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俺が好きな人(第2章)

作:T・H





<第11話>


今日は9月3日。
いつも通り俺はあかねちゃんとして目覚める。
身体こそはまだ戻ってはいないものの、昨日のことを通して俺とあかねちゃんは恋人関係となった。
あかねちゃんと恋人関係になったせいか、これからの生活がなんだか楽しみである。
俺はいつも通りに、とりあえずリボンをつけた。
感覚が女の子のものになったのを感じる。
そして次に、制服に着替えた。
下に行ったら朝ご飯を済ませて、再び部屋に戻り、学校へ行くためのちょっとした準備をする。
準備が完了した。
「行ってきま〜す」
私はそう言うなり、家をあとにした。

私はひたすらいつも通りに学校へ向かう。
家を出てから5分くらい経ったかな?
その時点で、私はあかねちゃんと会った。
「あ!河村さん、おはよー!」
「あ!原田君、おはよー!」
いつも通り、入れ替わった立場での会話が交差する。
その後は、今では私(徹)の姿になっているあかねちゃんと学校へ向かった。
特に何も進展はなく、いつも通りの登校だった。
はっきし言って私は、昨日あかねちゃんとの恋人関係をきっかけに、今日は何かいつもと違う進展があると思っていた。
だが、進展は何もなかった。
よく考えてみれば、逆にいうといくら昨日に恋人同士になったとはいっても、急に進展を求める方が難しいかもしれない。
やっぱり始めは今までと変わりない友達止まりの付き合いみたいな形となってしまうのだろう。
でも、あかねちゃんとの進展が進めば私とあかねちゃんの身体はそれぞれ元に戻るらしい。あと、私も原田 徹としてあかねちゃんと付き合いたい。
そのためにも、あかねちゃんとの恋を進展させたい私であった。
などと考えているうちに、いつの間にか学校の目の前まで来ていた。

教室に入る。
いつも通り騒がしい朝の教室。
「おはよー」
私は近くの女子生徒たちにあいさつした。
「あかねちゃん、おはよー」
返事が返ってきた。
私は男の心は持っていても、今はリボンの力で女の子の感覚になっているため、今まで全然接点がなかった女子とでも普通にあいさつするということも難なくこなせるようになっていた。
そして女子に朝のあいさつをしてから1日が始まる。
今、あかねちゃんであるという立場からしてみれば、それがほとんど日常のようなものであった。

そして、HR(ホームルーム)が終わって1時間目の授業の時間となった。
1時間目は世界史であった。
私は昨日ちゃんと寝たはずなのに、授業が始まるなりいきなり強烈な眠気に襲われた。
といっても、男だった時はしょっちゅう授業中に眠くなっていた私であったが、あかねちゃんは元の身体だった時、授業中に眠るということは1度もなかったらしい。
あかねちゃんの話によると、今はあかねちゃんが私の身体に入っているため、私の今まで通りの生活に基づいて、私の身体に入っているあかねちゃんは授業中にいつも眠くなってしまうらしい。
ということは、私はあかねちゃんになっているのだから、あかねちゃんの今までの生活に基づけば、昨日もちゃんと寝たのだから眠くはならないはずであった。
しかし、何故か強烈な眠気に襲われてしまった。
私はあくびを堪えながらも、結局授業開始から5分も経たないうちにいつの間にか寝てしまった。


<第12話>


「原田!こら!起きなさい!」
「うわーっ!!」
俺はビックリしてしまった。
授業中に寝てしまったために、いきなり先生によって起こされたのだった。
(あれ、今俺はあかねちゃんのはずなのに、先生は原田って呼んだ?それに、感覚も男に戻ってる!?)
先生が、
「授業中寝ないように気をつけろよ!」
と言うなり、俺のところから立ち去って授業が続行された。
しかし俺は授業が続行されてもほとんど内容を聞かずに男の感覚に戻っているみたいだということを考えていた。
そして俺はこの時点で自分の胸元を見てみる。
ない!そこには、俺があかねちゃんになっているならあるはずである胸の膨らみがなかった。
今は授業中であるので、みんなに見られないようにそーっと又元に手を差し伸べる。
そこには男の象徴があった。
(ということは、俺、男に戻れたんだ!?)
俺は結論を出した。
(でもなんで急に戻れたんだろ?)
(天使が戻してくれたのか?)
俺はその後、適当に授業を受けて休み時間となった。
廊下であかねちゃんと遭遇する。
「あ!あかねちゃん」
「あ、原田君」
お互い名前を呼び合う。
「本当にあかねちゃん?」
本来ならあかねちゃんの中に俺が入っていたはずなのだから、一応確認してみる。
「え、原田君何言ってるの?私はあかねよ?」
どうやら本当に本物のあかねちゃんらしい。
「あかねちゃんも俺と同じで元の身体に戻れたの?」
「え、何のこと?」
あかねちゃんは何がなんだか全然わからないような反応をする。
「だから、今まで俺たち身体入れ替わっていただろ?それなのに急に元の身体に戻ってるからさ?」
「入れ替わり?元の身体?」
あかねちゃんは、またまた何がなんだか全然わからないような反応をする。
「あかねちゃんどうしたの?まさか記憶喪失?」
「え、あかねはいつも通りよー」
「じゃあさ、あかねちゃんは昨日誰の家に帰った?」
身体が入れ替わっていたはずだから、あかねちゃんは俺の家と答えるはずだ。が、しかし、
「原田君何言ってるの?私は自分の家、すなわちあかねの家に帰ったに決まってるでしょ?」
あかねちゃんは俺として俺の家に帰ったはずじゃ?
俺はまた質問をしてみた。
「あかねちゃんさ、俺たち8月11日にデートしたの覚えてる?」
あかねちゃんは覚えてるという反応をするはずだ。
「うん、覚えてるよー」
あかねちゃんは俺の予想通りの反応をした。
「どういう内容だったか覚えてる?」
「うん、始めに学校の前で待ち合わせしたわねー」
「そうそう」
「次にー、女物関係の物が多いお店に入ったわねー」
「うんうん」
どうやらちゃんと俺の記憶通りの展開だ。
しかし、次の展開は少し違っていた。
「そしてその店でー、原田君は初デートだからって」
「言って私にリボンをプレゼントしてくれたわね?」
「え?」
「え?違う?確かそうだったと思ったけど」
内容は少し違っていた。
リボンは俺があかねちゃんにプレゼントしたのではなく、あかねちゃんが原田 徹として俺にプレゼントしてくれたはずだ。
「で、その後は映画見に行ったのよね?」
「え、うん」
映画の部分は同じらしい。
「で、映画が終わった時点でデート終了だったわね?」
「え、うん、そうだったね」
俺はその後も聞いてみた。
「あかねちゃんさ、帰ってから何やった?」
「え、確かー、帰ってから夕ご飯食べてー、」
「部屋行って漫画読んでー、てきとーにごろごろ」
「した後にお風呂に入ってー、明日のテニスの準備を」
「して、それで1時くらいに寝たかな?」
・・・俺は気付いた。
俺が身体が入れ替わってしまったためにあかねちゃんとしてデート終了後あかねちゃんの家に帰り、俺があかねちゃんとしてとったその行動、その俺があかねちゃんとしてとった行動は、本当のあかねちゃんそのものがとった行動と言うことになっている。
(これは一体どういうことだ?)
何かかみ合わない部分があるため、訳がわからなくなってきた俺。
その時あかねちゃんが、
「原田君?何か考え事?」
「え、うん、何だか話がかみ合わないような気がして・・・」
その後、何故話がかみ合わなかったかの事実が判明する。
あかねちゃんの一言によって。
「えー、話がかみ合わないの?」
「え、うん、何だかそんな気がする」
「そりゃあそうよねー」
「え、そうって一体何が?」
「だってこれはねー・・・」
「これは・・・?」
「原田君が河村 あかねとして今見ている原田君自身の夢の中の世界なんだもんね!」
「え、夢の世界!?」
どうやら今俺がいる世界は夢の世界らしい?
「ようするに現実の俺はあかねちゃんになったままで」
「この夢を見ているということか?」
「そういうことになるわねー!」
「ま、でも現実の世界でも元に戻れば夢の中の私は必要なくなるわね!夢の中の私は現実の私と同じ存在だからね!でも大丈夫よ!もうすぐで夢が覚めるわ!私は原田君の夢の中にいつでもいるわ!もう1人のあかねとしてね!また次の夢で会いましょうね!」
そう言ってあかねちゃんは立ち去ってしまった。
「え、ちょっと待ってよ!あかねちゃ〜ん」

