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 無限に広がる大宇宙……。
 その星々に、さまざまな生命の営みがある。愛。希望。野心…………ドジ……マヌケっ!
 そこには在り来たりの生命が存在するだけではない。……神も存在したりする!


 時に宇宙暦9〇〇〇1年、七の月。
 地球暦……西暦〇〇99年七の月、宇宙の外れ……第三天界で一人の天使が生まれた!

 その名をパラレルという!

 平行宇宙を行き交うものとしての命名だったりする。
 しかし、名は体を現すがごとく、平行な――つまり永遠に正解と交じり合わないせーかくだった!
 その天使を超越? した思考に、父である神は程々困り果てていた!

 何故なら神は、失敗しない(……ということになっている)からだ!

 このままでは人間からの尊敬をなくしてしまうと考えた神は、パラレルに一つのアイテムを与えた。
 それが『シード』なのである!

 そう、この物語は『シード』を巡る愛と希望? の物語である……






――少年少女文庫100万Hit記念作品――


 

原作 100万Hit記念作品製作委員会

誰がなんて言おうと番外編担当 kagerou6

協力 番外編製作笑委員会


 「はじめての♪・・・」




 一人の少女が長い廊下を歩いていく。
 顔立ちにはまだ幼さを残しているが、もう“少女”という言葉が似合わなくなってきている。
 その背中から広がる純白の翼は天使の証。
 その長いブロンドの髪は、すべての人を魅了する輝きに満ちていた。
 そして、胸には一枚の手紙を大事そうに抱えて……

 見上げるほどの高さがあるドアの前で立ち止まると、心の震えを押さえるかのように一つ深呼吸をした。
 戸惑いと希望をその顔に映したまま、天使の少女はドアに手をかけ、ゆっくりと……開けた…………

 

ズッデ〜ン!


「……痛いですう〜」



 第三天界、神々の間。
「天使候補生、パラレル・リンクよ……」父たる神は、そうパラレルの名前を呼んだ。
「は〜い、お父さま〜っ」パラレルの間延びした返事があたりに響いた。
 ちょっとくぐもっているように聞こえるのは、広間に入ってくる時にトーガの裾踏んでころんで、鼻で受け身をとったからである(笑)。
「こっ、……この大馬鹿者お!!」いきなり口調を変え、しかりつける父神。
「お父様〜っ、……いきなりなんでです〜」
 パラレルはそう言って父神を見つめた。この頃からこんな口調だったのである。
「……この場では私のことを『父』と呼ぶなと、アレほど言ったであろうがっ」
「え〜そうでしたかしらん?」
「もういい……早くこちらに来なさい」
 このまま『地上』に降臨させてしまうと、この私の沽券に拘わる……などと考える父神。
「…………良いか? パラレル」一転優しい口調で、父神は話し始めた。
「なんでしょうかしらん? お父――神様……」
 途中であわてて言い替える。……だが、遅すぎというか、わざとらしいというか。

 居並ぶ神々の失笑があたりに響いた。

ナビ天使のエドちゃん(by DORA)

「天使候補生パラレル・リンク、お前に天使の証である『シード』を授ける!」
「え〜っと『シード』って〜なんですか〜?」
「…………お前まさか、『シード』のことを――」
 頭痛に耐える父神。再度気を取り直し、脇の箱から赤く光る球体を取り出した。
「コレが『シード』だ。……もちろん知っているね?」
「全然! ですわ〜」
 パラレルの返事に思わずのけぞる父神! い……いかん! 神たるこの私が取り乱しては――
「ホントに知らないのか? 六年生(笑)の時に実習で習うはずだが……」
「そんなの習ってないですわ〜」
「義務教育(笑)なのに……」
「神よ!」父神のそばに控えていた女神が、突然声を上げた。
「な、なんだい母さん?」
「あなたっ! 自分から言っといて、『母さん』はないでしょう?」
「す、すまん! ついうっかり……」
 とっても『パラレルの父』を証明したりしている父神(笑)。
 こうなると、この世界を治めているのは誰なのか心配になってくる……。
「コホン――。神よ……」
「なんだ? アフ○○○テよ」
「我が娘パラレルは、非常に才能に富んでおります」
 そう、パラレルの母親は美の女神アフ○○○テだったりする(……笑)。
「それで、何が言いたいのだ女神よ」
「したがってこの娘に義務教育とかは必要ありません」
「し、しかしだね……」
「いいえ、この子には必要ないんです!」と言い切る母――じゃなくて女神。
 女神がそういう風に生んだのなら、そういう風になるのだ!
 これでいいのだ。
「しかしだね、私の決めた事に――」
「しかしじゃありませんっ。この子を私立(笑)の学校に通わせるなんて――」
 そう言ってわなわなと震える女神。「ウチの家計がパンクしますわ、あなたっ!!」
 その迫力に父神は何も言えなかった。
 父神は誰に給料貰っているんだ――という根源的な疑問は、その迫力の前に無視された。
「あら――あらあらあらっ。このワタクシとした事が……♪」
 周囲がし〜んと静まって、あわてて取り繕う女神アフ○○○テ。さすがパラレルの母である(笑)。

