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まこと クロスオーバー3
作:sino



残暑厳しい朝カーテンの向うの窓から強い光が部屋の温度を上げる。

「・・・暑い・・・・」

俺は暑さの為眠りの国より覚醒した。
どうやらベットの上にいるらしい。
夏なのでタオルケットを被っている。
夕べは漸く病院から退院、帰りがけ退院祝の食事をファミリーレストランで家族全員と友美とでとって、
帰ってから俺とセイと友美で居間でゲームをして・・・・それから・・・
そこから先の記憶が無い・・・・
誰かが脱がしてくれたのかどうやら下着一枚になっているらしい。
う〜頭がガンガンする!
昨夜飲んだジュースにお酒が入っていたらしい。。
そんな事を思っていると右側に妙なプレシャーと温もりを感じる。
無意識に手を伸ばすとそこに毛の固まりにぶつかった。

何故ここに毛の固まりがあるんだ?

上半身を起して、右手の先を見た。
そこには女の子の頭があった。

「わああ〜」

「うるっさいわね〜」

俺の声に反応し目を覚ましたその女性は肘をつきうつむきかげんに上半身を起す。
友美だった。
彼女の胸元にCカップくらいの二つの膨らみが重力に引かれ揺れる。
どうやら裸のようだ。
ハダカ!!

「おっ、俺は何もしていないぞ〜」

「何もって?
何するの?」

その時、扉を叩く音がした。

「真琴ちゃん。真琴ちゃん!
入るわよ。」

「はい」

扉が開くとあやかさんが入ってきた。

「おはよう真琴ちゃん。
夕べは遅くまで起きていたようね。
ママ達もう出かけるから後の事ヨロシクね。」

「はい。」

反射的に俺が答えると、後ろから友美が、

「おはようございます。あやかおばさん。」

胸を隠そうともせずあやかさんに返事をした。

「おはよう友美ちゃん
いくら暑いからっと言ってもパンツ一枚で寝るのは感心しないわ。」

あやかさんも平然と返事をした。
俺は思い出した。そうだ俺と友美は裸でベットの上にいるんだった。

「わああ〜!
これは何にも無いんです。あやかさん!!
何もした記憶は有りません。
夕べ居間で眠ってしまってから今起きたところなんですから」

俺が慌てふためいているとキョトンとしているあやかさんにまた後ろから友美が、

「ふふっ、そうですよ。
今の真琴は何にも出来ないですから・・
夕べジュースにウィスキー混ぜて真琴に飲ましたら、コップ一杯で寝むちゃって
マコチャンにここまで運んでもらったんです。
私が服が皺になるから脱がしたんです。
私も寝間着もってきていませんし、ブラジャーは肩が凝るんで外して寝ちゃったんですよ。」

あやかさんはその話を聞いて理解したのかこれまた当り前のように、

「そう。
でも起きたのだったら早く服を着た方がいいと思うわ。
そろそろ会社に行かないと間に合わないから私たちでかけるわね・・・」

扉を閉めて、

「行ってきます」

という言葉を残して出かけてしまった。

俺はさっきの友美の言葉で昨夜の状況が漸く理解できて友美に言った。

「何で俺のベットに寝ているんだよ。
居間で寝るはずだっただろ。」

「だって、真琴の服を脱がしていたら酔いが回って眠たくなちゃたんだもの。」

「それだったらマコトの部屋で寝ろよ。
幼なじみなんだから・・・」

「いくら幼なじみでも今のマコチャンを一緒に寝るには勇気がいるわ。」

「じゃあ、俺ならいいのか。」

「モチロンそうじゃない。
私は女。あなたは?」

「俺は・・・・・俺は・・・・
おんな・・・です。」

がっくりと頭をうな垂れる。
そうだった俺は今 女なのであった。

「そういうこと。」

友美は勝誇ったように笑い。

「今の真琴は女なのよ。
女同士一緒のベットに寝てもおかしくないでしょ?」

「だからってどうしてパンツ一枚なんだ。」

「泊るつもり無かったから寝間着なんて持って来ていないし、
ブラジャーは寝る時は肩が凝るから外しただけよ。」

「じゃあ、あやかさんの言うとうり早く何か着てくれ。
 目のやり場に困る。」

「目のやり場に困るぅ?
 ・・・・・・・・」

友美はしばらく何か考えているそぶりを見せた後、

「今分かった。
 あんたには大きな問題がある。
 この前二回目の外出をするときは買ってきたワンピースを積極的に着ていたから
 女の子であることをかなり自覚していたんだと思ったけど・・・」

