戻る

蒼い時<序章>
作:コーディー


Term.0

 抜けるような青空の中、全国高校サッカー地区予選の準決勝。
 歴代最強と目される、県立星丘高校、英和高校は、その日素晴らしい戦いを繰り広げ、同点のままロスタイムに突入していた。このまま延長かという空気が場内を包んでいく……。
 しかし英和のパスがクリアされた瞬間、ゲームは動いた。タイミングを合わせたように両チームの選手が駆け出す。その中を星丘のFW、御堂は縫うようにゴール前にあがっていた。その後ろを同じくFWの狭山(さやま)が御堂の動きを追うように駆け上がっていく。
 勿論英和のディフェンスは2人をピッタリとマークする。しかし御堂の動きは少しも乱れない。後ろでは狭山が、最強の2トップと言われる自分たちの、最高の相棒が自分をサポートしてくれているのだ。
 ボールは御堂の前方数センチの地点に落ちた。それと同時に相手ディフェンスがシュートコースをふさぐ。御堂と相手選手の目があう。2人とも疲労の色を隠せない。
 御堂の背番号11が一瞬翻った。と同時に、ボールは彼の足をすり抜ける、いや、彼の足から見えない力で離れたとでも言うべきか。次の瞬間には狭山の足にボールは吸い付いていた。そしてボールはゴールへと向かう。一気に加速を増し、相手選手の隙間を抜けると、熱狂の中ゴールネットに突き刺さった。
 星丘の勝利、喝采。御堂は興奮を抑えながら共に戦った相棒の方を振り返る。
「やったな!」
その瞬間場内に静寂が起こった。御堂の呼びかけに笑顔で答える狭山の姿はそこにはなかった。代わりにフィールドの中に倒れ、鼻血を流す狭山がいる。運ばれる担架。彼のユニフォームと14の番号が、見る見る血に染まっていった。


Term.1

「秀敏の様子はどうなんだ……?」
暗い診察室の中に2枚のレントゲン写真が映し出されている。そして数秒の沈黙。そこにいる者にとっては数分、数時間にも思えただろう。
白衣の医者が口を開いた。
「兄さんも医者の端くれなら察しは付いてるんじゃないか?」
兄と呼ばれた男が答える。
「親父に無理矢理取らされた免許など意味はないさ。葉矢(ようや)、お前の口から直接きかせてくれ」
一拍間を置くと、ため息を付いて葉矢と呼ばれたその医者は答えた。
「かなり危険な……状況だ。全身、皮膚組織から内蔵に至るまで、かなりの部位から出血している。止血と輸血を繰り返して今は落ち着いているが、いつ悪化するかも分からない。しかも白血病や癌の症状とはまるで違う……奇病だよ」

 奇病……一月前、サッカーの試合が終わった直後に倒れた狭山秀敏は、叔父の病院に運び込まれて以来全く意識がない。彼は集中治療室で全身に包帯を巻かれ、何本もの管が通されている。モニターの無機質な電子音だけがただ室内に響いていた。
 父親である狭山勇作は一応その道では名の通った小説家であり、息子の入院以来専ら職場を病院内に移している。両親で交代して息子の看病をしているのだ。
「今日も秀敏をCTにかけるそうだ。症状もだんだんはっきりしている。そろそろ遺伝子レベルでの検査も終わるそうだし、秀敏の病気の正体もはっきりするさ。そうすれば……」
勇作は妻の肩に手をかけながら落ち着いた口調で語りかけた。そして沈黙。この沈黙が2人の心を最も的確に描き出している。このまま息子は返らないかもしれない。絶望と諦めが入り交じったような気持ちがこみ上げてくる。このとき勇作は自分の医学の知識を呪った。一生役に立たないような知識が、この時になって息子の症状の深刻さを自分に語りかけてくる。思えばこの苦しみの元も彼の父親に無理矢理叩き込まれたようなものだ。父親に人生を左右される事を嫌い、家を去ってから10年になる。ほとぼりも冷めかけたところでの今度の出来事は、改めて彼の父親に対する憎しみを思い起こさせるのであった。
 季節も6月になって初夏の様相を呈してきていたが、それが返って2人の悲しみを増しているようだった。


Term.2

 御堂英一はその日も窓の外をただぼうっと眺めていた。ちょうど化学の授業中であったが、それも右の耳から入っては左の耳に抜けていく。狭山が倒れて運ばれて以来、1学期はずっとその調子で、1年の時には70を越えていた偏差値も、2年の夏休み前には50を割り込んでいた。サッカーの試合のほうも、狭山の穴を埋めて余りあるはずであった星丘高校は次の決勝戦で4−0の大敗を喫した。夏休みが明けても狭山は復学せず、とうとう退学の噂が広がっていた。
「御堂、御堂!」
自分の名を呼ばれて御堂ははっと我に返った。
「2学期もその調子か?たるんでるのもいい加減にしろ」
「はい……すいません」
しかし次の瞬間には教科書に目を落としたまま元の状態に戻るのである。

