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俺が好きな人(第1章)

作:T・H





<第1話>


俺の名前は原田 徹(はらだ とおる)。
この町にあるT高に通う高校3年生だ。
今は夏休み中だが、今日は部活がある。
俺はテニス部に所属している。
こう見えても、運動神経は結構抜群、
勉強の方は・・・いまいちかなー?

気が付いたら、目覚ましが鳴っていた。
一日の始まりだ。
俺はひとまずベットから出て、着替えて、洗面所で顔を洗った。
(うーっ、まだ眠い。もう朝かよー。)
なんて思いながら、階段を下りた。
俺はリビングへ入った。
「母さん、おはよー。」
「徹、おはよー。今日も部活?」
「実はそうなんだよー。」
なにげない朝の1コマである。
「朝ご飯、そこに出てるの食べてね。」
母さんが言った。
が、俺は母さんが言う前からすでにご飯にがっついていた。
「ごっそーさん。」
俺は5分で食べ終えた。
俺は2階の自分の部屋へ戻った。
(うーし、じゃ、部活の準備でもするか。)
俺は部活の準備をして、
「行ってきまーす。」
家をあとにした。

学校に着くと、ひたすらグラウンドを目指す。
テニスコートに着いた。
T高のテニスコートは、男子のコートが2つあり、そのすぐ横に女子のテニスコートが2つある。
俺はテニスの練習が毎日楽しみであった。
その理由として、テニスが元々好きという理由もあるが、実は、俺は女子テニス部に好きな人がいるのだ。
その好きな人の名前は、河村 あかね(かわむら あかね)。
すぐ隣のコートでは、俺の大好きなあかねちゃんがテニスの練習を始めようとしている。
「テニス部、適当に練習始めてくれー。」
テニス部部長が言った。
T高のテニス部は、男子と女子は一緒に練習を開始する。
俺はテニスの練習を始めた。
まずはかるーく同じ部員との打ち合い(ラリー)からだ。
俺はいつもの調子でかるーく練習を進めていった。

「よーし、それじゃあそろそろ10分間の休憩だ。」
ふうー、やっと休憩だー。
俺は休みだした。
(汗拭きタオルはっと・・・。)
ん、俺はここで気付いた。
汗拭きタオルは、教室に置きっぱなしだった。
俺は汗拭きタオルを取りに行くために、テニスコートをあとにして、校舎の4階を目指して猛ダッシュで汗拭きタオルを取りに行った。
俺はこの時、偶然にもあかねちゃんも汗拭きタオルを教室に忘れていて、俺と同じく4階の教室を彼女が目指していたことをまだ知らなかった。

教室に着いた。
俺は自分のロッカーの中から、汗拭きタオルを取り出した。
そして、俺は教室をあとにしようとした。
俺は、まさかこの教室に来る人は他にいないだろうと思い、再び猛ダッシュで教室を飛び出そうとした。
そして、教室から廊下へ出ようとしたまさにその時、
「ドンッ!」
俺は誰かに勢いよくぶつかってしまった。
俺自身では何が起こったかわからなかったが、目から火花が出たような気がした。

そして大体2分後。
俺と、俺にぶつかった相手はほぼ同時に立ち上がった。
「あの、すみませんでした。」
俺と俺にぶつかった相手は、同時に謝り出した。
が、そのぶつかった相手と目が合った瞬間、俺はものすごく驚いてしまった。
(お、俺が・・・?目の前に俺がいる!!)
目の前の俺も、すごく驚いている。
「私がもう1人いるわ。」
俺は落ち着いて自分を見下ろして見た。
何故か胸が大きい。
それにいつもとなんだか感じが違う。
しかし、何故かはすぐにわかった。
「俺が女になってる!?」
俺は思わず声に出して言ってしまった。
声まで高くなってる。
ん、今俺の出した声は聞き覚えがある。
これは、間違いなくあかねちゃんの声だ。
何故か俺の体内からあかねちゃんの声が出た。
どうやら、さっきおもいっきしぶつかったせいで、俺はあかねちゃんになってしまったらしい。
ん、ということは、さっきぶつかったのはあかねちゃんで、俺が今あかねちゃんになっているということは・・・?
目の前の俺は呆然としていた。
そして俺は、目の前の俺に
「あかねちゃん?」
と声をかけた。
「はい?」
と目の前の俺は反応した。
声は俺の声(低い声)であるが、確かに今あかねちゃん?と言ったら返事をしたので、俺は今の状況を確信した。
俺は目の前の俺に言った。
「どうやら俺たち、今おもいっきしぶつかったせいで中身が入れ替わってしまったようだ。」
目の前の俺は、呆然としている。
そして、目の前の俺は自分を見下ろしだした。
「私が原田君になってる!?」
今私って言ったし、やっぱり今俺の身体にはあかねちゃんがいるようだ。
「俺たちこれからどうなるの〜??」
俺はこの時、あかねちゃんが俺のことを実は好きだったと言うことを知らなかった。


<第2話>


「テニス部全員練習開始!」
テニス部部長が言った。
「部長、原田君がいません。」
「あのー、こっちはあかねちゃんがいません。」
テニス部の部員が言った。
その時、俺とあかねちゃんはまだ教室をすぐ出たところの廊下にいた。
「何故こうなってしまったの〜?」
俺の姿をしているあかねちゃんが言った。
「まさかこんなことが本当に実在するとは・・・。」
あかねちゃんの姿をした俺が言った。
「とりあえず、今は部活の最中だしー、多分休憩時間ももう終わってるだろうし、今はとりあえず部活に戻ろう。」
俺は言った。
「そ、そうだね・・・。」
あかねちゃんが答えた。

「すみません、ちょっと事情があって遅れてしまいましたー。」
俺とあかねちゃんは、声をそろえてテニス部のみんなに向かって言った。
「おせーぞ、お前達、何やってたんだ?」
いつの間にか来ていた、テニス部の顧問の橋本(はしもと)先生が、俺たち2人に向かって言った。
俺たちは再び練習を再開しようとした。
が、お互い入れ替わってしまったということを忘れていて、
「あれ、あかねちゃんは女子だからあっちのコートだろ?」
「原田君!こっちじゃなくてあっちのコートでしょ!」
それぞれ男子、女子の部員が言った。
(そうかー!俺は今あかねちゃんだったんだ!)
「ごめん!間違えちゃった。」
俺はそう言って、女子のテニスコートへ移動した。
あかねちゃんも同じ女子部員になにやら言ってから、男子のテニスコートへ移動した。
きっと、あかねちゃんも俺と同じようなことを言ったのだろう。
慣れない、女子たちが周りにいっぱいいる中でのテニスの練習。
いつも女子と男子は一緒に練習しているが、こんな女子の近くでテニスの練習をするのは始めてだ。
多分あかねちゃんも同じことを思って練習しているのだろうか?
俺は妙に自分のことより、俺と入れ替わってしまったあかねちゃんのことの方がむしろ気になっていた。

そして、かれこれ数時間が経過。
「テニス部練習終了だー!さっさと片付けを始めろー!」
橋本先生が言った。
ふう、なんとかテニス地帯は切り抜けたぞー。
こんなにドキドキしながらテニスをしたのは始めてだった俺。
とりあえず、荷物をまとめて帰ろうとした時、
「あのー・・・。」
俺が話しかけてきた。
俺というより、この場合はあかねちゃんが、というべきだろうが。
俺はあかねちゃんに連れられて、誰も人1人いないところへ連れられた。
あかねちゃんから言い出す。
「私たち、なんで入れ替わっちゃったか知らないけど、こうなっちゃった以上、お互い正体がばれないように私は原田君として、原田君は私として生きていくしかないと思うの。」
俺は言った。
「それじゃあ、正体がばれないようにするために、俺はあかねちゃんのふりをしなくちゃならないのかー・・・。」
そして、あかねちゃんが言う。
「私の身体はどうに使ってもいいけど、とりあえずお互い入れ替わってしまった立場で生活をしなくてはならないねー。」
「じゃ、俺はあかねちゃんの家に、あかねちゃんは俺の家に帰らなければならないのかー?」
「そういうことになっちゃうねー・・・。私の家はわかる?」
「ん、何とかわかると思うよー。あかねちゃんは、俺の家わかる?」
「大丈夫、場所は知ってるよー。」
気持ちは伝えていないけど、お互い好きな人同士。
それぞれの家の場所は、2人とも知っていた。
「じゃ、私は原田君の家に帰るねー。あ、今原田君が持ってる自分の荷物は、私の荷物と交換しておいた方がいいよね?今は私が原田君だしー・・・。」
「そうだね。」
俺はそう答えた。
「あと、言葉遣いにも気をつけなくちゃね。」
「う、うん。」
俺たちは荷物を交換して、俺はあかねちゃんの家へ、あかねちゃんは俺の家へ、それぞれ帰った。