そう、この前の病院の外出時には俺は自分でワンピースを選んだ。
一つは外出にあたってあやかさんか友美がくっ付いてきて着るものに注文を付けてくるのが
判っているからだ。
また、夏である為スウスウするという構造上の問題も気にならない。
そして、もう一つ人には言えない切実な問題であった。
つまりトイレが近くなったのだ。
手術をした為尿道が短くなりまた以前使っていた筋肉を切除されたらしく尿意を感じてから
我慢が利かなくなっているのである。
医者の話だと普通に生活しているうちに自然と必要な筋肉が付いてくるだろうとの話だったが、
軽く漏らしたことが何度か有った。
そして考えた結論として緊急時に被害が少なく対処がしやすい服装。
それがワンピースなのだ。

「あんたは他の女性を同性として見ていないでしょう?」

「それは・・・」

「うんうん。
 だから朝起きたときあんなに取り乱したりしたんだ。」

その後、友美はしばらく何か考えて、

「よし、私が友達として一肌脱ぎましょう。
 夏休みが終わるまでここに泊ってあげる。」

「えっ?」

「だから、夏休みが終わるまで私が一緒に生活してあげるわ。」

「そっ、それはちょっと・・・」

「真琴が私を同性と見ないのは病院で個室だったからよ。
 自分が女性だと言われて体が薬で変化しても、自分の問題だったの。
 つまり、身近に同性としての女性がいないのが問題なの。
 女に馴れる事が必要よ。
 それを私がやってあげる。」

「・・・・・・・・」

「そうしないと困った問題が出てくるわよ。」

「困った問題?」

「だって体育で着替えたりするとき、顔を赤くしたりしたら変に疑われるわよ。」

「ううっ。」

「決まりね。
 ところで今後の予定は?」

「今のところ夏休み中は月水金、午後病院に行くだけだけど」

「今日は月曜だから病院に行くわけ?」

「いや、昨日退院したばかりだから今日は無し。」

「それじゃ私の家に荷物を取りに行けるわね。」



俺の新居での生活はこうして始まった。

今いる自分の部屋をみる。
薄いピンクで統一された部屋に何故かくまのぬいぐるみがいっぱいある。
本棚の開いたスペースには小さいものがそして木製の折りたたみの椅子には
1メーターもある大きなものまである。
つまりここは元真琴ちゃんの部屋であった。
俺が家に帰ってきたときに元俺の部屋に自分の荷物を置こうとしたら、
この隣りの元真琴ちゃんの部屋に置くように言われた。
元真琴ちゃんのセイ曰く、

「この部屋は僕の部屋だよ。
 真琴は元私の部屋。」

と言って荷物をこの部屋に置いてしまったのだ。
以前あやかさんと真琴ちゃんが引越してきたときに荷物運びを手伝って以来入ったことが無かったが
こうなっていたとは・・・・
俺がセイにぬいぐるみのことを聞くと、

「パパ(誠の父親)がママに私にプレゼントは何が良いか聞いた時、
 くまのヌイグルミいいって答えたのそれから毎回来る度に一個づつ買ってくるんだもの。
 あの大きなやつは去年のクリスマスに貰ったやつ。
 もう入らないってママに伝えてもらっても結局一個増えるんだ。
 友美ちゃんに渡したり布団圧縮袋に入れてたんだけど、
 この引越しで空いた空間を埋めるために置いたのよ。」

確かに元真琴ちゃんの部屋には物が少なかった。
まずベット・勉強机と衣装タンス、14型のテレビとMDラジカセそして化粧台。
本棚にわずかに本が少々それ以外は全てくまのぬいぐるみ。
俺は頭を押さえた。

「親父のやつ。馬鹿の一つ覚えみたいなことしやがって・・・
 それで俺のゲーム機やパソコンは何所?」

「ああ、あれ?
 私がありがたく使わしてもらっているよ。
 今までゲームは友美ちゃんの家でやっていたから持ってないのよ。」

「はぁ?」

「だってパパは入れ替わったんだから誠のものはそのまま使っていいよって。」

「なんだってぇ〜」

親父とあやかさんに文句をいいに言ったら、
親父が、

「ああいうものがあると真琴の女修行に邪魔だろう。」

そしてあやかさんは、

「そうね真琴ちゃんにはまだいらないものね。」

そう言えばあやかさんに手術後入院で暇なのでゲーム機を持ってきてほしいと頼んだ時、
刺繍のセットを持ってきて、

「料理や洗濯は出来るって聞いたから、後は裁縫が出来れば完璧ね。
 幸いこれはベットの上で出来るから・・・
 がんばってね!」

この後何度も頼んだのだが頑として聞いてくれなかった。
おかげで裁縫の腕は上がったが・・・
それを思い出してあきらめた。

そして今の友美の発言は俺は不幸のどん底にたたき落とした。
数ヶ月前にあやかさん達を紹介されたときに描いた新生活と比べると悲しくなってきた。
俺が黄昏ていると、友美が一応服を着ながら、