「せっかくの夏休みも、御堂には関係ないはなしだったらしいなぁ」
昼休みになってクラスメイトが口々に話した。
「御堂君って夏休みの間中、毎日狭山君のお見舞いに行ってたんだって」
「部活も休んで?レギュラーから外されないの?」
「狭山君も退学しちゃうって噂だし……立ち直れないんじゃないの?」
しかし御堂は常に無表情で関心を示さない。
「今更になってお前の重要さに気付かされるよ……。こんなに無力感を感じるなんてな……」
考えれば考えるほど、狭山が自分にぽっかりとあけた大きな穴は、さらに周囲をを削り取って広がっていく。2人のときは日々があれだけ充実していたのに、今の自分にはその時の半分ほどの気力も起こらない。

「そういえば狭山の代わりに転校生が来るんだってなぁ。隣のクラスで話してたけど」
「へぇ、うちに転校なんて出来るんだ。頭いいのかなぁ。男?」
「すげえ美人の女子だってよ。校長室で挨拶してたって」
「狭山の代わりならうちのクラスってことか?それはラッキー……」
御堂のにらむ顔を見て、周囲の会話がとぎれた。
 誰も狭山については滅多なことを言わない。もともと言われるような人物ではないが、御堂の沈黙の威圧感が彼の退学に関する悪い話も完全に一掃していた。
「つまり狭山がここから完全にいなくなるって事じゃないか。クラスの編成なんて変えない方が望みもかけられたのに……」
表情は殆ど変わらないが、御堂の心はさらに重く沈んでいた。

昼休みが終わるとホームルームがある。チャイムが鳴ってすぐは、皆も着席していたが、5分も過ぎる頃には例の噂が真実味を帯びてくる。
「鈴木の奴おっせーな」
「やっぱり噂の転校生かな?」
皆の視線が自然と、廊下の先の階段に集中する。さらに数分たった頃、廊下に出て偵察していた生徒が立ち上がって叫んだ。
「来た来た!見ろ!もう一人いるぞ!」
一斉にクラスのほぼ半数の生徒が扉から顔を出す。近くのクラスからもちらほらと覗き込む生徒がいた。
「あっすっげーカワイイ!」
「ホントだ!俺、今恋人募集中なんだけどなぁ」
「お前って初対面の女にも告白するんか」
「ちっちげーよ!!」
一気にクラス中が騒がしくなると、担任が廊下の向こうから怒鳴った。
「コラっ、教室に入ってろ!」

 引き連れてきた生徒を入り口に待たせて教室に入ってきた鈴木担任は、神妙な面持ちで口を開いた。
「昨日付けで狭山が正式に退学届けを出した。残念ながらこれでクラスのメンバーが1人減ったわけだが、その代わりに今日うちのクラスに転校生を迎えることとなった」
「先生、狭山君はどうなったんですか?」
委員長の女子が訪ねた。
「狭山は海外の病院で療養することになった。かなり重いそうで復学は難しいとのことだ」
クラスの数人が御堂の方を見た。御堂は目を伏せたまま周囲を見ようとはしない。
「時間もないから紹介をさせてくれな。伊吹、入ってこい」
「はい……」
そういわれて入ってきた転校生は、先ほどの騒ぎに乗らなかった者の目も一気に奪った。均整のとれた体つきに幼さと美しさを兼ね合わせたような顔立ち、肩にわずかに掛かった美しい黒髪、それらを真新しい制服が初々しさによって引き立てていた。そしてクラス中に再びどよめきが起こった。
「い……伊吹香奈です……短い間ですがよろしくお願いします」
「あぁ、伊吹は今学期中だけうちのクラスに入ることになってるんだ。”幻の”転校生だが、よろしくしてやってくれ。」
クラスに失笑と落胆の声が上がる。
「じゃあ伊吹の席は狭山の席だったそこだ。一個だけ空いてるだろ?」
「はい……」
それは御堂の隣の席だった。鞄をかけて着席した伊吹は周りに軽く挨拶すると、御堂の方を向いて改めてお辞儀をした。しかし御堂は顔を上げずに下を向いたまま知らん顔をしている。無言の重い雰囲気が漂っていた。
うしろの2人が小声でささやく。
「御堂君、やっぱり気に入らないんだね……」
「ほら、狭山の”代わり”だもんな。分からないでもないよ。」
狭山も伊吹もそれ以上は全く互いを見ようとはしない。
 もちろん御堂にだって一定の好奇心はある。しかし狭山の”代わり”である伊吹は、どうしてもその狭山の影を霞ませる。きっと御堂が彼女を見ても、無意識に彼は”敵意”の感情を彼女に対して覚えるだろう。だから御堂は意識的に伊吹の存在を無視しようとしているのだ。
「すまんな、もう次の授業にかかってるんで急いで準備してくれ。」
そういうと担任は教室を出ていった。