「と……とにかく地上に降りるには天使の資格がなければ許可できない」
「え〜っとそれじゃあ〜わたくしは〜コレで〜」 そう言って帰ろうとするパラレル。
「こ、コレ……」と、あわてて引き止める父神。
「しかし我が娘たる天使が落ちこぼれて資格がないなんて、ご先祖様に申し訳がたたん!」
「あの〜お父様〜?」娘が心配そうな顔をして見つめてくる。
「な……なんだね? 天使候補生パラレルよ」
 少しだけ威厳を取り戻し、父神はパラレルを見つめて問うた。
「あの〜、お祖父様もひいお祖父様も、ひいひいお祖父様もまだお亡くなりには――」
「…………こ、こんな時には……こう言うものなのだっ」
「そうかしらん?」
「そ……そうなのだっ」
 肩で息をしながら父神は答えた。母さんの言った通りかもしれん、身体が持たん……。
 父神は居並ぶ神々に目を向けた。「あ〜、ル〇フェル君」
 名を呼ばれた神は中央に出て跪いた。「主神よ、何用でこの私を」
 ちょっと声がうわずっていた(笑)。
「君の管轄に発展途上の星は、なかったかな?」
「主神よ、それはいったい――」そう言いながら脇のパラレルを(嫌そうに)見つめるル〇フェル。
「あ〜この天使候補生がだな、少し(笑)実習が足りないのだ。……そこでだ」
「なんでしょう?」
「君のとこの星を、実習に使わせてくれないかね?」
「で、ですが……」
 ル〇フェルの頭の中では、百万篇のお断りと言い逃れの言霊が常人の数万倍のスピードで検索されていた。
 さすがは神様である。だが、
「実は今度、新しい時空管理管を募集しようと思っているのだが――」
「お任せ下さい! ……私めの星でよければいかようにもお使いくださいませっ」
 コロっと態度を変え、揉み手するル○フェルであった。

 某惑星上空の雲の上、天使の待機所(笑)。
「さて、天使候補生パラレルよ」
 ル〇フェルは眼下の星を指差した。「あの星で『シード』を使い、天使らしい事をしてみなさい!」
「……あの、先生?」
「なにかね? パラレル君」
 『先生』と呼ばれてちょっと気分がいいル〇フェル。ここらへんは神も人もかわりない。
「あの、わたくし……実は〜」
「なにかね?」 優しく問いただすル〇フェル先生(笑)。
「『シード』・・・・・・使った事ないんです〜」

 ガクッ(笑)

 なんてこった、こんなの引き受けるなんて……。
 ル○フェルはポケットから古ぼけた参考書(笑)を取り出し、ページを開いた。
 実はこの参考書、パラレルの父神からいただいた由緒正しい? 参考書だったりする。
「ええと、初級編はと……」

――シード取り扱いについて――


 確かコレで良いはずだな……ページを読んでいると、学生(笑)の頃を思い出す。

『使用前に缶のラベルに書いてある注意事項を良くお読みください』


「その缶のラベルを良く読んでみろ」
「は〜い」 間の抜けた声で返事をしつつも、素直にラベルを読み出すパラレル。
「よいか……良く読んでからシードは使うのだぞ」
「判りましたです〜」
 ふ〜っ、とんでもない奴だと思っていたが、そうでもなさそうだな……。
 パラレルを見るル○フェルの目は、はっきりいって曇っていた(笑)。

「読み終わったです〜」
「じゃあ、缶を開けて『シード』を出しなさい」ル○フェルの言葉に、パラレルは缶の蓋を開けた。

 パカッ!