俺はあかねちゃんの家へ着いた。
「あの、お邪魔しまーす。」
「なーに、あかね?今帰ったのー?」
(そうだったー!俺は今あかねちゃんだったんだ!)
とりあえずあかねちゃんの部屋へ行ってみる。
(あかねちゃんの部屋は多分2階だろうか?)
2階へ上がり、あかねちゃんの部屋を探した。
あかねの部屋って書いてある場所を見つけた。ここだ!
あかねちゃんの部屋に入り、俺は色々見回して見た。
(うわー、ほんと、女の子の部屋だー。まさか女の子、しかも大好きなあかねちゃんの部屋で暮らすことになるとはなー・・・)
試しに本棚を調べてみた。
(うわー、少女漫画がいっぱいだー)
(あかねちゃんって、結構漫画いっぱい持ってるんだなー)
「あかねー、部活から帰ってきたんだからシャワー浴びちゃいなさーい。」
誰かの声が聞こえた。
さっき、俺がお邪魔しまーす、って言ったあとに聞こえた声と同じ声だ。多分あかねちゃんの母さんだろう。
俺はあかねちゃんの母さん(多分そうだとおもわれる)にシャワーを浴びろといわれたので、シャワーを浴びることにした。
とりあえず1階へ降りて行く。
あかねちゃんの家には上がったことがないので、シャワー室を探す。
リビングらしき部屋があったので、入ってみた。
誰かいる。あかねちゃんの母さんみたいだ。
俺はあかねちゃんになっているということを忘れて、声をかけた。
「あのー、すみませんが、シャワー室はどこでしょうか?」
俺は丁寧な口調で言った。
「あかね何丁寧な言葉なんか使ってるの?それに、シャワー室はトイレの横でしょ?」
(お、俺は今あかねちゃんだったんだー!)
俺はまだあかねちゃんの身体に慣れていない。
「そういえば、そうだったね・・・。」
俺はあかねちゃんの母さんに言った。
とりあえずシャワーを浴びるとしますかー。
ん、シャワー・・・。俺は今あかねちゃんってことは、女の子の身体だったんだー!
それでシャワーを浴びると言うことは・・・。
女の子、あかねちゃんの全てがわかる。
俺は何故今までそのことに気付かなかったのだろう?
俺はあかねちゃんになったことが、段々楽しくなってきた。
でも、やっぱりあかねちゃんの身体でシャワーを浴びるとなると、ドキドキしたりもする。
俺はドキドキしながら、シャワー室へ向かった。


<第3話>


シャワー室に着いた俺。
今、鼓動が高鳴ってきているのがわかる。
(俺は、あかねちゃんの全てを知ることができるんだ)
そう思いながら、服を脱ぐ。
そして、俺は下着を外し、下も脱いだ。
(うわー、あかねちゃんっていい体してるんだなー)
そう思ったがしかし、あかねちゃんの体を見た。
俺自身の反応は、以外な反応だった。
服を脱ぐ前はかなりドキドキしていた俺。
だが、実際にあかねちゃんの裸を見ても、全然ドキドキしない。
俺は確信した。
(どうやら今、俺は女の子になっているから、女の子の裸を見ても何にも反応しない見たいだ)
何故かあかねちゃんの裸に対する嬉しいという気持ちが湧き上がってこない。
俺は少しがっかりしながらも、とりあえずシャワーを浴びた。

シャワーを浴び終えた俺は、あかねちゃんの家の中を見渡して見ることにした。
(ふーん。なるほどー。ここが台所で、こっちが居間で、ここがさっき来たリビングで、こっちは親の部屋かな?)
俺は、ざーっとあかねちゃんちの作りを調べた。
大体家の構造はわかった。
その時、突然声が聞こえた。
「あかねー、お昼ご飯できたわよー」
どうやら、昼飯の時間のようだ。
俺は、さっき発見した台所だと思われるところへ行った。
そこはやはり台所だった。
テーブルの上に料理が置いてあり、全部で椅子が4つある。
4つの椅子のうちの1つに、あかねちゃんの母さんが座っていた。
「あかねー、午後からは友達との約束があるんでしょ?早く食べちゃいなさいねー」
(え、友達との約束・・・?)
俺は、友達との約束をあかねちゃんがしていたことは聞かされていなかった。
でも、今は俺があかねちゃんなのだから、俺があかねちゃんとして友達のところに行くしかないようだ。
なんて思っていたが、腹が減ったので、とりあえずテーブルの上の料理を良く見る。
よく見てみると、高級松坂牛のステーキが置いてあった。
(うわー、あかねちゃんって毎日こんなうまい料理食わしてもらっていたのかなー?)
俺はしばらくステーキを眺めていた。
「あかね、何やってるの?早く食べちゃいなさいよー」
「あ、うん」
とりあえず、俺はステーキを食べ始めた。
おもいっきしステーキにがっつく。
ご飯をどんどん口に放り込む。
「母さん、ご飯おかわり!」
と俺は言ったが、この時点で少し考え込む。
俺は今あかねちゃんだったのだから、こんなにはしたない(多分)な食い方をしたら、まずいのではなかったのだろうか?もちろん!まずいといってもステーキのことではない。
と冗談はここまでで、本題に戻る。
しかし、あかねちゃんの母さんは以外な反応をした。
「あかね!今日もいつも通りの食欲ねー!この調子で今日も4杯くらいはおかわりする?」
今、確かにあかねちゃんの母さんは4杯って言った?
俺はとりあえずおかわりを盛ってもらっている間に、考えていた。
ということは、普段のあかねちゃんって、大食いってことか?
学校では、弁当もいつも少ししかもってきていないあかねちゃんであったが、実はあかねちゃんは大食いだったらしい。
普段のあかねちゃんの様子からは、信じられない話であった。
人は見かけに寄らないものである。
俺は、あかねちゃんにこんな以外な1面があったなんて知らなかったと思いながら、ご飯を食べた。
でも、逆に言えば有利という面も存在する。
俺はあかねちゃんを演じなければならないが、当のあかねちゃんがこんながっついた食べ方をしていたなら、俺は原田 徹だった時のように、飯をがっついて食べても平気である。
食事の面は、これで心配はいらない。
でも、なんか気まずいような気がする。
その理由はすぐにわかった。
俺は今あかねちゃんなのだから、あかねちゃんとして飯を食べている。俺の目の前には、あかねちゃんの母さんが座っていた。
あかねちゃんの母さんとわかっていても、俺はあかねちゃんの母さんを見るのは今日が初めてだった。
俺からとって見れば、知らない女性と食事を共にしているという状態であった。
ちょっと気まずかったため、ご飯は2杯だけ食べて、食事を済ませた。
「ごちそうさん!」
俺はあかねちゃんの部屋へ戻った。

(そういえば、友達との約束と言ってたが、一体誰との約束なのだろう・・・?)
俺はあかねちゃんの部屋で、適当に取り出した漫画を読んでいた。その時、
「リリリリリン、リリリリリン」
急に電話が鳴った。
数秒後、
「もしもしー」
という声とともに、電話の音は止まった。
どうやら、あかねちゃんの母さんが電話に出たらしい。
「あ、はい、少々お待ちくださいね」
「あかねー、友達から電話よー!」
「多分今日遊ぶって子じゃないのー?」
俺はそう言われたので、とりあえず下の階の電話のとこまで行き、あかねちゃんの母さんから受話器を受け取る。
俺は始めに、
「もしもし、あかねですけどー」
と言った。
「もしもし・・・。」
あれ、この声は・・・?
電話に出た相手とは・・・?


<第4話>


電話に出た相手は、俺(あかねちゃん)だった。
「あれ?あかねちゃん?」
「言葉遣いには気をつけるんでしょ?今は原田君って呼んでくれなきゃ」
「あ、そうだね」
あかねちゃんが俺の中にいることはわかっているとはいえ、俺のありのままの声の相手に対して自分の名前を呼ぶのは、正直変な気持ちではあるが、しょうがないかな?
「で、原田君(あかねちゃん)は何の用?」
「え〜っ、忘れちゃったの?」
「え、ええ?」
俺はあかねちゃんが何のことを言ってるのか、始めはわからなかった。
「1週間くらい前に、私をデートに誘ってきたのは原田君じゃない?」
「あ、そうだった」
俺は思い出した。
そういえば1週間前、あかねちゃんを初デートに誘うことに成功したのである。
いつもデートのことばかり考えてはいたが、今は入れ替わってしまったことばかり考えていたので、どうやら忘れてしまっていたようだ。
「で、でも、今身体が入れ替わっちゃってるけどそれでもデートするの?」
あかねちゃんの反応は、
「別に身体入れ替わっちゃっててもいいじゃん!じゃ、私は学校の前に1時に待ってるよ!」
「あ、ちょっと、あかねちゃ・・・」
ガチャン。
ツーッ、ツーッ。
あかねちゃんは電話を切ってしまった。
しょうがない、このままデートに行くしかないな。

