・・?徹君!8月11日に徹君はあかねちゃんと入れ替わったのよね?」
「え・・・入れ替わった・・・?一体何のこと?」
「え・・・入れ替わったことも覚えていないの?」
「徹君・・・完全にあかねちゃんと化してしまったの・・・?」
「あかねちゃんと化す・・・何のこと・・・?」
「思い出して!原田 徹のことを!」
「原田 徹・・・?原田君は・・・私の好きな人・・・」
「だから!その原田君があなたでしょ?」
「私が・・・原田君・・・!?」
「徹君!ちゃんと思い出して!!原田 徹だった頃のことを!」
「私は・・・原田君じゃない・・・私は・・・始めから河村 あかねだった・・・」
「あ、河村さん!」
「あ、徹君・・・やっときたね」
「へ?徹君!?」
「俺はずっとここにいたじゃないか?」
「あ・・・そうだったね・・・徹君はずっとここにいたもんね・・・由香、何だか今日は私のこと、徹君って呼んでくるけど、どうしたの?私は徹君じゃないし、今まではあかねちゃんって呼んでいたんじゃないかしら?」
「そ・・・そうだったね・・・あかね・・・ちゃん・・・」

私の脳裏に、このような記憶が再生された。
私がこの記憶が再生されている時、原田君(あかねちゃん)の方では、あかねちゃんが完全に原田君化した直後の状態が再生されていたらしい。
私のも、私が完全にあかね化した直後のできごとだった。
「どう・・・?2人とも、思い出した?」
茜ちゃんが私たちに聞いてくる。
そして、私が答える。
「・・・・・」
「思い出せなかったの・・・?」
「いえ・・・はっきし思い出せたわ・・・私は河村 あかねではない・・・俺は原田 徹だ!!」


<第24話>

私は完全に記憶を取り戻した。
今日は私は夢の世界では初めからあかねの姿で登場した。
それだから、感覚は女の子になっていた。
今は夢の世界でリボンをつけているから、今でも感覚は女の子のものになっているのに、俺は原田 徹だ!!と、もろ男の言葉遣いで叫んでいた。
「ああ!原田君!記憶が戻ったのね??」
「うん、おかげで全部思い出せたわ!」
「あかねちゃんも記憶戻った?」
「おう!俺もちゃんと戻ったぞ!」
「危なかったわね、このまま記憶が戻んなければ2人はそのまま生きていくことになり、元に戻れなくなるところだったのよ!」
由香が茜ちゃんに代わって言った。
「私が完全にあかねちゃんになってしまったのことには、こんな理由があったんだー・・・」
「俺も、こんな理由があったなんて知らなかった」
「まあ記憶はもう戻ったんだし!あとは2人の仲を・・・」
「茜ちゃん!ここからは徹君とあかねちゃんの問題だからいっちゃダメよ!!」
「う〜ん、じゃ、とりあえず戻れるかどうかは2人次第とでも言っときましょうか?」
「うん、そんなとこだね」
いつの間にかまた茜ちゃんと由香の会話が始まっていた。
「あのー、そろそろ夢の世界から帰りたいんだけどー・・・」
「あ、それなら大丈夫よ!あと30秒で現実の原田君は目覚めるわ!」
「え、そうなの?」
「うん」
「で、あかねちゃんの方は私が連れて行くから!徹君の方は勝手にもとの世界に戻れるからいいけど、あかねちゃんの方は私が連れてきたんだしね!」
「由香、さっきから現実世界とか夢の世界とかって言ってるけど、それって何のことなの?それに、何でもう1人本来の私がいるの?ちゃんと俺になった原田君はこっちにいるのに」「あ、そうだね、あかねちゃんはまだ知らなかったね」
由香がそう言って、あかねちゃんに夢の世界のことを話した。
「・・・なるほどー、何だか不思議だけど、ここは原田君の夢の世界ってことかー」
実際あかねちゃんの身にも、記憶が変わったりと、最近不思議なことを経験しているせいなのか、あかねちゃんはすんなりと信じてくれた。
「じゃ、私はあかねちゃんを連れて帰るわね!茜ちゃん、またねー!」
「うん、じゃーねー!由香もあかねちゃんもまたきてねー!」
「うん、わかったわー!またくるよ!」
「おう!またそのうちな」
由香とあかねちゃんは行ってしまった。
そして、その場に残される私。
「茜ちゃん、そろそろ30秒経ったんじゃない?」
「う〜ん、そうねー、おかしいわねー」
「何で現実世界に戻んないんかしら?」
「もう少し待ってみたら?」
「う〜ん、そうする」
私は30秒経っても現実世界に戻らなかった。
そして、1分、2分、10分、しまいには1時間経っても元の世界に戻らなかった。
「おかしいわね〜、何で戻んないんかしら?」
「・・・まさか、現実の私、死んだんじゃないだろうねー・・・?」
「いや、大丈夫よ!寝てただけのはずだから死んでるってことはないわ!」
「なーんだ、よかったー・・・ってよくない!何でまだ現実世界に戻れないのよ〜!」
「う〜ん、どうなってるのかしらー?」
「あ・・・これって・・・もしかしたら・・・」
茜ちゃんが突然何かを思い出したような口調になる。
「え?何かわかったの?」
「う〜ん、もしかしたらだけどー・・・ちょっと待って!今由香を呼び出すから!」
「え、由香の力が必要なの?」
「う〜ん、必要っていうか、確かめなくっちゃ」
「・・・一体どうなってるんだか?」
茜ちゃんは由香を呼び出すと言って、どこからか突然携帯電話を取り出した。
(ははっ、夢の世界にも携帯電話はあるんですね・・・)
「うん、そうよー」
私の心を読み取った茜ちゃんが答えた。
「あ、もしもしー、由香ー?」
「うん、実はねー今すぐ夢の世界にきて欲しいの!」
「え?今授業中?」
「うん、うん、じゃあ放課後になったら!」
「そしたらすぐきて!うん、じゃ、頼むねー」
ピッ。茜ちゃんは携帯の電源を切った。
「ねえ、今由香に電話したんでしょ?」
「うん、そうよー!それが?」
「いや、だって今授業中っていってたじゃん、授業中に由香が携帯にでれるわけないと思って?」
「私はねー、由香の心に電話したのよ!」
「と言いますと?」
「電話を通して現実の世界の由香と心で話したのよ!夢の世界の携帯からは現実の世界の人の心に電話をかける、ようするに話しかけることができるのよ!」
「へぇー、そうなんだー」
「あ、由香は放課後にくるって言ってたから、もう少し待ってね」
「え・・・うん」