 缶の中には赤く光るモノがいっぱい詰まっていた。
「それが『シード』だ」 ル○フェルはそう言って、『シード』を一つ取り出す。
「『シード』は私達が地上で神の仕事をする時、協力してくれる…………ん?」
「きれいです〜」
 パラレルはル〇フェルの説明そっちのけで、缶の中から別の『シード』をいくつも取り出し手遊びしている。
「こっ、こらっ! それは玩具じゃないんだっ。すぐに元に戻しなさいっ!」
 いきなり怒られて、パラレルはキョトンとした顔でル〇フェルの表情をうかがう。
「イイか、コレは使い方を間違えると……大変な事が起きるんだ」と言って『シード』を手に、すごむル〇フェル。
「大変な事……で〜す〜か〜?」首をかたむけ、問い返すパラレル。
「そうだ。この『シード』は――」
 ル〇フェルは手のひらで『シード』を転がしながら、説明を続ける。
「この『シード』は〜?」
 パラレルも手のひらで同じように転がしながら聞いている。
 延々と説明が続いた。
「…………というわけで『シード』は人々に、『想いを現実にする力』を与えるのだっ!」
「……え〜っとお、……………………よく判りません、で〜すわ〜」
「・・・・・・」

 さらに延々と説明が続いた。
「…………コレで判ったなっ。じゃあ、実際に使って――あ、あれれ? 『シード』は何処だ?」
 いつの間にか手にしていた『シード』がなくなってしまい、ル〇フェルはあわてて身体中をばたばたと触りまくる。
「あの〜、先生――」
「……ち、ちょっと待ちたまえっ!」
 パラレルの言葉をさえぎり、あたりを見回すル〇フェル。もしこの時パラレルの言葉に耳を傾けていれば、のちに『冥界の神』などと呼ばれるようになる事などなかったかもしれない。
「先生、先生の持ってらした『シード』は〜」
「あったのか? どこだ? どこにあるっ!?」
 ル〇フェルの足元を指差すパラレル。「なんだ、私の足元に――って無いじゃないかっ!!」
「いえ〜、その〜、だ〜か〜ら〜」
「だ〜か〜ら、なんだっ!!」パラレルの間延びした口調に、いらだつル〇フェル。
「ですから〜、その〜」
 パラレルは手にしていた『シード』を足元に転がした。
「こ、こらっ! 『シード』をそんな風に――」と言いかけたル〇フェルの目が、次の瞬間大きく見開かれた。
 パラレルの転がした『シード』が、自分の足元でふっと消えたからだ!

 き……消えた! ……なぜだっ!? ここに時空特異点があるとでもいうのかっ!?

「判んないんですか〜?」 頬に人差し指を当て、小首をかしげるパラレル。
 手にしていた缶も傾き、『シード』が次々と転がっていく。
 だが、パラレルはそのことに全く気付いていない!(笑)
 そして『シード』はル〇フェルの足元にどんどん消えていく……。
 ル〇フェルはその理由にようやく気付いた!

 足元の雲に穴が開いていたのだ!!(笑)

 あわてて穴に手を入れて、落ちていく『シード』を掴もうとするル〇フェル。
 惜しいっ! 届かなかった(笑)。
 『シード』ばらばらと地上に落ちていく……。

 あああ神様仏様女神様っ!(笑) せめて『シード』が善良な人々に!!

 ル〇フェルは思わず跪き祈っていた(笑)! それを見てパラレルも同じように祈りだす。
 だが、もちろんパラレルには何があったのか判っていない!
 事の重大さも判っていないっ!!
 ……だから、祈りの効果(笑)なんてあるわけがない。
 シードは二人の『祈り』に関係なく、次々と地上に降り注ぐ。



 そして……

 

 

 

大陸が一つ消滅した(笑)。







「…………そ、その大陸って――」
「知らないかな? 結構有名な大陸だよ」
「まさか、……それってアトラ〇〇ィス?」
「あたり」
「シ、シリアル……それ……ホントなの?」
「あくまでうわさだよ、うわさ。ぼくらみたいな下っ端は昔のことや天界の内実なんかほとんど知らされてないからね……。パラレルが主神の娘だなんてのも、まゆつばものだよ」

 そう言いながらシリアルは、どこからともなく一冊の本を取り出した。

『珍天使パラレルのすべて』 著・秘密結社パラレルクラブ(……笑)

 伊織の顔に、「なんじゃコリャ〜!」といった表情が浮かぶ……。

「うわさって言ったって……」
「信じるも信じないも伊織次第ってとこかな」
「…………うわあああ〜っ、やっぱりほんとの事としか思えないっ! き、聞くんじゃなかった〜っ!」
「なんだよ、夏だから涼しくなる話をしてくれって言ったのは伊織じゃないか……」


 涼しくなる――というより、『うすら寒くなる』話であった……。


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