 午後の授業が終わると、伊吹の周りにはクラスの内外を問わず一斉に生徒が集まった。そして彼女に対して次々に質問が浴びせられる。
「ねえ、どっから来たの?」
「と……東京から……」
「兄弟とかいるの?好きな人は?」
「好きな人は……いません。兄弟は弟が2人……」
「何で今学期中だけなの?劇団の人だとか?」
「それは……すいません、家の事情で……」
「そんな固い顔で緊張してないで、早く慣れてね。うちの男共なんて、ちょっと笑顔でいい顔したらすぐコロッといくんだから」
「はぁ……」
彼女は緊張した面持ちで、言葉少なに質問に答えていく。
「みんな聞いてることだし、良ければちょっと自己紹介なんてやってみてよ」
少し困った顔をした伊吹は、やや間をおくと口を開いた。
「じゃあ……簡単ですけど……」
皆が一斉に静まり返って聞き耳を立てる。
「僕の名前は……」
一瞬さらに沈黙が深まった。伊吹も表情を張り付かせたまま、顔を真っ赤にして固まっている。
「今……僕って……」
が、次の瞬間生徒達から絶叫が起こった。

「カワイイー!!」
まず女子の間から黄色い声が上がる。
「香奈ちゃんって自分のこと”僕”っていうの?誰々?誰の影響?回りが男兄弟だとそうなるの?」
「あっ……あの……」
伊吹は赤い顔をさらに真っ赤にして弁明しようとするが、すでに時は遅かった。
「やべ……惚れそう……」
「駄目だ……あの顔で”僕”なんて言われた日にゃ……」
「あんな娘が妹だったら良かったわ……」
伊吹はたった7文字の自己紹介で、さらに数倍の男に加えて女生徒の心も完全に奪っていた。伊吹はほとんど涙目になってうつむいている。
「香奈ちゃん、全然変なこと無いよ。さ、気にしないで自己紹介しよ」

 御堂は隣で帰り支度をしながら話の流れを聞いていた。彼はさらに怒りを募らせている。伊吹が人気を一気に集めたことにではない。
 誰も狭山の話を出そうとはしないのであった……。