<第25話>

そして、現実で言って放課後の時間になった。
私は今までずっと茜ちゃんと一緒に待っていた。
(そういえば現実の私はどうなっちゃっていたんだろう?)
現実の私は、恐らく授業には出ていないはずである。
それから数分後、由香があかねちゃんを連れて現れた。
「あ!由香!やっときてくれたね!」
「やっと授業終わったよ〜、ついでだからまたあかねちゃんも連れてきたよー!」
「うん、ちょうどあかねちゃんにも今の事態は知っておいてもらった方がいいかもしれないわね」
「あれ?そういえば河村さん、まだ夢から出てなかったの?」
「うん、実はね、現実の私が目を覚まさないらしいの」
「そういえば、河村さん授業にも出てなかったよなー・・・」
(やっぱり私は授業に出ていなかったんだー・・・)
「さて、私が由香を呼んだ理由、それは、由香に確認するためです」
突然茜ちゃんが真剣な表情で言ってきた。
「由香、あれから中庭に行って見た?」
「うん、徹君が戻ってこないから中庭に見に行ってみたわよ。いなかったけど・・・あかねちゃんは、徹君が現実に戻ってきたら起きるから、と思って先にいっちゃってたけどね」
「で、そのあと、由香は原田君を探して見た?」
「あ、そういえば探してみたけど、どこにもいなかったわね・・・」
「・・・やっぱり」
茜ちゃんが呟いた。
「え・・・一体どういうことなの?」
「要するに・・・現実世界では原田君、と言っても現実では原田君はあかねちゃんだから、あかねちゃんが行方不明ってことになってるわね・・・」
「え?それって・・・」
「原田君、ちゃんとよく聞いてね」
「う・・・うん」
「ここは夢の世界、原田君の世界は現実世界。原田君の場合、心ではなく夢と現実が別の存在になってるけど、たまーに夢の世界で時空の乱れが起こったりするのよ・・・そうなると現実と別の存在だったのが、夢の世界だけでの存在になってしまうことがあるのよ・・・」
「え・・・じゃあそういうことは現実の私は・・・」
「うん・・・消えたってことになってるわ。今現実に原田君の意思の河村 あかねは存在していないわ」
「要するに今ここにいる原田君は・・・現実の原田君ね・・・」
「え・・・じゃあ私は現実世界には戻れないの・・・?」
「由香、試しに原田君を現実世界に一緒に連れてってみて!」
「う、うん、徹君、じゃあついてきて!」
「え、うん・・・」
私は由香に連れられてそのまま茜ちゃんとあかねちゃんの元を一旦離れた。
数分後。私は由香と一緒に茜ちゃんとあかねちゃんの元に戻ってきていた。
「う〜ん、ダメみたい・・・私1人だと現実世界に抜けられるみたいだけど・・・原田君連れていると現実へ抜けられないみたいね・・・」
「・・・やっぱり・・・」
「時空の乱れのせいで、今の原田君は現実の原田君ではなく、私と同じ立場、つまり夢の中の存在になってるようね・・・」
「え・・・夢の中の存在だから現実に戻れないの・・・?」
「うん、そうみたいねー・・・元々私も夢の中の存在だから、自分から現実には行けないしー・・・」
「ええっ?じゃあ私はしばらく夢の世界にいるままー?」
「・・・うん、そういうことになるわね・・・」
これが私のこれからの運命であった。
「じゃあ現実の河村さんは行方不明のままになるのか?」
あかねちゃんが茜ちゃんに聞いた。
「う〜ん、そういうことになるわねー・・・」
「とりあえず、私は原田君が夢の世界から抜けられる方法を考えるから・・・とりあえず現実で原田君がいたかの確認のために由香は呼んだんだし・・・由香たちはさきに帰るといいよ」
「う〜ん、私たちにも何か力になれないの?」
「残念ながら、現実の世界から直接きた人の力じゃどうにもできないんだよねー・・・」
「う〜ん、そうなのー・・・じゃあしょうがないわね。とりあえず私はあかねちゃんを連れてさきに元の世界に帰るわね・・・」
「うん・・・じゃーねー」
「うん、じゃ、あかねちゃん、行こ」
「お、おう。河村さん、早く現実に戻ってこいよー・・・」
由香とあかねちゃんは行ってしまった。
「さてっと、どうやれば原田君を元の世界に戻せるのかしらねー?」
「う〜ん・・・って、私に聞かれてもわかんないわよー」
「う〜ん、どうしましょ?」
「それとも、原田君このまま夢の世界に住んじゃわない?」
「う〜ん・・・って、私は元の世界に戻りたいのよ!」
「やっぱりそうだよねー・・・とりあえず原田君は、一旦自分の家に帰って考えるといいわね」
「うん、あれ?夢の中の世界にも私の家ってあるの?」
「夢の中の世界は思い通りになる、夢の中の私の存在は変えられないけど、私の性格だって変えることできるんだから、原田君が現実の世界を思えばここは現実の世界とまったく同じ造りになるわ」
「そうかー・・・でも、現実の世界とは違うのよねー・・・?」
「そうだけどー・・・現実の世界に戻れるまではここを現実の世界の造りにするしかないわよ」
「・・・そうね」
私は現実の世界を思った。
そして、現実の世界と同じ造りになった。
現実と同じ、今は学校の放課後。
そして今は私は教室にいるということになっている。
そして、目の前の私は原田 徹になっていた。
「あれ?何で急にあかねちゃん変わったの?」
「現実だとあかねちゃんは原田 徹だもんね!だから、俺は今原田 徹に変化したんだ」
「なるほどねー」
そこへ、突然由香が私に、
「あかねちゃん!一緒に帰ろー」
と話しかけてきた。
多分この由香は、私が現実の思いで作り出した
由香だろう・・・。本当の由香は、本当の現実にいる。
「原田君も一緒に帰ろー!」
「おう」
私は茜ちゃんと由香と一緒に帰った。