楽しみだったはずのあかねちゃんのとの初デート。
もちろん。正直いって俺も楽しみではあるが、なんだか入れ替わってしまったことで不安だ。
まさか俺たちが逆の立場でデートすることになるとはねー。
「あ!あかねちゃん!」
俺は学校前に着いた。あかねちゃんはもうきていた。
「だから!今は原田君で呼ばなきゃ!」
「あ、そうだったね、ごめん」
「まったくぅ、気をつけてよねー。言葉遣いを間違えたら色々困るのは原田君の方なのよ?」
あかねちゃんはそういう風に言ってるが、実際のとこ、あかねちゃんは今あかねちゃんになっている俺を原田君って呼んでるし、女言葉遣ってるし、あかねちゃんの方こそ大丈夫かなー?
「あかねちゃんも、男としての言葉遣いをしなくちゃね」
「あ、それもそうだね」

俺たちはとりあえず歩き出す。
「あかねちゃん、何処から行く?」
「だーかーら!今は原田君で呼んでくれなきゃ!」
「あ、そうだった、ごめーん。とりあえず、何処か行きたいところはあるかしら?」
俺は少しやけくそになって女言葉を遣った。
「う〜ん、あ、そこの店なんてどう?」
そういって、あかねちゃんは近くの店を指さした。
この店はっと、何かやたらと女物の多い店だなー。
女物といっても、髪飾りやブローチやそういう系のものだ。
「あかねちゃん、この店がいいの?」
「何か文句でもあるのですか?」
「え、いや、文句なんかありませ〜ん」
あかねちゃんが俺として睨んだ顔で言った。
俺はバカな話、自分の顔におびえてしまったのだ。
つい弱気な言い方をしてしまった。
それにしても、あかねちゃんはもうすっかり男を演じているようだ。

とりあえず、俺たちは店に入った。
一通り店内を見回る。
(うわーっ、色んなものがいっぱいあるなー)
そう思っていた時だった。
「ねえ、河村さん!俺これが欲しい!」
あかねちゃんが俺に話しかけてきた。
あかねちゃんはすごいなー。
もう俺って言葉をちゃんと遣ってるし、俺としての状態に馴染むの速いなー。
ちゃんと俺を河村さんで呼んでるし。
それで、あかねちゃんの持ってきたものとは、女の子の飾り用の大きなリボンだった。
「え、リボン!?」
「何か不満でも?」
「いや、不満っていうかー、今はあかねちゃんは男としての状態に置かれているんだし、男がリボンなんかつけたらおかしくない?」
「あはは、そういうことかー、それならまかせといて!これは、河村さんに上げようと思って」
「え、なんで?」
「初デートの記念に、と思ってね」
「えー、でも俺はこんなのつけたくないよー」
「河村さん!今は俺なんて言葉を遣っちゃダメ!それに、リボンをつければ性格も少しは女の子らしくなれるんじゃないの?違うか?」
あかねちゃんは男の言葉使いで俺に言う。
「は、はい、おっしゃる通りですね・・・」
「じゃあ、俺はリボン買ってくるねー」
そう言って、あかねちゃんはレジへ行った。
あかねちゃんはレジで何かをしているようだ。
それから数分後、あかねちゃんがレジから戻ってくる。
「ねえねえ、リボン今つけてみない?」
「ええ、今っすか?」
「そう、今」
また何か嫌だみたいなこと言われるとなんていわれるかわからないからなー。
俺はしょうがなくリボンをつけることにした。
2階には買ったものをつけることができる場所が設けられている。
俺はあかねちゃんとそこの場所へ行って、リボンをつけた。
「ど、どう?似合うかしら?」
‘私’は、いつの間にか女言葉になっていた。
「うん!結構似合ってるみたいだな!」
本当なら、ここはあかねちゃんじゃなくて、俺が言うべき立場の台詞だったのだろう。
私はリボンをつけたら、何だか本当の女の子らしくなってきた。
しかし、私はこのリボンにある不思議な力をまだ知らなかった。

とりあえず、私とあかねちゃんは店を出た。
私はリボンをつけたままだ。
「原田君、次はどこに行きましょうか?」
何故か、無意識のうちにあかねちゃんになりきってしまう。
「うーん、あ、あそこの映画なんてどうだ?」
「映画館ですかー」
私たちの前には大きな映画館が建ちそびえていた。
「私は映画でもかまわないわよ」
「じゃ、映画にしようぜ!」
私はあかねちゃんに連れられて、館内へ入った。

映画の内容はラブストーリーものだった。
なんだかラブストーリーのお約束の展開、実はあなたのことが好きでした、みたいな展開が今、繰り広げられている。
もし私が原田 徹のままだったとしたら、俺もあかねちゃんといつかはこのように・・・と思っていただろうが、私は今あかねちゃんの立場であるせいか、そのようなことは思わなかった。
あっという間に映画が終わり、館内を出た。

「あ、もうこんな時間だな!」
「あ、うん、そうだね」
館内を出たら、いつの間にか空は赤くなり始めていた。
「じゃ、俺はそろそろ帰ろうかなー?」
「私も、じゃあこの辺で」
「おう!じゃーねー!」
「うん!じゃーねー!」
私とあかねちゃんは、この時点でそれぞれ家に帰った。
なんだか今日のあかねちゃんとの初デートは、とても不思議な感じだったなー。

「ただいまー」
私は家に帰った。
「あかね、おかえりー」
「晩御飯できてるわよー」
「はーい」
私は、まだ入れ替わって1日も経っていないのに、何故かちゃんとあかねちゃんを演じきれている。
何故だろう・・・?
今日も男言葉を遣ってるつもりだったのに、無意識のうちに女言葉遣ってたし・・・。

その頃、あかねちゃんも家についていた。
「母さん、ただいまー」
「あ、徹帰ったのね?今晩御飯作るから!」
「おう!母さん、早く頼むねー!」
その時あかねちゃんは、心の中でふと思った。
何でだろう、自然に徹君を演じきれている。
今のも自然な会話だった。私は女言葉を喋ったはずなのに、何故か声に出たのは男言葉だった。
何でだろう・・・?
あかねちゃんの方も、あかねちゃんになってしまった原田 徹と同じようなことを考えていた。


<第5話>


あかねちゃんはご飯を済ませた。
「はぁー、今日は不思議な1日だったよなー」
徹になってしまったあかねちゃんは、布団でごろごろしながら呟いた。
「何か知らないうちに心の底も男の子っぽくなってるし」
その時、あかねちゃんは徹の部屋から何かを発見した。
「こ、これは・・・エロ本!?」
あかねちゃんが徹の部屋で発見したものは、エロ本だった。
「まったくー、徹君ってこんな怪しい人だったのねー」
あかねちゃんはそう言いながら、何となくページを開いてみる。
「へえー、女の子の体ってこうなってたんだー、知ってたけど」
何故か、あかねちゃんは元は女だったというのに、真剣にエロ本を見てしまう。何故か、胸がどきどきしてきた。
あかねちゃんは何故こんなにこんな本に興味を示しているんだろう?
と思いつつも、エロ本を真剣に見ている。
そして、あかねちゃんは本を見終わった。
「なんだか欲望を達成したという感じだなー」
「もしかして、これが男の感じってやつかな?」
男にしかわからない、女の子へ対する欲望。
あかねちゃんは初めてそれを実感したのだった。
その後、あかねちゃんは徹の部屋をさぐってみる。
「なになに〜、これは格ゲーのソフトかな?」
あかねちゃんは、格ゲーのソフトとPS2を発見した。
試しになんとなく、格ゲーを起動してみる。
タイトル画面が出た。
あかねちゃんは、今まで格ゲーなんてやったこともなく、おもしろいなんて思ったこともない。
しかしあかねちゃんは、試しにやってみた格ゲーのつもりだったが、すっかりはまってしまっていた。
「何でだろう?俺格ゲーなんてやったことないのに・・・」
と、つい口に出して言ってしまうあかねちゃん。
あかねちゃんは何故はまってしまったのかわからないまま、格ゲーを長い間プレイしていた。
「今度ゲーセンで原田君と対戦してみようかな?元々これは原田君の格ゲーだし、原田君もきっとこのゲームうまいはずだろうなー」
あかねちゃんは、1度もゲーセンに行ったことがないのに、何故かゲーセんなんて言葉が出てきた。
しかも、あかねちゃんは格ゲーをかなり極めてしまった。
「あ、もうこんな時間かー」
現在の時刻は夜中の1時。
明日(時間的には今日だが)にはテニス部の練習がまた入っている。
「明日の部活に響くからそろそろ寝るかな?」
あかねちゃんは、とりあえず寝ることにした。

朝、あかねちゃんは原田 徹として目を覚ます。
「もう8時かー、そろそろご飯食べないと」
あかねちゃんは、原田 徹として、リビングに向かった。
「あ、徹、おはよー」
母さんが原田 徹の姿をしたあかねちゃんに言ってくる。
「母さん、おはよー」
あかねちゃんは、ごく普通の反応をした。