「さぁ、まず一緒にシャワーするわよ。
 昨日お風呂に入りそこねたから。
 そして、私の家に荷物を取りに行くの。」

「一緒って!」

「だから、あなたが女に馴れるためよ。」

「はぁ〜」

俺が部屋着にしたワンピースを着ている間、友美が昨日病院から持って帰った俺の荷物を漁っていた。

「何しているんだ?」

何か見つけ出したようで、

「ああっ、これこれ。
 シャワーするとき、これもしましょう」

それは病院から渡された手術箇所の癒着を防ぐ器具だった。
そう言えば昨日は酒を飲んで眠ったためやっていなかった。
確かに今やらないといけないだろうが、

「それをどうして?」

「マコチャンにこの間お見舞いにいった時聞いたのよ。
 マコチャン本来は自分が手術する予定だったでしょ。
 だからいろいろ知っているから。」

そして風呂場では二人で体の比較をしたりした。
俺が顔を赤くしたり視線をそらしたりする度、友美に怒られてしまった。
風呂で分かった事は友美の話だと俺のそれの外見は普通の女性と変らないようだ。
そして、

「ふ〜ん。真琴はまだつるつるか。
 お子様なのね。」

と言われてしまった。
また友美に弱みを握られてしまった。
元真琴ちゃんもこうやって弱みを握られてきたのだろうか?
なんとなく二人の関係が見えてきた。
そして自分との関係も・・・

セイが起きてきたのは9時過ぎだった。
流しにコーヒーカップが二つあるだけなので親父たちはコーヒーだけ飲んで出ていったらしい。
幸い食パンがあったのでトーストとスクランブルエッグを作って朝食とした。
セイの今日の予定は午後スポーツジムだけらしい。