「河村!まだ授業中だぞ!起きなさい!」
「うわーっ!!」
私はビックリしてしまった。
授業中に寝てしまったために、いきなり先生によって起こされたのだった。
(あれ、今先生は私を河村って呼んだ?それに、感覚もまた女の子のものになってる!?)
先生が、
「授業中寝ないように気をつけろよ!」
と言うなり、私のところから立ち去って授業が続行された。
しかし私は授業が続行されてもほとんど内容を聞かずに女の感覚に戻っているみたいだということを考えていた。
さっきまで確かに男の感覚であったはずだからだ。
そして私はこの時点で自分の胸元を見てみる。
あった。そこには、私があかねちゃんになっているからあるはずである胸の膨らみが当然のようにあった。
今は授業中であるので、みんなに見られないようにそーっと又元に手を差し伸べる。
そこには男の象徴がなかった。
(ということは、私、また女になってる!?)
私は結論を出した。
確かにさっきは男に戻っていたはずだ。
さっきのことを思い出してみる。
そういえば、最後にあかねちゃんが『また次の夢で会いましょうね!』と言っていたのを思い出した。
それに途中では、『原田君が河村 あかねとして今見ている原田君自身の夢の中の世界なんだもんね!』とも言っていた。
ということは、さっきのは全部夢だった?
私はその後、適当に授業を受けて休み時間となった。
廊下であかねちゃんと遭遇する。
「あ!河村さん」
「あ、原田君」
お互い名前を呼び合う。
「本当に河村さん?」
私の身体にあかねちゃんが入っているはずなのだから、一応確認してみる。
「え、河村さん何言ってるの?俺は身体は」
「原田君でも、中身はあかねだぞ?」
どうやら中身は本当に本物のあかねちゃんらしい。
見かけは原田 徹であるが。
「あかねちゃんも私と同じでやっぱり元の身体に戻ってないよね?」
「え、うん、そうだな」
あかねちゃんは当然のような返事で反応する。
私は質問をしてみた。
「あかねちゃんさ、私たち8月11日にデートしたの覚えてる?」
あかねちゃんは覚えてるという反応をするはずだ。
「うん、覚えてるぞー」
あかねちゃんは私の予想通りの反応をした。
「どういう内容だったか覚えてる?」
「うん、始めに学校の前で待ち合わせしたなー」
「そうそう」
「次にー、女物関係の物が多いい店に入ったなー」
「うんうん」
どうやらちゃんと私の記憶通りの展開だ。
「そしてその店で、俺が初デートだからって」
「言って河村さんにリボンをプレゼントしたよな?」
「うんうん」
内容は私の記憶と見事に一致した。
「で、その後は映画見に行ったよな?」
「うん」
「で、映画が終わった時点でデート終了だったな?」
「うん、そうだったね」
私はその後も聞こうとしたが、どうやら記憶はかみ合っているようなので、質問はここで打ち切った。
その時
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが廊下に鳴り渡る。
「あ、もう時間!原田君、じゃあまたあとで!」
「おう!またあとでな!」
私とあかねちゃんはそれぞれの教室へ駆け込んでいった。
やはりさっきのことは夢だったのかなー?と思いながら。


<第13話>


授業が終わり、私は部活へ向かった。
いつも通り女子のコートで練習を始める。
あかねちゃんは、いつも通り男子コートに入る。
入れ替わっている立場を考えれば、このことはいつも通りということになる。
そしてある程度体をテニスの体制に慣らしてきたら、いつも通り練習に力が入ってきた。
そして、私は何故か今日は調子がよく、どんどん練習に力が入っていく。
でも何かおかしい。何故か、自分でも止まらないくらいの勢いで練習に力が入ってしまう。
クラ〜ッ。私はよろめいてしまった。
そしてテニスに力を入れ過ぎた私は、疲れ過ぎてそのままその場に倒れ込んでしまった。
「あ、あかねちゃん?」
「おい!河村、どうした?」
近くの女子生徒や先生が、心配そうに私に向かって声をかけてくる。
だが、私は意識を失ってしまったために、みんなの声を受け止められなかった。

「原田君、大丈夫?」
(あれ、俺は確か部活で急に倒れたはずじゃ・・・?)
俺は意識が少し戻ってきた中、誰かに声をかけられた。
目をゆっくり開けて、視点をいつもの視点に戻す。
そこは保健室だった。そして、近くにはあかねちゃんがいた。
「あ、原田君、気がついたのね?」
「う〜ん、なんとか気がついたみたい・・・あれ?なんであかねちゃんが目の前にいるの?今は俺があかねちゃんのはず・・・え?俺?」
俺は感覚や言葉遣いが男に戻っていることに気付く。
そして、目の前には確かにあかねちゃんがいて、俺自身はというと・・・元の身体になっていた。
「あれ、きみは本当にあかねちゃん・・・?」
俺は一応尋ねてみる。
「そうよ!さっきもあったわね!」
「え、さっき・・・?」
俺は意味がよくわからなかった。
「私は原田君の夢の中のあかねよ!」
「え、じゃあそういうことは・・・?」
「その通り!これは原田君が見ている夢だよ!現実の原田君は今は私、河村 あかねとして保健室で意識を失っているわ!」
「え、じゃあ俺はまた自分の夢の世界に迷い込んでしまったのかー!!」
「大げさねー、迷い込んだといってもね、現実の原田君の意識が戻って目が覚めればちゃんと現実に戻るわよ!」
「あ、そっかー」
俺は納得した、ような気がした。
「でも、なんでさっきも俺は今見ている夢の世界に迷い込んでしまったんだ?」
夢の中の世界のあかねちゃんに聞いてみる。
そしてあかねちゃんから帰ってきた答えとは、
「そんなの簡単なことよ!何故ならねー、現実の原田君自身は、知らないうちに今私、河村 あかねとして生活するより、原田 徹として元の生活に戻りたいという願いの方が強いのよ!」
「といいますと・・・?」
「ようするに、これは原田君自身が今望んでいる世界なのよ?だから原田君が私として生活するという気持ちが強くなって、原田 徹として生活したいという気持ちを上回れば、今のこの夢の世界にも原田君が河村 あかねとして、私が原田 徹として登場するってことになるわよ!」
「う〜ん、なんとなくわかったような気がする・・・?」
俺はよくわからなかったが、少しわかったような気がした。
そして、俺は思い出したかのように、
「あのさ、前の時に言ってたさ、現実のあかねちゃんと同じ存在ってどういうことなの?」
「う〜ん、難しい質問だわー・・・」
「何て答えればいいのかしらねー?」
(それは俺が聞きたいです・・・)
そう思いながらも、あかねちゃんは結論を出した。
「何て答えればいいかわからないから、その答えは原田君自身で解釈してね!」
「そういうオチっすかー!!!」
「あ、そろそろ現実の原田君が目が覚める頃ね!」
「え、そうなの?」
「そうよー!じゃ、私の出番はここまで!次の夢でまた会いましょ〜う!!」
と言って、あかねちゃんは保健室から出て行ってしまった。
「お〜い!ちょっと!待ってくれよ〜」

「河村さん、大丈夫か?」
(あれ、私は確か部活で急に倒れたはずじゃ・・・?)
私は意識が少し戻ってきた中、誰かに声をかけられた。
目をゆっくり開けて、視点をいつもの視点に戻す。
そこは保健室だった。そして、近くには徹の姿をしたあかねちゃんがいた。
「あ、河村さん、気がついたな?」
「う〜ん、なんとか気がついたみたい・・・」
「あれ?なんで私が目の前にいるの?」
「今は私が元の身体に戻っていたはず?って、あれ?」
私は感覚や言葉遣いが女の子のものになっていることに気付く。
そして、目の前には私であるあかねちゃんがいて、私自身はというと・・・あかねちゃんの身体だった。
「あれ、きみは本当に河村さん・・・?」
私は一応尋ねてみる。
「何言ってるんだよ!入れ替わっちゃったんだから当然だろ」
やっぱり、あかねちゃんと俺は入れ替わったままだ。
そこで、さっきのセリフが頭の中に浮かぶ。
『私は原田君の夢の中のあかねよ!』
『え、じゃあそういうことは・・・?』
『その通り!これは原田君が見ている夢だよ!現実の原田君は今は私、河村 あかねとして保健室で意識を失っているわ!』
『え、じゃあ俺はまた自分の夢の世界に』
『迷い込んでしまったのかー!!』
『大げさねー、迷い込んだといってもね、現実の原田君の意識が戻って目が覚めれば
ちゃんと現実に戻るわよ!』
確かに私は今、現実に戻っているようだ。
でも、さっきのも本当に夢だったのだろうか・・・?
それに、夢の中のあかねちゃんって、一体誰なんだろう?
もちろん、あかねちゃんということはわかっているが、あかねちゃんが前の夢(?)で言っていたこと、『夢の中の私は現実の私と同じ存在だからね!』とは、一体どういうことなのだろうか・・・?
確かに姿はあかねちゃんであったが、あの子は本当にあかねちゃんだったのだろうか?
などと考えていたら、現実のあかねちゃん、ようは私の姿をしたあかねちゃんが、
「どうした?まだボーッとするのか?」
と私に向かって言葉をかけてきた。
私は首を横に振った。
「なんだ、大丈夫なのか」
あかねちゃんは安心しているように私には見えた。
(あかねちゃん、私のこと心配してくれていたのね)