その頃、現実世界では、大騒ぎになっていた。
あかねちゃんが突然行方不明になっていたからである。
現実世界では、学年や先生たちであかねちゃんを探していた。
(由香・・・真実はみんなに言えないよなー・・・?)
(うん、そうねー・・・やっぱりこっちでは大騒ぎになっちゃったわねー・・・)
(うん、しょうがない、俺も知らないふりをしてその場を越すかー)
(うん、今はそうするしかないわね)

夢の世界にいる私は、現実の騒ぎなどまったく知らない。
私はとりあえず家に着いた。
だが、何だか自分の家と言う感じがしない。
何故なら、自分の思いで作り出した家なのだから。
だが、いつまでもそんなこと思っていてもしょうがないので、私はここは本当に現実だと思うことにした。
私は、いつも通り自分の部屋に入る。
そして、現実に戻れる方法を考えだす。
(う〜ん、ここは夢の世界なのよねー・・・あ!ということは・・・もしかしてあの方法で・・・)
私は急に帰れる方法が浮かんだ。
その帰れる方法とは・・・。


<第26話>

次の日、私は現実世界と同じようにいつも通りに学校へ行く準備をしていた。
私は学校へ行く途中に茜ちゃんに出会う。
「原田君、戻れそうな方法何か見つかったか?」
「うん、多分この方法で戻れるんじゃないかなー?」
私は茜ちゃんに、私の方法を話した。
「う〜ん、そうだな!これなら戻れるな!」
「何で今まで気付かなかったんだろ?」
「う〜ん、なんでだろ?ま、でも戻れそうならいいや!」
「とりあえずこの世界でも今はこれから学校があるから、昼休みにでも実行しよう!」
「うん、そうしよう」
私は夢の中の世界ではあるが、いつもの日常と同じように原田 徹の姿をした茜ちゃんと学校へ向かった。

そして、現実の世界と同じような展開が繰り広げられ、いつもと同じような感じで授業は進み、そして昼休み。
私は茜ちゃんと中庭にいた。
「原田君、そろそろ現実世界の思いをなくしてもいいんじゃないかな?」
「あ、そうだね」
私は、いつもの夢の世界をイメージした。
すると、周りの世界が変わっていく。
やがて、私の周りはいつもの夢の世界となった。
そして、徹の姿だった茜ちゃんは本来の茜ちゃんになった。
「ふぅー、これでやっと実行できるわね」
「ねえ・・・私さっきから思ってたんだけどさー・・・いちいち昼休みになるの待たなくても初めからいつもの夢の世界にしていればすぐ実行できたんじゃ・・・?」
「あ、そういえばそうだったわね〜」
(茜ちゃん、早く気づけよー)
「ごめんなさいねー」
茜ちゃんが私の心を読み取って返事した。
「でも、とりあえずこれで原田君は元の世界へ」
「帰れるはず、さあ早速はじめましょ!」
「うん」
私の考えていた方法、それは、ここは夢の世界なのだから、私自身が夢の世界からの別の出口を作り出せばいい。
そうすれば、由香なんかが通ってくる出口を使わなくても出られるはず。
「じゃあ原田君、念じてみて!」
「うん」
私は、この世界に現実世界への出口を作り出そうとした。
そして、私の目の前に私がイメージしていたような感じの出口が現れる。
「やった!成功したようだ」
「原田君、これで帰れるわね!」
「うん」
「じゃ、原田君、またきてねー!」
「うん、そのうちねー!」
私は、私が自ら作り出した現実への入り口へ入った。