「友美の荷物取りに行くのはセイとじゃダメなの?」

「ダメよ。何時知り合いに会うか分からないでしょう。
 もう少し男ぽくならないとあぶないわ。」

「はあ〜」

俺がため息をつくと、

「セイ。お昼は?」

と言いかけて、

「またあ、セイって言った。」

「だからセイって呼ぶって決めたじゃないか?」

「お兄ちゃんって呼ばなきゃ返事しないからね。」

「はぁ〜
 じゃ、お兄ちゃんはお昼はどうするの?」

「ジムの近くのファミレスのランチを食べるよ。」

「そう。
 じゃ、お昼は俺と友美の二人分だけでいいか。」

そこで友美が、

「私の家で食べればいいじゃない。
 ママに用意してもらうわ。今から、家に連絡すれば間に合うと思うから。」





友美の家に向かう電車の中で俺は妙な視線を感じていた。
複数の視線がなんか絡み付くのだ。
友美が、

「なにむずむずしているのよ。」

「いやなんか妙な視線を感じるんだけど。」

「妙な視線?」

「いや、背中になんか・・・」

「それって、あの男の人とか?」

と友美が言う方に振り向くと相手は視線をはずした。

「だと思う。
 あれだけじゃなく他にも感じるんだけど。」

「私解るわよそれ。
 それはね」

「それは?」

「あなたスカート履いたまま電車に乗るの初めてでしょう?」

「ああ、病院の外出は2回ともタクシーだったから。」

「みんなあなたの足を見ているのよ」

「なんだって。」

「大きな声出さないで。」

今日も人に言えない心配のためミニスカートだ。

「なるほど・・・」

納得はしたが考えると恥ずかしくなってきた。

「何赤くなっているのよ。
 女は見られることで美しくなるのよ。
 それだけ視線を集めるということはあなたが魅力的だってことの裏返しだと思いなさい。」

「そう言ったって!」

「まあ、真琴はお子様だから分からないでしょうけどね。」

「う〜」

俺は男どもの視線に耐えながら目的の駅についた。
友美の家に案内されると、

「このアパートがマコチャンの以前の家よ。」

普通のアパートであった。
元真琴の荷物の少ない訳が納得した。
母娘(?)二人。元真琴ちゃんは別に自分の部屋を持っている訳じゃないんだ。

「そしてこっちが私の家!」

元真琴の以前のアパートの横にある大きな屋敷であった。

「実はね。私のうちはマコチャンのアパートの大家なのです。
 私の家はこの辺りの地主なの。」

友美は自分の家の門を開けると、

「ただいま〜」

やさしそうなおばさんが玄関から友美を迎えに出でいた。
友美の母親らしい。

「お帰りなさい。友美ちゃん」

友美が家に入っていく。
俺がその後に続いて入っていくと、

「おじゃまし 
 !!」

いきなりおばさんに抱きつかれた。

「苦しい・・」

「可愛い・・かわいい・・カワイイ・・
 この娘が新しいマコチャン?
 この子本当に元男の子?
 小さい頃のマコチャンも可愛かったけど・・・
 確か友美ちゃんと同い年でしょ。
 どうしてこんなに可愛いのかしら?」

「ママ。真琴が苦しがっているわ。
 ちょっと手を緩めて。」

「ふぅはぁ〜」

俺は漸く息継ぎをすると友美が、

「ごめんなさい。
 家のママ可愛いものには目がないのよ。
 マコチャンも小さい頃はママのお気に入りだったのよ。
 中学に入ってからは身長が伸びちゃって少しマシになったけど」

「そう言うことは先に言ってほしい。
 これでも俺セイと同い年なんだけどなぁ。」





ニコニコしながら俺を見つめる友美の母親。

「アイスクリームのお替わりはいかが?」

「いいです。もうすぐお昼ですし。
 あまり食べてお腹冷やしたくないので。」

「そうね。お昼ご飯は何かいいかしら?
 じゃ、店屋物取りましょう。
 好きなもの頼んでいいわよ。」

「いえ、用事が終われば帰りますのでお昼は家で食べます。」

「あれ、さっきの友美の電話だと、ここで食べるっていってなかった?」

「それは・・・・」

ここで友美が、

「そうよ。こっちに来るときは真琴はそのつもりだったのでしょう?」

俺は友美に小声で、

「俺はてっきり昨日の残り物程度だと思っていたんだ。
 店屋物を取るんだったら帰りに弁当でも買った方が気が楽だよ。」

友美の母親が、

「あら、遠慮しなくていいのよ。
 出来ればずっといてほしいぐらいなのに。
 そうだ、友美ちゃん。
 さっき言ってた友美ちゃんが真琴ちゃんのお家にいく話。
 この家で出来ないかしら、ここだと部屋もいっぱいあるし。
 そうだ、そうしましょう。」

「いいでしょう。真琴ちゃん。」

「いえ・・・・それは・・・・」

そこで、友美が反対した。

「ダメよ。それじゃ私の予定が狂うのよ。」

「予定?
 予定ってなんだ?」

「うっ、それは・・・
 後で分かることだから言っておくわ。
 夏休みの宿題をマコチャンにやってもらうのよ。」

「セイに?」

「今まで夏休みの宿題はマコチャンが先にやってて私の分は毎年今ごろからそれを元に二人で
 やっていたの。」

セイはやっぱり下僕状態だったのか。
と言う事はもしかしてセイってマゾ?