<第14話>


私はその後、保健室でしばらく休んでからあかねちゃんと共に下校した。
時間的にもう部活はあと少しで終わるところだったので、そのまま帰ったということである。
私は今まですっかり忘れていたが、リボンの通信機能のことを思い出して、天使と通信をしてみる。
(天使さ〜ん、いますかー?)
何となく間延びした声で呼んでみる。間延びしちゃうのは天使の影響かな?(←詳しくは第1章参照)
・・・返答がこない。
私は仕方なく、通信を諦めかけたが、その時にいきなり、
(呼びましたで〜〜〜すか?)
なんて返事がきたものだから驚いてしまった。
あかねちゃんは私の驚いている顔を見て不思議に思っているらしい。
その証拠に
「河村さん?どうしたんだ?」
などと聞いてきたのだから。
「え、あ、いや、別になんでもないよ・・・」
(天使のことは言えないし・・・)
と言って、あかねちゃんを誤魔化した。
「なんだ、何でもないのか?」
「え、うん・・・なんでもないよ」
「へぇーっ、何でもないのかー」
「え、うん・・・」
一瞬私はあかねちゃんが本当になんでもないと思ってくれたと思ったが、
「本当は何かあるんだろ?」
何て言ってきた。
「え、いや、なんでもないってー!」
「何をそんなに焦ってるんだ?」
「え、別に・・・」
「そうかー」(あかねちゃんって結構疑い深いんだなー。これもあかねちゃんの意外な一面なのかな?)
またまたあかねちゃんの以外な一面を知ってしまったような気がする。
(あの〜、徹く〜ん?)
天使がいきなり話かけてきた。
そういえば私は通信してたのを忘れていた。
天使との通信を始める。
(あれ、そういえば・・・)
(どうしましたか〜?)
(確かお互い意識しちゃうって風になっちゃうから)
(私に天使の存在は言うなって言ったのよね?)
(ええ〜、そうでしたわね〜)
(おいおい、そうでしたわね〜って、そのこと忘れてたんかい!!)
私は心の中で突っ込みを入れたが、天使に読み取られて、
(はい〜、忘れてました〜)
なんて返事が返ってきた。
(・・・)
(でも、もう私とあかねちゃんは恋人同士になったのよ?天使なんだからそのくらいのことはもう知ってるよね?)
(いいえ〜、知りませんでしたわ〜)
(・・・)
(と、ともかく!もうあかねちゃんと恋人同士になったなら、)
(天使の存在を伝えてもいいんじゃないの?何か私が通信してるところとか、あかねちゃんから見れば不思議に思わせてるらしいし)
(それはダメですわ〜)
(何でなのよ?)
(言い忘れてましたが〜、あかねちゃんに私のことがバレますと〜、何故か使命が失敗となりますわ〜)
(おいおい、何故かって何故なんだよ?)
(天界の決まりに基づいてですわ〜)
(・・・それならしょうがないわね・・・あ、そういえば本来の目的を思い出したわ!何故急にあなたを呼んだのかって理由)
(はい〜、何でしょ〜う?)
私は夢の出来事を振り返った。
どうやら天使は私の心を読んだらしく、
(夢に出てくるあかねちゃんのことですか〜?)
(うん、そうなんだけど〜)
いつの間にか私も間延びの口調になっていた。
口調と言っても声に出してはいないが・・・。
(あれって、本当にあかねちゃんなの〜?それに、現実のあかねちゃんと同じ存在とかって言ってたのよ。それってどういうことなの〜?)
(ええっとですね〜、それはですね〜)
(それは〜・・・?)
(簡単にいいますと〜)
(いいますと〜・・・?)
(わかりませんですわ〜)
ドドッ!
私は天使のセリフに対する勢いでこけてしまった。
「河村さん!大丈夫か?」
天使との今までのやり取りを何も知らないあかねちゃんが聞いてくる。
「うん・・・大丈夫・・・」
「どうしたんだ?急にこけて?」
「うん、実はね、天使が」
「天使が・・・?」
「え、あ、いや!何でもない!」
「本当に〜?」
出た!あかねちゃんの疑い深い攻撃!(笑)などと思っていながらも私は、
「本当に何でもないんだよー!」
ちょっと強い口調で言う。
「そ、そっかー」
あかねちゃんはこれ以上は追及してこなかった。
(あの〜、徹く〜ん)
また天使から通信がきた。が、私は通信を無視して、強制的に通信を切断した。
どうやらこのリボンは自分の意志で自由に切断できるようなのである。
そして天使との通信を終えたところで、「ねえ、原田君はさー、最近夢って見る?」
もしかしてあかねちゃんも私と同じような夢を見たのでは?と思いつつ聞いてみた。だが、
「夢かー、最近は全然見ないなー」という反応であった。
ということは、あの夢は現実のあかねちゃんとは直接は関係していないのかなー?でも、
『夢の中の私は現実の私と同じ存在だからね!』
というこのセリフは、一体どういう意味だったのだろうか?
・・・やっぱりわからないや。一体どういう意味なのか?
そして、あかねちゃんが突然私に聞いてきた。
「ねえ、河村さん、もし俺たち、このままずっと」
「身体が戻らなかったらどうする?」
「え?戻らなかったら?」
私は天使にはハッピーエンドになれば身体が戻ると聞かされていたので、元の身体に戻れないというようなことは考えてなかった。
しかし質問されたので、返事を考える。
「もし元に戻らなかったらねー、私なら最後まで河村 あかねとして生きていくかな?」
「やっぱり河村さんも俺と同じ答えだな・・・俺も、原田 徹として生きていくかな?それにあの時も・・・」
「え、あの時って・・・?」
「ほら、前話したでしょ?」
「ああ、あの時ね?」
「・・・うん」
あの時とは、あかねちゃんがまだ男の子として生きていた時のことである。
「あの時は俺、一生これからは女として生きていくって決心したんだ・・・始めは不安だったけど・・・でも、慣れちゃえば急に女になるのも楽だったわ・・・」
リボンの力であかねちゃんの言葉は男の言葉になっているのに、何故かこの言葉だけはあかねちゃん本来の言葉遣い(女の言葉遣い)であった。
「まあ今はまた男になっちゃってるけどな・・・だから大丈夫!きっと、河村さんももし身体が戻らなくてあかねとして生きていくことになっても、すぐにあかねとしての生活に慣れるよ・・・」
「う・・・うん」
・・・何となく、暗い雰囲気になってしまう会話。
私とあかねちゃんだけが抱えている秘密の会話。
その秘密の会話は、私たちの雰囲気を暗くしてしまった。
だが、そのあとは多少明るくなる。
私の一言によって。
「あかねちゃん、俺たち、身体が入れ替わったままでも恋人同士だよな?」
何故かリボンをつけているのに、本来の男言葉が出てくる。
この言葉はどうやら、私自身の本当の男の心として言ったからであると思う。
「ええ、そうね。入れ替わっても恋人同士・・・」
あかねちゃんも女言葉で返事をした。
少し雰囲気が明るくなったような気がする。
でも、なんだか気まずさもそこにはあった。
何故か俯いてしまう2人。
2人は俯いたまま家に帰った。


<第15話>


私は家に着いた。
いつも通りすぐに部屋に入る。
そして、今日の朝密かに見つけていたあかねちゃんの小学校時代の卒業アルバムを見てみる。
(河村 あかねはっと・・・いや、あかねちゃんの名前探しても出てはいないね・・・ええっと、河村 徹はっと・・・)
あかねちゃんは高校から女として生きていくことになったのだから、当然小学校の頃にはまだ河村 あかねは存在していない。
私はアルバムの中から河村 徹を見つけた。
顔写真と睨めっこ。
・・・よく見てみると、確かに今のあかねちゃんの顔つきの面影があるなー・・・。
写真には男の子として写ってる河村 徹。
でも、確かに面影は今のあかねちゃんである。
男の子として写っているが、ただ本人や周りが気付いていないだけで、この時点でも実は河村 徹はすでに女の子だったんだな。
・・・徹君、笑ってる。
河村 徹の顔写真は笑顔であった。
あかねちゃん、いや、徹君は小学校の頃はまだ自分の本当のことについて何も知らなかったから、きっと楽しい毎日を送っていたんだろうなー・・・。
中学生の時では、最後の方で徹君は女の子だったということを知らされてしまったせいなのか、中学の卒業写真では何となく暗い顔をしていた・・・。
やはり、あかねちゃんからとって、あの突然の知らせはショックだったんだろうなー・・・。
もし私がそういう立場だったとしたら、私だったらもう生きていけないかもしれない。
それなのに、あかねちゃんはもうすっかり真の女の子を演じていた。
私はあかねちゃんを真の女の子と思っていたから、あかねちゃんに恋もしてしまった。
そう思ってしまうと、あかねちゃんはかなりのすごい逆境に耐えてきたんだなーと思ってしまう。
でも、現実でいってみると、あかねちゃんのケースとはちょっと違って実は女の子だったという訳ではないが、私も急に女の子になってしまったという身柄。
始めは大変だったが、今となってはもう結構慣れてきたものである。
でも、夢の中のあかねちゃんが言ってたように、実際は元に戻りたいという気持ちは大きいのかもしれない。
直接そのようなことは思っていなくて、あかねちゃんとしての生活にもだいぶ馴染んできたが、やはり今まで通りの自分を捨てるということなどできない。
最終的には元に戻って欲しい。
私自身はそっちの気持ちの方がやはり強いのだろう。
私は元に戻れる保障があるからいいものの、あかねちゃんはもう河村 徹に戻れる保障はない。
今は原田 徹になっているが、入れ替わる前でもあかねちゃんはちゃんと女の子らしくしていた。でも、心のそこではあかねちゃんとは別の河村 徹の心が今までの自分の姿を求めているのではないだろうか?
あかねちゃんは、河村 徹の心は自分の中に大切にしまっておいたが、自分の本来の今までの姿は捨ててしまったということなのだろうか?
私は何故かあかねちゃんがまだ河村 徹であった時のあかねちゃん、ようするに河村 徹君に突然会ってみたくなってしまった。
今、河村 徹はあかねちゃんの姿に対してどのように思っているのだろうか?

私は晩御飯を済ませた。
そして、晩御飯を済ませたあともずっと河村 徹のことばかり考えていた。
あんまり考えてばかりいたせいか、急に眠くなってしまった。
眠くなってしまったので、とりあえず明日の準備をしてもう寝てもいい体制にして、今日はいつもより早いが私は就寝した。
リボンを外すのを忘れたまま・・・。

