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もう1人の自分
作:T・H






僕の名前は、河村 光(かわむら こう)。
ただ今1人暮らし中の今は中学3年生である。
1人暮らしというのには、実は色々わけがあったりする。
顔はあんましかっこよくはない。
どっちかというと、女っぽい顔つきである。
よく女の子と間違えられる。
学校では結構友達がいて、楽しい生活を送っている。
部活は、テニス部に所属している。
運動神経は結構いい方だが、勉強の方はぼちぼちである。
今日もいつも通り、学校に登校している。
「いよーっす!今日も1日がんばろうな!」
「うん!」
僕に話かけてきたのは、僕の幼馴染であり、同じテニス部でもある、秋山 慎吾(あきやま しんご)である。
幼馴染だったためか、1番仲が良い。
今日もそうだが、秋山とはいつも一緒に登校している。
いつも色々話しながら歩いているうちに、いつの間にか学校に着いてるという寸法だ。
今日もいつも通り、いつの間にか学校に着いていた。

「キーンコーンカーンコーン」
(あ、チャイムが鳴っちゃった!)
「秋山君!急がないと遅刻しちゃう!」
「ああ、わかってるって!」
僕と秋山は、いつも時間すれすれに学校に駆け込んでいた。
そして、急いで教室のドアを開ける。
そこには、いつも通りの顔ぶれがあった。
もう見飽きるくらい何度もみたクラスメイトの顔で溢れていた。
僕はとりあえず、自分の席を目指す。
「何とか今日も間に合ったな!」
「うん!」
後ろの席から秋山が話しかけてくる。
いつも、この調子で僕の1日は始まる。
担任の先生が、いつも通り僕たちが教室に駆け込んでからすぐに教室に姿を見せる。
HR(ホームルーム)が始まる。
僕はいつも通り、HRがだるかったので、適当に聞き流した。
そして授業が始まる。

「よし!今日の授業はここまでだ!」
いつの間にか1時間目の授業が終わっている。
どうやら、授業が始まってから、僕はいきなり眠り出してしまったようだ。
そこへ、日直が合図を出す。
「起立!」
僕は眠気を堪えて、慌ててみんなと一緒に立った。
「注目!礼!」
これで1時間目の授業は終わりだ。
(なんだかまだ視界がぼやけているなー)
僕はまだ、寝ぼけているような状態だった。
その後も、僕は授業が始まるといきなり眠り出して、目が覚めるといきなり授業が終わっているという状態のまま、授業をうけていた。
そして給食も食べ終わって昼休み。
(なんだか今日はとっても眠いよー)
僕は眠気覚ましのため、外の空気を吸おうと思って、外へ向かっていた。
階段を眠い状態のまま下りようとする。
そして、階段に足を差し出した瞬間。
僕は寝ぼけていたせいか、階段から足を滑らせて1番下まで転げ落ちる。
途中で誰かにぶつかったような気がしたが、はっきし覚えていない。
僕はあまりにも眠くて意識が薄れていたせいで、階段から落ちてそのまま意識を失ってしまった。