「ふ〜ん。
 でも、俺達転校するんで今年は宿題無しだよ。
 特に指示もないし。」

「ええっ、そう言えばそうだったわ。
 マコチャンは宿題をしていないわけ?」

しばらく友美が頭を抱えていたが、

「そう言えばあなた達二人とも宿題がないのよね。」

「ああ、そうだけど」

「じゃ、今からだったら3人がかりなら間に合うわ。」

「それって、おっ、俺も含まれているのか?
 でも、大体必死にやれば今からでも一人で間に合うと思うじゃけど?」

「ダメよ。昼間はあなたとプールとか行かなきゃ行けないから予定はぎっしりよ?」

「プールぅ?
 何で?」

「だって、女の着替えをレクチャーと実践をするのにもっとも手っ取り早いじゃない。」

「女の着替え?」

「胸元でタオルを巻ながら着替える方法とか覚えないとね?」

「いいよ。俺水着ないし。」

友美のママが、

「真琴ちゃんの水着・・・
 私が買ってあげるわ。
 それからホテルのプールに一緒に行きましょう?」

やはり友美の母親だ。
なまじお金を持っているだけ厄介だ。
俺は話題を変えようと、

「友美は泊りの用意しないのか?」

「あっ、そうだ用意してこなきゃ。」

友美が自分の部屋に消えていった。
何とか話題が変えられたと安心していると、

「真琴ちゃんにはビキニはちょっと早いみたいね。
 クビレが無いから。
 フリルの付いたワンピースが似合いそう。」

あ〜、もうだめだ自分の世界に入っているよ。
現実に戻さないと、

「お昼どうしましょう?
 何でしたら、僕が何か作りましょうか?」

「えっ、真琴ちゃんお料理出来るの?
 でも、今あんまり材料無いのよ。」

「簡単なものなら?」

こっちも何とか話題を変えられたようだ。
台所に案内され、材料を確認する。
ご飯は炊いていないようだがスパゲッティの麺を見つけた。
冷蔵庫にはお中元のハムと卵、玉ねぎも1個残っていた。
ナポリタンスパゲッティとツナサラダとプレーンオムレツが出来そうだ。
おばさんにそのことを告げると、一緒に作ることなった。
ニコニコしながら楽しげなおばさんと俺が料理を進めてく。

「おばさん楽しいわ。
 友美もこれだけ出来れば良いのに。
 あの娘料理なんか全然しなのよね。」

まあ、あの性格じゃなぁ・・・
お昼が出来たので友美を呼ぶと彼女は大きな鞄を二つほど持ってきた。
小さな方の鞄を指して、

「こっちを真琴がもってね。」

「いいのか小さい方で?」

「いいわよ」

鞄を持つとき分かったのだが、小さい方は宿題や雑誌が入っていて重いのだった。
食事を食べ始めると、

「おいしわよ。真琴ちゃん。」

「料理って言うほどのものじゃないですから」

「あんた、朝といいこれといい良くぱぱって食事が作れるわね。
 マコチャンも私もこんなに器用じゃないわ。
 ほんと女になってよかったんじゃない?」

「そうね。いいお嫁さんになれるわ。」

勝手なことを言っている。
食事を終えて友美の家を出ようとしたらおばさんが、

「じゃ、後で電話をするからホテルのプール行く日を決めましょう。
 おばさん車で迎えにいくから。
 その時に水着を買いましょうね。」

友美が、

「わかったわ。ママ」

ヤッパリ覚えていたか・・・トホホホ・・



そのころセイが、スポーツジムで知り合った有閑マダム達にお昼を奢って
もらっていたとは知らなかった。




俺と友美が俺の家のある駅について電車を降り改札を抜けた時、

「誠?まことか?」

懐かしい声が聞こえた。
声の方向に顔をむけた。

「やっぱり、誠だ。
 なんだよその格好?」

つよし?
何でつよしがここにいるんだ?
頭がパニックになった。
俺は取り合えず家と反対方向に逃げ出した。
つよしが追いかけて来たが、何とかまくことが出来たようだ。
しかし俺は改札に大きな忘れ物をしていることを忘れていた。
友美という忘れ物を・・・



スーパーで晩の食材を買い込んでから大きく迂回して家に辿り着いた。
玄関の前に友美がまっていた。

「遅いわよ。
 この暑い中待たせるなんて
 それでさっきの男は何者?」

俺は玄関のかぎを開けながら、

「ああ、あいつは俺の親友だったつよしって言うんだ。」

「そう、じゃあ彼の言うことにはうそはないのね。
 出てきていいわよ。」

つよしが玄関脇から出てきた。

「話は彼女から聞いた。
 俺達親友だろう?
 何で連絡してくれなかったんだ?」

「言えるわけないじゃないか?
 間違っておん!」

ここで友美が、

「ストップ!!
 玄関で大きな声出して言い合う内容じゃないでしょう?」

取り合えず応接のソファーで向かい合って座り友美が中を取り持つ様に、

「真琴。大体の話、彼に話しておいたわ。
 他の人には黙っててくれるって約束させたから。
 でも、いくら連絡が取れないからって当てもないのに駅の改札で待つなんて良い友達じゃない。
 しかし、真琴もよくここの住所や電話番号を教えなかったものね。」

