戻る

まこと クロスオーバー2
作:sino



「今度の父さんの再婚相手のあやかさんとその娘さんの真琴ちゃんだ。」

右手に座ったお父さんがテーブルの対面に座った30歳くらいと15歳くらいの女性を
紹介している。

「息子の誠です。」

俺が自己紹介をすると、真琴ちゃんが

「かわいいな。僕の妹になるのか。」

と言いながら、モーフィングのように顔が変化してゆく。
肩まであった髪はみるみる短くなっていき、眉毛は少し濃く、肩幅も少し広がり、
丸みの帯びたあご筋が少しりりしく変わった。
はっきりいって男に見える。

「妹?」

「だってそうじゃない」

とすっかり男に変わった真琴が俺を指差す。
そして、自分の足元を見ると、俺はスカートをはいていた。



「んぎゃ〜〜」



ベットから飛び起きる。
短く呼吸しながら、

「はぁ、はぁ、はぁ、・・・
 夢か?」

周りに誰かいないか確認しながら、無意識に手を胸元にやった。
もっとも個室であるため誰もいないのだが。

「いたっ!!」

わずかに膨らんだ胸の乳首が服に擦れた。

「はぁ〜」

さっきの夢と現実が大して変わらないことを認識してため息が漏れた。






あの手術から2週間が過ぎた。

あの日から俺は一日置きに女性ホルモンの注射をし、錠剤を毎日飲んでいた。
体は丸みを帯び、胸も出てきた。
そして、乳首も女性の形に変わりつつあった。
性転換の手術をした為、ホルモンが良く効くらしい。
元真琴ちゃんは同じ治療を受けても短期間にここまで変らなかったと言っていた。
術後の経過は順調で包帯もとれた。
手術後初めてトイレに入った時は、薬のせいか涙もろくなったらしい、俺はトイレで30分泣いた。
風呂場では下半身の変化を確認し、また、鏡に写った少し膨らんだ胸に濡れた髪、顎の線に丸みが加わった顔が
乗っている自分の上半身を見て、

『これじゃ、まったく女の子だよ。
 俺を見た人がニコニコしながら
 返って良かったんじゃないなんて言うわけだ』

周りに流されていく自分に自己嫌悪していた。




あの運命の手術のあと、家族4人でこれからのことを話し合った。
あやかさんと真琴ちゃんが俺や親父に謝りつづけていたが親父が、

「いつまでも謝り続けてもきりが無い。
 あやか、真琴ちゃん。謝るのはこれで終わりだ。
 いいな、誠。二人は十分反省している。もう、いいだろう!」

俺は納得はしていなかった。
しかし、確かに話が進まない。
彼女たちが謝っても事態は変らない。
そう思うことで気持ちを切り替えて俺は取り合えず話を進めるために、

「・・・・うん・・・・」

と返事をした。
それを親父が確認すると、

「それよりもこれからの事を話あおう。
 誠がこうなった以上、真琴ちゃんのアイデアで行くのがベターな方法だと思うが、
 真琴ちゃんホントにこれでいいのか?
 仮にも今まで女として育てられてきたんだ。
 君が望むなら、病院の方も言っていたのだが誠の戸籍だけを女に操作して、
 君の成形手術を行なっても良いと言っている。
 この病院はこういう手術を行なっているのでその手のルートがあるらしい。
 真琴ちゃんの覚悟を聞きたい。」

「・・お父さん・・・
 ママ、誠くん・・・
 ・・すいません・・
 実は手術受けなくなってホッとしているんです。」

俺は言葉が無かった。

「・・・・・・」

親父が気を取りなおして聞きなおした。

「ホッとしているとは?」

「私は小さい頃自分が女と思って育ってきたわけですが、
 自分が男だって判ったのは4歳のとき、
 幼なじみの女の子との違いが判ったときでした。
 私が女らしくすればお父さんが帰ってくるって言うママの言葉を
 信じてたのでそのまま文句も言わず、
 女として育てられたわけですが、
 ある意味女装をしていると言う意識がありました。
 でも、ヤッパリ自分が男なんだと自覚するきっかけがあったんです。
 それはさっき言った幼なじみ・・・彼女を好きだって事を自覚したからなんです。」