(う〜ん・・・ここは?)
私は意識を取り戻した。
どうやら現実世界へ帰ってこれたようだ。

私は、辺りを見回してみる。
そこは、中庭だった。
どうやら、私がさっきの時点までいた夢の世界には中庭からきていたので、今は中庭に現れたようだ。
(今ごろあかねちゃんや由香はどうしてるんだろ?)
私は、自分の教室へ向かってみた。
今、時間はちょうど昼休みだったらしい。
私は、教室に着いた。
教室には、由香がいた。
周りの生徒は、
「あ!あかねちゃんいたよ!先生に連絡しにいこう!」
と言っていた。
そういうなり、由香以外の生徒が教室を飛び出していった。
現実世界では、私が夢の世界から戻れない間、河村 あかねは行方不明ということになっていた。
それなので、家にも帰ってないってことでみんなで昨日から今日にかけて私を探していたのだった。
私は、由香と教室に取り残された。
「徹君、戻ってこれたのね?」
「うん、やっと戻ってこれたよー!」
「・・・よかったー」
「・・・うん」
「あ、あかねちゃんにも徹君が戻ったこと伝えにいこ!」
「あ、そうだね」
私は由香と、あかねちゃんの教室へ向かった。
由香が、教室からあかねちゃんを呼び出す。
本当は由香は徹君が戻ってきたと言いたかったらしいが、周りには他に生徒がいたので、
「徹君、あかねちゃん見つかったよ!」
と、行方不明からあかねちゃんが見つかったかのような言い方で言った。
「あかねちゃん!戻ってきたんだー」
あかねちゃんが言った。

部活も終わり、私はあかねちゃんと一緒に帰っていた。
今日は由香は用事とのことで、先に帰っていた。
「あかねちゃん、本当、戻ってこれてよかったなー」
「うん、本当、夢の中から出られないって聞いた時はどうなっちゃうかと思ったよー」
「で、どんな方法で戻ってきたんだ?」
「それがさー、実はねー・・・」
私はあかねちゃんに方法を話した。
「な〜んだ!そんな簡単な方法があったんじゃん!」
「でも、今まで私も茜ちゃんも気付かなかったんだけどねー・・・」
「ま、戻ってきたことには変わりはないんだ!よかったよ」
「うん、そうだね・・・」
その後、ずっとそのような会話を続けていた。
しばらく歩いてから、あかねちゃんが、
「・・・原田君、本当に戻ってこれてよかったー・・・」
私がリボンをつけているのに、あかねちゃんは本来の言葉遣いで私に言ってきた。
私も、
「うん・・・そうだな・・・」
本来の言葉で返すことができた。
何故か2人は俯いてしまった。
私とあかねちゃんは、お互い恋人になってからは、ずっと学校では一緒にいたので、1日私がいなくなっただけで、お互いの存在の価値を大きく感じてしまっていた。
そのことがきっかけか、私とあかねちゃんの恋はかなり進展してきたような気がした。

<第27話>


次の日の昼休み。
私はあかねちゃんと2人きりで中庭にいた。
あかねちゃんは何かを思っているようだ。
私は今リボンを外している。
それだから、お互い本来の言葉遣いで話せる。
「・・・私ね・・・急にだけど、河村 あかねに戻りたいって思い始めてきているの・・・」
「・・・実は俺も・・・そろそろ徹に戻りたいなーって思ってる」
「私ね・・・やっぱり、私は原田君ではなく、河村 あかねとして、女の子として、原田君の側にいたいの・・・」
「うん・・・実はね・・・俺も・・・原田 徹として・・・あかねちゃんの側にいたいんだ・・・」
「でも・・・身体はまだ戻らないのよねー・・・?」
「どうなんだろう・・・?」
「私ね、何だか自分の中で抑えられない感じの気持ちがあるの。何なんだろう?この気持ち・・・よくはわかんないんだけど、この気持ちのせいで私は河村 あかねに戻りたいって思ってるんだと思う・・・」
「俺の方も・・・何だかわかんない気持ちがある・・・」
「あ〜ん、もうガマンできない!!」
あかねちゃんが突然、俺に抱きついてきた。
俺は驚きながらも、あかねちゃんを受け止める。
「あ・・・あかねちゃん?急にどうしたの・・・!?」
「・・・なんだかよくわかんないけど・・・急に原田君に抱きつきたくなっちゃったの・・・お願い・・・今はこうさせていて・・・」
「うん・・・わかったよ」
私とあかねちゃんはしばらく抱きついていた。
そして、抱きつき終わる。
「あかね・・・」
「とおる・・・」
2人は、同時にお互いの名前を呼んでいた。
「2人共〜なかなかいい感じですわね〜」
「誰だ!?」
突然どこからともなく声が聞こえた
「て・・・天使〜!?」
あかねちゃんが驚いている。
そういえば、あかねちゃんは天使のことは知らないんだった。
俺は天使に、
「おい!どういうつもりだよ!あかねちゃんに存在がバレたら天界の決まりに基づいて使命が失敗するんだろ?」
「それなら大丈夫ですわ〜。使命は成功しますわ〜」
「使命って・・・!?」
あかねちゃんが聞いてくる。
天使が自ら今までの真実を話し出した。
「・・・なるほどね、それであなたは私の前には出てこれなかったのね・・・」
「そうなんですの〜。でも〜、今ならもう前に出てこれます〜。今こそ2人の身体を戻す時です〜」
天使が何気なく言った一言。
「え!?おい?今何て言った?」
「2人の身体を戻す時って言ったです〜」
「え?じゃあ身体もう戻せるんか?」
「そうですね〜」
「あかねちゃん!身体が戻せるらしいよ!」
「天使さん?本当なの?」
「ほんと〜です〜。それじゃあこれから2人の交換を行いますです〜。まずは〜、2人共目を閉じてくださ〜い」
「閉じたぞ!」「閉じたわ!」
「あとは〜そのままじっとしててくださ〜い」
天使が何かをやっているようだ。
バタッ。急に俺とあかねちゃんは倒れた。
「成功したです〜。あとは2人が目覚めればOKです〜。これで私の使命も果たされたです〜。私は天界へ戻るです〜」
天使は、天界へ戻っていった。