(う〜ん・・・こ、ここは・・・?)
僕はそーっと目を開ける。
「あ、気がついたね」
僕に向かって、話しかけてくる。
話かけてきたのは、同じクラスの保健委員の片貝 由香(かたかい ゆか)ちゃんだった。
実は、僕が密かに好きな人でもある。
いつもなら、片貝さんと話すと緊張してしまうが、今は意識がまだ薄いせいか、緊張せずに話しかけられた。
「ぼ・・・ぼくはいったい・・・!?」
「驚いちゃったよー。急に教室にいたら秋山君から」
「光君が階段の下で倒れてるってきかされて。」
(あ、そっかー。僕、階段から落ちちゃったんだっけー)
「それで、クラスにいたみんなで保健室まで運んできたの。私は保健委員だから、光君が気が付くまで側にいてあげた方がいいと思ってね」
「あ、そうだったんだー。片貝さん、ありがとうね」
「ううん!いいのよ、別に気にしないで。」
(やっぱり片貝さんはやさしいなー)
僕は数分保健室のベットで横になっていた。
そろそろ意識が完全に戻ってきたので、起き上がる。
「光君、もう大丈夫?どっか痛いところとか、ない?」
「あ、ううん、大丈夫だよ!心配してくれてありがとうね」
「いいえ、どういたしまして」
「あれ?光君、やけに声が高くない?」
「え、そうかなー?」
確かに何だか声が高いような気がする。
僕は起き上がった。その時、何かを感じた。
胸のあたりが何だか変な感じである。
「あ・あぁ〜ん」
僕は思わず、変な声を出してしまった。
その声に驚いたかのように、片貝さんが振り向く。
「光君。どうしたの?」
「え、何だか胸の辺りが変な感じがして・・・」
「もしかして胸の辺りに階段から落ちたとき怪我したんじゃないかなー?」
「う〜ん、怪我ではないと思うんだけどー・・・?」
そう言って、片貝さんは心配そうに僕の胸の辺りを見つめる。
僕は、顔を上げたら片貝さんと目があってしまった。
何故か片貝さんは驚いている。
「こ、こうくん?ちょっと、自分の胸見てみて・・・」
「え、どうかしたの?」
僕は自分の胸元を見下ろして見た。
「え・・・こ、これは・・・」
僕が見た光景は、女の子のように大きく膨らんでいる自分の胸を見た。
「ええ〜っ!胸が大きくなっている・・・?」
僕自身、すごく驚いてしまった。
そこへ片貝さんが喋り出した。
「これってもしかして?私の感が正しければ、小説でこういう話見たことあるんだけど、その話の内容が、寝ぼけて階段から落ちた男子生徒が保健室で目を覚ましたらいきなり女の子になってたって話」
片貝さんがそのように言った。更に続けて
「世の中には不思議なことや科学では解明不可能なことがいっぱいあるよね?人間の性や突然性別が変わっちゃうこととかも、今の科学では原因不明なのそれだから今、光君に原因不明の何かが起こったってことね」
片貝さんが結論を述べた。
「じゃ・じゃあぼくは、原因不明の何かが起こって突然女の子になっちゃったの・・・?」
片貝さんが縦に首を振る。
「そ・そんな〜」
「こうなった以上は、普通なら光君は女の子として生活していくべきなんだけど、いきなり女の子になっちゃったから光君自信も周りもいきなりのことで対応に困ると、私は思うの」
「う・うん、そうだよねー・・・」
「そこで、光君にはこれからのことを選んでもらいまーす」
「え、選ぶって・・・?」
僕は聞いたが、そんなことには耳もむけず、片貝さんは続ける。
「1.このまま女の子として教室に戻り、今までのいきさつをみんなに話して女の子として生活する。あ、ちなみに、もしそれを選んだ場合は、光君ではなく、名前を光の他の読み方にして光(ひかり)ちゃんに変えた方がいいかも?」
僕は何だか訳がわからなくなってきたが、ちゃんと片貝さんの話を真剣に聞く。
「2.光君は元から実は女の子だったが、事情の上で男の子の振りを今まではしていたということにする」
「3.このまま何とかして、男の子として通す」
「さあ、どれを選びます?」
う〜ん、難しい選択である。
だが、確かにこのままあとのことを考えないわけにもいかない。
僕はじっくり考えた。
う〜ん、みんなに正直にことの事実を伝えるべきか。
でも、みんなを1番手っ取り早く納得させるには、2番の方がいいのかもしれない?
でも、今まで男として生きていた自分も捨てたくない。
う〜ん、かれこれ数十分が経過した。
「キーンコーンカーンコーン」
学校の1日の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あ、チャイムなっちゃったね」
「じゃあ、私はかばんとってきてあげるから、今日は家でこれからどうするかゆっくり考えるといいよ」
「う、うん」
そういうなり、片貝さんは僕のかばんをとりにいった。
今6時間目終了のチャイムがなったということは、僕はかなりの間気絶してたようだ。
それなのに、ずっと片貝さんは僕の側にいてくれたんだ・・・。
片貝さんがかばんをとりに行ってしまったので、僕以外に保健室からは誰もいなくなった。
誰もいないので、試しに、僕は自分の1番大事なものがあるところに手を当ててみる。
そこには、何もついてなかった。
(やっぱり、僕は女の子になってしまったんだなー)
僕は小さくため息をついた。
そして、片貝さんが戻ってきた。
「はい、かばんとあと、学ランもとってきたよ」
「あ、ありがとう」
「とりあえず、学ランきれば、胸の方は何とかごまかせると思うよ。今日は誰にもこのことがバレないように家に帰って、家でこれからについての結論を出すといいわ」
「うん、わかったよ」
「ちなみに、私は光君が女の子として生きていくってことにならない限り、誰にもこのことはいわないから」
「うん、ありがと」