「女の子が好きになったから自分が男だって自覚したわけか?
 でも、それならなぜ手術を受けることを選んだのかね?」

「はい。
 まず、その子・・友美ちゃんと言うんですけど。
 友美ちゃんは私が男だって4歳のときから知っていました。
 でも、彼女とは女同士の友達として過ごしてきた。
 中学に入った時、彼女、その時3年生だった先輩と付き合うようになったの。
 私自身はパパが戻ってくれば男に戻れる可能性があったわけだけど、
 そのころママから村崎さんとの結婚にあたって如何いう風にするか聞かれたの。
 それで成形手術を受ける決断をしたんだけど・・・
 でも・・・」

「でも?」

「私が引越してから知ったんだけどその先輩高校に行ってから別の彼女作ちゃったの。」

「なるほどな。と言うことは、君が好きになった女の子が最近振られた訳だ。」

「はい。それでこのまま女になってしっまって良いのか悩んじゃって・・・
 だから、ある意味ほっとしているんです。」

「真琴ちゃんがそのつもりならいいんだ。
 じゃ、誠は如何だ?」

「オッ、俺は・・・
 いまさら戻れないじゃないか。」

「そうだな!!
 流石わが息子だ。
 男は諦めが肝心だ。
 じゃ、真琴ちゃんのアイデアでいいんだな!
 では、これから真琴ちゃんと誠が入れ替わるわけだ。
 それではまず、それぞれの呼び方を確認しよう。
 これからは元誠は真琴(マコト)、元真琴ちゃんは誠(セイ)だ。」

あやかさんが俺に向かって、

「じゃ、真琴ちゃんは、私をママ。
 そして、この人をパパと呼ぶのよ。」

「えっ」

「真琴ちゃんみたいにかわいい女の子はそう呼ぶのがピッタシよ!」

元真琴ちゃんは自分を指しながら、

「じゃ、私はお兄ちゃんって呼ばれるわけね。」

「何で?」

「二人が入れ替わる以上、誕生日も入れ替わるわけだし。
 そうなれば、私が彼方より3ヶ月年上って訳よね。」

「へっ!でも、前にみんなにその話をしたら似合わないからダメって
 言ってたじゃん。」

そのときあやかさんが、

「だって、身長から見て合わないんだもの。」

そして、元真琴ちゃんとあやかさんが、

「「今はピッタシ!!」」

ホントにさっきまで謝ってたのか?

「う〜〜
 あの親父」

「ダメじゃない、パパって呼ばなきゃ」

「パパって・・俺は・・・」

「俺って使ちゃダメ!
 <私>って言わなきゃ!」

「わ・・わたし!」

「そうよ!!」

そこで親父が、

「<僕>ってのもいいぞ。」

「ボク?」

「中学になってから変えたけど、小学校まではそう言ってたじゃないか?
 そう言う女の子が少なからずいるらしいし?
 私は実は手塚治虫の三つ目がとおるの和登千代子のファンでな、
 そう言う呼び方に少しあこがれもあるのだ。
 それなら不意に出てきても間違えにくいだろう。」

「<僕>か・・・まあそれなら抵抗が少ないから・・・いいかも」

なんかはぐらかされたみたいだ。
それに対してあやかさんが、

「<私>のほうが、真琴ちゃんには合うのに・・・
 それは追々直して行きましょう。
 でも、安心してね。真琴ちゃん。
 私はあなたをどこに嫁に出したって恥ずかしくない娘に育て上げるわ。」