「いや、あの時は元真琴ちゃんがいたから下手に教えない方が良いんじゃないかと思って
 それに連絡ならメールやPHSでとれるから」

「そうだよ。メールとピッチで連絡とれるから必要ないっていっておいて全然出ないじゃないか?
 いくら何でもメールにレスぐらい入れるだろう?」

「ダメよ。いま真琴パソコンもピッチも取り上げられているから。」

「なんだよそれ?」

「真琴のパパ曰く、女修行の邪魔だろうって言ってたわよ。
 でも良くここの駅が分かったわね?」

「ああ、誠の転校先は判ってたからその駅で見張れば見つかると思ってた。
 合計すると今日で6日あそこで待っていた。」

「すごい執念ね。」

「誠の事情も分かった。
 普通連絡を取りたくないのも分かる。
 でも俺達親友だろうせめて電話くらい欲しかった。」

「ご免」

俺は頭を下げた。

「・・・・・」

しばらく沈黙がすぎて友美が、

「じゃあ、罰を与えましょう。」

「「罰ぅ?」」

「そう、つよし君に良くて真琴に不利な罰。
 それなら良いわね。つよし君。」

「ああ」

「いい罰があるの。
 真琴によく効く罰が。」

つよしが聞く。

「どんな罰だ。」

「この娘。今女の子の格好しているけど、まだまだ男の子なのよね。
 言葉使いを聞いていても分かるでしょう。
 それで、女の子としてデートさせるってのはどう?」

「女の子としてデートか・・・・」

この時、初めてつよしが俺を見つめた。
『しかし、ホントに女の子になったんだなぁ。
 昔から誠は女の子みたいだったけど、こうして見るとなかなか』
とつよしが思っているとは思わなかった。
しばらくしてつよしが、

「よし、決めた。
 明日は前に一緒に前売り券を買った映画に行こう?」

「へっ?」

「だから、元々誠と行く予定だっただろ。
 あれ、一部の映画館で延長されてるからまだ間に合うし。」

「ああ、あれね?
 実は俺行けそうにないからその券元真琴ちゃんに上げたんだ。
 だから今、券ないし、あんまり評判よくないからその映画行きたくないんだけど。」

「券はチケットショップで買えばいいよ。
 まさか、はるばるたずねてきた親友の頼みを聞かないわけじゃあ」

「分かった。分かりましたよ。
 行くよ。」

友美が、

「じゃあ、条件を確認するわよ。
 まず、今みたいに女の格好すること。
 私が責任を持って、コーディネイトしてあげるから。
 条件その2。
 デート中は女言葉をしゃべること。」

「女言葉だぁ?」

「そうよ。
 今の真琴ってしゃべっている分には男とかわらないんだもの、
 デートの間は女らしくしてもらわないと。」
 その3
 デート中は恋人として振舞うこと。」

「恋人って?」

「そうね・・・・
 腕を組むとか、肩を抱かせてもらうとか」

「そんな。つよしは気色悪くないのか俺は男だぞ。」

「俺は男の誠を知っているが・・・・
 今の誠は男に見えないし、誠の妹と思えば、問題ない。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

友美が、

「じゃ、明日はデートで決定ね。
 待ち合わせ場所まで私も一緒にいくから。」

映画の上映館と上映時間、行き方を電話で確認して、待ち合わせ場所と時間を決めた。

ガチャ。
扉の開く音がして、セイが応接に入ってきた。

「ただいま。
 あれ、男物の靴があったけど、お客さん?」

友美が、

「こちら、真琴の前の学校の友達のつよし君だって、
 わざわざ、夏休みの貴重な6日つぶして真琴に会いに来たんですって。」

「どうも。
 真琴ちょっとこっち」

「なに?セイ」

俺はセイのところに行くとセイは小声で、

「また、セイって言った。」

「そんなこと・・・
 わかったよ。
 お兄ちゃん
 これでいいんだろ。」

「うん、
 それで大丈夫なんでしょうね。私たちの秘密がわかっちゃって?」

「駅で持ちぶせされたんだ。
 俺は逃げ出したけど友美が連れてきちゃって。
 でも俺たちのことはしゃべらない事は約束させたから。」

「そう。」

後ろからつよしが、

「誠。お兄ちゃんって?
 悪いけどこちらは?」

「ああ、終業式の日写真見せただろう。」

「ええ、これがあの真琴ちゃん?」

「ああそうだよ。
 そうだ。あの時つよし紹介してほしいって言っていたな。
 じゃあ、あらためて、
 これが僕の・・・・・兄貴の誠です。
 こっちが前の学校の友達の稲川つよしです。」