僕は家に着いた。
学ランを着て帰ってきたから、何とか誰にもバレていないようだ。
でも、今は1人暮らしだから母さんがいなくてよかったなー。母さんがいたらきっと大事になっていただろう。
ちなみに、1人暮らしをしている理由とは、母さんと父さんは、同じ会社で共働きしていて、2人の給料で生活は成り立っていたのだが、会社が急に都合上遠くに移転してしまい、
2人は毎日会社に行くのが精一杯になってしまったので、会社の近くにやむをえず家をもう1個建ててそこで生活している。
本当は僕もそっちの家へ行くはずだったのだが、こっちの家がもったいないということになり、僕だけこっちの家に残ることになったのだ。
生活費は、1ヶ月ごとに親が送ってきてくれるから、何とかやっている。
元々母さんや父さんもこの家にいたので、母さんや父さんの部屋はほとんどそのままだ。
何故なら、運送屋のぶんまで金がまわらず、色々荷物を持っていけないのであった。
それだから母さんと父さんは、あっちの家に行ってから必要なものを揃えたらしい。
それだから、この家には必要なものがちゃんと残っている。

僕は何となく、母さんの使ってた部屋に入ってみる。
試しに、何となくタンスを開けてみる。
服がそのまま残っていた。
(もし僕が女の子として生きていくことになったら、家に残っている母さんのお古の服を使えば何とかなるかな?)
僕はそのように考えていた。
クローゼットを開けると、母さんが学生だった頃に使っていた女子の制服がそのまま残っていた。
ちなみに、母さんも僕と同じ学校の卒業生である。
それだから、母さんの残していった制服は、現在の女子の制服と同じである。
僕は無意識ながらも、何かを考え出した。
(信じられないことではあるが、僕が突然女の子になってしまったのは現実だ。隠し通そうとしても、いつかはボロが出るだろう。しょうがないが、この事実を乗り越えるには、僕は女の子として生きていくしかない!)
僕は意に決意して決めた。
(明日からは女子生徒として、学校に行こう)
(母さんの制服をきて登校すれば大丈夫だな)
僕はこれからについての結論を、女の子として生きるという結論にした。



そして次の日。
僕はドキドキしながら、母さんが使っていた女子の制服をジーっと見つめている。
しかし、このままこうしていても時間がなくなってしまう。
僕は、覚悟を決めて女子の制服を着た。
鏡に立って、自分の姿を見てみる。
(ふ〜ん、僕って結構似合ってるなー)
僕は元々女の子っぽい顔つきだったため、女子の服を着ても、別におかしくはなかった。
それどころか、本当の女の子のようにみえる。
・・・と言っても、今は本当に女の子になってしまっているが。
(やっぱり下着も女物にしないとまずいかなー?)
僕は今、制服のスカートの下にはトランクスをはいている。
母さんの部屋に行って、タンスをあさる。
女物の下着を発見した。
僕はトランクスを脱ぎ、それを身に付けた。
サイズはちょうどピッタリあっていた。
続いて、上も一度着た制服を脱いで、ブラジャーをつけてみる。
(へぇー、これが女の子の感触ってやつかな?)
僕は完全に女の子の格好になった。
時間になったので、家を出る。

いつも通り、家の外では秋山が僕を待っていた。
秋山は僕をみた瞬間、一瞬固まってしまったようだが、
「まさかお前って、女装が趣味だったのか?」
いきなりそう言われた。
「こ、これはね、違うんだよ〜!」
「実はね、色々あってね・・・」
僕は秋山にことの経緯を話した。
「なーんか信じられんが、どうやら本当みたいだな」
「いきなり女子の制服なんか着てくるから驚いちまったよ!」
そういって、秋山は素直に僕が女の子になってしまったという事実を、ちゃんと受け止めてくれた。
「で、お前は今、スカートの下は何はいてんの・・・?」
秋山がにやにやしながら聞いてきた。
この目は、あきらかに女の子を見る時の目だ。
秋山は、僕を女の子として認識し始めたらしい。
「お、女の子の下着だよ・・・」
僕は恥ずかしさまじりに、答える。
「お願いだ!俺とお前は小さい頃からの友達だろ!今のお前なら男の下心がわかるだろ?俺にお前の秘密のところをみせてくんないかな?お前だって、どうせ自分の見たんだろ?」
「え・・・?」
僕は言葉に詰まったが、
「そ・そんなことダメだよ〜!僕だって好きで女の子になったわけじゃないんだし、そんなことできないよ〜!」
「お願いしますよ〜」
「ダメだってばー」
「じゃあ、胸だけでいいから!触らせてよ」
「いやだよー」
「頼むよ〜」
「ダメだよ〜」
僕はずっと秋山に怪しいことを頼まれながら、学校へ向かった。