Term.3

 梅雨の雨はここ一週間一向に止む気配を見せない。そんな中、狭山秀敏の父、勇作は息子のことで診察室に呼ばれていた。
「ここから左右に伸びるものが卵管……そして卵管采を経て卵巣を形成しています。ほら、さらに中央に見えてるでしょう……子宮ですよ……」
勇作は黙ったまま、しかし青い顔をして彼の弟の話を聞いていた。
「組織が癌化したものと思ってましたが、間違いありません」
2人とも驚きの顔をしてはいるが、実は勇作には驚きが起こる思考もできてはいない。
「つまり、どう言うことなんだ?」
やっとの事で声を絞り出し、勇作は訪ねる。
「ほら、血中のリン酸濃度が高まり、骨細胞が異常な活発さを見せています。筋肉の衰えも、一般的な病気よりもペースが速い。そして胸部を中心に全身にかけて脂肪分の増加が見られる」
彼は医学的な分析結果を一通り語ると、言葉を選ぶように次の言葉を発した。
「秀敏君は現在……急速に女性の身体に変化している……」
その表情には、自己を否定するかのような深刻な面持ちがあった。
「にわかには信じられん……」
一気に力が抜けたように、勇作はその場に座り込んだ。
「僕も今、医学を越えた領域を見せられた感じがするよ」
すでに時計は午前の2時を指している。回りには彼ら2人を除いて誰もいない。
「このペースで一月もすれば、秀敏君は男性の機能を失い完全に女になる」
 秀敏の生殖器系が萎縮の兆候を現したのは7月の初頭のことだった。しかし、病気によって組織の萎縮が見られるのはあり得ないことではない。
「こればっかりは僕にも信じられないんだ」
机の上に置かれたビニールのシートを見てその医師は口を開いた。薄暗い部屋の中で、”外科病棟主任・狭山葉矢”と書かれたネームプレートが光る。テーブル上の黒地のシートの上には、短い白の横線が数列の縦のラインを形成している。
「これが先日上がった秀敏君の遺伝子分析だ」
勇作も覗き込むが、遺伝子の専門的知識は彼にはない。そこへ葉矢が赤のマーカーでアルファベットを書き込む。勇作の知識でもそれの意味するところは分かった。
 X…………X……人間の性別を決定するところの女性に当たる部分だ。秀敏の入院以来数回の遺伝子分析が行われたが、この部分にはこれまでXYの文字が書き込まれていたはずだ。
「遺伝子が書き換えられると、普通は癌と認識されて免疫機能がその部位を攻撃し始める。たとえ他人の遺伝子が臓器移植によって体内にはいっても、その人は抗免疫剤を飲まなくてはならない……。しかし彼の容態は安定している。つまり……彼の遺伝子が全て書き換えられている……全身が一斉に変化したという事なんだ。」
勇作も医学をかじった身だ。彼の言う事の意味するところは分かる。
「……今は秀敏が意識を取り戻すかどうかだけ考えたい。それだけ組織が変化していていると言うことは、脳の方にも影響が出ているのだろう……?」
ほんの1時間前まで勇作はある程度覚悟を決めていた。息子がこのまま助かっても、植物状態、善くても廃人に近い状態になるかもしれないことは、これまでの経緯からそれとなく推測できた。一時は42度もの高熱が3日も続き、出血は脳内にも見られた。それを何とかここまで持たせてきたのである。しかし今の異常な状況は勇作の常識を激しく揺さぶっている。だから「意識を取り戻す」と言う言葉が勇作の口から無意識に発せられたのである。
「ここからが神の領域なんだ……」
葉矢が茶封筒から取り出した3枚のレントゲン写真は、秀敏の脳を映し出している。
「これを親父にも見せた」
瞬間勇作の顔色が変わった。
「親父にも……伝えたのか……」
彼らの父親はこの病院の院長であり、脳外科の権威でもある。しかし勇作とは完全に縁を切っており、すでに何年も顔を合わせていない。葉矢のたっての頼みで秀敏をこの病院に入院させてはいるが、父の秀敏への面会も、病気への関与も、勇作は認めてはいない。
「驚いてたよ。秀敏君だと知らなければ、これは全く女性のものだと言ってた」
「そうか……」
もう秀敏は何も言わなかった。もちろん彼の父に対する感情は変わってはいない。しかしもうそれをどうこう言っている状況ではないことも勇作は認識していた。
「親父は協力を惜しまないと言ってたよ。このことに”関しては”兄さんが思うようにしろとさ」
関しては……つまりその他のことはまだ認めていないと言うことである。
「……それで親父は何だって?」
マーカーのキャップを再び外して、葉矢は再び解説を始めた。
「一時期激しかった脳の損傷が、今では影も形もない。通常神経細胞そのものが回復する事なんてあり得ないんだ。まさに神秘だよ」
目を閉じてつぶやくように発した言葉には、自分の医学の常識を覆された、医者の悲哀がこもっていた。
「彼の記憶の保証は出来ないが、意識を取り戻す可能性は多分にある」
”記憶の保証”の部分にやや強制を置きながら葉矢は言った。
「さなぎ……みたいだな……」
勇作は彼の知識をたぐり寄せて分析し、こう思った。
 芋虫が蝶になる際、さなぎの状態では、芋虫の頃の各組織が一旦溶かされて、蝶として再形成される。もし脳細胞が修復されることがあるとしたら、このように一旦バラバラになったものが再形成されたのかもしれない。全く根拠のない推測ではあったのだが……。
「これからはむしろ僕らの方が準備する方かもしれないな……」
葉矢がポツリとつぶやいた。


Term.4

 秀敏が目を覚ましたのは、組織の変化が完了し個室に移され、包帯も取られた2週間後のことだった。すでに蝉の声も少なく鳴り始め、暑さも峠を越えかけていた。けだるさに身体を動かすことをためらいながら、秀敏は視界の隅に点滴と、自分の腕に伸びるチューブを認めた。
 それとほぼ同時に部屋に入ってきた看護婦が、目を覚ました秀敏を見つけて驚いた表情をした。
「300号室の患者さんが目を覚ましました!!」
秀敏の枕元にあったナースコールのスイッチを入れると、その看護婦はマイクに向かって応援を読んだ。
「すぐ戻ってきますからね!」
持ってきた診察用具をまとめると、看護婦はそう言い残して走っていった。
 秀敏の記憶では、今はまだ薄着だと肌寒い季節のはずであった。それが窓の外では蝉が騒がしく鳴いて、空調も冷房になっている。すこしの間思考がまとまらなかったが、次第にここが病院であること、自分がかなりの間意識を失っていたことがわかってきた。天井の模様の黒い点を何となく眺めながら、秀敏は様々な思いを巡らせていた。
「サッカー……終わっちゃったんだろうな……」
「もう夏休みに入ったんだろうか……」
「成績も付かなかったんだろうな……」
「進級できるのかな……」
「何で入院したんだろうか……」
「部活に復帰したいな……」
「体がとても重い……」
「何か病気だったんだろうか……」
「僕の身体はどうなってるんだろうか……」