<第28話>

数分後。俺とあかねちゃんはそれぞれ保健室で別々のベットに寝かされていた。
俺が目を覚ますと同時にあかねちゃんも目を覚ます。
俺はそれから、自分の身体の変化に気付いた。
今まであかねちゃんとして生きてきた以上、絶対あるはずの胸の膨らみがなくなっている。
そして、お約束として股間に手を伸ばした。
そこには・・・ちゃんとあった。
(俺、元に戻れたのか!?)
俺は横のベットにいるはずのあかねちゃんを見てみる。
あかねちゃんは、原田 徹の姿ではなく、本来の河村 あかねの姿になっていた。
「あかねちゃん!俺たち元に戻れたみたいだ!!」
俺はあかねちゃんに言葉を投げかけた。
あかねちゃんも自分の身体を見下ろし、河村 あかねに戻っていることに気付く。
しかし、あかねちゃんの反応は意外なものだった。
「原田君、何言ってるの?原田君が元に戻っているのは夢の世界だからでしょ?」
と言ってきた。
「え・・・おい、ここって夢の世界か・・・?お前・・・夢の中の茜ちゃんか・・・!?」
「私は現実のあかねだよ〜ん!」
「え・・・おい、どういうことだよ!?」
「私はね〜、原田君を騙そうとしただけだよ〜!本当はここは現実世界だよ〜ん!」
「あ、よくも騙しやがったな!」
「原田君マジで驚くんだもん!おもしろ〜い」
あかねちゃんが小刻みに笑う。
「笑うな〜!!!」
「別にいいじゃ〜ん!元に戻れたんだし!」
「う〜ん、そうだな、俺たち元に戻れたんだな。期間にしては大体1ヶ月くらいのことだったけど、長かったような長くなかったような・・・」
俺は今、ちゃんと原田 徹としてあかねちゃんに接している。
普通はこうなるが、今まであかねちゃんになっていた以上、このように原田 徹としてあかねちゃんに接することができることに、何だか不思議な気持ちを感じてしまう。
それはあかねちゃんからとっても同じみたいだ。
「原田君・・・これで私たち・・・お互い本来の立場で付き合うことができるわね・・・」
「うん・・・そうだね・・・」
ガタッ!その時、棚の辺りから何かの物音がした。
「誰かいるのか!?」
俺が言ってみると、
「あ・・・バレちゃったか〜」
棚の陰から現れたのは由香だった。
「もしや・・・今までの会話・・・全部聞いてた・・・!?」
「うん!しっかりと聞かせてもらったよ〜!」
「・・・・・・・」
「由香、いつからそこにいたの?」
あかねちゃんが由香に尋ねる。
「う〜ん、そうねー、大体2人が目を覚ます2分前くらいかな?どうやら身体戻ったみたいだね?」
「うん、ようやく戻ったみたい」
「まさかとは思うが・・・また入れ替わったままで記憶が書き換えられたって言うんじゃないよねー・・・?」
「大丈夫だよ!今度はちゃんと正常に戻ってるよ!」
「そう、よかったー」
「2人はお互い約1ヶ月色々と大変だったね」
「うん、でも、大変なんてもんじゃないよ〜?」
「それもそうね」
「で、あかねちゃんと徹君はちゃんと結ばれたのよね?」
「な・・・何でそんなこと聞くのよ〜・・・」
「大丈夫だよ〜!もう心読んじゃったから知ってるもん!」
「あ・・・そういえば由香、心が読めたのよね・・・」
「あ〜あ、徹君とあかねちゃんが結ばれたのは悪くはないけど、私はあかねちゃんにすっかり徹君をとられちゃったわねー」
「おい・・・由香、それってどういう意味だよ・・・?」
「あ、私まだ言ってなかったっけ?私も密かに徹君のこと狙ってたのよ!知らなかった?」
「・・・知りませんでした」
俺は、実は由香も俺のことが好きだったなんて全然知らなかった。
由香には・・・ちょっと悪いことしちゃったかなー・・・?
「徹君、いいのよ!徹君はあかねちゃんと幸せになって!」
俺の心を読み取ったのか、由香が言葉を返してきた。
「あ、今って何時なの?」
「時間?もう放課後よ!」
「ふ〜ん、じゃあ私たち、かなりの間意識を失っていたのね」
「いいんじゃない?元に戻れたんだから」
「う〜ん、そうね」
俺とあかねちゃんと由香はその後、保健室をあとにして下校する。