「いってきまーす」
あかねちゃんは部活へ向かった。
色々なことを考えながら学校へ向かう。
(何故だろう?今日も普通に女の子の言葉を喋っちゃいそうだったのに、何故か男言葉が出てきた)
あかねちゃんは今まで通りの自分を原田 徹の中で演じようとしている。
なのに何故か、自然に原田 徹の本来の性格みたいになってしまう。
あかねちゃんはこのことの原因はまだ知らないが、のちのち知ることになる。
とりあえず歩いているうちに、あかねちゃんは学校に着いた。
そして校門の前である人物に出会う。
「あ、原田君」
そこには、あかねちゃんの姿、つまりあかねちゃんになってしまった原田 徹がいた。
徹は、昨日あかねちゃんが原田 徹としてプレゼントしてくれたかわいいリボンをつけていた。もちろん、あかねちゃんとして。
「原田君、昨日はまだ河村さんって呼んでたのに、」
「もう言葉に慣れたの?今日はちゃんと原田君って呼べたね!」
「え、あ、そういえば私河村さんって言おうとしてたのに、知らないうちに原田君って呼んじゃった」
徹が不思議そうに答える。
「あれ、そういえば今も俺って言おうとしたのに、自然に私って言っちゃった」
そこで、あかねちゃんは徹に聞いてみた。
「え、河村さん(原田君)も?」
「それに、私も今原田君って言おうとしたのに河村さんって呼んじゃった。何故か俺も本来の言葉遣いしようとしても、自然に男言葉になっちゃうし、今も私って言おうとしたのに、俺っていっちゃったし」
徹もあかねちゃんも、本当はそれぞれ元の性の時の言葉で喋ろうとしていたのに、何故かそれぞれ今の身体の性に合った言葉を喋ってしまう。
「何故だろう?」
「そうね?なんでだろう?」
自然に今の身体に合った言葉が出てくる2人。
やはり原因はまだわからないが、のちに原因を知ることになる。
「あ、とりあえずテニス部へ向かおう!」
「あ、そうだな」
あかねちゃんと徹は、とりあえずテニス部へ向かった。

私(徹)とあかねちゃん(原田)は、それぞれテニスコートへ向かった。
2人とも、また間違えてそれぞれ私は男子の方に、あかねちゃんは女子の方に行っちゃいそうになったが、何故か自然に今の身体に合った方のテニスコートに向かうことができた。
「練習始め!!」
部長の合図とともに練習が開始される。
あかねちゃんは、周りが男子にも関わらず、慣れてしまったのか、今まで通りに普通に練習していた。
私の方は、何故かまだ慣れていないはずなのに、女子の中でする練習に自然に溶け込めた。
(なんだか不思議だ・・・)
私は何故簡単に溶け込めたのか?
しばらく考えながら練習していた。
実は、あかねちゃんも同じようなことを考えていた。

「よーし!今日の練習はここまでだ!」
と先生が言う。
あっという間に部活は終わった。
私はあかねちゃんと一緒に帰った。
お互い好きな人同士ではあるが、お互いまだ気持ちを伝え合ってはいない。
それだから、恋人同士ではなく、入れ替わっちゃったことについて話すために、あかねちゃんと帰ることにしたのだ。
先に、あかねちゃんが話しだした。
「なんだか不思議だ。自然に練習にも溶け込めたし自然に男の子の言葉遣いが出てくるし・・・」
「やっぱり原田君(あかねちゃん)も?私も何故か自然に練習に溶け込めたし、自然に女の子の言葉遣いが出てきた・・・」
「う〜ん、不思議だな〜」
あかねちゃんが不思議といった時点で、リボンがずれてしまったので、私はリボンを付け直そうとしてリボンを一旦外した。
その時、あかねちゃんが話しかけてきた。
「なーんで自然に男言葉になっちゃうのかしら?って、あれ?」
「あかねちゃん、どうしたんだ?って、あれれ?」
何故か2人の言葉遣いが戻った。
俺は今、ちゃんとあかねちゃんを原田君ではなく、確かにあかねちゃんと呼んだ。
俺は今でこそあかねちゃんだが、本来の男言葉に戻り、今でこそ徹のあかねちゃんは、女言葉に戻った。
その時、今始めて気付いたが、感覚がさっきと変化したような気がした。
さっきまでは、何故か女の子としての感覚になっていたらしい。
(う〜ん、これは何かがありそうだ・・・?)
原因はわからなかったが、俺の言葉遣い、あかねちゃんの言葉遣いが急に変わって、今は戻ってしまった理由に、なにかがあることを感じた。
そして、あかねちゃんが何か思いついたように、俺に突然、
「原田君、ちょっとリボンつけてみてくれる?」
「え、ああ、別にかまわんが・・・」
俺は今は男の感覚になってるから、あかねちゃんの姿をしているとはいえ、リボンをつけるのに少し抵抗を感じた。
(そういえば、今朝はどうやってつけたんだろう・・・?)
そう思いつつ、ためらっていてもしょうがないので、リボンをつける。
すると、不思議なことに気付いた。
「原田君、リボンつけてみたわ。って、あれ?」
何故か、また私は女言葉になってしまった。
それに、何だか感覚もさっきとかわっているような気がする。
そして、あかねちゃんの方も、また男言葉になっていた。
「やっぱりな!そのリボンには何か秘密があるな!」
「俺の言葉遣いもまた男言葉になってるし」
「え?このリボンに何か秘密が・・・?」
私は聞いてみた。
「俺の予想だと、多分そのリボンを河村さん(徹)がつけると、俺と河村さんの言葉遣いがそれぞれ今の身体に合った言葉遣いになる、それともう1つ、それぞれ俺と河村さんの感覚そのものも今の身体に合ったものになってしまう。もちろん、何故そうなってしまうかはわからんが、そのリボンには不思議な力が宿ってるような気がする」
あかねちゃんは真剣な表情で私に告げた。
「じゃあ、またリボンを外せば・・・?」
「ああ、多分な」
私は試しにまたリボンを外してみる。
すると・・・。
感覚がまた変化した感じだ。
「リボン、外してみたぞ〜、あ!本当だ!」
俺は自分の言葉が男言葉になったのに気付く。
「やっぱり、何か不思議な力が宿っているようね?」
まだ俺とあかねちゃんは、このリボンの力について、詳しくは知らない。
だが、言葉遣いと、感覚が変化するということは知ることが出来た。
「とりあえず、今の状態だとボロを出しちゃうとやばいから、言葉遣いがちゃんとなるように原田君はいつもリボンをつけてた方がいいんじゃないかしら?」
俺はあかねちゃんの提案を聞き入れた。
「うん、そうだね、確かに言葉遣いがちゃんとなってないとボロがでちゃうね」
「じゃ、これからは原田君はあかねちゃんとして、私は原田君として生きることになるけど、原田君は常にこのリボンをつけていること!OKかな?」
「うん、わかった!」
俺はまたリボンをつけてみた。
私は、感覚が変化した。
もういうまでもないが、女の感覚になったということである。
その時、あかねちゃんが私に話しかけてくる。
「ねえ、河村さん、もしも俺たち、このまま元の身体に戻れなかったら・・・」
「そうねー・・・果たして戻る方法はあるのかしら・・・?」
「俺たちって、教室のとこで勢いよくぶつかって入れ替わったんだよな?」
「あ、うん、そうだったね」
「じゃあ、またおもいっきしぶつかれば元に戻るんじゃないか?」
「あ、何故今までそれに気付かなかったのかしら?」
私もピンときた。
(もしかしたら、それで元に戻れるのでは・・・?)
ところがその時、どこからともなく、
(またぶつかっても元には戻れませんよ!)
どこからか、声が聞こえた。
気のせいだろうか?
私はそう思ったが、気のせいではないことが判明した。
その理由は、あかねちゃんの次の言葉からわかる。
「河村さん?今何か声が聞こえなかった?」
「何だか戻れませんよっていってたような・・・?」
「え、原田君にも聞こえたの?実は、私も今同じような声が聞こえたわ!でも、さっきの声は一体何だったのかしら?」
「さあ・・・なんだったんだろう?」
のちのち、この声の主が誰だか知ることになるが、2人とも今の時点では何がなんだかわからなかった。
不思議そうな表情を浮かべる2人。
2人は、不思議そうな表情をしたまま家に帰った。