 その瞬間、何か一本の線が秀敏の中でつながった。
「そうだ、今の状況はどうなってるんだ!」
一挙に不安が秀敏を包んでいく。自分の存在が一気に希薄になっていくような錯覚を覚える。自由に動かない自分の身体に、突然秀敏はもどかしさを覚えた。
「秀敏!目が覚めたの!?」
数人の看護婦と白衣を来た葉矢叔父さんの後を追いながら、秀敏の母親が駆け込んできた。
「か……あ……さん……」
それだけ言うのが精一杯だったが、周囲の人間はそれに気付くと一様に驚きの声を上げた。秀敏の母親は一気にその場に泣き崩れる。
「驚いた……意識が戻っただけでなく、記憶も元通りだなんて……」
葉矢は目を丸くしている。
「……疲れているだろう。後は任せてとりあえず休みなさい」
注射針で薬を吸い上げながら、優しい口調で葉矢は秀敏に語りかけた。よく分からないが、おそらく睡眠剤か何かだろう。
「あの……その……前に……いったい……なに……が……?」
今の自分にはそれだけ言うので精一杯だった。信じられないほどに力が入らない。
「ふむ……」
一瞬困惑の表情をを見せた葉矢は、いつの間にかドアの前に立っていた父に向かって視線を送った。ぼんやりと見える父の姿は、汗をじわりとかいている。この暑さに加えて、ここまで走ってきたからであろう。さらに頭には寝癖が見られる。きっと起き抜けなのだ。
「かまわん、伝えてやってくれ」
声が遠くに感じられてはっきりと聞こえない。しかし確かに父はそう言った。それにうなずくと葉矢は、胸のポケットからメモらしき物を取り出して口を開いた。
「いずれは直面することだ、早くに伝えた方が心の整理をする期間も長くなる」
そういうと葉矢は秀敏に向かって一つ一つ説明を始めた……。


Term.5

 病室にかかったカレンダーがめくられ、暦が9月になった。今日から学校は始まったはずだが、おそらく出席は叶わないだろう。ベッドの上で秀敏はだいぶ自由になった体を動かしながら、自分の腕を見つめていた。
 自分の、と言うが彼にはその実感が未だにわかない。むしろ全身、いや、自分の存在そのものに違和感を感じる。
「葉矢叔父さんは、僕の脳まで変化したから慣れるまでに時間がかかると言っていた……。だったらこれも慣れてしまうのだろうか……」
一抹の不安を感じながら、すっかり細くなった腕から左の壁の姿見へと視線をやる。そこには同じくベッドに座ってこちらを見つめる少女の姿があった。
「やっぱり慣れそうにないよな……」
一時は変わり果てた自分の姿を見るのがいやで、一日中右の扉ばかり見つめていた時期があった。おかげで首にいまだに疲れを感じる。鏡は目を覚ました2日後あたりに葉矢叔父さんが持ってきた物だ。早く慣れた方がいいと言われた手前、外すよう頼むわけにもいかない。
 目を覚ました初日と次の日であらかた説明は受けたため、自分もだいたいの状況は分かっているし、周りもこちらから訪ねない限りあえて何も言おうとはしない。看護婦たちは何も知らないようなのだが……。
 手元の台の上に積まれた書類に改めて目を通す。父と、滅多に合うことのない祖父が、神妙な顔をして一昨日の朝に持ってきた物だ。これについても説明は受けている。