「あれ?俺は寝たはずなのに・・・?」
「あ、原田君!またきてくれたのね?」
「え、あかねちゃん?」
「そうよー!夢の中のあかねちゃんでーす!!」
そこには、リボンをつけたあかねちゃんが立っていた。
「ということは・・・」
「ビンゴ!ここは夢の世界よ!」
「俺はまたきてしまったのかー!!」
「別にいいじゃん!すぐ帰れるんだし!」
「いや、そういう問題じゃ・・・」
「あれ、今日はお客さん?」
「え?何のこと?」
「ほら、原田君の横に誰かいるでしょ?」
俺自身気付いていなかったが、俺の横に誰かがいた。
顔を見てみたら・・・あかねちゃんそっくりの顔だった。
俺は驚いてしまった。あかねちゃんも驚いている。
「もしかして・・・河村 徹君?」
「うん、僕は河村 徹だよ」
どうやら俺の河村 徹に会ってみたいという気持ちが大きくなったため、夢の世界に河村 徹を呼び寄せてしまったようだ。
それに、ここは夢の世界なので、あかねちゃんと河村 徹君が一緒に存在するのも可能である。
あかねちゃんが口を開いた。
「・・・昔の私だ」
「確かに私は昔この子の姿をしていた・・・」
「とおる君、私の本当の身体返して!!」(2人とも‘徹’でまぎらわしいので、ここからは河村 徹の方をひらがなで表します。)
あかねちゃんはとおる君に向かって言った。
「返しても何も、これは今のきみの身体だよ?」
とおる君が言った。
「嘘・・・そんなの嘘よ・・・」
「今の私の身体はとおる君の身体とは違う・・・これは河村 とおるではなく、河村 あかねの身体・・・」
「いや、きみの身体はあかねさんの身体であり、僕の身体だよ?」
「そんなの嘘よ!とにかく、私の身体返して!!」
・・・俺の思った通りだ。
今でこそあかねちゃんは女の子として生活しているが、やはりあかねちゃんは河村 とおるとして生きていきたかったんだ・・・。
その証拠に身体の返品(?)を求めている。
「徹君!徹君もとおる君を説得して!」
何故か俺は下の名前で呼ばれた。
「え、説得と言っても・・・」
「徹君、お願い!!私は河村 とおるに戻りたいの!」
その気持ちは俺にも強くわかった。
何故なら、俺だって今は夢の中だから原田 徹であるが、現実では河村 あかねである。
俺も元の身体に戻りたい。
そのためか、今のあかねちゃんの気持ち、痛いほどよくわかる。
しかし、あかねちゃんを元に戻す方法なんて、いくら夢の世界と言ってもあるはずがない。
「俺はどうすればいいのかな・・・?」
「ともかく、とおる君に身体をよこすように言って!」
「え・・・うん・・・」
俺はうなずいてしまった。
そして俺はとおる君に、
「あかねちゃんをとおる君に戻す方法はあるの?」
と聞いてみる。
すると返答は、
「方法は1つだけあるよ」
との答えがくる。
「その方法とは・・・?」
「元々僕の身体とあかねさんの身体は同じもの。僕とあかねさんが重なって1つになればいいんだよ」
「そうか!!」
「とおる君、お願い!私の身体返して!」
「・・・うん、わかったよ・・・」
「じゃあ僕があかねさんに重なるから、じっとしてて」
「・・・うん・・・」
俺はとおる君があかねちゃんに重なる光景を見届けた。
あかねちゃんの身体から、光が放たれた。
光の中からあかねちゃんの声が聞こえる。
「・・・徹君、現実のあかねと同じ存在っていうのはね、現実のあかねちゃんも夢の中の私と同じ気持ちであるってことなのよ・・・
「え、じゃあ現実のあかねちゃんも徹君に戻りたがってる?」
「うん、そういうことね・・・これで私は本来の姿に戻れる・・・?」
あかねちゃんから放たれている光がさらに強くなった。
放たれる光があまり強すぎたせいなのか、俺は気を失ってしまった。
(徹君・・・また夢の中の世界でね・・・)
最後に薄れゆく意識の中、あかねちゃんの声が聞こえた。


<第16話>


ジリリリリリリリリリッ!
(う〜ん、まだ寝かせろよ〜)
ジリリリリリリリリリッ!!
(ったく〜、うるせ〜目覚ましだな〜)
ジリリリリリリリリリッ!!!
(ったく、もう!!)
カチッ!俺は目覚ましを止めた。
そして、ゆっくりと目を開ける。
そこには、朝を告げる光景があった。
カーテンの隙間から俺の部屋に光が入ってきている。
今日は9月4日。いつも通り学校がある。
(ふぅ〜っ、今日も学校か〜)
俺はいつも通りリボンをつけようとする。
だが、リボンが見当たらない。
(あれ・・・リボンは・・・?)
何故かリボンがなくなっていた。
リボンには知っての通り、俺が女の子の仕草や言葉遣いや感覚になるため、そしてあかねちゃんが男の子の仕草や言葉遣いや感覚になるために、絶対必要なものである。
(おかしいなー、リボンどこにいったんだろ?)
俺はベットから立ち上がってリボンを探す。
しかし、やはり見つからない。
(あ、そういえば昨日リボンつけたまま寝ちゃったんだ!)
俺はそれを思い出し、頭に手をもっていってリボンを確認してみる。
しかし、リボンはつけたままになってなかった。
それに、つけたままなら感覚が女の子になっていたはずだ。
俺は起きた時から男の感覚であった。
それからしばらくリボンを探す。
だが、なかなか見つからないまま、時間だけが過ぎていく。
俺はしょうがなく時間がないので、とりあえず朝飯を食べた。
そして、その後家を出る時間ギリギリまでリボンを探す。
しかし、最終的にリボンは見つからなかった。
(しょーがない、今日はこのままいくかー)
リボンがないため、今日は男のままの感覚であるが、学校ではあかねちゃんを演じなければならない。
リボンが見つからないためしょうがないとはいえ、俺は少し不安だった。
(リボンなしでもあかねちゃんになりきれるだろうか・・・?)

いつも通り登校していると、いつも通りの場所であかねちゃんに出会う。
「ねえ原田君、今日リボンつけてる?」
あかねちゃんが俺の頭を覗き込む。
「・・・つけてないわね。どうりで感覚が女の子のままだったわけだ」
「うん、実はねー・・・」
俺はリボンがなくなったことを話す。
あかねちゃんが、
「ええっ!?じゃあ今日1日は本来の感覚のままで原田君を演じろっていうの?」
「うん、それに俺も同じ立場だよ・・・男の感覚であかねちゃんを演じなくてはならない」
「確かにリボンはつけたままだったのね?」
「うん、でも、起きたらなくなってた」
「今日1日が不安になってきたわ・・・」
今は俺とあかねちゃん以外に周りには誰もいないため、本来の言葉遣いで会話しているが、学校にいけばもちろん、今の状況にあった言葉で話さなければならない。
(今日1日どうなるんだろう・・・?)

俺とあかねちゃんはとりあえず学校に着いた。
そして、それぞれの教室に向かう。
「おはよ!あかねちゃん!」
いつもなら俺が女の子の感覚であいさつをするとあいさつを返してくる女子生徒が、何故か今日に限ってそっちからあいさつを仕掛けてくる。
「え・・・あ、おはよう・・・」
俺は男の感覚であるため、あいさつに戸惑ってしまった。
何しろ今まで男だった時には全然接点のなかった女子だ。
戸惑ってしまうのも当然である。
「あれ?あかねちゃん、なんだか元気ないわよ?」
「え、別にいつも通りよ・・・!」
俺は無理やり笑って見せた。
「あ、ほんとだ、元気そうね」
「じゃあ私が見間違えただけかしら?」
「え、うん、きっとそうだよ」
「よかったー、あかねちゃんになんかあったんじゃないかと思ったよー」
「うん、心配かけてごめんなさい・・・」
「え、別にいいよー!」
そう言って女子生徒は俺から離れていった。
(ふぅ〜、こんだけで胸がドキドキするとは・・・)
ドキドキするといっても、好きな人に対してのとは違う。
どっちかというと、緊張したという意味である。

昼休み。俺はリボンがないためずっと男の感覚のまま、何とかここまできた。
ここでは省略してはいるが、途中では急に男言葉に戻りそうになっちゃったり、様子がおかしいといわれそうになったりと、色々ボロを出してしまいそうなことがあった。
俺はそのため、どっと疲れていた。
机に向かって顔を伏せる。
一般に、授業中に眠ったりする時の体制だ。
俺はため息をついた。
(ボロが出そうで怖い・・・)
あまりに疲れ過ぎていたせいか、俺は顔を伏せたまま眠ってしまう。

「う〜ん、ここは?もしや?また夢の世界か?」
「ピンポ〜ン!!大正解〜!!!」
「あ、お前は夢の中の河村 あかね!」
「あれ?この前河村 徹に戻ったはずじゃ?」
「はぁっ、そうなのよね〜・・・ここはあなたの夢の世界。あなたが前の時は河村 徹に会いたいって気持ちが強かったからここに河村 徹を呼び寄せた。でも、今回は河村 徹に会いたいという気持ちがないみたいね。そのため、この世界から今は河村 徹の存在が消えたために、私はあかねに戻ってしまったって訳なのよ」
「なるほどー、そういうことかー!」
「変えようとすればいくらでもこの世界はあなたの思い通りになるのよ!あなたの作った世界なのだからね!」
「ふ〜ん、そうだったんだー。あれ、そういえば、あかねちゃん、初めて夢の中であった時はリボンつけてなかったよな?」
「うふふ、現実ではリボンがなくて困ってたようね!ここにリボンを忘れていったんだから!」
「え、忘れていったってどういうこと?」
「9月3日の夜、原田君はリボンをしたまま寝たわね?」
「確か〜、おう!そうだな」
「原田君はあかねちゃんとしてリボンをつけたまま寝た。それでそのまま夢の世界にきた。だから、夢の中では私自身があかねだから、原田君があかねとしてつけていたリボンは夢の中では私がつけていたのよ!それで私がリボンをつけたまま現実の原田君が目覚めちゃったから、私のところにリボンが残った。ようするに、この世界にリボンをおいてきちゃった。そういうことよ!」
「なるほどねー、って、あれ?」
「なに?」
「それならさー、俺はテニスで倒れた時や授業中の居眠りでこの世界にきた時リボンつけたままだったぞ?」
「なるほどね、それはね、原田君はいつも寝る前はリボンを外すんでしょ?」
「え、そうだなー」
「本当は外すべきところで外さないまま夢の世界にきてしまったから夢の世界にリボンを置いてってしまったの!外さなくてもいいべきところでならだいじょうぶなの!」
「ふ〜ん、そうなんだ〜」
「あ、とりあえずリボン返しとくね!」
「あ、うん」
「ではここで問題で〜す!!今原田君は夢の中だから本来の原田 徹の姿で〜す!!」
「うん、そうだな」
「では、本来の姿の原田君が私としてではなく、原田 徹としてこのリボンをつけたらどうなるでしょ〜う?」
「え、どうなるって・・・?」
「ヒント!ここは夢の世界で〜す!」
「え、でも今は男の姿だし、なんだかリボンつけたくないなー」
「いいからつけてみて!」
「・・・しょうがないなー」
俺はリボンをつけた。
感覚が変わった。
今は男の姿ではあるが、いつも通り女の感覚になる。
「あかねちゃん?これってもしかして変態なんじゃ?私、今は男なのにリボンつけてるなんて・・・」
「それなら大丈夫よ!ここは夢の世界って言ったでしょ!試しに自分の身体見てみな!」
「え、うん・・・あれっ?」
身体があかねちゃんになっている。
そして、今目の前にいたあかねちゃんは・・・原田 徹になっている。
「この世界でもな、感覚が女になれば本来の原田 徹は消えて、原田君は私の身体になり、私は原田君の身体になるんだ!」
「へぇ〜っ、そうなの〜って、せめて私は夢の中だけでも本来の姿でいたいんですけどー・・・」
「それなら簡単なことだぜ!リボンを外せばいいのさ!」
「あ、そうかー」
私はリボンを外した。
感覚が男のものに戻る。
と同時に、俺の身体は原田 徹に戻り、目の前の俺の姿だったあかねちゃんは、本来のあかねちゃんに戻っていた。
「あ、戻った」
「ね?戻ったでしょ?」
「でも、ここは夢の世界だからこのようなことが」
「できるけど、現実では簡単には身体が戻んないからね!」
「うん、それはわかってる!」
「そういえばさ、俺そろそろ帰りたいんだけど」
「現実の俺が起きるまで帰れないの?」
「う〜ん、そうねー、夢の世界といってもね、そればっかは思い通りにならないわねー・・・あ、でももう原田君は目覚めるわ!」
「え、本当?」
「うん、あと30秒もすればね!」
「じゃ、私はそろそろ授業に戻るわね!」
「あ、そっかー、現実が昼休みだから、この世界も今は昼休みでこのあと授業があるんだね?」
「そういうこと〜!じゃあねー!また次の夢で会いましょうね〜!」
「おう!」