「どうも、兄の誠です。
 こっちの真琴と区別する為にセイって呼んで下さい。」

「つよしです。
 しかし、君があの写真の女の子ね。
 確かに面影があるけど・・・・
 驚いた、男に見えるよ。」

「どうも妹がお世話になっているようで。」

「妹?」

俺が、

「だから、真琴ちゃんと俺が入れ替わっているわけだろう。
 だから、今は俺が妹になるんだ。」

つよしは俺とセイをみながら、

「あははははは・・
 ぴったし、誠が妹ね。
 だから、お兄ちゃんか。
 うん、ぴったしだ。
 よろしく、お兄さん。」

笑われてしまった。
やられてばかりはいられない。
俺が小声で皮肉たっぷりにつよしに、

「つよし終業式の日に確か真琴ちゃんを口説って言ってなかったっけ?」

と聞くとつよしは、

「ああ、予定通りデートに連れ出す約束が出来たよ。」

「へっ?」

「だって今の真琴ちゃんはおまえじゃないか?」

「・・・・」

またやられた。
セイが、

「しかし、ある意味よかったよ。
 僕には友美ちゃんがいたけど、あの手術で昔の友達とまったく縁が切れるのは寂しいからね。
 そうそう真琴。
 さっきピッチにメールでママたち今日は遅くなるんで晩御飯は先にたべてくれって。
 で、晩御飯何にするの?」

「友美のリクエストでハンバーグにするつもりだけど」

「ハンバーグか。お昼と重ならなくて良かった。
 ママたちにメールで知らせておいてあげよう。」

「あっ、こんな時間。
 晩御飯の準備しなくちゃ。」

つよしが、

「晩御飯って、マコトが作るのか?」

「そうだけど。」

「そうか。じゃこれ以上邪魔しちゃ悪いな。
 今日は帰るよ。」

「ああ、じゃあ明日。」

「約束の時間にな。」

「わかったよ。」

つよしが出て行く。
セイが、

「明日って?」

友美が、

「そう。真琴、明日つよし君とデートなのよ。」

「でーとぉ?」

「私が取り持ったの。
 明日が楽しみだわ。」

その後、友美の宿題がほとんど手が着けられていない事が判り3人で分担することとなった。




翌日、つよしとの待ち合わせ場所。
俺と友美は20分ほど遅れてやってきた。

「ご免待たせちゃって。」

と俺が謝るとつよしが、

「でも15分前にピッチに、ここの駅に着いたってメール入れなかったけ?」

といいそれに友美が答えた。

「仕方ないでしょう。
 10メーター歩く度にナンパとか勧誘とかくるんだもの。
 最後はひどい奴につかまって10分は損したし。」

「ひどい奴ってさっき俺に声を掛けるまで付きまとってた奴か?」

「そうよ。」

つよしはマコトの恰好を見た。
この間美容院に行って眉を整えたって言ってたっけ。
顔に丸みが加わってますます女らしくなっていた。
それに今日は化粧をしたのか軽く口紅をつけているようだ。
ミニのワンピースで腰のあたりで裾が広がっているタイプ。
足がスラット伸びる様に見えクビレがあまりない真琴がクビレがあるように見える。
また、頭にはカチューシャをワンポイントとして着けている。
つよしは思った。
『なるほど。
 今の真琴ははっきり言ってかわいい。
 男に声をかけられるのも分かる。
 友美さんにこの話を出されたときはある意味マコトへの罰の意味合いが大きかったが、
 これは昨日言ったように誠の妹と思って割り切って楽しんだほうがいいな。』
と。

「じゃ、私はこれで帰るから。」

「えっ、付いて来てくれるんじゃなかったの?」

「デートにくっ付いて邪魔するほどバカじゃないわよ。
 それじゃね。」

と言って角を曲がった所で物陰に隠れこちらを伺った。

『こういう見世物は離れていた方がいいの。
 邪魔しない範囲で黙って付いてはいくわよ。』

そんなことは知らず。

「友美の奴てっきり付いてきて俺の行動にイチャモン付けるかと思ってた。」

「マコト。」

「えっ?」

「女言葉。約束だろ」

「ええっ、あれって友美が出したんだから別にいいじゃん。」

「ダメだ。約束は約束だ。」

「ハイハイ。わかりました。
 これでいいんだろ・・のね。」

「ああ。
 それよりも、チケットショップに寄っている時間が無いな。
 少し高くなるけど当日券を学割でいくか。」

「しかたない・・わね。」

そして映画館に向かう途中で、

「そういや、お・・わたし。
 学制証持ってない。」

「やばいなそれは。」

「持ってても前の学校のやつだから男の学制証になちゃうから使えない・・わよ。」

「う〜ん。
 そうだ。
 俺の持っている券をマコトが使って俺が学制証を使って入る。
 そうしよう。
 はいこれ前売り券。」

俺は券を受け取ると、つよしに、

「チケット代は券売所で当日の学割の値段を確認してからはらうよ。」

「そうだな。じゃ、いくか。」

つよしが手を握ってきた。
俺は一瞬払おうとしたが、
『約束、約束』
と念じて我慢した。
そして、映画館についてタイトルを確認して、引きつった。
そうだ、これホラー映画だったんだ。
ヤバイ!トイレに影響しそうな内容じゃないか。
つよしが当日券を学割で買い中に入っていく。