「お前の身体はもうどうすることもできない。原因も全く分からないので、治療のしようがないんだ」
すでにこうした話は何度も聞かされた。さすがに始めて聞いたときにはパニックを起こしたが、いいかげん黙って聞けるようになった。
「強制的に手術で戻すこともできないことはないが、もちろん完全に元通りにはならないし、俺は勧められない」
この話も何度も聞いた。不用意にこれ以上医学的な手を加えることは、医療上好ましくないらしい。確かに、最初にあちこち調べられた以外は、もう定期的な経過の観察だけにとどまっている。
「お爺さんと相談したんだが……どうだ、戸籍を作り替えて違う人間として生きる気はないか?」
それを聞いた瞬間、僕は戸惑った。戸籍を書き換えるなんて話は、普通の人なら聞き慣れない事だ。
「戸惑うお前の気持ちは分かっている。俺も聞いたことのない話だった……いや、聞いたことはあったが信じてはいなかった。」
父はそういうと祖父の方をちらりと見た。
「映画なんかで見たことないか?重大事件の証人なんかを保護する目的で、籍を変えてしまうような話は?」
「……あるよ……あるけどそんなのどっか別の国の話だろ?」
一瞬力が抜けた。UFOが存在するといった手の話だ。とうてい信じられない。
「いや、日本にだってそういうシステムはあるんだ。むしろ日本は世界一犯罪のターゲットになりやすい国だから、一番そういう仕組みが発達していると言ってもいい。身代金の交換条件にされたりとかな」
「でもそんなことちっとも聞いたこと無いよ……?」
「それはそうだ。知られないから意味のある制度なんだからな。親父……お爺さんのようにどこぞと変な繋がりのあるような人くらいしか一般人は知り得ない。対象者の身を守るためでもあるから、マスコミにも報道管制が敷かれてるしな」
明らかに父は嫌悪の表情を見せている。”権力で”といった類の話は、父の最も嫌いとする物だ。しかし、僕の事を考えた末の苦肉の策なのだろう。
 祖父が持っていた書類を僕に渡しながら言った。
「秀敏君……医療サンプルの特例という形で申請を出す。世間に知られてはまずい病症例を持った患者を隠す目的で出される物だ。なに、君の細胞サンプルを少し貰うことと、一部の人間に君のことが知られる以外は全く問題は起こらない。生活も普通に出来るし、普通に働き、結婚して…………いや、女性として生きる以上、君には大問題だったな……」
”結婚”のところで祖父の口振りは明らかに変化した。その祖父だけではない、周囲の人間の心中は自分にも痛いほど分かる。様々な検査が、今の自分は一応健康体であることを証明していたが、生物としては明らかに異常な状況下にある。肉体の問題でありながら、医学とは全く土俵が違うのである。ある意味不治の病に冒された病人を見るような心境であることだろう。
「君の生活はなるべく保護してあげたい。慣れないだろうが、名前を変え、今の身体にあった生活をしていく方が君のためだ。幸いそのための環境もある」
祖父の口調にはあえて事務的な風にしている様子が見て取れる。ここで感情論を出しても何にもならないことはこの場の人間全てが実感している。組んでいた腕を解いて、そっと自分の胸に手をやった。柔らかい弾力が伝わってくる。これが今の変えがたい状況なのだ。僕は何度気が狂いそうになったことか……。
「決断はなるべく早い方がいい。お前の気持ちに整理を付け、これからどうするか決めてくれ」
父と祖父はそういうと病室を出ていった。

 病室を訪れる人間といえば、両親に葉矢叔父さん、看護婦位しかいない。一度だけ弟たちもやってきたが、かなり戸惑った表情を見せていた。友人達も見舞いに来ていたらしいが、全て父が対応してそのまま返している。僕もどんな顔をして会っていいのか分からないし、その父の対応を有り難く思っている。
 ただ、毎日病院を訪れている御堂には、その後ろめたさから一目くらい会いたいと思う気持ちはあった。御堂に会うか会わないかはこれからの僕の選択次第だ。
何気なく膝の上に置いた上質紙の書類を改めて見つめる。
「超法規的措置による戸籍謄本変更の申請書」
白い紙に緑の文字で、色々な条項と記入用の枠が記されている。所々に祖父の筆跡と、数人の知らない名前が書かれ、印鑑が押してある。その名前の下を見ていくと、”最高裁長官””警察庁長官””内閣総理大臣”などといった凄まじい肩書きが書かれている。自分はこんな重大な状況下にあるのだろうか……?自分のことを知る一部の人間とは、こうした人々のことなのだろうか……?
「現在の名称・狭山秀敏」
と書かれた右の余白には
「新たな名称」
と書かれてあり空白になっている。ここに名前を書いて書類を祖父に渡しさえすれば、今後僕の名前は正式にその通りになる。

 病院の売店の袋を抱えた母は、戻ってくると物思いに耽る様子でリンゴを剥き始めた。
「正式な自分の息子でなくなると思うと寂しいわ……」
母の口調もだいぶ強ばっている。
 父の説明では、僕の親権は架空の夫婦のところに移るという。新しい名字もその候補をいくつか知らされている。両親と離れることには当然反対したので、今後2人は世間的には育ての親ということになるそうだ。
「大丈夫だよ。血は繋がってるんだし、母さんに対する気持ちも変わりはしないよ」
 気持ちは変わらない……とはいうものの、最近の自分は徐々に思考まで変わってきている。物事の分析が女性的になったというのだろうか。それを思うと、今後今の自分を維持できるのかどうか不安を覚える。
「名前……決められないんでしょ?」
話題を逸らすように母は言った。確かに秀敏のまま通すのは無理があり、名前の変更は必要である。父はその決定を僕に委ねてくれたが、自分の名前などゲームのように簡単に決められる物ではない。
「実はね……あなたの名前はお爺さまが決めたのだけど、その時女の子だった場合の名前も決めてあったの」
初めて聞く話だった。父はそんなことは一言も言わなかった。しかしそんなことがあったなら、今の状況でその名前を出して候補に挙げるのが普通だろう。何故……一瞬考えたがその理由はすぐに思い当たった。
 父は祖父の決めたことに反発しているのだ。