<第17話>


あと5分くらいで昼休みが終わるという時点で、私は目を覚ました。
(う〜ん、さっきのも夢だよね?)
そして、女の子の感覚になっているのに気付く。
ということは、さっきの夢の中の世界でリボンを受け取ったからだろうか?
一応確認で頭に手を差し伸べる。
そこには、ちゃんとリボンがあった。
(夢の中のあかねちゃん、ありがとう。ふぅ〜っ、これで一安心!!)
私はリボンが戻ってきたことで一安心した。
これでボロが出ることは絶対にない。

私はその後、いつも通り授業を受けることができた。
そして、放課後になり、部活へと向かう。
テニスコートへ向かう途中で、あかねちゃんと遭遇する。
「あ!やっぱり!どうりで途中から言葉遣いが戻ったと思ったら」
あかねちゃんは私のつけているリボンを見ながら言った。
「実はね、途中で見つけたんだよ!」
(多分夢の中のあかねちゃんが返してくれたって言っても、信じてもらえないだろうからなー)
「で、どこで見つけたん?」
「実はね、かばんの奥に入れっぱなしだったの!」
「おいおい、そのために俺は今日死ぬ思いで必死に女の感覚で男の振りをするということになった訳かよ〜!!!」
「ううっ、それは私も同じだよ〜」
「ま、とりあえず見つかったから一安心だな!」
「うん」
私とあかねちゃんは、そのままテニスコートへ向かった。

今日もいつも通り、テニスの練習が始まる。
私はいつものように女子テニスコートに入り、あかねちゃんは男子テニスコートに入る。
そして、テニスの練習を始める。
今日は何だか調子が良かったらしく、練習に力が入った。だが、なんだか嫌な予感がした。
(確か昨日も力がいっぱい入ったよねー・・・?)
私は昨日の展開を思い出す。
昨日の展開通りでいけば、私は練習に力が入りすぎてこの時点で倒れる。
だが、それはあくまで昨日のこと・・・。と思っていたが、今日も何故か練習に力が入りすぎてしまい、私は倒れてしまった。
倒れてしまったのは、力の入れ過ぎによって疲れてしまったからだ。
「あ、あかねちゃん?」
「おい!河村、どうした?」
近くの女子生徒や先生が、心配そうに私に向かって声をかけてくる。
(・・・昨日と同じ展開だ・・・)
私はこの時点で意識を完全に失う。

「原田君、大丈夫?」
俺は誰かに声をかけられた。
どうやら意識が戻ってきたようだ。
少しずつ体制を起こしていく。
そして俺の目線にはあかねちゃんの姿が入ってきた。
さっき声をかけてきたのはあかねちゃんであった。
そして、ここは保健室だった。
「俺、また夢の世界にきちまったのか?」
俺はさっき部活で倒れてしまい、今は本来の姿のあかねちゃんがいることから状況を判断した。
「そうよー!今回は私が呼んだの!」
「え・・・呼んだって?」
「私が呼んだから原田君はまた夢の世界にきたのよ!まあまた部活で倒れて気を失ってって形になっちゃったけどね!」
「・・・おいおい、いちいち呼ぶなよ!呼ばれなくても夢の世界にきちゃうことだってあるんだし・・・あ、でも、呼んだってことは俺に何か用とか?」
「いいえ〜、暇だから呼んだだけなの!!!」
ドテッ!俺はその場にこけてしまった。
「用もないなら呼ぶな〜!!」
「部活の練習させてくれよ〜!!」
「そんなに怒んなくてもいいじゃん!」
「・・・なんか夢の中のあかねちゃんって調子いいな・・・」
夢の中のあかねちゃんは以前、
『・・・徹君、現実のあかねと同じ存在っていうのはね、現実のあかねちゃんも夢の中の私と同じ気持ちであるってことなのよ・・・』
と言っていた。現実のあかねちゃんと気持ちが同じなら、当然性格も現実のあかねちゃんと同じはずだ。
しかし俺は、現実のあかねちゃんと夢の中のあかねちゃんは、まるで別人かのように性格が違っているかのように思えた。
ということは・・・現実のあかねちゃんもこれから調子いい性格になるってことか・・・?なんて考えていた。
あかねちゃんが、
「原田君?何か考え事?」
と聞いてくる。
「・・・君のことを考えていたんだよ・・・」
「性格が違うような気がするってこと?」
「そうだよ、って俺、今口に出して言ったっけ?」
「いいえ〜、口には出していないわね!」
俺は心で思っていたことなのに、何故かあかねちゃんが俺の考えている内容を当てた。
「俺、口に出してないんに何でわかるんだよ?」
試しに聞いてみる。
「私が原田君の心を読んだからよ!」
「へ、心を読んだ・・・?」
「ここは夢の世界、落ち着いて相手の心を探れば心を読むことだってできるのよ?試しに原田君も心を読んでみる?」
「え、俺にもそんなことできんの?」
「夢の世界だからね〜!」
「じゃ、試しに私の心読んでみてー!」
「おう!相手の心を落ち着いて探ればいいんだな?」
「うん、そういうこと〜」
俺はあかねちゃんの考えを探った。
1秒、2秒、3秒。どうやらあかねちゃんの心が探れたようだ。
そしてあかねちゃんが考えていたこと、それは、
「何〜!今日の夜もまた俺を夢の世界に連れてこよーかなーだとー!!」
「いいじゃん、夢の中の私は暇だし!それに現実にはすぐ戻れるんだし!」
あかねちゃんの考えていたこととは、
(今日の夜もまた原田君をこの世界に連れてこよーかなー)
ということであった。
「でも、ちゃんと心読み取れたでしょ?」
「あ、そういえばそうだな!」
(夢の世界はすごいなー。本当になんでもできるんだー)
「そうだよー!すごいでしょ?」
あかねちゃんが俺の心を読み取ったようだ。
「原田君もついでだからさ、夢の世界で暮らさない?」
「う〜ん、確かに夢の世界はすごいけど、俺はやっぱり現実の方がいいなー。それに、暮らすっていったって、現実の俺が目が覚めれば元の世界に戻っちまうんだろ?」
「いいや、現実に戻んない方法は1つだけあるよー!」
俺はあかねちゃんの心を読み取ってみた。
「おい!そんなのいやに決まってるだろ!」
「やっぱりそういうと思ったわ!」
俺が読み取ったあかねちゃんの考え、それは、
(現実で死ねばずっとこの世界にいられるよー)
ということだった。
「第一、現実で俺が死んだらあかねちゃんの身体も死ぬってことだろ?そしたら俺の身体にいるあかねちゃんはどうなるんだよ?」
「もちろん!原田君として生きていくことになるわね。ま、夢の世界の私自身には関係ないけどね!」
「おいおい、夢の中のきみには関係ないんかよ・・・」
「あ、残念ね〜」
「何?どうしたんだ?」
「あと1分ほどで現実の原田君は目覚めてしまうの」
「え、じゃああと1分で現実に帰れるのか?」
「残念ながらそうなるわね・・・」
「わーい!現実だ〜!!」
俺はなんとなく、
(夢の中のあかねちゃんは調子いいから少し苦手だなー・・・)
と思った。それだから早く現実に戻りたいのであった。
「原田君、ここは夢の世界!原田君が私を調子いいって思っているから私は調子いい性格になってしまうんだよ!」
「原田君が調子いいって思わなければ私の性格も調子よくなんないし、原田君が私の性格を変えることもできるのよ?」
俺のさっきの心を読み取ったらしいあかねちゃんが言った。
「あ、そっかー、何故今まで気付かなかったんだろ?」
(原田君が鈍いからなんじゃない?)
「あ、てめー!はっきし言うなよー!」
「ええ?、私は別に言ってはいないよー!」
確かにあかねちゃんは心で思っていて、俺はそれを読み取っただけなので、あかねちゃんが直接言ってはいなかった。
「じゃあ次の時はあんまし調子が良すぎない性格で登場してよねー!」
「私の性格をどう設定するかは原田君自身よ!」
(夢の世界では何と人の性格まで設定できてしまうとはなー。本当に夢の世界ってすごいものだ。ということは・・・。夢の世界でなら俺の理想の人物像のあかねちゃんを登場させるってことも可能なのでは?そしてあんなことやこんなことまで・・・)
「原田君、何か変なこと考えてない・・・?」
「え、いや、別に・・・」
そろそろあれから1分経つ。
「じゃ、原田君、またあとでねー!」
「おう!またあとでなー!」
「次は俺の理想の性格で出てきてくれよー!」
「・・・やっぱり変なこと考えてない?」