「いや、あやか。それはあんまり心配無い。
 親の贔屓目かも知れんが
 真琴は片親だったせいで家事一般に対してはかなりのものだ。
 そうだな。真琴。」

「まあね。おや・・パパが何にもしないからね。
 カップ麺とゴミの山と一週間着たきりの服で過ごせばね。
 料理と洗濯、掃除は自然と覚えていったよ。」

「「そうなの!良かった!」」

あやかさんと元真琴ちゃんは重なるようにそう言った。

「ママは家事は出来なくは無いんだけど、両極端なの。
 仕事が忙しくなると極端に手を抜いちゃうのよね。
 それにわた・・僕はあんまり料理は手伝わなかったから。」

「手伝えないわよね〜。
 いろいろ教えようとしたけど何故か
 料理だけはうまくならないのよね。」

「ダメなのよねあれやりながらこれやるってのが・・・
 それにママったら教えるのが本格的な料理ばっかりで応用利かなくて・・・」

「じゃ、あやかが仕事なんかで忙しくて一人で食べる時はどうしたんだ?」

「いえ。私が忙しい時なんかは、さっき言った友美ちゃんがセイと良く遊んでいたから、
 この子ったらそちらのお宅の食事をいただいたりしていたので・・・」

「うむ・・・・退院したらしばらく家事は真琴の担当だ。」

「ええ〜」

俺がそう言うと元真琴ちゃんが、

「引っ越した直後、ママが溜まった仕事をこなす為に忙しくなって
 あた・・僕が料理してたんだけど・・・」

何故そこで言葉が止まる?
しばらく沈黙が続き、あやかさんが、

「作るより惣菜買ってきた方が安く済じゃんうんだもの
 しかもコンビニの!
 ごみ箱は生ごみでいっぱいになちゃうし。」

「確かに引っ越してからさっきセイが言った様に
 あやかが忙しくなるとコンビニの惣菜が食卓に上がる。
 あやかはお盆明けからしばらく忙しくなるそうだからな。
 よろしく頼むぞ!」

「ごめんなさい。真琴ちゃん」

あやかさんが頭を下げる。

「はあ〜」

俺はため息をつくと、

「わかりました。」

と答えるしかなかった。
元真琴ちゃんは自分にとって話の方向が都合の悪いものになってきたので話題を変えようと、

「そうだ。ところで今後の私の・・いえ、僕の治療方針は?」

「ああっ、真琴ちゃん・・いや、セイはホルモン治療を始めてそんなになってないから、
 胸が少し膨らんできているが幸い乳頭の形はそんなに変わってない。
 若干薬物治療をするが、何所まで自然に萎むか分からないので取り合えず筋力トレーニングが中心になるらしい。
 もちろん費用は病院持ちだ。但し、使うのはこの3件隣りのスポーツクラブのみの領収書しか認めないって言っていたが。」

それから元真琴ちゃんのセイは毎日俺の見舞を兼ねてこの病院とクラブに通っている。




そんな事を思い出していると、
午前10時になった。
コンコン!!
病室の扉を叩く音がする。
そろそろセイが顔を出す時間だ。

「はい」

セイだろうと思い返事をした。
すると見知らぬ女の子が入ってきた。
俺と同じ位の身長だろうか、かなりの美人だ。
彼女が、

「やっぽー!マコチャン。ゲンキー」

と言ったので、俺が、

「誰?」

と問い返した。すると彼女が俺に向かって、

「あんた誰?」

「オレ・・僕は真琴・・よ」

彼女はさらに俺の顔を覗き込むと、

「あんた、マコチャンじゃないじゃない?」

「マコチャン?」

女の子がベットに付けてあるネームプレートを確認すると、

「如何してマコチャンのベッドにいるの?」

「だから、オレ・・僕が真琴なんだ。」

「うそ!!
 だって私の知っているマコチャンは背が高くて髪も長い。
 あんたじゃないわよ!!」

そんなことを言い合っていると、

「入っていい?」

と声がした。
声からするとセイだ。

「ハイ」

セイが入って来ると、

「友美ちゃん・・・」

友美・・・そう言えばセイの幼なじみの女の子の名前がそうだったはずだが、彼女・・友美か?
そして、彼女が、

「今の声。マコチャン?」

彼女が病室の扉に振り向くと、入ってきたセイを睨んだ。
セイは蛇ににらまれた蛙の様に硬直しその場に立ちすくんだ。
しばらく睨んだ後、

「ヤッパリ、マコチャンだ。
 髪ばっさり切ってまるで男の子みたい・・・・」

セイは俺の手術の2日後髪を切っていた。
かっての真琴ちゃんの面影は残すものの、男の顔に見えた。
まぁ、鬘を被って女の子の服を着るとまだ女の子に見えなくはないが・・・