そして学校。
僕はいつも通り秋山と教室に駆け込む。
ガラガラ〜ッ。
ドアを開けて、教室へ入った。
人間というものは、何故か急にドアが開いたりすると、敏感に反応してそっちの方を向いてしまうものである。
そのためか、ほとんどの人が僕が急にドアを開けた時、ドアの方を向いた。
急に騒がしかった教室が沈黙に包まれる。
その理由は、みんなが僕の姿を見たからだ。
僕は今、女子の制服を着ている。
みんなが驚いても無理はないだろう。
「あ、光君、女の子として生きることにしたんだね」
突然沈黙の中喋り出したのは、片貝さんだった。
そして、片貝さんが僕の今の状況を、わかりやすく簡潔にクラス全員に話した。
納得したっぽい奴もいれば、まだ信じられないような顔をしている奴もいる。僕の胸元を見つめてきたりしている奴もいる。
やはり人それぞれ受け止め方は違うのだろう。
「それと、今日から光(こう)君は女子になったので、名前を光(こう)の他の読み方の光(ひかり)って読み方にして、光(ひかり)ちゃんって呼ぶことにしまーす」
片貝さんが言った。
その後、僕は色々質問責めにあった。
色んなことをたくさん聞かれた。
たくさん聞かれすぎたので、質問の内容は1個1個は覚えていない。
そして先生にも今の僕の状態は説明され、学校内では僕は完全に女子生徒扱いとなった。
普通はボロを出さないように生活するのはお約束であるが、もうみんなにばらしてしまったというか、真実を伝えてしまったので、ボロを気にしながらの生活ではないぶん、少しは気が楽かもしれない。
でも、僕に女として生きていく自身はあまりなかった。

その日の昼休み。
僕は片貝さんと一緒に中庭にいた。
片貝さんが僕に色々聞いてくる。
「ねえ、ひかりちゃん」
「え、なに?」
「ひかりちゃんはさ、何で女として生きるってことをすぐに決心できたの?」
「う〜ん、なんでだろう?簡単に言えば、事実上僕は今女の子だし、男のまま通そうとしてもいつかボロが出ちゃうからじゃないかなー?」
「ふ〜ん、なるほどねー」
実は僕自身も、何故こんなにあっさり女として生きていくということを決められたのかは、正直言うとはっきしした理由はわからなかった。
「でも、僕はどうして急に女になっちゃったんだろう?」
「う〜ん、なんでだろうねー?」
「僕、男に戻れるかなー?」
「う〜ん、どうだろうねー?」
僕は今は女だから女として生きていく決心はしたが、本音はやっぱり男に戻りたかった。
その後も、片貝さんと色々会話をしていたのだが、数分後に僕たちのところに秋山が姿を現した。
「ひかりちゃん、何してたんだ?片貝さんと一緒にいて」
・・・秋山も僕のことをひかりちゃんと呼んでいる。
僕はどうやら、すっかり秋山に女の子として認識されたようだ。
「実はね、ひかりちゃんが突然女になっちゃったこと、1番始めに気付いたのは私なの!それだから、ひかりちゃんに色々その時の事とか聞いてたの」
「ふ〜ん、なるほどねー」
「で、ひかりちゃんは女として生きる以上、‘彼女’ではなく、‘彼氏’をつくるのか?」
秋山が聞いてきた。
「え・・・ちょっと待てよ!冗談じゃねーよ!僕は元男だぞ!」
僕は怒ったが、そのことは秋山から見れば
「お!ひかりちゃんは女の子になったら怒り方までかわいくなってるなー」
秋山から見た僕の姿は、とてもかわいらしく見えたらしい。
僕は秋山の性格を良く知っている。
何しろ長い付き合いであるのだから。
だから僕は、一応秋山に確認してみる。
「お前・・・まさかとは思うが・・・俺が彼氏になってやろうか?何て言うんじゃねーだろうなー・・・」
「あ・・・くそ!バレたかー」
僕の感は当たっていた。
今までずっと僕と秋山の会話を聞いていた片貝さんが、
「でも、今のひかりちゃんすっごくかわいいよー!元男の子だったとはいえ、男子生徒からももてるんじゃないかなー?」
「え〜っ!冗談じゃないよー!僕にはちゃんと女子の好きな人がいるのに・・・」
僕は小さな声で呟いたが、どうやら片貝さんに聞こえてしまったらしい。
「え?ひかりちゃん好きな人いたの?それって誰?」
片貝さんが聞いてくる。
僕の好きな人は片貝さんであるが、さすがに本人を目の前にしては言うに言えない。
「え・・・僕好きな人いるなんて言ったかなー?」
その場を誤魔化そうとするが、
「ひかりちゃん、今確かに言ったよー!」
「ひかりちゃん、好きな人って誰なんだ?」
秋山も一緒になって聞いてきた。
「な、内緒だよー・・・」
僕はその後も好きな人を追及されたが、最後まで2人には言わなかった。