<第18話>


「あかねちゃん?大丈夫?」
誰かが私に声をかけてきた。
私の意識は少しずつ戻ってきた。
(う〜ん、あかねちゃん?)
私はあかねちゃんが声をかけてきたのかと思っていた。
しかし、そこにいたのはあかねちゃんではなかった。
「あれ・・・宮沢(みやざわ)さん・・・?」
「あ、あかねちゃん、気が付いたのね?」
「う〜ん、なんとか・・・」
私と一緒に保健室にいたのは、同じテニス部の宮沢 由香(ゆか)ちゃんだった。
ちなみに、あかねちゃんと同じクラスなので、今は私があかねちゃんなのだから、私と同じクラスである。
元々本来のあかねちゃんと仲がよかったらしく、今は私があかねちゃんなのだから、私も宮沢さんとはそれなりに仲良くしている。
でも、私は最近になってから時々思う。
何だか、宮沢さんから時々不思議な力を感じるような気がする。
最近私は不思議なことを色々体験しているせいなのか、不思議な気配みたいなものがわかるようになったらしい。
確かに、宮沢さんからは不思議な力を感じた。
それとも、気のせいなのだろうか?
「あかねちゃん、もう大丈夫?」
宮沢さんが話しかけてくる。
「う〜ん、なんとか大丈夫みたい」
「それより、今までずっと側にいてくれたの?」
「う〜ん、5分前くらいからかなー?」
「そうだったんだ、宮沢さん、ありがとー」
「それよりあかねちゃん、少し前から思っていたんだけどさー、前まで私のこと由香って呼んでたのに、どうしたの?急に宮沢さんなんて呼び方しちゃって?」
「え、あれ?そうだったっけ?」
「確かにそうだったわよ!」
「う〜ん、でも無理もないわよねー・・・急に宮沢さんって呼び方になったのも・・・」
・・・なんだか文末がいかにも怪しいような気がする。
一体何を考えているのだろう?
私は夢の世界の時のように心を読み取ってみた。
しかし、ここは現実世界。心は読み取れなかった。
だが、確かに何かの不思議な力は感じとった。
その時突然由香が、
「あかねちゃんは大変ねー、最近は何だか不思議なことが」
「いっぱい起こってるっぽいっしねー・・・」
「あと、原田君の方も大変みたいねー・・・」
「え・・・不思議なこと・・・?」
由香は、突然不思議なことなどと言ってきた。
私は、由香は何かを隠してると思った。
そこで、由香が、
「ねえ、あかねちゃん、ちょっと目をつぶってくれる?」
「え・・・なんで?」
「頼むよ〜、どうしても確かめたいことがあるのよ〜!」
「・・・う〜ん、わかった」
私は目をつぶった。
でも、由香の確認したいことって何だろう・・・?
そして数秒後。
「あかねちゃん、目開けていいわよー!」
俺はそーっと目を・・・え、俺!?
そういえば、感覚が男に戻っている。
理由は由香の手を見たらすぐにわかった。
由香が俺のつけていたリボンを手に持っている。
多分、さっき目をつぶらせているあいだにとったのだろうか?
俺は感覚が男に戻ってしまったことに少し戸惑いながらも、
「ゆ・・・由香、ねえ・・・リボン返してよ・・・」
と、無理やり女言葉で言った。
しかし、戸惑っていたのがまずかった。
由香は、
「あかねちゃん、言葉遣いがおかしいわよ?」
と言ってきた。
「え・・・そうかしら・・・おれは・・・いつも通りです・・・」
「あ!今俺って言ったね?」
「うん・・・って、え?え?言ってないよー!!」
「焦らなくても大丈夫よ!私は知ってるんだから!」
「え・・・知ってるって・・・何のこと・・・?」
「あかねちゃん自身、いいえ、徹君自身ならわかるでしょ?」
・・・由香は今、俺に徹君自身と言った?
今は俺、あかねちゃんなのに何故・・・?
もしや・・・これはまだ夢の世界!?
俺はそう思ったが、
「これは夢の世界なんかじゃないよー!」
と由香が言った。
え?今俺は口に出していないのになんで・・・?
一応俺は、おまえ夢の世界のあかねか?と聞こうとしたが、
「いやだな〜!私は夢の世界のあかねじゃないよー!」
と言ってきた。
・・・口に出していないはずの俺の考えを当てている!?
もしかして俺の心を読んでいる!?
それに由香から感じる力、これは何かありそうだ?
「う〜ん、徹君、私が心を読んでることに気付いたようね?」
「え、心を読む!?」
「そうよ!私は生まれつき何故だか心が読めるのよ!」
「それで、あかねちゃんとなってしまった徹君の心境を読んで、私は徹君とあかねちゃんが入れ替わってしまったことを知ったのよ!」
結論的に言うと、まず、由香は何故だか心が読み取れるらしい。
不思議なことだが、俺はあかねちゃんと入れ替わったり、天使をみたり、夢の中の世界へ行ったり、最近色んな不思議なことに直面している。それだから、この世に不思議なことがあってもおかしくない。
それで俺は、心を読み取れるということを信じた。
由香は心を読み取れることにより、俺の心を読み取ってあかねちゃんと入れ替わってしまったことを知り、それで今は、俺からリボンをとることにより、感覚や言葉遣いを男のものに戻させることによって、本当にあかねちゃんと俺が入れ替わってるのか確認しようとしたのだと思う。多分、リボンの力も俺の心を読み取って知ったのだろう。
「はい、リボン!」
由香は急に俺からとったリボンを返してきた。
「それ、早くつけないとあかねちゃんが困っちゃうんでしょ?」
このことも俺の心を読み取って知ったのだろうか?
俺はとりあえずリボンをつけた。
感覚が変わった。
「徹君、どう?感覚戻った?」
私は何故かまだ由香に本当のことを言いずらかった。
由香は入れ替わってしまったことを知ってるらしいが、何故か言いずらい。
「う〜ん、どうやら戻ったみたいね・・・あ、戻るって何のことかしら・・・?」
「このリボンはすごいんだねー!徹君、ちゃんと女言葉になってるよー!」
「え・・・だから、一体何のことなの・・・?」
「徹君、まだ隠そうとしているのね?」
「私はもう知ってるんだから、隠さなくてもいいじゃん!それとも、やっぱり自分の口からは言いずらいかな?じゃ、心で伝えてくれればいいよ!」
私は心で思った。
(確かに私はあかねちゃんと入れ替わっています)
「やっぱりそうだったんだー!これって、天使が仕組んだことだったんだっけ?」
なんと、由香は天使の存在まで知っていた。
その後は、私は由香から色んなことを聞かれた。
言うまでもなく、入れ替わってしまったことや、あかねちゃんとしての生活についてや、このリボンのことについて、などである。
どうやら、由香はこのあたりまでは心を読み取っていなかったようだ。
私はもう由香は知っているんだから!と思って、ちゃんと正直に質問に答えた。
そして、もう意識の方も完全に戻ったようなので、保健室をあとにした。

校庭に出てから時計を見てみたら、もう部活は終わっている時間であった。
大体3分前くらいに終わったってとこだろうか?
私は由香と校門を目指して歩いていた。
そして、校門のところにはあかねちゃんが待っていた。
「河村!大丈夫だったのか?あれ?由香・・・じゃなくて、宮沢さん、河村さんと一緒だったの?」
「私は徹君が心配で保健室に見に行ってただけよ!」
「へぇーっ、そうだったんだー・・・え、徹君!?」
あかねちゃんは必死に事実を隠そうとする。
「え、宮沢さん、何言ってるの?徹君って、徹君は俺で、それは河村さんだろ?」
「あかねちゃんも徹君と同じでやっぱし隠そうとするのね?」
「え・・・一体何のことだ・・・?」
「あかねちゃん、誤魔化さなくてもいいよ!全部知ってるんだから!」
そして、由香はあかねちゃんに今までのいきさつを話した。
「本当かよー!?」
あかねちゃんが驚いたかのように言う。
あかねちゃんからとってみれば、天使のことや夢のことは知らないから、あかねちゃんからとっての不思議現象は入れ替わってしまったことだけである。
あかねちゃんは私ほど不思議現象に直面していないせいか、急にこのような不思議ないきさつを聞かされて驚いていた。
「おい!河村、それ本当なんかよ!?」
あかねちゃんが私に聞いてくる。
「どうやら本当みたいだよ、私も保健室で完全に正体見破られたし・・・」
「じゃあ由香は俺たちが入れ替わったこと、」
「初めから知ってたのかよ?」
「うん、そうよー!」
「2人が汗拭きタオルをとって戻ってきた時から知ってたわよー!」
「マジでバレバレみたいっすねー」
「どうやらそうらしいね」
「あら?反応はそれだけ?1人くらい正体知ってる人がいるのはもはやお約束の世界でしょ?」
お約束とまで言うかはわからないが、確かに1人くらい正体知ってる人がいるというパターンは結構存在するかも?(←BY作者)
今日の出来事によって、私は由香の心が読み取れる力と、入れ替わってしまったことを知っているという事実を知った。
「あ、そういえば由香、もちろん、他の人には言わないわよね?」
「入れ替わってること?うん、誰にもいわないわよ!」
「おう!由香、頼むぜ〜!」
私とあかねちゃんが由香に言った。
私とあかねちゃんと由香は、その後3人で下校した。


<第19話>


私は家に着いた。
いつも通りあかねちゃんの部屋へ入る。
そしていつも通り、まず制服を脱いで制服をしまう。
もうずいぶんと慣れてしまったものだ。
リボンの力である程度私の男としての心が抑えられてるとはいっても、私は今男の心を持っている女の子という状態である。
なので、学校が始まったばかりの時には、制服を着るにも脱ぐにも、男心の方が制服に反応してしまって、制服に対してためらいを感じてしまった。
しかし、学校が始まってからまだ4日しか経っていないというのに、もう制服を着たり脱いだりすることに慣れてしまった。
私は、リボンの力でこのようなことがなんなくできると思っていた。
しかし、原田 徹は自分の本当の心の方まで女性化してきていることにまだ気付いていない・・・。