「マコチャンよね。 
 どうして男になっているのよ。
 確か女の子になる手術を受けたはずなのに・・・」

そして彼女が俺の方に向くと、

「この子だれ?
 どっかで見た顔ね。あんた。」

俺は彼女と初対面のはずだが、

「そうだ。この間マコチャンに見せてもらった写真の子だ。
 でも確か女の子みたいだけど男の子だって言っていたっけ。
 どうして、あんたがマコチャンのベッドにいる訳?」





彼女はセイの正体を知っているので下手に隠さない方が良いと判断して本当のことを話した。

「あははは・・・」

彼女は大笑い。俺は少し腹を立てながら、

「笑うなよ!」

「そっか。マコチャン・・男のままなのね。
 良かったじゃない。
 この間かなり悩んでたけど・・
 女にならなくて。
 そして、あんたが新しいマコチャンってわけね?」

「新しい?新しいって何だよ。」

「だから入れ替わったんならマコチャン2号よね。
 よろしい。私が友達になってあげる。
 マコチャンと区別するために真琴(マコト)って呼ぶわ。
 だから、あんたは私を友美って呼ぶのよ。」

なんか怖い・・俺は本能的に察知した、下手にかかわらない方がいいと。

「・・・いいよ。
 別の学校だし・・・・」

「そんなこと言わないで!
 前のマコチャンの正体をばれないように守ってきた実績があるのよ。
 大船に乗ったつもりでいてよ。
 それに本当の事知っていて女の子の事話せる友達って必要でしょう?
 それにあんたたちは入れ替わったわけだから、あたしはあなたの幼なじみになるわけよ。
 まっ、前のマコチャンは中学になってから背が伸びて女の格好してたけど何所かしら
 男っぽさが出てきてアブなかったのよ。
 クラスの女子、マコチャンが男だったらアタックしたのにって娘何人かいたから、
 マコチャン、今度の学校ではもてるでしょうね。
 それに対してマコトは子供ね!
 あんたも男だったらある意味女の子に可愛がられるタイプだけど・・・」

「けど?」

「自分より可愛い男を恋人にしたくないでしょうから、女友達はいても恋人はいなでしょう?
 案外、男友達で恋人の様にベッタリくっついているやつなんかいたんじゃない?」

「うう、それは・・・」

そう言えば、つよしがそうではないか?

「図星でしょ。まあ、その可愛さだと、女の方が絶対とくだって。」

がーん
俺がショックを受けている間、セイが、

「ところで、友美ちゃん何しに来たの?」

「そうそう、お盆休みに行った旅行のお土産を持ってきたの。
 これよ。」

と言って彼女は紙袋をセイに渡した。
セイは自分の手元を見て紙袋を持っていたので、友美の紙袋を受け取ると元もと持っていた紙袋を俺に渡すと、

「それ、今日着ていく服。」

「今日?
 何所へ行くんだっけ?」

「ママが午後半休取ったので、外出するのよ。
 先生の許可は取ってあるっから・・
 美容院に行くのと当面必要な服を買いに行くって!」

「服って!」

「私の服じゃ寸法合わないじゃない。
 それに制服の注文も必要だし。
 それで、袋の中見て」

「なに?」

彼が袋を差し出した袋の中を見る。
ビニールに入った運動靴とピンクの布の塊が見える。

「ママが来たらこれに着替えて」

俺が袋から服を取り出すと

「これって、ワンピース?」

「そうよ。真琴って私の服の寸法が合わないのだもの。
 引越しした時、昔の服処分したのよね。
 それで、今残っている服で一番長けの短いのを選んだのだけど・・
 ワンピースだったらある程度融通利くし、服買いに行って着替えるのだったら
 簡単な服の方が良いでしょう。」