そして時間は瞬く間に過ぎ、今はもう放課後である。
僕は片貝さんと一緒に下駄箱に向かっていた。
「ねえひかりちゃん、知ってる?」
「え、なに?」
「よくある小説とかのパターンだとさ、突然急に女の子になっちゃった人の下駄箱にはいっぱい男子からのラブレターが入ってたりするんだよ!」
片貝さん、何でこういうこと色々知ってるんだろ?と思いながらも、
「え〜、まさかー、いくら何でも僕に限ってそんなことはないよ〜!」
「でもわかんないわよ?今のひかりちゃん、元男だ!って思わないくらいすっごくかわいいからさー!」
僕はいつの間にか下駄箱についていた。
「でも、いくら何でもそんな訳ないよ〜」
僕はそう答えて自分の下駄箱をあけた。
『ドサーッ!!』下駄箱の中から何かが大量に飛び出してきた。
僕はまさかと思いながらも、飛び出してきたものに目を向ける。
それは・・・男子からのラブレターだった。
「ね!私の言う通りだったでしょ?」
「・・・何でこんなにたくさん・・・」
「それは、ひかりちゃんがかわいいからでしょ?」
僕は試しにラブレターを手にとって中身をみた。
そこには、君に惚れました。付き合ってください。
と書いてあった。
僕は他のラブレターも見てみたが、ほとんどどれも同じような内容だった。
僕は最後に手にとったラブレターをみようとしたが、僕は驚いてしまった。
なんと、秋山からのラブレターであった。
(あいつめ〜!何でお前までラブレターよこすんだよ!)
片貝さんは、僕がラブレターをよんでいる様子をしばらく見つめていたが、僕が手に取っているラブレターが秋山のからであることに気付いたらしく、
「ひかりちゃん!秋山君からもラブレターもらえたんだ〜。やっぱり、秋山君もひかりちゃんのこと、狙ってるのかもね?」
「そんな〜!勘弁してくれよ〜!」
僕はラブレターがかなり嫌な存在に感じたが、なんだか捨てる気がしなかったので、とりあえずかばんの中にぶち込んで片貝さんと一緒に帰った。

僕は家で、今日1日のことを思い返す。
初めて女子生徒として登校したこと。
秋山に女として見られたこと。
片貝さんとひたしく話せたこと。
クラスのみんなが事実を知った時のこと。
ラブレターのこと。
僕が思い返したことは、男の時では絶対にありえないようなことばかりであった。
(はぁー、僕、男の子に戻れるのかなー?)
僕はその後、ずっと男に戻りたいと思っていた。
そして、時間はどんどん過ぎていき、1時をまわった頃に僕は就寝した。



『ジリリリリリリリリリ!』
目覚ましが部屋に鳴り渡る。
『カチン!』僕はいつも通り目覚ましを止める。
僕は、いつも通り目を覚ます。
僕は確かおととい女の子になってしまったはずであった。
だが、朝目覚めたら、僕は胸の膨らみが
なくなっていることに気付く。
そして、又元に手を当ててみた。
そこには、男の証がちゃんと存在していた。
「ぼ、僕、男に戻れたんだ〜!!」
思わず僕は喜んでしまった。
僕自身にも、何故急に戻ったのかはわからない。
だが、僕はそんなことは気にせずに男に戻れたことの喜びでいっぱいだった。