その後は、適当に部屋で漫画を手にごろごろしていたり、ビデオを見てみたり、夕ご飯を食べたりして、あっという間に夜となり、寝る時間である。
そして、私は時計が1時をまわったころに寝付いた。

私は寝ているのに、ちゃんと意識があることに気付く。
どうやら夢の世界に入ったようである。
そして、近くに誰かがいた。
いつも通り、近くにはあかねちゃんが・・・と思ったが、近くにいたのは私、要するに原田 徹であった。
原田 徹と言っても、中身はあかねちゃんなのだが。
そして私は感覚が女のままであることに気付く。
夢の世界だと、私自身が今の現実の存在を強く主張すれば、夢の中でもあかねちゃんとして登場できるのだが、
夢の世界では感覚は常に男のままであった。
が、今回は夢の中でも感覚が女のままである。
それに、ちゃんとリボンを外したままである。
夢の中の私自身、ちゃんとリボンを外している。
それなのに、感覚が女のままだなんて、どうして?
「それはな、原田君は本当の自分の心も女性化しているからだな!」
私の心を読み取ったらしいあかねちゃんが言った。
「え?女性化ってどういうことだよ・・・?」
思わず聞き返す。
「原田君は俺、要するに河村 あかねとしての今の身体、生活、生き方など、全て本来の俺の状態に慣れ過ぎてしまった」
「と言いますと・・・?」
「要するに、原田君は完全にあかねの身体に馴染んでしまった」
「そして、女性化が進み、男性としての心の方が原田君のあかねとしての心に負けてきている。要するに、男の感覚が原田君から消えてきているんだ!」
「じゃ・・・現実でも私は、女性化してるってことなの?」
「そういうことになるな!」
「なっ・・・」
「現実の原田君は、リボンをずっとつけていたから気付かなかったんだ!現実でリボンを外したとしても、もう女の子の感覚が残るはずだぞ!」
「え・・・うそ・・・」
「嘘じゃない!これは本当だ!一応現実であかねと原田君の関係がうまくいけば天使は元に戻してくれるとは言ったが、本来の自分より今の状態の方に馴染み過ぎてしまうと、天使の力でも身体を戻せなくなってしまう」
どうやら夢の中のあかねちゃんは、天使のことを知っているらしい。
「え・・・女性化ってことは、リボンとっても感覚が戻らない・・・」
「そうだな」
「え・・・でも、現実の私は、保健室で由香にリボン取られた時、感覚がちゃんと男に戻ったけど・・・」
「それはそうだろうなー!原田君の心が完全に女性化してきたのは、また再び保健室でリボンをつけてからのことなんだから!」
「だって、リボンをつけてなくても、現実ではちゃんと宮沢さんではなく、由香って呼べただろ?それが原田君の女性化の徹底的証拠だな!」
「そうね、確かに現実で私を、徹君は由香って呼んだわね!」
突然、あかねちゃんが発する徹以外の声が聞こえてきた。
そして声の方向を見ると、そこには由香がいた。
「こんばんわ〜!徹君の夢にお邪魔させてもらってま〜す!」
「あなたは・・・由香だよね?」
「そうよ〜ん!」
「あかねちゃんと同じで、夢の世界の由香?」
「いいえ〜!私は現実の由香で〜す!」
「ええっ!?何で現実の由香がここにいるんだよ?」
「普通に寝ててもつまんないからさ、今日私は徹君から夢の世界のことを読み取ったからさ!それだからこの世界にきちゃいました〜!」
確か、夢の世界では思い通りになるはずだ。
そこで私は、由香の夢の世界での存在を否定した。
由香が夢の世界の人なら、消えるはずである。
ところが、由香は消えなかった。
「じゃあ、本当に現実の由香?」
「だ〜か〜ら!さっきから言ってるでしょ?」
そこへあかねちゃんが割ってくる。
「連れてこようとすれば、現実の世界の人も」
「いくらだってこの世界へ連れてこれるんだぞー?」
「まあ現実の由香は自分からきたんだろうけど」
「ええ〜?そんなこと私知らなかったよー」
確かに、私はそんなこと始めて聞いた。
「そうか、話してなかったか」
(そんなこと話されていません)
そして、現実の由香が夢の世界のあかねちゃんに、
「ねえ、今は徹君の姿だけど、あなたはあかねちゃんだよね?」
「おう!そうだぜ、夢の世界ではいつもは原田君は元に戻っているのだが、現実の原田君が女性化してきているらしくてなー・・・」
「それだから、今回徹君はこの世界でもあかねちゃんなんだ?」
「うん・・・そうみたい」
「徹君大変ねー!このままだと、本当にあかねちゃんとして一生、生きていくことになるんじゃない?」
「ええ〜!?一生!?」
「だって、女性化してるんでしょ?となると、天使でも身体を戻せなくなっちゃうし!徹君が女性化すると自然に現実のあかねちゃんも男性化しちゃうらしいしね」
「え・・・じゃあ現実のあかねちゃんも・・・徹としての生活に馴染んできてる・・・?」
「徹君の女性化の影響で自然にそうなってきてるわね。でも、あかねちゃんの場合は、馴染んできてるというより、河村 徹だった頃の感覚を取り戻してきてるって言った方が正しいかも知れないわね?」
「え・・・由香、あかねちゃんが元男だったことも知ってたの?」
「偶然心を読んじゃったんだよー」
「そういえば、あかねちゃんも夢の中では心が読み取れるのよね?」
「おう、まあな、でも、夢のあかねと現実のあかねは別の人物みたいなもんだけどな。現実と同じといえば、心が同じということぐらいでなー」
「え、じゃあ、現実のあかねちゃんが河村 徹だった頃の感覚を取り戻してきているってことは・・・」
「おう、夢の中の俺も昔の感覚を取り戻してきてるぞ!」
「じゃあ私の女性化によって、現実のあかねちゃんの男性化も本当に進んできているんだ・・・このままだと私は・・・本当に一生河村 あかね・・・?」
「感覚を男に戻す方法はあるぞ!」
「え・・・その方法って?」
「男らしいことをいっぱいすればいいんだ!と言っても、原田君は女性化が進んできているから、男らしいこともしずらくなってると思うが・・・」
「じゃあ、他に方法はないの・・・?」
「う〜ん、今のところはないな」
「え〜っ!?」
「徹君、しょうがないからさ、このまま一生あかねちゃんとして生きていけば?」
「ええ!?私は男性に戻りたいよー・・・」
「口ではそう言っていてもな、実際は女性化が進んでいるんだぞ!本当に原田君は河村 あかねとして生きていくことになるかもな?」
「そ・・・そんなー・・・」
「あ、私そろそろ現実に帰るねー!」
突然由香が言う。
「そろそろ現実に帰って寝とかないと明日学校が大変だからさ!」
「え・・・現実の世界では由香は寝てるんじゃ・・・?」
「いいえ、私はねー、現実に本体だけ残して心だけこの世界にもってきてるのよ!心だけでも、この世界にくればちゃんと身体も存在するみたいだけどね!だから、現実では私は今寝てるようには見えるけど、意思はちゃんとこの世界で起きているってことなの!だから、そろそろ戻って寝ないと!」
「あ、ちなみにな、原田君は現実の存在と夢の存在が別になってるからな!現実ではちゃんと寝てるってことになってるからな!」
「じゃあ私は夢が覚めるまでずっとこの世界にいなきゃならないの?」
「いや、この夢から出る方法ならあるぞ!」
「え、その方法って?」
「由香についていけばいいんだ!そうすれば由香と一緒に夢から抜けられるぞ!」
「とりあえず今日は、原田君が女性化してるってことを伝えたから、もう帰られても問題ないしな!」
「やっぱりあんたが私をこの世界に呼んだんかい!」
「まあ細かいことは気にするな。じゃあ、由香、原田君も夢の世界から出たいって言うから、一緒に連れてってあげて!」
「うん、わかったわ!じゃあ徹君、私のあとについてきてね!」
「う・・・うん」
「原田君、じゃーなー!あと、現実の由香もまた暇だったらこいよなー!」
「うん、わかったわー。じゃあ行きましょ、徹君」
私は由香に連れられてあかねちゃんの元から離れる。
しばらく進んだら光が見えてきた。
「原田君の場合、目を覚ませば夢の世界から抜けられるけど、自分から脱出したい場合は、勢いが肝心よ!さあ勢いよく光に飛び込んで!」
「うん、わかったわ!」
私と由香は勢いよく光に飛び込んだ。

(う〜ん・・・)
私は夜中に目が覚めてしまった。
どうやら現実に戻ってきたようだ。
時計を見たら、夜中の3時だった。
あんまし夢の世界に居なかったような気がするが、現実ではもう2時間は経っていたようだ。
そして、私は由香がいないことに気付く。
(由香はちゃんと自分の家に帰ったんだよね?)
そう思った途端、突然私の部屋のドアが開いたから、私は死ぬほど驚いた。
(うわ〜っ!なに!?)
そして、ドアを開けて誰かが入ってきた。
入ってきたのは由香だった。
「由香・・・自分の家に帰ったはずじゃ・・・?」
「実はね〜、途中で間違えてあかねちゃんちに出てきちゃったみたいなの!」
「え、でも現実で本体は由香の家にあったんじゃ?」
「私の心がここに出てきちゃったから、本体もここに来ちゃったみたい」
「なによそれ!?」
「そういえばさ、徹君今リボンつけてないんだよね?」
「え、うん、寝る時はいつも外しているわよ」
「徹君本当に女性化しているみたいだね!今リボン外しているのに女言葉遣ってるしね!」
「え・・・あ!いつの間に!!」
私は無意識のうちに女言葉を遣っていた。
そして、感覚が女の子のものであることに今ごろ気付く。
「とりあえず私は帰るわねー」
「え、でももうこんな時間なのに、由香1人で大丈夫?」
「大丈夫よ!多分ね」
(おいおい、多分って・・・)
そう言って由香は私の部屋を出ていった。
私は本当に女性化が進んでしまっているらしい。
そんなことをしばらく考えていたが、やがて眠気が襲ってくる。
そして、私は再び眠りにつく。