<第6話>


時の流れはあっという間である。
俺はそのことを実感した。
何故なら、今まで長かった夏休み。
後半辺りからはあかねちゃんとしての生活。
その今までの生活はあっという間に過ぎ去り、今日は9月1日。
新学期の始まりである。
俺はとりあえず起き上がって、リボンをつける。
感覚が変化した。
私はあかねちゃんの親にも本当の正体を告げていないため、家でもリボンをつけていないとボロがでてしまう。
このような理由から、起きたらすぐにリボンをつけるという行動はいつの間にか習慣となっていた。
(そういえば、私があかねちゃんになってからは今日が始めての登校だなー)
今まで部活で学校にはいってたものの、あかねちゃんとして日常を送ることになるのは今日からが始めてである。
私はとりあえずリビングに降りてきて朝ご飯を食べる。
このリボンがあると感覚まで女の子になってしまうので、自然とあかねちゃんの親ともコミュニケーションがとれるようだ。
「おはよー」
私はあかねちゃんの親に普通にあいさつができた。
リボンを手にしてからも、1度リボンをつけずに下に降りてきたことがあった。
その時は、まともにあいさつはできない、あかねちゃんの親とちゃんと向き合って食事ができない、つい男言葉が出てしまう、など、おもいっきしボロがでそうな事態にばっかなってしまった。
そのため、今の私はあかねちゃんになってる以上、このリボンが絶対欠かせないものとなっていた。
でも、このリボンをつけてると、どこからともなく突然何かの声が聞こえてくるような気がする。
前の時、あかねちゃんにも聞こえたらしい声、その時の声である。
一体誰の声なんだろう?
少なくとも、気のせいではない。
私があかねちゃんと入れ替わっちゃったことと、何か関係しているのだろうか・・・?
私は朝ご飯を食べ終えた。
「ごちそーさまー」

私は今あかねちゃんとして、2学期の始まりを告げる学校へ向かっている。
(一体どんな生活が待っているのやら・・・?)
もちろん、今はあかねちゃんとして学校に行くのだから、必然的に徹だった時とは違う生活が待っていると言える。
でも、この不思議なリボンの力で性格も感覚も女の子になるから、恐らくボロが出ることだけはないだろう。
でも、私は正直不安な気持ちもあった。
そして、いつの間にか学校に着いていた。

始めはいつも通り教室に入る。
「おはよー」
近くにいた男子生徒どもに声をかけた。
いつもなら「オッス!!」みたいな反応がくるのだが、
「え、あ、おはよー・・・」
何故か少し戸惑ったような返事が返ってきた。
そして、私は再び今はあかねちゃんであったことに気付く。
(そっかー、今はあかねちゃんだから男どもは戸惑った返事を返してきたのだろう)
ここで少し説明を加えるが、あかねちゃんは美少女なので学校やクラスではアイドル的存在である。
私もあかねちゃんのことは好きだが、あかねちゃんのことを狙ってる奴はいっぱいいるとのことである。
よって、男どもの憧れであるあかねちゃんに声をかけられたため、男どもは少し戸惑った返事を返したということである。
(私は今はあかねちゃんなのだから、男どもを私のためにこき使うってことができるのでは・・・?)
私は何故か突然悪罪感が浮かんできた。
私自身も、何故こんなことを思い浮かんだのかははっきしいってわからなかった。
まるで何かに洗脳されるみたいな感じだった。
(私自身もあかねちゃんは好きだったし、あかねちゃんになったのも悪くないかも・・・?)
しかし、このあとには予想もしない事態になる。

「はぁ〜っ疲れた。誰か肩もんでくれる?」
「あ、僕がやりましょう!」
私はあかねちゃんである立場を利用して、男どもに色々こきを使わせた。
普段から仲良しな奴、あんまり接点がない奴、日頃からむかついてる奴など、誰でもお構いなしに。
男どもは私に文句をいうこともなく、素直に言うことを聞いてくれる。
でも、周りの生徒たちはあかねちゃんが普段のあかねちゃんではないということに気付き始めていた。
女子たちの間では、
「あかねちゃん、どうしちゃったんだろ?」
「いつもはあんな調子じゃないのにねー」
などの会話が聞こえてくる。
しかし、私の耳元にはそんな会話は入ってこなかった。
私はずっと、リボンの不思議な力で普段(今の状況だとちょっと違うが)の女の子(あかねちゃん)を演じることができると思っていた。
もちろん、ボロなどでるはずはないと思っていた。
確かにボロは出なかったが・・・。しかし・・・。
私は段々男どもをこき使うのに何故か調子にのってきた。
「あ、そこの君、私宿題忘れてきちゃったから」
「あかねの宿題速攻でやってくんない?」
「え・・・あ、うん、あかねちゃんがそういうなら」
私は忘れた宿題を近くにいた男子に押し付けてみた。
そして、更に、
「暑いから誰か私を仰いでちょうだい!」
「は、僕が仰ぎましょう!」
ひたすらこきを使いまくりだ。
そして遂に、何人かの女子生徒が私に話し掛けてきた。
「あかねちゃん、何だか今日のあかねちゃん変よ?」
「何かあったの・・・?」
「え、俺はいつも通りだよ〜!」
(あれ、リボンつけてるのに男言葉に戻ってる・・・?)
「え、俺?」
女子生徒が驚いたかのように言う。
「え、俺じゃなくて、俺は・・・え、え?」
何故か女言葉に戻らない。
今はあかねちゃんであるのだから、この状況はかなりまずいような気がする。
俺は何故か女言葉に戻らなくなってしまって戸惑い始める。
周りの女子生徒はひたすら、
「あかねちゃん、本当にどうしちゃったの?」
「そうよ!あかねちゃん、何か変よ?」
男子生徒の方でも、あかねちゃんへのイメージが崩れたのか、一緒になって言ってくる。
「河村さん、いつもはこんなんじゃないよな?」
「今日の河村さんおかしいぞ?」
俺は何故男言葉に戻ったかわからず、しかも追い討ちをかけるように多くの生徒に色々言われる。
(こんなつもりじゃなかったのに・・・)
俺は自分でも何故こんなに調子にのってしまったのかわからなかった。
そして、俺はついにパンクしてしまった。
周りに色々言われてる中、色々なことを考え過ぎてしまったのだ。
俺はその場に倒れる。
「あ、あかねちゃん?」
「河村さん、どうしたの?」
俺はそのまま意識が途切れてしまった。


<第7話>


ジリリリリリリリリ〜ッ!!
目覚し時計が部屋中に鳴り渡る。
カチッ。
俺は目覚し時計を止めた。
(あれ?何で目覚し時計があるんだ・・・?)
(確か俺は学校で倒れたはずじゃ・・・?)
俺は少しずつ意識が戻ってきているような気がした。
そして、そーっと目をあける。
俺が見た光景、そこには、俺の部屋があった。
そして自分の身体を見てみる。
それは誰がどうみても原田 徹の身体だった。
(あれ?俺はあかねちゃんと入れ替わったはずじゃ?ということは、俺は戻ってる!?)
どうやら俺の身体は元に戻っているらしい!
もうなかなか戻れないかと思っていたから、まるで夢のようだ!
しかし、何故かまた意識が薄れていく。
俺はそのまま再びベットに伏せてしまった。