「だって、スカート」

友美がここで割り込んできた。

「スカートじゃないでしょ。
 まぁ、わからなくはないけど。
 あなたは今女なんだからそれが当たり前なの!!!
 文句言わず着るのよ。
 後であやかおばさんに確認するから!」

この強引さ!俺の予感は当たっていた。

「じゃ、私はクラブに行ってくるから。」

元真琴はそう言うと逃げるように出ていった。
友美も、

「あんたがワンピース着るのを確認したいけど・・・
 他の所にお土産持っていかないといけないから・・
 また、後で来るからね。」

と言いながら出た行った。
俺はワンピースを紙袋に入れ直し、あまりそのことを考えないことにした。




お昼過ぎあやかさんが僕の病室にきていた。

「そう友美ちゃんが来てたの。
 ちょっと気が強いけど良い子でしょう。」

気が強い?
なんか最悪と思えるんですけど?

「外出するって聞いたんですけど?」

「そうよ。午後一時から。
 病院の許可は取ったから。
 まずは美容室に行って・・・
 ちょっと髪短いでしょう?
 櫛を通しただけじゃあんまり男の子と変わらないから、美容院で何とかしてもらうのよ。
 それから、当面必要な服を買うの。
 セイの女だったころの昔の服は引越しの時処分しちゃったから、真琴ちゃんに寸法が合わないのよね。」

あやかさんが紙袋からまず靴を出した。
俺が男の時に履いていた靴だ。

「取りあえず合うのが無いから、この靴だけど、
 今日は時間が取れないけど今度は、靴屋さんにもよらなきゃね。」

その後、ピンク色の布を出し、

「さぁ、真琴ちゃん着替えましょう。」

まずパジャマの上側を脱ぐ。
このパジャマは、手術の翌日あやかさんが買ってきたうちの一つだ。
このころはあまり刺激しない方が良いと思ったのだろう単色のものだ。
襟が丸いのと、合わせが右前になっているので女ものであるが、抵抗は少なかった。
そして、下着についてはショーツはスポーツ用のアンダーショーツ、そして上はタンクトップである。
今はこれをこまめに洗濯してサイクルさせている。
あやかさんはワンピースを俺に着せながら

「真琴ちゃん。女の子になったんだから、こう言う服にもなれなきゃ。
 それに今日買いに行く服ってそう言う服なのよ。」

軽く俺の髪にブラッシングしてから俺を鏡の前に立たせた。

「んっ、かわいい!」

そこに写った俺の姿は髪が短い所為でボーイッシュな女の子に見えた。
ズボンを履かないのは多少違和感があったが、夏だったので寒くはなかった。
まあ、腰の包帯が取れるまでガウンだったので、そう考えるとあまり変わらなかったが。
ため息を吐いた俺の肩をあやかさんは抱いて、

「さぁ、いきましょう。」


病院の玄関からタクシーでまず美容院へ向かった。



美容室にて女性の美容師さんが、

「あら、村崎さま。いらっしゃいませ!
 ご予約内容は確か、お嬢さまの髪型を何とかするお話でしたね。」

「ええ、ちょっと訳ありでこの子、男の子みたいな髪型になっちゃって。
 そちらにお任せしますから女の子らしい髪型にお願いします。」

彼女は俺を見ると、

「はい。まあ、何とかなると思います。」


2時間後、髪を少しボリュームのある形にされ、眉を整えた。
鏡を見ながらますます女の子らしく変っていった。

「終わりました。如何でしょうか?」

「うん。かわいいわ。良かったでしょう真琴ちゃん。」

今は女なんだし可愛い方が良いのは確かなんだけど・・・
昔から男なのに可愛い可愛いと言われつづけた為、可愛いと言う言葉に抵抗があるんだよな。
ここで、抵抗しても仕方ないから返事をする。