<第20話>


私は再び目を覚ました。
時計を見たら6時半。
もうすでに朝となっていた。
・・・やはり、感覚が女の子である。
私は起きたばかりなので、リボンはまだつけていない。なのに、感覚は女の子のまま。
やはり、本当に女性化が進んでいるのか?
私はとりあえずいつも通りリボンをつけようとした・・・。
が、やめた。本当に女性化が進んでいるのかを試すために、今日はリボンをつけずに学校に行くことにした。
私は家を出た。
いつも通り、学校へ向かう。
そして、いつもの辺りであかねちゃんと会う。
「おはよ!河村さん」
「あ、原田君、おはよー」
「あれ?河村さん、今日はリボンつけてないん?」
「うん、ちょっと色々あってね」
(あれ?何かがおかしい・・・)
私は確かにリボンをつけていない。
それなのに、リボンをつけていた時と同じような自然な会話になっている。
お互い言葉遣いも自然だし、やはり私の女性化のせいで、あかねちゃんも男性化しているようだ。
それと同時に私は気づいた。
実は、女性化しているだけではなく、今まで原田 徹だった時の記憶も、だんだん薄れてきて、河村 あかねとしてのデータに書き換えられているような気がする。
まるで初めから私は河村 あかねだったような感じがする。
ようするに、これは女性化ではなく、原田 徹の心は完全に河村 あかねと化してきている。
そして私の脳裏に、急に河村 徹だった時の記憶がよみがえってきた。
私は本来は原田 徹なのだから、あかねちゃんが河村 徹だった時の記憶なんてあるはずがない。
なのに、私の脳裏には、河村 徹だった時の記憶が、まるで昔のことのようによみがえってきていた。
どうやら、私があかねちゃん化してしまうのも、時間の問題のようである。
何だか自分が原田 徹であったようでない感じだ。

いつの間にか私は教室の前まで来ていた。
いつも通り教室に入る。
「あ!あかねちゃん!おはよー」
いつも通り、何人かの女子があいさつしてくる。
「おはよー!」
私は難なくあいさつを返せた。
リボンをつけていなければ戸惑ってしまうはずなのに・・・。
とりあえずその後は、リボンがなくてもリボンがあったのと同じような感じで授業を受けた。
そして、昼休み。
廊下を歩いていたら由香に会う。
「あ、由香」
「あ!あかねちゃん!」
由香がそのあとに続いて
「と言っても本当は徹君だけどね」
と小声で言う。
私と由香は、廊下で立ち話っていうのもなんなので、中庭に出た。
中庭に行って見ると、人気は全然なかった。

私は由香に今の事態を相談することにした。
「ねえ由香、私が女性化してきていることは知ってるわよね?」
「うん、知ってるわよー」
「でもね・・・これは決して女性化ではなくてね・・・私は今、女性化ではなくてね・・・河村 あかねと化している・・・」
「え?それってどういうこと!?」
珍しく驚いたような表情で由香が言う。
「言葉の意味そのまんま・・・何だか原田 徹だった頃の記憶が薄れてきて、河村 あかねとしてのデータに書き換えられてるような気がするんだ・・・そして、私は元は原田 徹だから知ってるはずもないあかねちゃんの河村 徹だった頃の記憶がまるで自分の昔のことのように思い出されていくんだ・・・」
「え・・・じゃあ徹君は、元からあかねちゃんだったっていうことになってるの?」
「・・・そういうことになるのかしら?私自身もはっきしとわからないんだけどさー・・・多分、原田 徹になってしまったあかねちゃん自身の記憶も・・・元から原田 徹であったって記憶に書き換えられてきているのかも・・・しれない・・・もう演じきるってレベルではなく・・・記憶までもが本来の自分とは異なってきている・・・」
「それって、どうにかする方法とかはあるの?」
「・・・わからない・・・どうにかできるのかどうなのかですら・・・」
「じゃあ今までの本当の徹君やあかねちゃんは消えちゃうってこと?」
「・・・それもわからない・・・これからどうなるんだろう・・・?」
「だったら天使に相談してみれば・・・と言っても、」
「今日はリボンつけてないんだよねー・・・」
「うん・・・そうなんだー・・・まさか女性化ではなく、河村 あかねそのものと化してきているなんて思いもしなかった」
私は何だかこの時、意識が少し薄れてきたような気がした。
「徹君、本当にあかねちゃんになってしまうのかしら・・・?」
「さあ・・・どうなんだろう・・・?」
「徹君は元の身体には戻りたいと思っているの?」
「うん・・・もちろん・・・そう思っているつもりなんだけど・・・なんだかあんまり戻りたいって感じがしない・・・」
「徹君!しっかりして!きっと徹君はもうあかねちゃんと化してきているんだろうけど、徹君だった時の意思をしっかりもって!そうすれば今までの意志もちゃんと戻ってくるわよ!少なくともあかねちゃん化は防げると思うの!」
由香がそう言った直後、
クラ〜ッ・・・バタン。
私は急に意識を失って倒れてしまった。
「徹君!?どうしたの!?」
由香の声だけが中庭に響き渡った。

(う〜ん、私は一体・・・?)
私は意識を取り戻しかけていた。
そして、ゆっくりと目を開ける。
そこは、保健室だった。
・・・なんだか頭がボーッとする。
なんだか記憶が大量に吹っ飛んでしまっているというような感じだったが、はっきりとよくわからなかった。
「あ!徹君、気がついたのね?」
「え・・・あ、由香・・・」
私の側には由香がいた。
「徹君、急に中庭で倒れちゃうから驚いちゃったよー」
「え・・・徹君・・・?」
「え、徹君なに言ってるの?あなたは徹君でしょ?」
「・・・確かに私、昔は河村 徹だったわね・・・でも、今は河村 あかねよ?私は徹君じゃないわよ?」
「え・・・徹君?どうしちゃったの!?」
「私は・・・河村 あかねだってば・・・」
実は、さっき意識を失ってしまったのは猛烈な勢いで、原田 徹としての記憶があかねちゃんとしての記憶に書き換えられていたために気を失ってしまい、そして今は、もう完全に原田 徹の頃の記憶が消え去っているあかねちゃんになっていたのだった。しかし、由香はまだそれに気付いていない。
「徹君!しっかりして!あなたは原田 徹君でしょ?」
「・・・私は・・・河村 あかねだよ・・・」
「もしかして徹君・・・完全にあかねちゃんと化してしまったの・・・?」
ここでやっと由香が今の事態に気付いた。
「徹君!8月11日に徹君はあかねちゃんと入れ替わったのよね?」
「え・・・入れ替わった・・・?一体何のこと?」
「え・・・入れ替わったことも覚えていないの?」
「徹君・・・完全にあかねちゃんと化してしまったの・・・?」
「あかねちゃんと化す・・・何のこと・・・?」
私は何がなんだか訳がわからなかった。
由香も何がなんだかわからなくなっていたようだ。
だが、由香は私に向かって必死に、
「思い出して!原田 徹のことを!」
「原田 徹・・・?原田君は・・・私の好きな人・・・」
「だから!その原田君があなたでしょ?」
「私が・・・原田君・・・!?」
私は一瞬、原田 徹だった時の記憶がよみがえった。
由香が必死に言ってきたからだろうか?
しかし、一瞬よみがえった記憶も、すぐに消え去ってしまった。
私は、完全にあかねちゃん化してしまった。
由香は、
「徹君!ちゃんと思い出して!!原田 徹だった頃のことを!」
私に向かって必死に言ってくる。
「私は・・・原田君じゃない・・・私は・・・始めから河村 あかねだった・・・」
その後も、由香は私に必死に言ってきた。
だが、私の状況に変わりはなかった。
由香はようやく諦めたのか、無言で保健室を出て行った。
(由香・・・一体何が言いたかったのかしら・・・!?それに・・・私が原田君ってどういうこと・・・?)

その後、私はまた保健室のベットで寝てしまったようで、気が付いた時にはもう5時くらいであった。
なので、私はもう部活に行っても時間が時間だからあんまし意味ないと思い、そのまま帰ろうとした。
教室にカバンを取りに行き、教室をあとにして校門を目指す。
そして、校門のところには原田君(あかねちゃん)と由香が待っていた。
「あ、河村さん!」
まずは原田君から言う。
「あ、徹君・・・やっときたね」
「へ?徹君!?」
私が言ったあとに
「俺はずっとここにいたじゃないか?」
原田君が言った。
どうやらあかねちゃんも完全に原田 徹と化してしまったらしい。
由香は保健室から出たあと、あかねちゃんの方にも確認しに行ってたらしいが、結果は完全に原田 徹と
化していたらしい。河村 徹のことも覚えていなければ、自分があかねだった頃の記憶もなくなってたらしい。
「あ・・・そうだったね・・・徹君はずっとここにいたもんね・・・」
由香が戸惑ったように言う。
「由香、何だか今日は私のこと、徹君って呼んでくるけど、どうしたの?私は徹君じゃないし、今まではあかねちゃんって呼んでいたんじゃないかしら?」
私が言う。
唯一状況を知っている由香は、やはり戸惑ったように、
「そ・・・そうだったね・・・あかね・・・ちゃん・・・」
と言った。
私たちは、3人で下校した。
由香は下校中にずっと浮かない表情をしていた。

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あとがき

何だか、思わぬ展開になってきて作者である私自身もびっくりしています。
ついに原田 徹は完全に記憶までもがあかねちゃんと化してしまいました。
そして、あかねちゃんも完全に記憶までもが原田 徹となってしまいました。
そして、唯一状況を知るのは由香だけとなってしまった。
このあとにはどのような展開が待っているのか?
果たして、原田 徹は今までの記憶を取り戻すのか?
そして、元の身体に戻れるのだろうか?
作者である私自身も、原田 徹はあかねちゃんとして生きていくのか、それとも元の身体に戻れるのか?
それはまだわかりません。
ですが、当然続きは作りますので、続きが完成し次第、また続きを投稿しますので。
以後も私の作品を、どうぞよろしくお願いします。

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