(・・・・・・・・・・う〜ん、ここは・・・?)
俺は再び意識を取り戻した。
でも、再びではないような気もする。
少しずつ目をあける。
俺は見た光景は、保健室だった。
(あれ?さっきのは夢か・・・?)
どうやらさっきのは夢だったらしい。
一応と思って布団をはがし身体を確認してみる。
・・・あかねちゃんの身体だ。
やはり身体が戻っていない以上、さっきのは夢だったらしい。
(でも、なんで保健室に・・・?あ、そっかー、俺教室で倒れたんだった・・・)
そして、そーっと起き上がる。
「あら〜、気が付きましたか〜?」
誰かが喋った。
誰かが保健室にいる。
しかし、見渡しても人はいなかった。
今の声は、保健の先生でもクラスの連中の声でもない。しかしどっかで聞いたような気がする。
一体誰の声なんだ・・・?
と考えていると再び、
「意識はちゃんと回復しましたか〜?」
・・・また声がした。
(?)
俺は何がなんだかわからなかった。
そして、しばらく呆然としていると、また声がする。
「徹く〜ん、上ですわ〜」
(え、俺の正体知っている?)
俺は今はあかねちゃんなのに、徹って名前を
言われてから驚いた。
そして、上を向いてみる。
そこには、天使みたいな人が浮いていた。
天使みたいな人は、地面に降りてくる。
「ふう〜、やっと直接徹くんに会えましたですわ〜」
「え、何で俺の正体しってんの?」
俺が1番始めに天使らしき人に言った言葉は、この言葉であった。
「あら〜、知ってるも何も私の仕組んだことですわ〜」
「え?ええ?一体どういうことだよ?」
俺の頭はまたまたパンクしそうになっていた。
「徹くんはまだ事情を知りませんでしたね〜」
「では〜、順を追って話しますです〜」
そう言って天使らしき人は話し始めた。
「私は天界の世界の者ですぅ〜。天界とは〜、人間界とは別の世界のことですぅ〜。私は〜、まだ見習いの天使でして〜人間界で人を幸せにするという使命がありま〜す。そして〜、ターゲットをあなたにしたのです〜」
「ちょっ、ちょっとまてよ!俺は全然幸せなんかじゃないぞ〜!」
「私は天使ですから〜、心を読み取れます〜。徹くんとあかねちゃんは〜、お互い好きな人同士だと知っていました〜」
「え、好きな人同士・・・」
俺はあかねちゃんが俺のことを好きだということを知らない。
「それって本当!?」
俺はおもわず天使に聞き返す。
「ほんと〜ですわ〜。あかねちゃんは徹くんのことが好きなのです〜」
そして天使は続けた。
「お互い気持ちは伝わっていなくても〜好きな人同士ですから〜、お互いの身体を入れ替えることによって〜、お互い幸せになります〜」
「ちょっとまてよ!別に身体を入れ替える必要はなかったんじゃないか?」
「身体を入れ替えたのは私の趣味です〜」
「・・・」
「それにですね〜、身体を入れ替えたことにより〜お互い接点も増えて〜、お互いの色んなことを理解しあえて〜最終的には徹くんとあかねちゃんはハッピーエンドですぅ〜。そうなれば〜、私の使命も果たされます〜」
「え、じゃあ最終的に俺とあかねちゃんは結ばれるの!?」
「そういうことになります〜」
俺は正直かなり嬉しかった。あかねちゃんと結ばれる!
「あ、でも、身体はどうなるんだよ?今は俺があかねちゃんだぜ?」
「身体は〜、私の使命が果たされれば〜、元に戻れます〜。でも使命に失敗したら〜、永遠にこのままです〜」
「え、おい!そんなのありかよ〜!」
「ありなのです〜」
この天使はかなりのんびりな性格してるらしい。
「そういえば、リボンをつけた時に聞こえた声って?」
「はい〜、それは私です〜。あのリボンは通信機の機能も持っていまして〜、徹くんと通信をとろうとしたのですが〜、調子が悪かったみたいで〜、通信がとれませんでした〜。あと〜、もう気付いているようですが〜、そのリボンをつけると〜、感覚、言葉使い、仕草などが自然と今の身体とマッチしますぅ〜。でも、気をつけてくださいね〜」
「気をつけるって?」
「今の身体を利用して〜、悪罪感のあるようなことを考えてしまうと〜、そのリボンは〜、効果を失います〜。自然に〜、感覚、言葉遣い、仕草が戻ってしまいます〜」
(そうか、それでさっきは急に男言葉に戻ったのか)
「そのリボンは〜、徹くんが女の子になりきれるように用意したものであります〜、それ以外のことに利用しようとすると〜、効果を果たしませ〜ん」
大体話がわかってきた。
話を簡単にまとめると、俺はこの天使の幸せにする人のターゲットにされたらしくて、それでこの天使は俺を幸せにするために俺とあかねちゃんをくっつけることにした。
だが、俺とあかねちゃんはあまり接点がないため、天使はどうやって仕組んだのかしらんが、俺とあかねちゃんの身体を衝突によって取り替えた。そして、そのことをきっかけに接点を作り、しかも好きな人同士を入れ替わらせたことにより、お互いに更に深い相手への意識を芽生えさせ、最後にはハッピーエンドへ導くということらしい。
ただし入れ替わってる間は、俺はあかねちゃんの振りをし、あかねちゃんは徹の振りをする、ということらしい。
天使は俺の心を読み取ったようだ。
「大体解ったみたいですね〜。そういうことですから〜、しばらくは徹くんには〜あかねちゃんとして生活していただきます〜」
「あかねちゃんとハッピーエンドになれるならそんくらいたいしたことないぜ!」
俺はあかねちゃんとハッピーエンドと聞いてから、あかねちゃんとハッピーエンドになれるならどうでもいいと思っていた。
「決して悪罪感だけは持たないでくださいよ〜」
「おう!わかってる」
俺はすっかり悪罪感のことを考えなくした。
その途端、リボンの力が戻ったようだ。
私は、感覚が女の子に戻った。
「そのリボンには〜、先ほど言ったように〜、通信機能がついてますので〜、いつでも〜私と連絡がとれま〜す」
「うん!わかった」
そう言って、天使はどこかへ去って行った。
正直始めは驚いたが、あかねちゃんとハッピーエンドになれるならいいや!しかも、あかねちゃんは私のこと好きだったってことも判明したし!
そういえばあの天使、あかねちゃんにもこのことを伝えたのだろうか・・・?


<第8話>


ガラガラ〜。いきなりドアが開いた。
私は保健室に誰か入ってきたのに気付いた。
入ってきたのは、徹になっているあかねちゃんであった。
「河村さん?急に倒れたって聞いたけど、何かあったのか?」
あかねちゃんが心配そうに聞いてくる。
「ううん、別に何もないわ!ちょっと立ちくらみがしただけよ」
「そうかー、河村さんが倒れたって聞かされた時は驚いたぞ」
「心配かけたね」
「ううん、気にするな」
今あかねちゃんが男の言葉遣いになっているのも、やはりこのリボンのせいみたいだ。
私はリボンを外してみる。
「ほんと、大事じゃなくってよかったわー・・・って、原田君!今は学校内なんだから、リボン外したらまずいでしょ!」
やっぱりあかねちゃんは女言葉に戻った。
やはりこのリボンで、俺だけじゃなくてあかねちゃんにも影響が出るんだなー。
俺が急にリボン外してあかねちゃんにも影響が出るなら、急にリボンを外すってことはできないかー。
「原田君!早くリボンつけないと!」
「今保健室には他に誰もいないから平気だぞー!」
確かに今は俺とあかねちゃん以外、誰も室内にはいない。
「だけど、急に誰か入ってきたらやばいじゃない?」
「あ、それもそーだな」
俺はリボンをつけた。
感覚が変わった。
「あ、そういえば原田君(あかねちゃん)は、天使にあった?」
「はぁ?天使?なんのことだ?」
どうやらあかねちゃんはまだ天使にあってないらしい。
そういうことは、=話も聞かされていないだろう。
そこで急に通信機能で天使からの声が届いた。
(あかねちゃんにもこのことを言ってしまうと〜、あかねちゃんにも徹くんがあかねちゃんのことを好きってことを〜言うことになってしまいますので〜、あかねちゃんには言ってませ〜ん。あかねちゃんにもこのことを話しますと〜、お互い意識しすぎちゃいますからね〜)
(なるほどね。そういうことね)
(ちなみに〜、あかねちゃんには〜私の声は〜、届いておりませんので〜)
(うん、わかった)
「河村さん、どうしたの?」
「え、いや、何でもないよ!」
あかねちゃんから見てみれば、私が何か考えていたように見えたみたいだ。
お互い入れ替わってる本人同士だから、お互い入れ替わってるってことはわかっていて、リボンの不思議な力もわかっている。
でも、あかねちゃんは通信機能のことまでは知らない。
あかねちゃんに通信が聞こえちゃったらやばいこともありそうだから、このことや天使のことはあかねちゃんにも秘密にしておかなくてはならないようだ。
「あ、そういえばさー、今って何時間目?」
「ああ、もう放課後だぞー」
私が倒れたのは昼休み。
それだから、大体意識を失ってから3時間くらい経過したことになる。
「あ、放課後だから原田君(あかねちゃん)も今ここに来てるんだね」
「ちょっと心配だったからな!一応私の身体だし」
「わたし自身の心配って一体・・・」
「あ、勘違いすんなよ!ちゃんと河村さん(原田君)自身のことも心配で見に来たんだってば!」
(あかねちゃん焦ってる。やっぱり私のことが好きだからかな?)
「それはそうと、今日は河村さん(原田君)は部活休んだ方がいいな。ちゃんと先生には連絡入れといたから」
「え、うん、ありがとー」
「今日は俺も付き添いってことで部活休むから、もう少し休んだら帰ろうぜ!」
「あ、うん。あ、そういえばさー、クラスの人たちが今日の私はおかしいとかっていってた?」
「もしかしてボロが出たのか?」
「あ、いや、ボロが出たって訳じゃないんだけどー」
「クラスのみんなは何も言ってなかったぞー。いつの間にか教室で河村さんが倒れたって聞いたぞ」
(いつの間にか!?私はみんなの前で倒れたはずなのに・・・?)
その時、天使からの通信がきた。
(徹くんが悪罪感だった時の記憶は消し去りましたわ〜。わたしは〜、天使ですから〜、記憶くらい簡単に〜消すことができま〜す。徹くんは〜、あかねちゃんとして〜、ふつうに〜過ごしていたということに〜、してあります〜)
(そっかー、ありがとね、これからどうしようかと思ったよ)
(いえいえ〜、でも〜、記憶を消すのは〜、3回までしか〜できません〜、よって〜、あと2回です〜)
(え、何回でもできるんと違うの?)
(私も使命ですから〜、3回以上使ったら〜使命が失敗となりま〜す。どうしても〜ボロが出てしまって〜、危ない状態の時に〜残りの2回は〜、使いま〜すので〜)
(うん、わかったよ)
そして、通信が切断されたようだ。
「もう大丈夫か?」
あかねちゃんが聞いてきた。
「うん、もう大丈夫だよ!」
「じゃ、そろそろ帰ろうか?」
「うん、かえろー」