「・・・うん・・・」

美容師が他のスッタフに少し話して、

「ちょっとお写真を撮らしてもらえますか?」

「写真?何に使うんです?」

「カットデザインのコンテストしているんです。
 お客さんは可愛いからコンテストの審査受けがいいと思うんです。」

「まあ、いいわよね。真琴ちゃん」

「じゃあ、撮らしていただきますね。」

何枚か写真を撮られて、あやかさんが、

「取り合えず現像ができたら一枚づつ貰えないかしら?」

「いいですよ。もしコンテストでいい線行けば何かお礼をします。」



次はその近くのデパートの下着売り場に移動した。
あやかさんが店員さんに、

「その前にこの子ようやく胸が膨らみ出したのでサイズを測っていただきたいんですけど。」

「じゃ、試着室の方に来てください。
 メジャーを持って伺いますので。」

「65Aってところかしら?」

「じゃ、真琴ちゃん。このサイズで一式揃えるわよ。
 でも、ブラジャーは一つ大きめのサイズにして・・パットを入れるから。」

「へっ?」

「お医者さんの話だともう少し膨らむらしいから・・・
 65Bにパット入れってっと・・・
 まあ、正式なものは2,3ヶ月後として・・」

と言いながら俺のサイズのショーツとブラジャーを持ってきた。

「メーカーによって微妙にサイズも違うから一つ一つ試着してね。」

薬の所為で、胸が少し膨らんだところにパットを入れたブラジャーを着けた胸は、
自然な感じのラインが出来ていた。
あやかさんが、

「不自然ではないわね。
 セイはなまじ身長が高いのに胸がなくてかなり不自然な感じだったけど・・・」
 
その中からあまり装飾の少ないものを10着ほど選んだが、何故かグレーでレースの
ドギツイ柄のものが混ざっていた。

「こんなもの選んだ覚えは・・・」

「ハーイ」

後ろから声がしたので振り向くと、友美が手を振っていた。
あやかさんが、

「最近の若い子の服の流行がわからないから、出かける前に友美ちゃんの話していたでしょう。
 それで、美容院にいたとき、助っ人にって携帯で連絡したの。
 ありがとうね。友美ちゃん。
 わざわざ来てもらって。」

「いいんです。真琴とは朝会った時にお友達になりましたし、
 一応、お土産はみんな配っちゃって、ちょっと時間が空きましたし。
 それに、チャンとその服着てるか確認したかったし・・
 似合っているじゃない。その服、髪型も・・・」

すると、あやかさんが、

「真琴ちゃん。ちゃんとお礼言わないと!」

「・・・・・ありがと・・」

俺はグレーのブラジャーを持ち上げると、

「お前かこんな下着を選んだのは?」

「これから女として生きていくんだったら、一着は勝負用を持っていなくちゃ!」

「何の勝負だ!何の!!」

「モ チ ロ ン !
   男よ。」

「オトコ?
 男と何すんだ?」

「わかっている癖に!
 あんたとマコチャンなんかよさそうに見えたんだけど・・
 マコチャンって美形だから男の格好してもかなりのものじゃない。
 いっしょに住むんだから最低キープしとかなきゃ!」