今はあかねちゃんと由香と並んで俺は歩いている。
そして、いつも道を曲がる角に来たのだが、
「あれ?徹君、家こっちでしょ?」
由香が、俺に言ってきた。
どうやら俺は、今まであかねちゃんだったために無意識のうちにあかねちゃんの家を目指そうとしていたのだった。
あかねちゃんがつけているリボンも、もう役目を果たして今はただのリボンとなっているから、感覚や言葉遣いは元に戻っていても、今まであかねちゃんとして生きていた記憶はそのままはっきりと残っているようだ。
そのために、無意識にあかねちゃんの家に帰ろうとしてしまった。
「で、今日からはまたあかねちゃんはこっちの道でしょ?」
「あ、そうね」
実はあかねちゃんも、無意識のうちに俺の家に帰ろうとしていた。
ということは、ここであかねちゃんと別れる。
「あかねちゃん、また明日!」
「じゃーなー」
「うん、じゃ〜ね〜」
俺と由香はあかねちゃんとわかれて、再び家を目指し歩きだした。


<第29話>

俺は家に着いた。
久々の我が家。やっと戻ってこれた。
もしかしたらもう2度と戻ってこれなかったかもしれないと思っていた我が家。俺はその我が家に足を踏み入れる。
「ただいまー!!」
「あ、徹、おかえりなさ〜い」
最近しばらく聞いていなかった母さんの声。
なんだかとてもなつかしい。
俺はすぐに自分の部屋に入る。
ガチャ!俺はドアを開けて、部屋に入る。
そこには、久しぶりの自分の部屋という世界が広がっていた。
「俺・・・やっと元の家に帰ってこれたんだ・・・」
心で思ったつもりなのに、嬉しさのあまりつい声に出して言ってしまう。
俺は何となく自分の引き出しをあけてみる。
そこには・・・あかねちゃんの日記が入っていた。
今日予告もなしに急に身体が戻ったために、あかねちゃんは原田 徹としてつけていた日記を俺の机に入れっぱなしであったようだ。
俺は、河村 あかねになっていた時のように、あかねちゃんが俺としてつけていた日記を見てみる。

8月11日
俺は、今女の心を持った男の子となっている。
昔は河村 徹で男だったとはいえ、もう完全に俺の心は女の子の心になっちゃっているからなー・・・。
でも、何で俺が原田君と入れ替わっちゃったか知らないけど、突然俺が好きな人になることができたなんてラッキー!!
こんな経験、多分もう2度とないんだろうからなー。
・・・なんて、俺喜んでる場合じゃないな。
俺、元の河村 あかねに戻れる方法考えなくっちゃ・・・。
もし戻れなかったら・・・俺と原田君は・・・。

あかねちゃんは、この時からすでにリボンの影響をうけていたため、男言葉で日記は書かれていた。
とりあえず、他のページはみないで日記をしまった。
今はもう元の姿に戻れたとはいえ、あかねちゃんが、今読んだ部分の日記を書いてた日は入れ替わってしまった日のことである。それだから、あかねちゃんは少し不安な思いと少し嬉しい思いでこの日記を書いていたのだろう。
だが、やはりあかねちゃんも必死に戻る方法を考えてくれていたようだな。
俺はその後は、久しぶりに格ゲーをやったり、お気に入りの漫画を読んだり、ベットでおもいっきりゴロゴロしたり、久しぶりの自分の部屋で色々やった。
そしてあっという間に夕飯の時間は過ぎ、風呂に入ってもう寝ようとしていた。
そして、夜中の午前2時。俺は就寝する。