「おい、マコト早く入れよ。」

「あっ、うん。」

俺は仕方なく入っていった。
上映してからかなり日数が経った映画のせいか座席はガラガラだった。
少し後ろには、サングラスをした友美が座っていたのはお約束。
比較的前の方の席に座ると、つよしはパンフレットを買いに売店に行くと言い。

「飲みのもも買ってくるけどオレンジジュースでいいか?」

「あっ、そうだ。サンドイッチを冷やした紅茶を家から持って来ていたんだ・・のよ。
 確か上映時間お昼にかかっていたから。」

コンビニのビニールの中タオルで包んだペットボトルを二本とラップに包まれた物体。
砂糖を少し加えた紅茶を凍らたものとその冷気を利用して暑さにやられない様にした
ラップに包んだサンドイッチである。

「これ、マコトが作ったのか?」

「そう・・よ。
 映画館に入っちゃうと高くなるんだもん。
 無駄にお金使うことないじゃない。」

「そういや、昔からマコトは出かけるときに作るんだよなこういうの。
 なんかホントのデートみたくなってきたな。」

つよしがパンフレットを買ってきた後、照明が落とされ次の公開の予告が流れた。
俺はこの間を利用してトイレに行った。
本編が始まりクライマックスで先に済ましていたので量は押さえられたが
やはり少し漏らしてしまった。
上映が終わりエンドクレジットが流れるとすぐにトイレに駆け込み下着を着替え事無きをえた。
久しぶりに繁華街に出たのでゲームショップやゲームセンターに寄った。
欲しいゲームが発売されていたが、購入してもゲーム機がないのであきらめた。
そして最後にハンバーガーショップに寄り、

「マコトは席を取ってくれ、それで、何を頼むんだ。」

「それじゃあ、月見バーガーセット。
 禁煙席でいい・・のよね。」

「ああ」

2階の禁煙席に座って待っていると、
二人組みの男が、

「ここ開いている?」

俺は、

「友達が来るんです。」

「女の子の友達?
 だったら俺達と・・」

後ろからトレイを担いだつよしが、

「この娘。俺の連れなんですが。」

「ちぇ、男がいたか。」

つよしが俺に向かって、

「大変だね。美少女は。」

「それ、皮肉?」

「本心さ。待ち合わせのとき遅れたのも納得いったよ。
 ゲーセンでも声掛けられていたようじゃないか?」

「あ〜あ、あんまり自覚無いんだけどな、ちょっと映画に来ただけでこれじゃあ大変だよ。」

「じゃあ、今度街に遊びに行く時も同じ条件で行こうぜ。
 俺が虫よけになるからさ。」

「それってデートの誘い?」

「まあ、そう受け取ってもらってもいいよ。」

そんな会話の後、今日見た映画の話をして、家に帰った。
今日の晩御飯は昨日シチューを作って凍らせていたので心配ない。
時間を気にしなくて良かったため少し予定より遅くなって薄暗くなっていた。
つよしは家の玄関まで送って来てくれた。

「ありがとう。つよし、わざわざ家の前まで。」

「それは男として当然でだろう。」

「じゃ、今日は楽しかったよ。
 それで、映画とハンバーガーの代金だけど
 いくら?」

「う〜ん。
 その代金なんだけどさ、別の形で貰っていいか?」

「別の形?」

「そう」

と言うなり、俺の顎を右手で軽く持ち上げると、

チュ!

軽くキスしてきた。

「○△□×」

「じゃ、代金は確かに受け取ったから。」

と言いながら、つよしは駅に向かって走っていった。
俺はしばらく思考停止になっていた。
駅の方の物陰から友美が姿を現し、俺の前に来て、

「初心者のデートだと思っていたのに私の予想の上を行ったわね。
 どう?女としてのファーストキッスの感想は?」

「・・・・・・・」

「あらあら」

俺の目の前で手を振り。

「大丈夫?」

俺はかろうじて、

「大丈夫じゃない。」

と言った。

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後書き

すいません。
今回は中途半端になりました。
2で友美を使って漸く形になりましたが、3でも勝手に動いてくれました。
終わりは予定通りなんですが当初予定した内容と少しちがう内容になっちゃいました。
夏休みはこの話で終わる予定だったんですけどプールのエピソード如何しよう。





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