「キープぅ!
 俺は最近まで正常な男だったんだぞ。
 セイにそんな気は起きないぞ!」

それに元真琴ちゃんは友美のことが好きなんだし・・

「そんなこと言うなら友美こそ真琴が男に戻ったんだから、アタックしてみればいいじゃないか?」

「私はダメよ!
 固定観念が強すぎてマコチャン、あの姿を見ても男装している様にしか見えない。
 男って感じられないのよ。」

「可愛そうなやつ。
 あれっ、あやかさんは?」

「レジで精算中。」

「あや・・・ママッ」

「なに?」

「さっきのグレーの下着は?」

「ああ、いっしょに精算したわ。
 買うのでしょう?」

下着の包まれた紙袋が帰ってきた。

「あ〜あ」

俺がため息を吐いていると友美が、

「まあ、無駄に何ないわよ!
 多分・・」

「それが慰めの言葉か!!」



次は婦人服売り場。
友美は俺とあやかさんを試着室に追いやると、

「サイズは分かりましたので、私が選んできます。
 真琴ちゃんとお母さんはここで待ってください。」

彼女はまず2着ほど選んでくると、

「取り合えず、これ試着して見てください。
 他の服も取ってきますので。」

俺は取り合えず試着してみた。
まあ、彼女の見立ては悪くはないが、

「どうして、お尻の見えそうなスカートやワンピースばっかり選んでくるんだ?」

「だって真琴、背が低いから足を長く見せたほうがいいじゃない!」

「良く似合うわよ。やっぱり友美ちゃんに来てもらって正解だったわ。」

この後、友美は何着か服を選んできた。
あやかさんも友美の見立てを気に入ったのか彼女の選んだ服を全て買った。



そして、セイと待ち合わせた喫茶店に行った。
彼は開口一番こう言った。

「おっ、可愛いじゃない!
 ふーん。真琴は女顔だって思ってたけど、眉少し整えただけでますます女らしくなっちゃって!」

こっれってやっぱり女としては喜ぶべきなのか?
俺の顔を見た途端そんな言葉が出てくるなんてプレーボーイの素質があるんじゃないか?
そんなこと考えていると、あやかさんが、

「そうでしょ!
 僅か2週間でこれだもの先が楽しみだわ!
 友美ちゃん。今日はご苦労様。
 お礼といっては何だけど好きなもの頼んでいいわよ。
 ここのお勧めは・・・デラックスサンデーね。
 これで良い?」

「いいんですか?」

「いいわよ。友美ちゃんはそれでいいのね?
 真琴ちゃんも同じでいいわよね?」

「オッ・・僕はコーヒーでいいです。」

「別に病気で入院している訳でもないし帰ったら病院食なんだからここで少し贅沢しても
 バチあたんないわよ。
 だからいいわよね?」

「はい・・・」

セイがおもむろに、

「いいもの持ってきたよ。」

「いいもの?」

「これ!」

と言いながら、デジカメを取り出した。

「お父さんが真琴のワンピース姿早く見たがっていたから気を利かしてね。」

何枚か写真を撮った後、

「よくデジカメの在りか判ったね?」

「実はさっきお父さんから携帯にメール着てね。
 今日は残業で見舞に行けないから真琴のワンピース姿を家に帰ったらメールで送信してくれって!」

「親父のヤロウ」

「こら、そんな汚い言葉使わないの!」

と、あやかさんが怒る。

「あの人は・・・
 真琴ちゃんが間違って女になった時、ショックだったけど・・・
 真琴ちゃんが亡くなった真琴ちゃんのお母さんに似ているの。
 だから女の姿をした真琴ちゃんにその思いを重ねているのよ。
 だから、そのくらいは我慢してね。」

そうこうしているうちに注文したものが出て来た。
出て来たものは大きなお皿いっぱいのクリームの塊だった。
甘いものは苦手では無かったが、全てを食べきれる自信は無かった。

「食べきれるかな?」

友美がパクパク食べながら、

「楽勝じゃない?
 食べきれなければ私が食べるから。」

しかし、食べ始めるとスプーンの動きはまったく止まらなかった。
味覚が変わったわけではないが、甘いものに対するストッパーが働かなかった。
俺は気がついたら全てをぺロリと平らげていた。

「ちゃんと食べれたじゃない。あんたは自分が思っているよりも女性化が進んでいるんじゃない?」

思ったより適性があったのか女性化はかなり進んでいるのかも知れない。




続く




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

あとがき



お待たせしました。
遅くなってすいません。
始め書いていたのを再構成しなおしたので時間がかかりました。
はじめ書いていたのが2週間後のまこと達の状況と呼び方等の設定など説明ばかりなってしまったので
家族の話し合いのエピソードを入れたりした上、感想で元真琴ちゃんが好評なので設定を見直しました。
当初、真琴を振り回す役を元真琴に求めたのですが、彼は事件の加害者なのでなかなか動いてくれません。
そこで彼が男でいる動機に友美を設定して加えてその役をやらせて漸く形になりました。

次はつよしとの外出話です。
引越し先まで追いかけてきたつよし。
彼は誠が性転換したことを知ります。
そこで嫌がる真琴と以前から約束していた映画を観に行くのですが・・・





戻る

□ 感想はこちらに □