私は、学校をあとにして家へ向かう。
私の付き添いということであかねちゃんも部活を休むということになっている。
だから今はこうしてあかねちゃんと下校している。
「はぁー、まさかいきなり初日から倒れるとはねー」
「しょうがないだろ、立ちくらみなんだしな」
「う〜ん、まあそうだね」
私はあかねちゃんとぎこちないような会話をしながら下校した。

そして家に着いた。
「ただいま〜」
「おかえり、あれ、あかね、部活は?」
「今日はね、調子が悪かったから休んだのー」
「そう、あんまり無理しちゃダメよー」
「はーい」
もうすっかり慣れてしまったものだなー。
リボンのおかげで仕草や感覚や言葉遣いは女の子のものになってはいても、自分の男としての心には知らない女性と会話をしている気まずさがあった。
が、今ではもうそれにも慣れて、どこから見ても自然な会話となっている。
これならボロは出ないだろうなー。
とりあえず私はあかねちゃんの部屋へ行く。
今日は部活なしで帰ってきたので、夕ご飯まではだいぶ時間がある。
私はあかねちゃんになってからは、もちろんあかねちゃんの部屋での生活とはなっていたが、なんだか本当のあかねちゃんに悪いような気がして、あまりあかねちゃんの部屋をじっくりと探ったりはしてなかった。
しかし、今日は時間があるので、あかねちゃんの部屋を少しはさぐってみようと思っていた。
ということで、私は部屋をさぐり始めた。
始めに、ビデオデッキに目が着く。
(そういえば何の番組が録画されているんだろう?)
私はビデオデッキから何もラベルが貼られていないビデオテープを手にとり、デッキに入れて再生して見る。
そして、出てきた番組は・・・
(な・・・こ、これは!!)
出てきた番組は、ここでは言えないようなちょっとやばそうな番組だった。
でも、男の視点ではなく、女の子の視点としてやばそうなものだった。
(あ、あかねちゃんってこんな趣味あったのかー!!)
(あかねちゃんって一体・・・)
しつこいようだが、ここでは言えないようなやばい内容だった。
よって番組のタイトル名は出せません(笑)。
(もしかしてこれって、作者がどういう番組か考えていないだけなんじゃ・・・?)

他のビデオも再生してみた。
何本かこれと同じ系のビデオはあったものの、それ以外はカードキャ○ターさ○らや、とっ○こハム○郎や、フ○ーツバス○ットや、M○テなどの、いかにも女の子が好きそうな少女系アニメ、かわいいキャラ系アニメ、歌番組などであった。
他にも色んな番組が録画されていたが、とりあえず覚えている番組はこのくらいだ。
私は次に、引出しの中をさぐってみる。
1番上の引き出しを開けてみた。
そこには、あかねちゃんの日記があった。
(プライバシーの侵害になっちゃうかなー?)
と思いつつも、私は日記のページをめくり出す。

8月8日
今日もテニスの練習があった。
相変わらず原田君のがんばってる姿はかっこいいなー♪
私も原田君と同じくらいテニスが上手になりたいなー。
そのためには、しっかり練習をがんばらないと!
明日もまたテニスはある!がんばろ〜う!!

8月9日
今日もまたテニスの練習があった。
やっぱり原田君かっこいいなー♪
私も早く原田君みたいに上手になりたいなー。
そのためにはともかく練習!
明日も部活!がんばるぞ〜!!

8月10日
今日もやっぱりテニスの練習。
原田君はがんばってますねー♪
早く上手なりたいよ〜。
やはり練習するしかない!
明日もやっぱり部活!がんばろう!!

・・・なんだかどれも同じ内容のような気がする・・・。
でも、あかねちゃん私のことばかり書いてくれているんだなー。
やっぱりあかねちゃんが私のこと好きだっていう話は
本当だったんだなー。
あれ、最後に1行なんか書いてあるぞ。

・・・そして明日は、原田君と初めてのデート・・・

8月10日の最後にはこう書かれていた。
確かに私たちは8月11日にデートをしている。
なんだか不思議なデートではあったが。
あかねちゃんもデートをすっごく楽しみにしていたんだなー。
また今度誘ってあげようかな?
といっても、今は私があかねちゃんだからなー。
とりあえず日記帳を引き出しにしまった。

あっという間に時間は過ぎ、もう寝る時間である。
もう新学期に入った以上、あまり夜更かしはできないしな。
私は一旦は寝ようとは思ってはいた。
しかし、やめた。何故なら、とても気になるものがあったのだ。
今まで全然気にしていなかったのだが、今日あかねちゃんの部屋をさぐりだしたせいか、何故か急に部屋をさぐりたくなってしまった。そして、私のさぐってみたかったところ、それは、クローゼットである。
(何か大事なものがしまってありそうだなー?)
私はクローゼットを開けてみた。
このあと、あかねちゃんの以外な過去が判明するともしらずに。


<第9話>


私は一通りクローゼットの中をみた。
私が始めに目に着いたのは、中学校の頃の卒業アルバムである。
私とあかねちゃんは中学校は別だったので、あかねちゃんの中学生活が気になってしまった。
とりあえずアルバムのページをめくる。
クラス全員の名前が出ている写真のページから、あかねちゃんの写真をさがしてみる。
しかし、1組、2組、3組、4組、そして最後に5組。
どこの組にもあかねちゃんが写っていない。
私はよく見直してみた。
私は3組のページで目線を止める。
男子側のページに、あかねちゃんとよく顔つきが似た生徒の写真があった。
名前のところを見てみると、河村 徹という名前があった。
徹?私と同じ名前?しかも、苗字はあかねちゃんと同じで、顔つきも似ている?単なる偶然かな?
私は何だか裏がありそうと思って、試しに住所の載っているページを開いて、河村 徹という子の住所を調べてみた。
(え・・・じゃあ・・・そういうことは・・・)
私が見た河村 徹って子の住所、それはまぎれもなく、あかねちゃんの住所と一致していた。
(あかねちゃんに男の子の兄弟っていないはずだよなー・・・)
そして、アルバムの1番最後のページに何かのノートがはさまっていることに気付く。
そこには、日記とだけ書いてあった。
どうやらあかねちゃんが中3だった頃の日記らしい。
私は読んでみる。

3月3日
もうすぐ卒業。しかし高校への不安は高鳴ってくる。
今までと違う生活が待っている。
高校に行ったら・・・僕・・・いや、私は・・・女の子としての高校生活が待っている。
今までの中学生までの僕、河村 徹だった時のことは全て思い出と化すであろう・・・。
そして、これからは河村 あかねとして・・・。

私は驚いてしまった。
何だか確信しずらい事実があるのだから。
他のページの日記も見てみる。

2月18日
まさか僕が女の子だったなんて・・・。
今日に限って女の子特有の現象が起こらなければ、僕は男として生きていられたかもしれなかったのに・・・。
よりによってあと少しで高校生って時に限って事実を知ってしまったとは・・・。
これから一体どうなるんだろう・・・。

・・・。

2月13日
何だか最近体の調子がおかしいような気がする。
何だか感覚がいつもと違うような気がする。
体調でも悪いのだろうか・・・?

私は急に引き出しを開け始めた。
さっき読んだ日記の他に、もう1冊日記があったのを思い出したからである。
そして、さっき読んだのとは別の日記を手にとって、読んでみる。

4月8日
今日は入学式。
河村 あかねとして、女子として、初めての生活が始まった。
結局中学校までは男の子として通してきたが、今日からは女の子としての生活。
今までの友達に事実を知られないようにわざわざ今までのクラスの人たちがこない高校を受験してしまった。
でも、新しい友達とかちゃんとできるかな・・・?