 僕が幼い頃、父は病院の医者をしていた。そうしなければ何かと経済的に苦しかったのだ。しかし父は小説を書くことに生き甲斐を感じており、母との出会いもこの小説を通してだった。ずっと小説を書いて身を立てたいと思う感情はあったに違いない。僕が小学校に上がるとまもなくして、父は祖父と喧嘩別れ同然に繋がりを絶ち病院も辞めてしまった。父は祖父については何も言わないが、母はよく祖父のことを話してくれた。だからイメージとして僕の中で祖父の形はまとまっている。
 父はその祖父と全く連絡を取ろうとはしないが、母は父に隠れて電話をするなど祖父との繋がりは深いようであった。


Term.6

 父は僕の差し出した書類に困惑した表情で目を通していた。祖父もそれを一目見ると一瞬表情を変えた。
「新たな名称・伊吹香奈」
父は反対するだろうかとも思ったが、何も言わなかった。

「いろんな人の意見も集めてね、普段全然見向きもしないのに、字画まで考えて決めたのよ。初孫ですもの、相当考えたのだと思うわよ」
先日母はそう言うと小さく折り畳んだ半紙を取り出した。広げると祖父の字で「香奈」と書いてあった。その時僕の考えはまとまった。

「……いいのか?お前もよく考えたのだろうが、もう変更は出来無いぞ?」
別に引き留めようとしているのではないのだろう。父は一通りもう一度よく考えるように言ったが、僕にその意志がないことを確認すると書類を改めて祖父に手渡した。
「……大丈夫、私が責任をもって裁判所まで届ける。来週までには手続きも終わるだろう」
祖父はそう言うと、横に控えていた葉矢叔父さんに合図して、部屋を出ていった。
「転校の手続きもとろう。そのままの学校では知り合いに正体がばれたりして面倒だろう?僕が保護者代理として手続きに同行するから」
と葉矢さんが言った。
 戸籍の変更に伴って、それまでの学校を退学となることは父の口から聞いていた。僕はそれまで考えていたことを両親に打ち明けた。
「……元の学校に……転校生として復帰できないかな?」
父は眉をしかめた。
「分かってるだろう?お前の正体が知られないようにするための措置なんだぞ?」
父がそう言うのも当然だ。しかしずっと考えてきたことだ。
「だけど、本当の友達には伝えておきたいんだ。伝えたら他の人にばれないうちに改めてほかの学校へ転校する。頼む、第三者に知られたりしないから」
父は僕の深刻な表情を見て取ったのだろうか?葉矢叔父さんの方を見て言った。
「……葉矢、秀敏のことを頼んだぞ」
母も黙って事の成り行きを聞いている。誰もそれ以上反対することはなかった。
「ええ……香奈くんのことは任せて下さい。手続きが済み次第行って来ますよ。星丘高校でしたよね」
葉矢さんは早速僕のことを香奈と呼ぶ。両親もはっとしたように答えた。
「これからは香奈だったな……とうさんもなるべく慣れるようにするから……」
「家でどう呼ぶかはだんだん決めていきましょう」

 三日後には僕は退院の運びとなった。日頃葉矢さんは僕の存在を、遺伝子の芸術だと形容していた。それに加えて、僕の存在が完全に世の知るところとなれば、普通の生活は出来なくなることを改めて釘を刺した。葉矢さんが僕の叔父でなければ、きっと僕のことを最高の研究対象として見ていたことであろう。それだけ僕は医学的に興味深いという事だ。自分の家族がこの人達でなかった場合を考えるとぞっとする。
「彼氏でも出来たら連れてきてよ。その辺も自由だからさ」
彼氏……。葉矢さんは何かと僕のことを女性扱いする。看護婦の間でも「300号室の美少女」などという、うれしいのかうれしくないのか解らないあだ名を付けられていたが、事情を知る葉矢さんは完全に確信犯だ。
「……来週はお願いしますね……」
あえて僕は返事をしなかった。
「分かってるよ。君もそれまでに秀敏君らしさを隠す努力をしておきなさい」
僕は葉矢さんが”女らしく”と言わなかったことに気付いた。葉矢さんはこれでなにかと気を使っているのだ。女性扱いするのも、僕に早く身体に慣れさせようとした意図があったのだろう。
 すでに病院の前の木々は赤く色づき始め、秋の訪れを感じさせていた。


Term.7

 最近では御堂は学校が終わるとすぐ家路につく。最初は部活の仲間が昇降口で待ちかまえていたが、最近はそれもなくなった。彼の心境を汲んでのことだろう。
 御堂はずっと胸にもやもやした物を抱えていた。その原因はただ一つだ。
「狭山……お前とはもう会えないのか……」
当初は御堂が病院に行く度に狭山の父が応対をし、彼に対して細かく状況を説明していた。それが今月になると病状は一気に進行し、面会謝絶状態だという。
 今日から転入してきた転校生の存在も、御堂に暗い影を落としていた。彼女を見ると、いいようのない不安と怒りがこみ上げてくる。そして狭山の影が彼女にダブる。
 御堂はそうした考えを振り払うように自転車をこぐスピードを速めた。しかし帰宅したところで特にすることもない。このところ、家で毎日ぼぅっとテレビを見たりする日々が続いている。