「あ!原田君!またきてくれたのね!」俺の前には、茜ちゃんがいた。
俺は、いつの間にか夢の世界にきてしまっていた。
「何で?もう身体戻れたのに夢の世界にきちまうの〜!?」
「それはねー・・・夢の世界は真実、原田君の作り出した世界。それだから、身体が戻っても関係なく夢の世界はちゃんと存在し続けるのよ!今も、そして、これからも」
「・・・なるほどねー、そうなんだー」
「原田君、現実ではようやく元の身体に戻れたようだけど、夢の世界では原田君が望めばまたあかねちゃんになれるんだよ!」
「あ、そっかー、なんてったって夢の世界だもんな」
「あと、夢の世界ではあかねちゃん以外にもなることができるよ!例えばー・・・由香とか!」
「う〜ん、由香にもなってみたいかも?現実ではごめんだけど」
「じゃ、原田君由香になってみる?」
「う〜ん、少しの間だけなってみようかな?」
そういって俺は由香を思った。そして、身体が由香に変化する。
そして、リボンはもうないはずなのに感覚も女の子になった。
「あれ?何で感覚まで女の子になっちゃうのよ?」
「それはねー、今まではリボンのせいで感覚が女の子になっちゃったけど、今はリボンも力を使い果たしている。よって女の子の感覚にはならないはずなんだけどね、例外も存在するんだよ!
夢の世界では、私も詳しくは知らないんだけど、自分のことを密かに思っている人の身体になると感覚どころか記憶や考えまでもその人のものになるだとか?」
「え・・・じゃあ私は今感覚が女の子になったんじゃなくて、由香の気持ちそのものになっているの?」
「う〜ん、そうみたいねー。でも、夢の中だから別に問題ないけどね。それに、夢の中だから由香の気持ちと同時に自分の本来の気持ちもちゃんと維持できるよ」
「う〜ん、ほんとだ。ちゃんと自分の気持ちも残ってるみたい」
その時、私の中にある由香の気持ちが私の気持ちに何かを言ってきたような気がした。
私は、何ていってきてるかはっきりわからなかったが、
「原田君、由香の気持ちは原田君の気持ちに付き合ってほしかった・・・私と徹君で結ばれたかったって言ってるみたいだよ」
「確かー、夢の世界と現実の気持ちって同じなんだよねー?ということは、現実の由香も、『徹君はあかねちゃんと幸せになって!』なんて言ってたけど、本当は私と付き合いたかったのね・・・やっぱ、私由香にも悪いことしちゃったかなー?」
「原田君、そうかもしれないけどでも、天使だって由香よりあかねちゃんの方が原田君に対する気持ちが大きく、しかも原田君もあかねちゃんが好きだったから多分原田君とあかねちゃんの身体を入れ替えたのよ」
「じゃあ、もし私があかねちゃんではなく由香が好きだったら・・・」
「う〜ん、そうね、原田君は由香と入れ替わってたかも知れないわね」
そしたら今ごろはどのような展開だったことだか・・・?」
「私、そろそろ何だか由香の気持ちでいるのつらくなってきたから、元に戻ろうかなー?」
私は本来の自分の思いを強くした。
そしたらあっという間に身体が元に戻った。
「はぁ〜、現実でもこんな簡単に戻れればよかったんになー・・・」
「いいじゃん!今は元に戻れてるんだし」
「でも・・・俺はこれから由香とはどう接していけばいいのだろうか・・・?」
「そんなの簡単だよ!由香はまだ原田君があかねちゃんとくっついちゃったことを、どう受け止めてるかははっきりはわかんないけど、決してあかねちゃんを恨んだりはしていないと思う。由香とあかねちゃんは仲良しなんだし、これは運命だからしょうがないって思ってると思うよ。
だから原田君は、由香には恋人ではないけど、友達として今まで通り普通に接していけばいいんだよ」
「ふ〜ん、そういうもんかねー?」
「そういうもんだよ〜」
「でも、今原田君はあかねちゃんが彼女なんだから、由香に二股はかけちゃだめだよ〜!」
「んなことしねーよ!」
「は〜い!お2人さん!」
そこへ、急に誰かが現れた。