4月23日
今日はテニス部に入部した。
今まで通りだったなら、男子テニス部だったはずだが、女子だということがわかった以上、必然的に女子のテニス部ということになってしまった。
でも、中学校の頃からずっとテニス部だったから、やっぱり高校でもテニスはやりたかった。

4月30日
今日は一目ぼれをしてしまった。
なんで僕が男の子なんかにこんなにドキドキしてしまうのだろう・・・。
どうやら女の子ということが判明し、生活も女の子らしい形になってきたから、僕の体の女性ホルモンが活発に分泌されてきたらしく、心も女の子そのものに近づいてきているらしかった。
それだから男の子に一目ぼれしてしまったのだろう。
その男の子の名前は、原田 徹君。
私の元の名前と同じ人だ。

5月7日
僕もすっかり真の女の子になってきたようだ。
学校でも本当は男の子だったということがばれることもなく、生活できている。女の子の感覚、言葉遣いなどにも慣れてきた。ちゃんと友達もできた。
今まで男の子だったのがまるで嘘のようだ。
でも、今ではあの頃の生活は嘘の出来事ではなかったのか、と時々思ってしまう。
初めから僕は女の子だったのではないか?そう思ってしまう。生まれた時はまだ体内の生殖器は発達していないため、ペニスによって男と判断されたが、僕はペニスはあったが体内には卵巣と子宮があったなんて、今まで知らなかった。
ようするに僕は初めから女の子だったのだ。

5月28日
もう今の生活は全然気にしなくなっていた。
前向きに女の子として、新しい人生を歩むという決心がやっとできたような気がする。
もうこうなったら女の子らしくしちゃうぞ〜!!!
心も完全に本当の女の子になってきたような気もする。
僕は、いや、私は、これからは女の子として人生をENJOYするぞ〜!!!

私は日記を閉じた。
あかねちゃんの過去、それは、あかねちゃんは河村 徹として、男の子としての人生を歩んできていた。
中学生までは。
中学生の終わりの方で、突然生理がやってきたらしい。
そのことにより、自分はペニスをもってはいるが、体内の生殖器は女の子の作りであることに知らされ、あかねちゃんは本当は女の子であることを知らされた。
そして、高校からは女の子としての新しい人生をスタートした。
河村 徹ではなく、河村 あかねとして。
そして現在では、すっかりもう女の子になってしまっているようである。といっても、今あかねちゃんは私の体内にいるけど。
これがあかねちゃんの過去である。
そういうことはこの身体も、以前は男の子だったのである。
私自身、もちろんあかねちゃんにこんな過去があったことは知らず、普通の女の子かと思っていた。
しかし、あかねちゃんにこんな過去があったとは・・・。
でも、私のあかねちゃんに対する思いはかわらなかった。
元は男であったとはいえ、今あかねちゃんは立派な女の子。
ちゃんと女の子と認識していたから、私はあかねちゃんを好きになった。
そんなあかねちゃんに対する気持ちは、このような過去を知っただけでは変わりはしなかった。
私は日記やアルバムをしまい、寝る準備をして、眠りについた。


<第10話>


朝、いつも通りの目覚めであった。
カーテンの隙間から入ってくる光が眩しい。
俺は起き上がった。
俺は1番始めに、リボンをつける。
感覚が女の子のものになった。
それにしても、昨日はあかねちゃんの以外な過去をしってしまった。
いくらあかねちゃんへの気持ちは変わらないとはいっても、このような真実を知ってしまった以上普通に接していけるだろうか・・・?
でも、私とあかねちゃんも、もし真実を知られたとしたら周りの人たちは今私が考えていることと同じようなことを考えるのだろうなー。
とりあえず制服を着て、学校に行く準備をする。
最近はあかねちゃんとの接点も増えてきた。
2人が入れ替わってしまったことにより接点が増える。
あの時天使はそう言っていた。
確かに接点は増えたようだ。
でも、立場は逆である。
入れ替わった以上逆の立場で生活している。
逆の立場のままで接点が増えてもいいのだろうか?
まあいいかー。あんま気にしてもしょうがない。
私は現実をそのまま受け止めた。

朝ご飯を済ませ、学校に行く準備をして、家をあとにした。
私は今何も考えずに学校へ向かっている。
学校に着いた。
天使はあかねちゃんは普通にしていたという記憶に置き換えたと言ってはいたが、何だか不安だ。
まだみんなの記憶が昨日のままなんじゃないか、と思ってしまう。
しかし、教室に入ったら普通だった。
あかねちゃんとして普通の1日がこれから始まる。
でも、もうだいぶ慣れてきた。
昨日は悪罪感を抱いてしまったためにあのような事態になってしまったが、悪罪感を抱くようなことをしなければ大丈夫だ。
ようは普通にあかねちゃんを演じればいいって訳である。
そして授業はあっという間に終わり、いつの間にかもう放課後となっていた。

私は部活へ向かう。
そこであかねちゃんと会う。
「あ、河村さん」
「今日はもう部活出て大丈夫なのか?」
「え、あ、うん、大丈夫だよ」
昨日あかねちゃんの過去を知ってしまったせいか、少し戸惑いがちに話してしまう。
その後は、いつも通りに部活をして、いつも通りに部活は終わった。
そして下校する。今日もあかねちゃんと下校している。
今日のあかねちゃんは何か考えているように見えた。
そして、あかねちゃんが口を開いた。
「河村さん、ちょっとリボン外してくれる?」
「え?あ、うん」
私はいわれたままにリボンを外した。
「ふう、言葉遣いが女の子に戻ったわ」
「あ、俺も戻った」
あかねちゃんがまた何かを考えている。
そして俺に話かけてきた。
「あのね、原田君、これは女の子の意思として話しておきたかったから、リボンを外してって言ったの」
「え、うん」
あかねちゃんは話を続ける。
「今は入れ替わっちゃったことによって私は男の子になってるけどね、実は昔も・・・」
俺はあかねちゃんの過去をもう知っている。
あかねちゃんは今、過去を話そうとしているのだと思う。
だが、俺はそのことを知らないふりをする。
「実は昔はね、私は男の子だったの!」
遂にあかねちゃんが宣言した。
何故あかねちゃんは急にこのことを話し出したかはわからない。
だが、このあとあかねちゃんは理由を告げる。
「なんだかリボンの効果によって男の子になっていたらね、昔のこと思い出しちゃって・・・」
「私は今まで男の子として生きていた。中3の時までは・・・」
「中学校生活も最後の方の時に、私は突然生理にあったの。そしてその後、男だったために生理をうまく対処できず、病院へ行ったの。そしたら、医師に言われたの。ペニスをもってはいるが、体内は女の子の作りになっていると」
「私は自分が男だと信じて生きてきていたから、この一言には驚いちゃったよ」
「それから私は高校からは女の子として生きていくことにしたの」
俺は無言のまま話を聞いた。
「私は本当は男の子だったの。本当はこのまま誰にも言わずに通すつもりだったけど、原田君には真実を知っていてもらいたかった。何故なら・・・私は原田君のことが・・・」
そこまで言いかけてあかねちゃんは話を止めた。
俺は未だに無言である。
意思としては思いついてもいないのに突然、
「あかねちゃん、俺のこと好きなんだろ?」
という言葉を発してしまった。
「え、原田君・・・気付いてたの・・・?」
「お、おう、気付いてたよ・・・。普通は好きな人には隠し事ってしたくないものだよね?それだからあかねちゃんは俺に真実を話したんでしょ?」
「う、うん、そうなの・・・」
少し気まずいような気もするが、あかねちゃんは続けた。
「私は昔は男の子だった。なのに女の子だとわかって女の子としての人生を始めてみたら、本当に心まで女の子になってきたの。それで原田君に恋をしてしまった・・・」
「あかねちゃん、実は俺もね、あかねちゃんに恋をしていたんだよ」
「ええっ、それ、ほんとう・・・?」
「ああ、本当さ!」
「今は・・・?」
「もちろん!今もあかねちゃんのこと好きだよ!」
「私が昔は男の子だったとわかった今でも・・・?」
「うん、あかねちゃんは昔は男であろうと、あかねちゃんは今は立派な女の子じゃないか。俺は女の子としてのあかねちゃんに一目ぼれしたんだもの。昔は男だったとしても、今のあかねちゃんは確かに俺が一目ぼれした時のあかねちゃんだよ!」
「原田君」
「あかねちゃん」
俺とあかねちゃんは、その日をきっかけに彼氏と彼女の関係となった。
だが、身体の方はまだ戻ってはいない。
俺とあかねちゃんは恋人関係になったとはいえ、生活面ではまだ入れ替わったまま生活をすることになりそうだ。
俺はあかねちゃんの手を握り締めた。
あかねちゃんも握り返してくる。
そして、家に帰った。


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あとがき

今回は第10話までとなりました。
終わりにしようとすれば、ここで話を打ち切ることもできそうなのですが、話の方はまだまだ続けていこうと思っています。それに原田 徹とあかねちゃんもまだ元の身体に戻っていなしですしね。
これからは10話構成で話を進めていこうと思うので、20話が最後になるかもしれないし、30話が最後になるかもしれないし。
どこまで続くかはまだわかりません。
ですが、続けられる限り続けようと思います。
私は皆様方多くの人に読んでいただきたいと思いまして、小説をここまで仕上げました。
なので、できれば多くの人に読んでいただければ、作者としては喜ばしく思います。
今後もどうか、私の作品に付き合っていただければありがたいと思います。
ところで途中で出てきた天使、あんまり意味なかったような気がします(^^;
今後も、身体が元に戻るところ意外では登場するかさえわかりません・・・。
完成し次第、続きも投稿しますので、今後もよろしくお願いいたします。
では、今回はここらへんで。

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