 その頃狭山家でもテレビがつけられていた。香奈はソファに座ってじっとテレビに見入っている。黒のジャージ姿で、周囲に制服が乱雑に脱ぎ捨てられている。
「あーねーきっ!」
不意に後ろから声がして、香奈は驚いてそちらを振り返った。
「何だ……和浩か……」
それは香奈の弟の和浩だった。
「何だじゃないだろ。学校はどうだったんだよ?」
それと同時に父の勇作が彼の書斎から出てきた。
「何だ、2人とも帰ってたのか。ただいまくらい言え。香奈もいるじゃないか」
脱ぎ捨てられた制服に気付いて拾い上げながら、勇作はすこしむっとした表情だ。
香奈が秀敏だった頃はただいまくらいは言っていたが、この日はあえて言わなかったのだ。自分から話しかけたりしようものなら、その日の学校の様子を長々と聞き返されるのは目に見えている。
「転校初日から大失敗だよ。たった一言で僕のイメージが固まっちゃった」

その日、彼女は自己紹介中にうっかり自分のことを”僕”と呼んでしまい、さらに動揺して必死に弁明しようとしたため、クラス中に
「自分の幼さを”僕”と呼ぶことで隠そうとするカワイイ女の子」
というあらぬイメージを植え付けてきてしまった。
さらに何を言ったのかは良く覚えていないが、色々話してきた気がする。
「本当は利発な子」
という印象も与えてしまったようだ。初対面での印象は、その人のイメージの大半を占める。もう取り返しは付かないだろう。
 これは彼女の当初の考えとはだいぶ違う。なるべく話さないようにして帰宅し、
「無口な子」「つきあいにくい子」
といったイメージを与えてくるつもりでいた。短い期間で転校するのだし、そうしたほうが何かと都合がいいからだ。それなのに早速クラスに馴染んでしまい、改めて数人の友人まで作ってきてしまった。
「それは成功だったと思うんだけどなぁ……」
勇作が頭をポリポリとかきながら言った。
「お前が思うとおりのキャラクターを、そういつまでも演じ続けられないだろ?だったらある程度お前と分からない範囲で、お前の地を出しておいた方がいいと思うぞ。」
確かに勇作の言うことも一理ある。だが香奈は、はっと思い直してすぐ反論した。
「僕がわざわざ同じ学校に転校したのは目的があってのことなんだから、あんまりみんなとつき合いたくないの!これじゃ明日から余計に自分の行動に気を使わなきゃならないじゃんか!」
大きく大袈裟なため息を付いた勇作は、落ちていた制服を香奈に突き出しながら言った。
「香奈……友人は大事にしろよぉ……」
そして勇作は再びのそのそと書斎へと入っていった。

 香奈にはもう一つ気になることがあった。むしろこちらの気がかりの方が大きい。それは香奈に対する御堂の態度だ。
 香奈が真実を伝えておきたい相手というのはもちろん御堂だ。しかし今日の彼の様子を見る限り、すぐに事実を打ち明けて終わり、というわけには行きそうにない。
「御堂は僕……つまり伊吹香奈を嫌ってるようだったし、やっぱりあいつとある程度親しくなってから打ち明けた方がいいよなぁ」
香奈はいろいろと御堂について思いを巡らした。
 御堂はその落ち着いた雰囲気から一見すると、繊細で、こうしたときの他人、つまり今だったら香奈の気持ちを考えてくれるような性格に見える。
 しかし、それに気を許して御堂に対人関係の悩みを打ち明けてもろくな事はない。御堂は他人の人情の機微に驚くほど疎いのだ。それは親友の自分が一番良く知っている。だからこそ香奈は、御堂に対してやや慎重になっていた。
「くそっ、あいつ今頃僕のことを”狭山の後ガマに入ろうとするやな奴”とか思ってるんだ。僕がこんなに悩んでるのも知らないで!」
だんだん御堂のことで怒りが沸いてきた。そこへ再びドアが開き、三男の真一が入ってきた。
「あーねーきっ!学校はどうだったよ?」
「うっさい!今話かけんな!!」
人がイライラしてるのも知らないで……。香奈は大きくため息を付いた。




 一応前半です。面白かったと思っていただけたら後半も読んでみて下さい。品質の保証は全く出来ませんが……。
普段文章なんて書かないし、高校生(H13年現在)だし、理系の人間なのでかなり見にくい文章になってしまいました。しかもどっかで見たような雰囲気……。ただただ謝るばかりです。(;д;)
それでも何か感想の一つも頂けたらめっちゃ嬉しいです。
あと作品中の話はたいてい適当なので、中身を鵜呑みにしないで下さい。(汗)



戻る

□ 感想はこちらに □