<第30話>

現れたのは、由香だった。
「あ!由香」
「由香、またきてくれたのね?」
「はぁ、徹君、さっき私の本当の心探っちゃったようねー・・・」
「そ、それは、成り行きで・・・」
「わかってるわ、でも、本当気にしないで!徹君はあかねちゃんと幸せに・・・ね!」
「・・・うん、でも由香、俺は・・・実は由香のことも・・・最近好きになり始めてきていたんだ・・・」
「え・・・それって・・・!?」
由香は驚いたような反応を見せている。
俺は、正直な気持ちを由香に伝えた。
決して由香をかばおうとした訳ではなく、心の底からの正直な気持ち。
「あかねちゃんになっちゃったことによって、由香と関わりをもった時から・・・俺は由香も好きになってたのかも知れない。今は・・・もちろん、由香のことは好きだよ・・・だけど・・・俺はやはり前から好きだった、でも、あかねちゃんは見捨てられなかった・・・由香・・・由香には悪いことしたね・・・ごめん・・・」
「・・・・・・・」
由香は黙り込んでしまった。
「・・・徹君、そうね、徹君は私よりあかねちゃんの方への気持ちが大きかったのね・・・でも、私はこれで充分嬉しいよ・・・徹君も私のことを好きになってくれたということだけで。徹君・・・1つだけお願いしてもいいかな?」
「え?何?俺にできることならいいけどー」
「お願い!今だけでいいから私を抱きしめて欲しいの!」
「え・・・・・・・」
俺は突然の由香のお願いに少し驚いた。
突然茜ちゃんが、
「原田君・・・私は構わないから・・・今だけは由香の言う通り抱きしめてあげて・・・」
と言ってきた。
夢の世界の茜ちゃんと現実のあかねちゃんの気持ちは繋がっている。今のセリフは、茜ちゃんではなく、
現実のあかねちゃんの気持ちとして言ったのだろう。
「うん、わかったよ、由香」
俺は、由香をやさしく抱きしめていた。
「徹君・・・私・・・とても嬉しいわ・・・」
「うん・・・俺もだよ・・・」
俺は今、あかねちゃんの時とはまた違う、由香だけしかもっていない感触を体感している。
由香の感触は、とても気持ちよかった。
まるで、俺の心をきれいに洗いながしてくれるようだ。
もし俺は、あかねちゃんを好きになる前に由香のこの感触を体感していれば、恐らく由香だけを好きになっていたかも知れない。
それほど由香の感触は気持ちよかった。
俺と由香はしばらく抱き合っていた。
そして数分後。由香は俺の腕の中から離れた。
「徹君、ありがとね・・・私はこれでもう満足」
「由香・・・俺、本当はあかねちゃんよりも由香の方が好きだったのかもしれない・・・由香の気持ちにもっと早く気付いていれば・・・」
俺は今由香と抱き合ったことによってなのか、由香への本当の思いが込み上げてきた。
「でも・・・今ごろこんなこと言うのも遅いよな・・・」
「あ!原田君、いい提案があるわ!」
突然あかねちゃんが大声で喋ったので、俺はビックリしながらも、
「茜ちゃん、提案って?」
と聞き返してみた。
「うん、その提案なんだけど、原田君は、気持ちは同じでも存在は夢の中と現実では別の存在、でも由香は現実の存在、それだから、原田君は現実ではあかねちゃんの彼氏として、夢の中では由香の彼氏ってことでいいんじゃないの?」
「え・・・でも、夢の中の茜ちゃんも現実のあかねちゃんと同じ気持ちなんだろ・・・?」
「それなら大丈夫よ!原田君が私のことを夢の中と現実とでは別の人物と見立ててくれれば、私は現実の世界の気持ちを持たない、夢の中だけのあかねになるのよ。それなら、今の提案が実現できるわ!」
「なるほどー、でも、それじゃあ由香とは夢の中でしか付き合えないってことだよね?それじゃあ色んなとこへ出かけたりができないんじゃ?」
「夢の世界は原田君の作り出している世界だから、原田君が願えば好きな風に作り変えられるわよ!」
「そっかー、それなら大丈夫だな!で、由香、今の茜ちゃんの提案の通りでいいかな?」
「うん、夢の中での付き合いでも、私は現実の私だから、それでもいいわよ」
「決定ね!原田君は今日から由香とも結ばれたね!」
「うん・・・でもそれぞれ現実世界と夢の世界とで彼女が2人もいてもいいのかなー?」
「あかねちゃんも由香もお互いの心を傷つけることなく幸せになれたんだからいいじゃない?」
「うん、それもそうだな。ということで由香、これからもよろしくな!」
「うん・・・徹君」
「でも、現実では俺の友達ってことで頼むな!」
「うん・・・わかったわ」
「由香、良かったわね、原田君GETしちゃったね!」
「うん・・・徹君、さっき1つだけって言ったのにごめんね・・・もう1個お願いしていいかな?」
「うん、何?」
「徹君は私のこと由香って呼び捨てで呼んでるでしょ?私も夢の世界で徹君の彼女としての時は・・・徹って呼び捨てで呼んでもいいかな・・・?」
「うん、そんなこと俺は構わないよ!」
「ありがとう・・・徹」
「由香・・・」
俺たちは、お互いに名前を呼び合った。
「ふぅ〜、これで全て丸くおさまったわ!」
「原田君によってあかねちゃんと由香はこれからも幸せになるでしょ〜う!!」
「・・・おいおい、勝手に完結すんなよ!!」
「大丈夫よ!あと完結まで数行しかないからさ!」
「・・・・・・・・・・」
その後、俺は現実ではあかねちゃんの彼氏として、夢の世界では由香の彼氏として、それぞれ付き合った。
そして・・・時間がゆるす限り、俺はあかねちゃんと由香と共に、人生を歩んでいくこととなるだろう。



あとがき

ふぅ、長かったなー。第30話にて、とりあえず完結となりました。
え?この「とりあえず」って一体・・・!?
まさかまだ続きがあるとか・・・!?
続きがあるかどうかは・・・内緒です!!
もしかしたら、あるかもしれないし、ないかもしれないし?
(この作者、なんだか無責任って思われてもしょうがないですね・・・)
話を本題に戻します。
作者自身、始めは学校のシーンであかねちゃんとの会話によってストーリーを終了するつもりだったのですが、結果的には夢の世界のシーンで完結となってしまいましたね。
あと、原田 徹はあかねちゃんだけではなく由香とも結ばれました。作者自身、こんな展開になるとは思っても見ませんでしたが、たまには2人と結ばれるという展開もいいんじゃないでしょうか?
あと、実はあかねちゃんではなく、由香と入れ替わってしまうというストーリーも作ってみたいと思っています。
この「俺が好きな人」のストーリーを、あかねちゃんではなく初めから由香が好きだったという設定で作ってみるのもおもしろいかと思っています。もし、こっちの方の話も読んでみたい(由香が好きという設定の話ね)という意見などを感想の欄などに書き込んでいただければ、初期設定はこれと同じまま由香と入れ替わる編も作るかもしれません。
まあとりあえず、次回作も考えていますし、意見がなければ由香と入れ替わる編は作らないかもしれないし、作者自身が意見無くても勝手に作るかもしれないし・・・?
(やっぱこの作者、無責任って思われてもしょうがないかも・・・?)
とりあえず、この作品についての感想などもいただけると、作者としては喜ばしいです。
それでは、今回はこの辺で〜!!

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