今日はちゃんと男の制服を着て僕は家を出た。
そしたら、いつも通り秋山が待っていた。
「・・・なんだ、お前男に戻っちまったんかよ」
僕が学ランを着ていることを知った秋山は、何かにガッカリしたかのように言った。
「おい、何ガッカリしてんだよ!僕からとってみれば、急に女になっちゃって大変だったんだからさー!」
「あ!それより秋山!お前までラブレターよこすなよ!」
「・・・だってさ、ひかりちゃんとてもかわいかったんだもん!」
「頼むよ〜!またひかりちゃんになってくれよー!」
「・・・おいおい!僕は好きで女の子になったんじゃないんだぞ!」
「わかってるって!でも、僕はひかりちゃんに惚れちゃったんだ!」
「おいおい!冗談もいい加減にしろよ!」
「第一僕は今はもう男だぜ?」
「男のお前じゃなくて、ひかりちゃんとしてのお前に惚れたんだよ!」
「・・・・・」

僕と秋山は、ほとんど秋山の一方的な会話をしたまま、いつの間にか学校に着いていた。
今日はぎりぎりではなく、時間に少し余裕があった。
僕は教室に入る。
すると、みんなの視線が僕に集まる。
1番始めに喋ったのは、片貝さんだった。
「あれ?ひかりちゃん?男の子に戻れたの?」
「うん、朝起きたら突然男に戻ってたんだ」
「そうかー!よかったじゃん!」
「はぁ、残念だな、ひかりちゃんはもういないのかー・・・」
片貝さんとは逆に、秋山やクラスの男子どもは大半のやつらがガッカリしていた。



僕はその日は、もちろん男子として授業を受けた。
急に戻っていたせいなのか、先生も驚いていた。
そして僕は、昼休みに片貝さんに突然中庭に呼び出された。
僕は中庭へ向かう。そこには、片貝さんが待っていた。
なんだかいつもと表情が違うようにみえる。
まるで何かを決心しているように見えた。
「光君・・・きてくれたのね」
「うん、で、話って何?」
「うん・・・じつはね・・・」
何だか片貝さんはすごくいいずらそうな感じであった。
「じつは私ね・・・前から光君のことが好きだったの!」
「ええ〜っ!!!」
僕は正直驚いてしまった。
僕も片貝さんのことが好きだったが、まさか片貝さんも僕のこと好きだったなんて・・・。
「私ね・・・なかなか気持ちが伝えられなくて・・・今までは光君ともまともに話せなかった・・・でも、光君が突然女の子になっちゃったからなのか、女同士って感じがしてすっごく話やすかったの・・・私は昨日光君と話が色々できて楽しかったわ・・・それで、私は光君と色々話ができたから、もう光君がいつ男に戻っちゃってもちゃんと話せるような気がして・・・光君が男に戻ったら、ちゃんと私の気持ちはっきり伝えようって決めたの・・・」
「・・・・・・・」
「もちろん、急にこんなこと言われて光君が困るのはわかってたわ・・・だって光君、昨日好きな人いるって言ったもんね・・・私は失恋したとしても、気持ちが伝えられればそれで充分・・・」
「か、片貝さん!・・・実は僕のその好きな人って・・・片貝さんのことなんだよ!!僕も、前から片貝さんのことが好きだったんだよ!」
「え・・・それ・・・本当?」
「本当さ!僕も、話すきっかけが見つかんなくて・・・気持ちが伝えられないままだったけど・・・」
「それなら・・・こんな私でよければ・・・私と付き合ってください!」
「・・・もちろん」
僕は突然の片貝さんの告白をうけ、片貝さんにも僕の気持ちを伝え、僕と片貝さんはこの瞬間から彼氏と彼女の関係となった。
もし、僕が女になっていなかったとしたら、片貝さんとひたしく話すきっかけもできず、彼氏と彼女の関係にはなれなかったのかも知れない。
僕は色々あったが、
(女の子になれて・・・よかったな)
と思っていた。
そして、その日の放課後は、僕は片貝さんと下校した。
「・・・光君、これからも末永くよろしくね」
「うん、僕こそ、由香を幸せにするよ!」
時間が許す限り、僕はこれからは由香とともに人生を歩んでいくであろう。
2人の関係は、永遠に保たれるであろう・・・。



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あとがき

読んでくださってありがとうございます。
第1作目、「俺が好きな人」の作者です。
今回は第2作目ということで、ショートストーリーにしてみました。
でも、なんだか読み直してみると、主人公の光君がひかりちゃんとなっているシーンとか、女の子になっているということが強調されているようなシーンがあんまりなかったような気がします(^^;
最後は、女の子になったということがきっかけで、片貝さんとある程度ひたしくなった主人公と片貝さんが、ついに結ばれるというシーン、ここのシーンのセリフを考えるのは、結構苦労しました。
なにしろ、クライマックスですからねー。
とりあえず今回はこの辺で!!
できれば、感想をもらえれば嬉しいです。


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